ビットコインを安全に保管する方法として、ハードウェアウォレットに長期保存するのが一般的です。しかし、それでは利回りが発生しません。ビットコインの価格変動リスクを抑えつつ利回りを得る方法について、いくつかの選択肢を紹介します。
1. ステーブルコインとのレンディング
概要
ビットコインを担保にしてステーブルコイン(USDT、USDCなど)を借り、そのステーブルコインをレンディングサービスに預けて利回りを得る方法です。レンディングサービスは中央集権型(CeFi)と分散型金融(DeFi)の2種類があり、それぞれ異なるリスクとリターンがあります。
メカニズム
- ビットコインを担保として預ける(LTV:ローン・トゥ・バリュー比率に注意)。
- 担保に応じたステーブルコインを借りる。
- 借りたステーブルコインをレンディングプラットフォームに預けて利息を得る。
- 利回りと借入金利の差額で利益を確保する。
メリット
- ビットコインの価格変動リスクを直接負わない
- ステーブルコインのレンディング利率は比較的安定
- 追加の資産運用が可能
デメリット
- 借入金利が発生するため、レンディング利率との差額での利益になる
- ステーブルコイン発行体のリスク(例:USDTの信用リスク)
- LTVが一定割合を超えると清算リスクが発生する
- DeFiの場合、スマートコントラクトの脆弱性リスクがある
2. カバードコール戦略
概要
ビットコインを保有しながら、一定価格でのコールオプションを売ることでプレミアムを得る方法です。
メリット
- 一定の範囲内で価格が変動してもプレミアム収入が得られる
- 比較的低リスクなデリバティブ戦略
デメリット
- ビットコイン価格が急騰した場合、利益が制限される
- オプション取引の知識が必要
3. デルタニュートラル戦略(現物+先物)
概要
ビットコインの現物を保有しつつ、同量のビットコインを先物市場でショートすることで価格変動リスクを抑え、ファンディングレート(資金調達率)の差額を狙う方法です。
メカニズム
- ビットコインの現物を購入する。
- 同量のビットコインを先物市場で売る(ショートポジションを持つ)。
- 先物市場ではロングとショートのバランスをとるため、資金調達率(ファンディングレート)が発生する。
- ファンディングレートがプラスのとき、ショートポジションを持つ側がロングポジションを持つ側から資金調達料を受け取る。
メリット
- ビットコインの価格変動リスクをほぼゼロにできる
- ファンディングレートがプラスのときに安定した利回りを得られる
- 価格変動の影響を受けにくい
デメリット
- ファンディングレートは変動するため、マイナスになるとショート側が支払い義務を負う
- 取引所のリスク(破綻、セキュリティリスク)
- 先物市場の流動性や取引手数料の影響を受ける可能性がある
4. ビットコイン利回り型口座
概要
暗号資産取引所や一部のDeFiサービスでは、ビットコインを預けることで利息が得られる口座を提供していることがあります。
メリット
- 仕組みがシンプルで初心者にも使いやすい
- 取引所の流動性が高い
デメリット
- 取引所が破綻するリスクがある
- 一定期間引き出し不可の条件がある場合がある
5. ステーキング・リキッドステーキング
概要
ビットコイン自体はステーキングできませんが、ラップドビットコイン(WBTC)などに変換し、ステーキングサービスを利用することで利回りを得ることが可能です。
メリット
- 長期的な運用が可能
- ステーキング報酬が得られる
デメリット
- WBTCに変換する手間とリスクがある
- ステーキングサービスのリスク(スマートコントラクトの脆弱性など)
まとめ
ビットコインを安全に運用しながら利回りを得る方法はいくつかありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。価格変動リスクを抑えつつ運用する場合、
- ステーブルコインとのレンディングは比較的安定した選択肢
- カバードコール戦略はオプション取引に慣れた人向け
- デルタニュートラル戦略はファンディングレートを活用できる場合に有効
- ビットコイン利回り型口座はシンプルだが取引所リスクあり
- ステーキング・リキッドステーキングはWBTCを活用した選択肢
どの方法を選ぶにせよ、リスク管理を徹底し、安全に運用することが重要です。
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