取引所残高減少トレンド追随:オンチェーン需給で勝ちに行く実践ガイド

暗号資産
スポンサーリンク
【DMM FX】入金

概要:価格より先に動く「コインの移動」を見る

暗号資産市場では、トレンドの初動で取引所残高(Exchange Balance)が減少し、コインが自己保管ウォレットへ移るケースが頻繁に観測されます。これは「売り圧の潜在供給が薄くなる」ことを意味し、中期的な上昇トレンドの発火点になりやすい需給ショックです。本稿では、オンチェーンデータのうち最も初心者が扱いやすい「主要取引所の残高推移」と「入出庫フロー」に絞り、残高減少トレンドに追随するシンプルな戦略を、データ取得・ルール設計・リスク管理まで一気通貫で解説します。

用語と直感:なぜ残高が減ると強いのか

供給の場所が重要

価格は「売りたい人と買いたい人」の即時マッチングで決まります。売りたい人の多くは取引所に資産を置いたままです。逆に、長期保有者(HODLer)は資産を自己保管(ハード/ソフトウォレット)に移し、すぐ売れる場所から遠ざけます。結果として取引所に置かれたコイン=すぐ市場に出てくる潜在的な売り圧という解釈が成立します。

残高減少=売り圧の薄化

取引所の総残高が減る時、供給は「市場から引かれる」方向に動きます。とくにビットコインやイーサリアムでは、価格が横ばいでも残高だけが先に減り続ける期間があり、その後に価格が上へブレイクするパターンが多い。需給の「地ならし」を事前に捉えるのが本戦略のコアです。

使うデータ:3指標だけで十分

  • 取引所総残高(Exchange Balance):主要CEXに保管されている当該銘柄の総量。
  • 純フロー(Netflow):入庫−出庫。負(出庫超過)なら強気材料。
  • 取引所流入(Inflow)スパイク:短期的な売り圧の前兆。逆指標として監視。

この3つを「日次」と「7日移動平均(7DMA)」で観測します。ノイズ低減のため、基本は7DMAを主に判断し、日次値はアラート(急変)用に使います。

戦略ルール:超シンプル、だから続く

エントリー(買い)条件

  1. 7DMAの取引所総残高が30日連続で減少(前日比マイナスの日数が70%以上でも可)。
  2. 同期間の純フロー7DMAが負(出庫超過)。
  3. 価格は200日移動平均の±10%レンジ内(過熱時の高値掴み回避)。

上記を初めて満たした日の翌営業日(UTC 00:00)に、終値で等金額エントリーします(ドルコストで3分割して3日連続購入でも可)。

イグジット(売り)条件

  1. 7DMAの取引所総残高が15日以上増加に転じる、または
  2. 取引所流入(日次)が過去90日上位5%のスパイクを記録(利食いまたはヘッジ)、または
  3. 最大ドローダウン(ピーク比)−12%到達(ストップ)。

トレーリングストップは直近20日安値−ATR(14)で追随。部分利確は+12%、+20%で各1/3ずつを推奨。

サイズ設計:ボラターゲティングとケリーの折衷

1トレードの標準偏差リスクを20日年率換算ボラで見積もり、目標ボラ=12%になるようポジションサイズを調整します。簡易式:

target_position = capital * (target_vol / realized_vol_20d)

過大レバレッジは不要。現物中心+必要に応じて先物でヘッジが基本です。

データ取得:誰でも再現できる方法

無料・低コストの代替を組み合わせます。

  • エクスチェンジ残高&フロー:主要アグリゲータの公開チャートを手動記録+スクレイピング禁止の範囲でCSV化。APIがある場合は日次で取得。
  • 価格・出来高:上場先の終値と出来高を日次で取得。
  • 可視化:残高7DMA、純フロー7DMA、価格200DMAを同軸で重ねる。

