投資初心者は最初に何をすべきか:失敗しないための準備とステップ

投資の基礎

これから投資を始めようとしている人にとって、「何から手をつければいいのか」は最大の疑問です。証券口座を開けばすぐに株や投資信託を買えてしまいますが、順番を間違えると、せっかくの資金を短期間で減らしてしまうリスクがあります。本記事では、投資初心者が最初にやるべきことを、できるだけシンプルなステップに分解して解説します。

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  1. 投資初心者がまず意識すべき「3つの前提」
    1. 前提1:投資は「目的が決まっている貯金」だと考える
    2. 前提2:短期の値動きはほとんどコントロールできない
    3. 前提3:最初の1〜2年は「勉強代」と割り切る
  2. ステップ1:生活防衛資金と負債の整理から始める
    1. 生活防衛資金はいくら必要か
    2. 高金利の借金がある場合は要注意
  3. ステップ2:投資の目的・期限・金額を具体的に決める
    1. 目的はできるだけ具体的に
    2. 毎月いくら投資に回せるかを計算する
  4. ステップ3:自分のリスク許容度をざっくり把握する
    1. 金額ベースで考えるとイメージしやすい
    2. シミュレーションで「最悪ケース」を確認する
  5. ステップ4:商品選びより「投資ルール」を先に決める
    1. 最低限決めておきたい4つのルール
    2. 「一括より分散」「短期より長期」を基本にする
  6. ステップ5:最初の1年は「市場に慣れる期間」と割り切る
    1. 毎日ではなく「週に1回」だけチェックする
    2. 値動きとニュースの関係を確認する
  7. 初心者が避けるべき3つのパターン
    1. パターン1:SNSや口コミだけで商品を選ぶ
    2. パターン2:含み損が出るたびに商品を乗り換える
    3. パターン3:一度の失敗で投資そのものをやめてしまう
  8. 毎月3万円から考える「現実的なポートフォリオ例」
    1. 例:20〜40代・給与所得者・投資期間10年以上を想定
    2. ポートフォリオ構成の考え方
  9. 小さく勝ち癖をつけるためのチェックリスト
    1. チェックリストの例
  10. まとめ:銘柄選びより「土台づくり」が先

投資初心者がまず意識すべき「3つの前提」

最初に、具体的な商品や銘柄を見る前に押さえておきたい前提が3つあります。この前提を理解していないと、どれだけ良さそうな商品を選んでも、運用がブレやすくなってしまいます。

前提1:投資は「目的が決まっている貯金」だと考える

多くの初心者は、投資を「お金を増やすためのギャンブルのようなもの」と誤解しがちです。しかし、実務的には「目的と期限が決まっている貯金」と捉えた方が失敗しにくくなります。

例えば、「10年後の老後資金として300万円をつくりたい」「子どもの大学入学までに500万円を準備したい」といったように、目的と期限を決めたうえで、その達成手段として投資を使うイメージです。この考え方に切り替えるだけで、無駄な売買や短期の値動きに振り回される回数が減ります。

前提2:短期の値動きはほとんどコントロールできない

チャート分析やニュースを熱心に追いかけても、数日〜数週間といった短期の値動きを完全に予測することは困難です。初心者ほど、「今が天井か底か」を当てようとしてしまいますが、これは中長期の資産形成にはあまり意味がありません。

コントロールできるのは、毎月いくら投資するか、どの程度のリスクを取るか、どのタイミングで見直すか、といった自分側のルールです。短期の値動きではなく、コントロールできる要素に集中することが、長く続けるための前提になります。

前提3:最初の1〜2年は「勉強代」と割り切る

投資の世界には、勉強しながらノーミスで勝ち続ける、という都合の良い道はありません。少額であっても、必ず「想定外の動き」や「心理的に耐えられない下落」を経験します。その意味で、最初の1〜2年は「大きな失敗を避けながら、経験を買う期間」と割り切る方が現実的です。

