REIT(不動産投資信託)の基礎と分配金でコツコツ資産形成する考え方

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REITとは何か ― 株と不動産の中間のような存在

REIT(Real Estate Investment Trust)は、不動産から得られる賃料収入や売却益を投資家に分配する仕組みの投資信託です。投資家はマンションやオフィスビルを直接購入するのではなく、「不動産をまとめて保有しているファンドの口数」を売買します。株式と同じように証券取引所で取引されるため、少額から売買でき、流動性も高いことが特徴です。

イメージとしては、巨大な不動産オーナー企業があり、その企業の持分を株式のように売買している感覚に近いです。ただし普通の不動産会社と違い、利益の多くを分配金として投資家に還元することが前提になっている点が、REITならではのポイントです。

なぜREITが高い分配利回りを出せるのか

REITは、利益の多くを投資家に分配することを法律で求められているため、一般的な株式と比べて分配利回りが高くなりやすい傾向があります。例えば株式の配当利回りが年2〜3%の銘柄が多いのに対して、REITでは年4〜6%程度の分配利回りが珍しくありません。

仕組みとしては、REITは法人税の軽減を受ける代わりに、利益の一定割合以上を投資家に分配することを条件とされています。内部留保をあまり持たない代わりに、キャッシュフローを積極的に投資家に返していると理解すると分かりやすいです。この構造が、高い分配利回りにつながります。

REITの投資対象 ― オフィス・住宅・商業施設など

REITが投資している不動産は、オフィスビル、住宅(レジデンス)、商業施設(ショッピングモール、ロードサイド店舗)、物流倉庫、ホテル、ヘルスケア施設など多岐にわたります。これらはそれぞれ景気の影響を受ける度合いが違うため、どのタイプの不動産に投資しているREITかを把握することが重要です。

例えば、オフィス中心のREITは景気悪化やテレワークの普及による空室率上昇に弱い一方、住宅系REITは比較的景気の影響を受けにくい傾向があります。物流REITはEC拡大の追い風を受けやすく、商業施設REITは消費動向の影響をダイレクトに受けます。このように、同じREITでも「どの不動産セクターに投資しているか」でリスク・リターンの性質が変わります。

具体例:分配金利回り5%のREITで資産形成を考える

仮に分配金利回り5%のREITに100万円投資した場合、理論上は年間5万円前後の分配金が期待できます。毎月分配ではなく年2回などのケースもありますが、年間ベースで見ると5万円です。

これを長期で積み上げるとどうなるかをシンプルにイメージしてみます。毎年100万円ずつ同じような利回りのREITを買い足し、20年間続けたとします。評価額の変動は一旦無視して、単純に元本と分配金だけを見れば、

・元本:100万円 × 20年 = 2,000万円
・年間分配金:2,000万円 × 5% = 年100万円

となり、20年後には「年間100万円のインカム」が期待できるポジションになります。もちろん実際には基準価格の上下や利回りの変化、分配方針の変更などがあり、この通りにはなりませんが、「分配金を積み上げて将来のキャッシュフローを作る」というイメージを持つには良いシミュレーションです。

価格変動リスク ― チャートの見方と注意点

REITは不動産由来の安定性がある一方で、上場している以上は株式と同様に価格変動リスクがあります。金利上昇局面では、将来得られる分配金の割引価値が下がるため、REIT価格が下落しやすい傾向があります。また、大規模な景気後退や金融ショック時には、一時的に大きく売られることもあります。

チャートを見る際は、直近の分配金利回りだけでなく、リーマンショックやコロナショックのようなストレス局面でどの程度下落したのか、そこからの回復にどれくらい時間がかかったのかも確認すると良いでしょう。最大ドローダウンが自分のメンタル許容範囲を超えている場合、そのREITに全力投資するのは避けた方が無難です。

金利とREITの関係 ― 「長期金利の動き」を押さえる

REITに投資するうえで、長期金利の動きは非常に重要です。長期金利が上昇すると、REITの分配金利回りの相対的な魅力が低下します。例えば、長期国債の利回りが1%から2%に上昇すると、リスクを取ってREITに投資する投資家は「それなりの上乗せ利回り」を要求するようになります。その結果、REIT価格が下落して分配金利回りが上昇する方向に調整されることがあります。

逆に長期金利が低下する局面では、利回りを求める資金がREITに流れ込みやすく、価格がじわじわと上昇しやすくなります。したがって、長期金利のトレンドとREIT指数の動きをセットで観察することが、タイミングを考えるうえでの基本です。