重要なのは、同一の取得・前処理を機械的に繰り返すこと。恣意的な期間選択を避け、月次で定例レポート化すると精度が安定します。

バックテスト設計(考え方)

厳密なティック再現ではなく、日次終値ベースのシンプル検証で十分です。過去4~6年の主要局面(強気・弱気・レンジ)を全て含めます。

  1. 条件を満たした日を「シグナル日」と定義
  2. 翌日の終値でエントリー、イグジット条件成立日の翌終値でクローズ
  3. 手数料・スリッページは片道0.05%~0.20%で感度分析
  4. 指標確定は「翌日00:00 UTC」に一本化(先読み禁止)

評価指標は、勝率、PF(総利益/総損失)、年率換算リターン、最大DD、シャープ、カルマ―、トレードあたりの中央値リターンを重視。とくに中央値は外れ値耐性が高く、戦略の安定性を示します。

実務上の落とし穴と対策

1)フローの「ダミー」問題

取引所間移動や内部ウォレット再編で見かけ上のフローが発生することがあります。単独指標を絶対視せず、複数取引所の総和で判断し、異常値は日次ではなく7DMAでスムージング。

2)価格が先に走る局面

半減期や大型イベントでは、価格が先行する場合があります。200DMA±10%フィルターはこの過熱期の高値掴みを抑制します。

3)アルトコインの流動性リスク

板が薄い銘柄はスリッページが大きく、フローに対して価格が過敏です。銘柄はBTC・ETHをコアに、流動性上位アルトをサテライトに限定。

具体例:BTCでのケーススタディ

過去の強気相場では、価格が大きく上昇する数週間~数か月前に、主要CEXのBTC残高が持続的に減少し続けた局面が見られました。横ばいの価格帯でも、出庫超過(純フローが負)が続いた後に、需給がタイト化し、ブレイクアウトの成功確率が上がる傾向があります。本戦略はその「タメ」を捉える設計です。

執行:スリッページ最小化

  • エントリーはTWAP(30~90分)で分割。
  • 複数CEXの板を見て、スマートルーティングで最良価格に振り分け。
  • 成行は最小限。基本は指値+IOC/FOKで約定品質を担保。

ヘッジ:先物とオプションの軽量活用

現物コア+先物ショートのデルタ調整で、イベントリスク(CPI/FOMC等)のボラをいなします。さらに、OTMプットの保険をイベント前だけ短期で買う手もあり。保険コストは月間損益の上限として事前に予算化します。

マルチアセット展開

ETHや流動性上位アルトでも同一ロジックが機能しやすいですが、フロー品質の銘柄間差に注意。BTC>ETH>L2大型>その他アルトの順で信頼度を重み付けし、ポートフォリオを組みます。

運用オペレーション:週次の定点観測テンプレ

  1. 残高7DMAの傾きと加速度(2次差分)を確認
  2. 純フロー7DMAが継続して負か
  3. 価格が200DMA±10%レンジ内か
  4. イベントカレンダー(CPI/FOMC、プロトコル大型アップグレード)
  5. ポジションサイズの再計算(実現ボラベース)

Q&A(よくある誤解)

Q. 残高が減っても価格が下がる時があるのはなぜ?

A. マクロイベントで需要側が一時的に蒸発すると、供給が薄くても価格は下がります。フローは勝率のオッズ改善であり、万能ではありません。リスク管理をセットで運用してください。

Q. データはどれくらいの精度で必要?

A. 日次7DMAなら軽微な誤差は許容範囲です。むしろ取得・前処理の一貫性と、恣意的な例外扱いを避けるガバナンスが重要です。

まとめ:価格だけを見ない人が勝つ

本戦略は、誰でも再現できる少数のシグナルで、需給の地ならしを掴みにいくアプローチです。価格チャートの形状に依存しすぎず、供給がどこに置かれているかを定点観測するだけでも、エントリーの質と持ち切る根拠が大きく改善します。シンプルに、粘り強く、継続してください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました