ビットコイン(BTC)を長期保有(ガチホ)している投資家にとって、資産効率を高めるための運用方法は重要です。BTCをただ保有するだけでは機会損失が生じる可能性もあります。そこで、BTCを売却せずに担保として活用し、安定した収益を狙う戦略を詳しく紹介します。
戦略の概要
本記事で紹介するのは以下の戦略です。
- BTCを担保にしてUSDTを借りる
- 借りたUSDTでアルトコインの現物を購入
- 同時に同額のアルトコインを無期限先物でショート
- ファンディングレート(資金調達率)を収益として獲得
この戦略はデルタニュートラルであり、市場価格の変動リスクを低減しながらファンディングレートによる収益を狙うことができます。
なぜこの戦略が有効なのか
BTCを売却しないメリット
BTCを長期的に保有する理由としては、将来的な価格上昇への期待、税務上の配慮、BTC自体の価値保存性があります。BTCを売却すると課税対象となる場合が多く、そのまま保有しつつ運用できるこの手法は税務的にも有利なケースがあります。
デルタニュートラルのメリット
アルトコインの現物と無期限先物ショートを同額で建てるため、市場の価格変動リスクが大幅に低減されます。つまり、コイン価格が上がっても下がってもポジション全体の評価額がほぼ一定に保たれ、安定的な収益獲得が可能です。
ファンディングレートとは?
ファンディングレートとは、無期限先物と現物価格を収束させるために定期的に発生する資金調達料です。一般的に市場が強気の場合、先物価格が現物価格より高くなるため、ショートポジションを持つトレーダーがファンディングレートを受け取れます。この収入が本戦略の主な収益源です。
具体的な運用手法
ステップ1: BTCを担保にUSDT借入
まず、取引所のレンディングサービスを利用してBTCを担保にUSDTを借ります。安全な運用を考えると、担保率(LTV)は40%以下を推奨します。例えば、1BTC=50,000ドルの場合、20,000ドル以下のUSDT借入が安全圏です。
ステップ2: USDTでアルトコイン現物購入
借りたUSDTを使い、信頼性の高いアルトコイン(ETH、SOL、AVAXなど流動性の高い通貨)を現物で購入します。選択するコインは、取引高が高く、ファンディングレートが安定してプラスに推移するものを推奨します。
ステップ3: 同時に無期限先物をショート
現物購入と同時に、同額分の無期限先物をショートします。こうすることで、コイン価格変動による損益は互いに打ち消し合い、デルタニュートラルなポジションが形成されます。
ステップ4: ファンディングレート収入
その後、ショートポジションを維持する間、ファンディングレートを定期的に受け取ることが可能です。ファンディングレートは8時間ごとに発生するため、継続的な収益源となります。
戦略を運用する際の注意点
担保価値の変動リスク
BTC価格が下落すると担保の価値が減り、強制清算(ロスカット)のリスクが発生します。定期的にBTC価格を確認し、担保価値が安全圏を維持しているか常に監視しましょう。
ファンディングレートの変動
市場が弱気に転じるとファンディングレートがマイナスに転じる可能性もあります。この場合、逆にコストを払う側になるため、長期的なトレンドを分析し、安定したファンディングレートの通貨を選ぶことが重要です。
借入金利の負担
BTC担保のUSDT借入には金利が発生します。運用の利益(ファンディングレート)がこの金利を上回らなければならないため、事前に利息とファンディングレートの収益見込みをしっかりと比較しましょう。
取引所リスク
取引所がハッキングを受けたり、規制変更によって資産が拘束されるリスクがあります。取引所の信頼性を十分に確認し、資金を複数の取引所に分散させるなどの対策を行いましょう。
戦略の最適化
複数アルトコインへの分散
ファンディングレートが高く、安定している複数のアルトコインを利用することで収益の安定化を図れます。特定のコインがマイナスに転じても、他のコインで補える分散効果があります。
市場状況に応じた再調整
定期的に市場環境を分析し、ファンディングレートが持続的に有利な環境が続くコインを選択し直すなど、柔軟な調整が必要です。
具体例によるシミュレーション
例えば、BTCを担保にして20,000ドル分のUSDTを借り、ETH現物を購入。同時にETHの無期限先物で20,000ドル分ショートした場合、ETHの価格変動による影響はゼロに近く、月平均のファンディングレートが0.03%(日率)なら、1ヶ月で約180ドル(0.03%×30日×20,000ドル)の利益を獲得可能です。これが金利負担を上回れば利益が出ます。
おわりに
BTCを売却せずに資産を効率よく運用できるこの手法は、適切なリスク管理と継続的なモニタリングが必要ですが、上手に活用すれば魅力的な安定収益源となります。戦略を理解し、安全性を高めつつ実行に移してみてください。
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