短期間で大きく儲けることを目指すより、「大きく負けずに、投資に慣れる」ことを最優先にする方が、結果的に資産形成のスピードは速くなります。

ステップ1:生活防衛資金と負債の整理から始める

いきなり銘柄選びから入るのではなく、まずは「生活防衛資金」と「負債の整理」を確認するところからスタートします。ここをすっ飛ばすと、ちょっとした下落で投資資金を引き出さざるを得なくなり、損失を確定させてしまう危険があります。

生活防衛資金はいくら必要か

生活防衛資金とは、収入が途絶えたとしても、一定期間は生活を維持できるだけの現金のことです。一般的には「生活費の3〜6か月分」と言われることが多いですが、職種や家族構成によって適切な額は変わります。

例えば、会社員で共働きの場合は3か月分でも現実的かもしれません。一方で、フリーランスや自営業、収入が不安定な人は、6〜12か月分を目安に設定しておくと安心です。この生活防衛資金は、原則として普通預金や定期預金など、価格が変動しない形で確保しておきます。

高金利の借金がある場合は要注意

クレジットカードのリボ払い、消費者金融からの借入など、年率10〜15%を超えるような高金利の負債を抱えている場合、先に返済を優先する選択肢も検討すべきです。理由はシンプルで、投資で安定して10%以上の利回りを出し続けることは難しい一方、借金の利息は確実に出ていくからです。

投資初心者がやりがちな失敗の一つが、「返済と投資を同時にやってしまう」ことです。高金利負債がある状態での投資は、ブレーキとアクセルを同時に踏んでいるようなものなので、できるだけ早い段階で片付ける方が効率的です。

ステップ2:投資の目的・期限・金額を具体的に決める

生活防衛資金と負債の整理が済んだら、「何のために、いつまでに、どれくらいの金額をつくりたいのか」を数値で決めていきます。ここを曖昧にしたままスタートすると、相場が荒れたときに軸がブレやすくなります。

目的はできるだけ具体的に

「なんとなくお金を増やしたい」「老後が不安だから」というレベルの目的だと、運用の方針を決めづらくなります。例えば次のように、目的と対象期間を具体化してみてください。

・60歳までに老後資金として1,000万円
・10年後の子どもの大学入学までに500万円
・5年後の住宅頭金として300万円

目的が具体的になるほど、「この期限までに、このくらいのリスクを取っても良い」という判断がしやすくなります。

毎月いくら投資に回せるかを計算する

次に、「今の家計から毎月いくら投資に回せるのか」を現実的に計算します。理想ではなく、実際にストレスなく続けられる額を選ぶのがポイントです。例えば、手取り25万円の人が毎月10万円を投資に回すと、ちょっとした想定外の出費で積立を止めざるを得なくなります。

最初の目安としては、手取り収入の5〜10%程度からスタートし、家計に余裕が出てきた段階で少しずつ増やしていく方法が現実的です。いきなり最大値を狙うのではなく、「続けられる額」を優先した方が、長期的な成果につながりやすくなります。

ステップ3:自分のリスク許容度をざっくり把握する

投資初心者がつまずきやすいポイントの一つが、「どの程度の値動きまでなら耐えられるか」を自分で把握していないことです。これをリスク許容度と言います。リスク許容度は、人によって大きく異なります。

金額ベースで考えるとイメージしやすい

例えば、「100万円投資したとして、一時的にいくらまでの含み損なら精神的に耐えられるか」を想像してみてください。

・20万円(−20%)の含み損までならギリギリ耐えられる
・10万円(−10%)を超えると眠れなくなる
・30万円(−30%)までなら長期投資だと割り切れる

この感覚は人それぞれで、「正解」はありません。ただし、自分の許容範囲を把握せずに株式だけに全力で投資してしまうと、相場の下落局面でパニックになりやすくなります。

シミュレーションで「最悪ケース」を確認する

過去の相場では、株式市場が1年で20〜30%下落することは珍しくありません。そのため、株式の比率が高いポートフォリオを組む場合、「もし資産が一時的に20%下がったら、いくら減るのか」を数字で確認しておくことが重要です。

