債券とは
債券(Bond)は、政府や企業が資金調達のために発行する「借用証書」。
購入者(投資家)は債券を買うことで、発行体にお金を貸し、その対価として定期的な利息(クーポン)と償還時の元本返済を受け取る。
- 額面金額(Face Value):償還時に受け取る元本。通常は100円、1000ドルなど。
- クーポン(Coupon):毎年あるいは半年ごとに支払われる利息。
- 満期(Maturity):元本が返済される期限。
金利と債券価格の基本関係
金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がる。
これは、将来受け取る利息と元本の「現在価値(PV)」で債券価格が決まるため。
金利(割引率)が上がると将来キャッシュフローの現在価値が下がり、価格も下落する。
なぜそうなるか(ロジック)
- 債券の価値 = 将来の利息+元本の現在価値の合計
- 割引率(金利)が高いほど、将来のキャッシュフローは「現在から見ると価値が低く」なる。
- 逆に割引率(金利)が低いほど、「今から見た価値が高く」なる。
したがって、
- 金利上昇 → 現在価値減少 → 債券価格下落
- 金利低下 → 現在価値増加 → 債券価格上昇
債券価格の数式
理論的には、以下の式で表される。 債券価格=∑t=1TC(1+r)t+F(1+r)T\text{債券価格} = \sum_{t=1}^{T} \frac{C}{(1+r)^t} + \frac{F}{(1+r)^T}債券価格=t=1∑T(1+r)tC+(1+r)TF
- CCC:クーポン(定期利息)
- FFF:額面金額(元本)
- rrr:割引率(金利)
- TTT:残存期間
簡単にいえば、すべての将来の支払いを、現在価値に換算して合計したものが価格である。
利回り(Yield)の種類
債券市場では、金利=利回りという表現が使われるが、厳密にはいくつか種類がある。
用語 | 説明 |
---|---|
表面利率(Coupon Rate) | 額面に対する年間クーポンの割合。例:額面100円で年5円配当なら5%。 |
現在利回り(Current Yield) | 現在の市場価格に対する年間クーポンの割合。 |
最終利回り(Yield to Maturity, YTM) | 「今買って満期まで保有した場合に得られる年利換算リターン」。債券価格を満期キャッシュフローに合わせる内部利回り。 |
利回り曲線(Yield Curve) | 残存期間ごとの利回りをプロットした曲線。経済見通しを反映する重要指標。 |
市場金利と債券価格の動き
具体例で理解する。
例1:市場金利が上昇した場合
- 新発債:表面利率5%の債券が登場。
- 旧債券:表面利率2%の債券しか持っていない。
- → 当然、投資家は新発債を欲しがる。
- → 旧債券の魅力が下がり、旧債券価格は下落して利回りを合わせる。
例2:市場金利が下落した場合
- 新発債:表面利率1%しかない。
- 旧債券:表面利率3%の高利回り。
- → 旧債券の価値が上がる。
- → 旧債券価格は上昇する。
金利変動の影響度(デュレーション)
デュレーション(Duration)は、債券価格が金利変動にどれだけ敏感かを測る指標。
- デュレーションが長い=金利変動の影響が大きい(価格が大きく動く)
- デュレーションが短い=金利変動の影響が小さい(価格があまり動かない)
具体的に、 ΔP≈−D×Δr\Delta P \approx -D \times \Delta rΔP≈−D×Δr
- DDD:マコーレーデュレーション(年単位)
- Δr\Delta rΔr:金利変動幅
- ΔP\Delta PΔP:価格変動率
つまり、デュレーション10年の債券なら、金利が1%上昇すれば価格は約10%下がる。
実務上のポイント
- 長期債は金利リスクが大きい。(デュレーション長)
- 短期債は金利変動に強い。(デュレーション短)
- 金利上昇局面では債券価格は下がるため、ポジション管理が重要。
- クーポン高い債券は、低いものより金利上昇時の耐性が高い。
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
金利と価格の関係 | 逆相関(金利↑価格↓、金利↓価格↑) |
債券の価格決定 | 将来キャッシュフローの現在価値合計 |
金利の種類 | 表面利率、現在利回り、最終利回り |
金利感応度 | デュレーションで測定 |
実務上の留意点 | 長期債は金利リスクが高い |
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