今回のテーマ(乱数 177)と狙い
今回のテーマは「出来高が急減した後の最初の大陽線」です。価格が動く瞬間に、チャートだけでは見えない“注文の質”が切り替わる局面があります。具体的には、これまで価格を支えていた指値(板の厚み)が主役の相場から、成行(板を食って進む注文)が主役の相場へと“レジーム転換”する瞬間です。
この転換点は、スキャルや超短期デイトレで最もリスクリワードが良くなりやすい一方、見誤ると「ただのノイズ」に巻き込まれて連敗しやすいポイントでもあります。本記事では、初心者でも再現できるように、指値優勢→成行優勢を「定義」し、「確認」し、「入って」「抜ける」までを、具体例と数値基準で落とし込みます。
なぜ「指値→成行」の切替にエッジがあるのか
短期で勝ちやすい局面は、単に上がる・下がるではなく、“相場参加者の行動様式が変わった瞬間”です。指値優勢の局面は、板が厚く、値幅が出にくい代わりに、押し戻しも起きやすい(レンジ的)傾向があります。一方、成行優勢になると、板が薄くても一気に約定が積み上がり、値が飛びやすい(トレンド的)状態になります。
この切替が起きると、直前まで有効だった「押し目待ち」や「板厚に寄せる」戦略が機能しにくくなります。逆に、切替直後は“遅れて気づいた参加者”が追随しやすく、短い時間でも期待値が立ちやすい。つまり、「変化の初動」を取る戦略です。
前提:必要な画面とデータ(最小構成)
本手法は、次の3点が見られれば成立します。
①板(気配値・最良気配・上下の厚み)/②歩み値(約定の連続性、同値連続、サイズ)/③出来高(1分または5分足の出来高)です。VWAPが表示できるなら精度は上がりますが、必須ではありません。
重要なのは、テクニカル指標を増やすことではなく、「成行が増えた」という事実を、複数の観測で裏取りすることです。1つの画面だけだと誤認が増えます。
銘柄選定:この手法に向く銘柄・向かない銘柄
向くのは、①出来高が十分にあり、②板が極端に薄すぎず、③値幅制限や特別気配で不連続になりにくい銘柄です。具体的には、東証の中でも中型以上で、寄り付き直後~前場の出来高が確保されやすい銘柄が無難です。
逆に向かないのは、出来高が細りがちな超小型、板が数枚で飛ぶ銘柄、値幅制限ギリギリで張り付き・剥がれを繰り返す銘柄です。これらは“成行優勢”に見えて、実は単に板が薄いだけ、という誤判定が増えます。
初心者はまず、「約定が途切れない」銘柄で練習してください。ここが最優先です。
シグナル定義:指値優勢と成行優勢をどう見分けるか
「指値優勢→成行優勢の切替」を曖昧にすると、検証も改善もできません。そこで、以下のように観測条件を3層に分けます。A(一次シグナル)→B(裏取り)→C(最終GO)です。
A:一次シグナル(板の変化)
次のどれかが出たら“切替の可能性”を疑います。
・最良気配の厚みが、直前平均より急減(例:買い最良が 2,000株→400株へ)
・最良気配が連続で食われ、値が進む(例:1ティックごとに最良が更新される)
・上(または下)の板が、階段状に薄くなっている(例:3ティック上まで合計が通常の半分)
ここでは「板が薄い」だけでは足りません。“薄くなり方が急”であることが条件です。平常時から薄い銘柄は除外します。
B:裏取り(歩み値=約定の質)
Aが出たら、歩み値で“成行の主導”を確認します。観測例は次の通りです。
・同じ方向に、近い時間間隔で約定が連続(例:0.1~0.3秒間隔で買い約定が続く)
・同サイズが連続(例:200株、200株、200株…)→アルゴの可能性
・最良気配の食いが、約定として可視化されている(板が動くだけでなく、実際に約定が増える)
ここで重要なのは、“板が動いている”のではなく、“約定が積み上がっている”ことです。見せ板や気配操作のノイズを排除します。
C:最終GO(出来高・値動きの整合)
最後に、出来高と値動きが整合しているかを確認します。
・1分出来高が直近平均の1.5~3倍(銘柄により調整)
・値幅がティック数で拡大(例:直前は±2ティック、切替後は±6ティック)
・VWAPがある場合:VWAPからの乖離が拡大している方向に“勢い”がある
A+Bだけで入ると、ノイズで狩られます。Cを入れることで、「成行が増えた結果として値が進んでいる」局面だけを取ります。
エントリー手順:具体的な手順を“秒単位”で固定する
初心者が勝率を上げるコツは、判断を減らすことです。ここでは、買い方向の例で説明します(売りは反転)。
手順1:監視フェーズ(入らない時間を決める)
寄り付き直後や材料直後など、スプレッドが広い時間帯は誤判定が増えます。まず「監視するが入らない」時間を固定します。例えば、寄り後3分は見送り、5分足が1本できた後に狙う、などです。これだけで事故が減ります。
