トランプの関税が招く「金融雪崩」:ビットコインはどう動く?Arthur Hayesの市場予測と戦略

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今回も元BitMEX CEO、アーサー・ヘイズ氏の市場予測を紹介します。

Arthur Hayesの市場予測

関税という名の“スキーカット”:見えない崩壊の始まり

Arthur Hayesは、自らのバックカントリースキーの経験になぞらえ、現在の金融市場を「雪崩が起きる前の山肌」に例えた。スキーの現場で「スキーカット」と呼ばれる技術——意図的に斜面を滑って雪崩の危険性を探る行為——を引き合いに出し、トランプ前大統領の関税政策が金融市場における“スキーカット”となっていると語る。

トランプが再び政権を握る場合、中国製品への関税を60%、その他の国にも10%課すと主張。これにより、米国が築いてきたグローバル貿易体制が大きく揺らぎ、ドルが世界で循環しなくなるリスクが生まれている。

ドルのサイクルが止まると何が起きるのか?

  1. 外国企業のドル収入が減少する。
  2. 米国債や株式への投資資金が減る。
  3. 海外での売上をドルに替える必要性が減る。

結果として、米国の金融市場には外資が流入しづらくなり、株安・債券安が同時に起こる“雪崩”のような事態が発生する。これは2023年10月の米長期債市場の崩壊と類似しており、同様の危機が再燃しかねないとHayesは警鐘を鳴らす。

財務省の“疑似QE”:債券買い戻しの真意

市場の崩壊を抑えるため、米財務省は2024年から「オフ・ザ・ラン」米国債の買い戻し(再開)を始めた。これは一見、単なる債券の流動性対策に見えるが、実質的にはFRBを介さない**量的緩和(QE)**の代替手段である。

これにより、リスクプレミアムを狙うヘッジファンド(特にRVファンド)は復活。米国債の相対価値トレードに再び資金が流れ込み、短期的な市場安定がもたらされる構造だ。

だがHayesはこう語る。「これは一時的な麻酔にすぎない。根本的な問題——すなわちドルの循環停止——は解決されていない。」

ビットコインは“滑落の果て”で輝きを放つ

Hayesはこの金融不安をビットコインへの資金流入の好機と見ている。彼の予測は以下の通りだ:

  • 短期的にはBTCが $110,000 を突破
  • 財政赤字・関税・資本規制の合わせ技で米金融システムへの信頼が低下
  • 安全資産としてのBTCが評価され、 $200,000 まで上昇可能
  • BTC上昇後には、アルトコイン(特にAI・レイヤー1・レイヤー2銘柄)への回転が始まる

これは過去の“リスクオン”相場と似たような構図だが、今回はドルの根幹を揺るがす政策(関税+規制)がトリガーである点が重要だ。

BTCはテック株の“β資産”を卒業する

過去のBTCはナスダックに連動する「ベータ資産」として扱われてきた。しかし、関税政策によるドル基軸体制の揺らぎが本格化すれば、**「価値の避難先」**としての機能が強く意識されるようになる。

この局面では、米国株が売られ、ビットコインが買われるという本来の「逆相関」構造が顕在化するだろうとHayesは分析している。


総括:この金融雪崩は、逃避先としてのBTCを証明する

市場は今、スキーカットの一撃を食らった雪山のように、不安定な構造の中にある。次に何が引き金となって崩れ落ちるかは誰にもわからない。

しかし確実なのは、財務省が事実上のQEを始めたことで、金融緩和的な流動性供給は再開され、リスク資産への資金流入が始まっていることだ。

その中でも、Hayesは「真に自由で非中央集権的な価値保存手段」としてのビットコインに最も強い確信を寄せている。

2025年、ビットコインは“テック株の一種”ではなく、“国家を超える安全資産”として再定義される年になるかもしれない。

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