例えば、総資産300万円のうち、200万円を株式系に投資している場合、20%の下落で40万円の含み損になります。この金額を見て、「それでも続けられる」と思えるかどうかが、リスク許容度を判断する一つの基準になります。

ステップ4:商品選びより「投資ルール」を先に決める

ここまでで、生活防衛資金、目的・期限・金額、リスク許容度の大枠が固まりました。次のステップでようやく、具体的な商品選びに入っていきますが、その前に「運用ルール」を決めておくことが重要です。

最低限決めておきたい4つのルール

投資初心者であっても、次の4つのルールだけは最初に決めておくと運用が安定します。

1. 毎月いくら投資するか(定額か、ボーナス時に増額するか)
2. どの資産クラスに何%ずつ配分するか(株式、債券、現金など)
3. どのくらいの頻度で見直すか(半年に1回、年1回など)
4. 想定より大きく下落したときにどう対処するか

これらをあらかじめ決めておくことで、相場のニュースやSNSの情報に振り回されにくくなります。また、ルールは一度決めたら永遠に固定ではなく、経験を積む中で少しずつ調整していけば構いません。

「一括より分散」「短期より長期」を基本にする

初心者ほど、「一気に買って早く増やしたい」という心理が働きますが、相場のタイミングを完璧に読むことは困難です。そのため、基本方針としては「一括ではなく時間分散で買う」「短期ではなく長期で育てる」ことを柱にした方がリスクを抑えやすくなります。

具体的には、毎月一定額をコツコツ積み立てる方法が、感情に左右されにくく、継続もしやすいです。値動きが気になる場合は、積立額を一時的に減らすことはあっても、ゼロにするのは避ける、といったルールを作っておくのも一つの手です。

ステップ5:最初の1年は「市場に慣れる期間」と割り切る

ルールを決めて実際に運用を始めたら、最初の1年は「勝ち負けよりも、値動きに慣れる」ことを主な目的にしてみてください。

毎日ではなく「週に1回」だけチェックする

初心者が陥りやすいのは、毎日のように残高を確認してしまい、そのたびに一喜一憂してしまうことです。これは心理的な負担が大きく、長続きしません。最初のうちは、「残高は週に1回だけ見る」「評価額ではなく、保有数量の増え方を見る」といった工夫をすると、感情のブレを抑えやすくなります。

値動きとニュースの関係を確認する

ある銘柄や投資信託が大きく動いた日に、「なぜ動いたのか」をニュースや企業情報で確認する習慣をつけると、相場感覚が身についてきます。ここでは、細かい分析をしようとする必要はなく、「金利のニュースが出ると株価がどう反応するのか」「経済指標が発表されると為替がどう動くのか」といった、大まかな関係性を体感することが目的です。

初心者が避けるべき3つのパターン

次に、投資初心者が特に避けるべき典型的なパターンを整理しておきます。どれも実際によく起きる行動パターンなので、自分が同じことをしていないかチェックしてみてください。

パターン1:SNSや口コミだけで商品を選ぶ

「この銘柄が熱い」「今これを買わないと損」といった情報は、SNSや動画サイトで頻繁に目にします。こうした情報をきっかけに勉強を始めるのは悪くありませんが、そのまま購入するのはリスクが高いです。

情報を見かけたら、自分で商品名を調べ、手数料や過去の値動き、どのような資産に投資しているのかを確認するクセをつけましょう。最初は時間がかかりますが、これが「自分で判断する力」を鍛える近道になります。

パターン2:含み損が出るたびに商品を乗り換える

投資を始めてすぐの頃は、少しマイナスになるだけでも不安になり、「この商品はダメだ」と判断して別の商品に乗り換えてしまいがちです。これを繰り返すと、値上がりする前に売ってしまい、値下がりした直後に買ってしまうという悪循環になります。