個別REITとREIT ETFの使い分け

REITへの投資方法としては、個別のREIT銘柄を選ぶ方法と、複数のREITに分散投資しているETFを購入する方法があります。個別REITは、特定のセクター(例えば物流特化型、住宅特化型など)にピンポイントで投資できる反面、物件やテナントの集中リスクも抱えます。一方でREIT ETFは、多数のREITに分散されているため、一つの物件トラブルによる影響が薄まりやすい点がメリットです。

投資初心者が最初にREITに触れるのであれば、REIT ETFで全体の値動きと分配金のイメージを掴み、その後、好みのセクターに特化した個別REITに絞り込んでいくアプローチが現実的です。「まずは広く分散、慣れてきたら絞り込む」という順番を意識すると、極端なリスクを負いにくくなります。

具体的なポートフォリオへの組み込み方

実際のポートフォリオにREITを組み込む際は、「株式の代わり」ではなく「現金と株式の中間」と考えるとバランスが取りやすくなります。例えば、株式70%・債券30%のポートフォリオを組んでいる場合、その一部をREITに置き換え、株式60%・REIT10%・債券30%のような構成にするイメージです。

このとき、REITの割合を増やし過ぎると、景気後退や金利上昇局面でポートフォリオ全体のドローダウンが深くなりやすいため、最初は5〜10%程度から試すのが現実的です。リスク許容度の高い投資家でも、ポートフォリオ全体の20%を大きく超えるような比率でREITを持つ場合は、「不動産への集中」が起きていないか慎重に確認した方が良いでしょう。

分配金再投資戦略 ― キャッシュフローを太らせる

REITの分配金は、そのまま生活費に使うこともできますが、資産形成期の投資家にとっては「分配金を再投資する」戦略が重要です。受け取った分配金で新たなREITやREIT ETFを購入することで、保有口数を増やし、翌年以降の分配金をさらに大きくすることができます。

分配金再投資は、見た目には地味ですが、時間を味方につけることで効果が雪だるま式に大きくなります。例えば分配金をすべて再投資し続けると、元本を追加しなくても保有口数がじわじわ増えていきます。チャートだけを見ると基準価格が横ばいでも、再投資によってトータルリターンは右肩上がりになるケースも少なくありません。

リスク管理のポイント ― 集中しすぎない・レバレッジをかけすぎない

REIT投資でよくある失敗例は、「高利回りに惹かれて一つの銘柄に集中しすぎる」ことです。分配利回りが高い銘柄は魅力的に見えますが、その裏には空室率の高さや賃料下落リスク、大口テナント退去の懸念などが隠れていることもあります。複数のREITやETFに分散することは基本です。

また、信用取引を使ってREITにレバレッジをかけると、金利上昇や景気悪化による価格下落がそのまま損失拡大につながります。分配金利回りが高いからといって、レバレッジで無理にポジションを膨らませるのは避けるべきです。現物でコツコツ積み立てる方が、長期的には結果が安定しやすくなります。

チェックすべき指標 ― 空室率・LTV・分配金履歴

個別REITを選ぶ際に最低限チェックしておきたいのは、空室率、LTV(Loan to Value:総資産に対する借入金比率)、分配金の過去推移などです。空室率が高止まりしていると賃料収入が伸び悩み、将来の分配金減少リスクが高まります。LTVが高すぎると、金利上昇時に利払い負担が重くなり、分配金の余力が圧迫されます。

分配金履歴は、景気悪化局面でどれだけ分配金を維持できたかを知る手掛かりになります。多少の増減はあって当然ですが、極端にカットしている銘柄が多い場合は、そのリスク要因を理解したうえで投資判断を行う方がよいでしょう。

まとめ ― REITは「インカムの柱」を作るための選択肢

REITは、株式と不動産の中間のような性質を持ち、高い分配利回りを狙える一方で、金利や景気動向の影響を強く受ける投資対象です。少額から不動産収入にアクセスできる点は大きな魅力であり、長期でコツコツ積み立てていくことで、将来のキャッシュフローの柱を作る手段になり得ます。

ただし、高利回りだけに目を奪われるのではなく、物件のタイプ、空室率、LTV、分配金履歴、金利環境などを総合的にチェックし、自分のリスク許容度に合った比率でポートフォリオに組み込むことが重要です。株式や債券、現金とのバランスを意識しながら、REITを「インカム強化のパーツ」として活用していく発想が、堅実な資産形成には有効です。

p-nuts

お金稼ぎの現場で役立つ「投資の地図」を描くブログを運営しているサラリーマン兼業個人投資家の”p-nuts”と申します。株式・FX・暗号資産からデリバティブやオルタナティブ投資まで、複雑な理論をわかりやすく噛み砕き、再現性のある戦略と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ実践できること、そして迷った投資家が次の一歩を踏み出せることを大切にしています。

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