特に長期投資を前提とした商品では、一時的な含み損はほぼ避けられません。商品を入れ替える前に、「そもそもの目的や期限は変わっていないか」「短期の値動きだけで判断していないか」を一度立ち止まって確認することが重要です。

パターン3:一度の失敗で投資そのものをやめてしまう

せっかく投資を始めても、最初の数か月で損失が出たことをきっかけに、「自分には向いていない」と感じて運用を止めてしまう人も少なくありません。しかし、多くの場合、「投資が向いていない」のではなく、「最初の設計やリスクの取り方が適切ではなかった」だけです。

運用を一度ゼロに戻すのではなく、投資額を減らしたり、値動きの小さい商品を組み合わせたりして、続けられる形に調整していくことの方が、長期的にはプラスになりやすいです。

毎月3万円から考える「現実的なポートフォリオ例」

ここからは、具体的に毎月3万円を投資に回すケースを例に、現実的な考え方を整理します。これはあくまで一つの例であり、特定の商品を推奨するものではありませんが、「どう考えればよいか」の参考になるはずです。

例:20〜40代・給与所得者・投資期間10年以上を想定

前提条件として、年齢は20〜40代、給与所得が安定しており、生活防衛資金はすでに確保済み、投資期間は10年以上というケースを考えます。この場合、ある程度の値動きには耐えられる前提で、成長性のある資産を中心にポートフォリオを組む選択肢が取れます。

ポートフォリオ構成の考え方

例えば、次のようなイメージで資産配分を考えることができます。

・株式・株式型投資信託:全体の70%前後
・債券・債券型投資信託:20〜30%前後
・現金(投資待機資金):残り

株式部分は、国内外の広く分散された投資信託を軸にし、債券部分は値動きが比較的安定した商品でクッションをつくるイメージです。現金は、将来の買い増しや急な出費に備えた「余裕枠」として持っておきます。

小さく勝ち癖をつけるためのチェックリスト

投資初心者にとって重要なのは、「大きな一発勝ち」ではなく、「小さくても良いので、ルール通りに動いて成果を出した経験」を積むことです。そのためのチェックリストを用意しておきます。

チェックリストの例

・生活防衛資金は確保できているか
・高金利の借金を抱えたまま投資していないか
・投資の目的と期限を説明できるか
・毎月いくら投資するかを決めているか
・一時的な含み損を想定したうえで商品を選んでいるか
・「いつ見直すか」のタイミングを決めているか
・SNSの情報を鵜呑みにして売買していないか

これらに「はい」と答えられる項目が増えていくほど、投資の土台は安定していきます。チェックリストをときどき見直すことで、自分の運用がブレていないかを確認できます。

まとめ:銘柄選びより「土台づくり」が先

投資初心者が何から始めるべきかを整理すると、実は「どの銘柄を買うか」という話は最後の方に出てきます。最初のステップは、生活防衛資金と負債の整理、投資目的と期限の明確化、リスク許容度の把握、そしてシンプルな投資ルールづくりです。

この土台がしっかりしていれば、多少銘柄選びに失敗しても致命傷にはなりにくくなります。逆に、土台がないまま話題の銘柄に飛びついてしまうと、一度の下落で大きく資産を減らし、投資そのものから離脱してしまうリスクが高まります。

最初の1〜2年は、「大きく勝とう」とするより、「大きく負けない仕組みをつくる」ことを最優先にしてください。そのうえで、自分に合ったペースで経験を積んでいけば、投資は必ず心強い味方になってくれます。

p-nuts

お金稼ぎの現場で役立つ「投資の地図」を描くブログを運営しているサラリーマン兼業個人投資家の”p-nuts”と申します。株式・FX・暗号資産からデリバティブやオルタナティブ投資まで、複雑な理論をわかりやすく噛み砕き、再現性のある戦略と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ実践できること、そして迷った投資家が次の一歩を踏み出せることを大切にしています。

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