手順2:A→B→Cを“順番通り”に満たすまで待つ
Aで興奮して飛びつくのが典型的な負けパターンです。Aが出たらBを見て、Bが出たらCを見て、Cまで揃ったら初めて注文を出します。順番を崩さないのがルールです。
手順3:エントリーは「戻り」ではなく「再加速」で行う
切替直後は上下に振られます。そこで、いきなり成行で突っ込むのではなく、「一度止まって、再び食いが始まった瞬間」で入ります。具体例:
・上方向:高値更新→1ティック押し→再び最良売りが食われる(歩み値が再連続)
・下方向:安値更新→1ティック戻し→再び最良買いが食われる(売り約定が再連続)
この“再加速”は、エントリーを遅らせる代わりに、損切り幅を小さくできます。短期の勝ち筋は、エントリー精度よりも損失の小ささで決まります。
ロット設計:初心者が破綻しないサイズの決め方
ロットは感覚で決めると必ず破綻します。ここではシンプルに、1トレードの許容損失(円)から逆算します。
例:1回の許容損失=3,000円。損切りを「-3ティック」と決める(ティック=10円の銘柄なら-30円)。この場合、3,000円 ÷ 30円=100株が上限です。これが“先に負けを固定してからロットを決める”考え方です。
切替狙いは値が飛ぶので、損切り幅が広がりがちです。だからこそ、最初に損切りティックを固定して、ロットを落とします。
利確と損切り:ルールを「板で」決める
短期売買では、チャートの利確ラインよりも、板の変化のほうが早く情報を出します。ここでは板を使った利確・損切りの定義を示します。
損切り(必ず自動化に近づける)
次のいずれかで即撤退します。
・再加速が失敗し、直近の押し安値(買いなら)を割る
・歩み値の連続性が途切れ、反対方向の成行が増える
・最良買いの厚みが急増し、上値が止められる(買いの場合は“上に行かない板”が出る)
ポイントは「価格が少し逆行したら」ではなく、“成行優勢が崩れた”で切ることです。値動きだけで切ると、良い局面でも損切りが増えます。
利確(半分利確→残りは伸ばす)
初心者は利確が遅れて勝ちが負けに変わります。そこで、機械的に「半分利確」を入れます。
・第一利確:+3~+5ティックで半分利確(銘柄のボラに合わせる)
・第二利確:成行優勢が続く限り保有し、歩み値の連続が途切れたら全決済
これにより、勝ちトレードが“利益確定で終わる”確率が上がります。伸ばせる局面だけ、残りが伸びます。
具体例:同じ状況を「3パターン」書き分ける
例1:上方向の切替(アルゴ主導の買い)
前場、ある銘柄がレンジで推移。買い最良 1,000株、売り最良 900株で均衡。突然、売り最良が300株に急減し、歩み値に100株・100株・100株の買い約定が0.2秒間隔で連続。1分出来高が直近平均の2.2倍に増加。ここでA(板の急減)→B(同サイズ連続)→C(出来高増)を満たします。
エントリーは高値更新直後ではなく、1ティック押して再び売り最良が食われた瞬間。損切りは押し安値割れ(-3ティック)。第一利確は+4ティックで半分。残りは、歩み値の連続が途切れ、反対方向の約定が混ざり始めたら決済。結果として、平均+3~+6ティックを狙える形になります。
例2:見せ板ノイズ(入らない例)
売り板が急に薄く見え、気配が上に動いた。しかし歩み値の約定は途切れがちで、同じ値段で小さな約定が散発。1分出来高も増えていない。これはAは出てもBとCが不十分です。こういう局面で入ると、板が戻された瞬間に逆行し、損切りが積み上がります。ルール通り“見送る”ことが、長期の損失回避になります。
例3:下方向の切替(売り成行優勢)
買い板に厚みがあるように見えていたが、最良買いが連続で食われ、歩み値に成行売りが連続。出来高が増え、値が下に滑る。ここでもA→B→Cで同様に判断します。売りの場合は、戻りで入るのではなく、1ティック戻して再び買い最良が食われた“再加速”でショート。損切りは直近戻り高値超え。利確は半分先行、残りは売り成行の連続が途切れたら撤退です。
負けパターンを先に潰す:よくある3つの事故
この手法は、正しく運用すれば連敗を減らせますが、事故りやすい罠も決まっています。
(1)切替“っぽい”だけで入る:Aだけで入ると、見せ板・気配操作・薄板に巻き込まれます。必ずBとCまで確認。
(2)利確を欲張って往復ビンタ:第一利確を入れずに伸ばすと、連続約定が止まった瞬間に含み益が消えます。半分利確は保険です。
(3)損切りが遅れて値が飛ぶ:成行優勢は逆方向に飛ぶ時も同じです。押し安値割れなど、板・歩み値の崩れで機械的に切る。
検証方法:再現性を作る「ログの取り方」
勝てるようになる最短ルートは、勘ではなくログです。最低限、次の項目を1トレードごとに残してください。
・エントリー時刻、エントリー理由(A/B/Cを文章で)
・エントリー前後1分の出来高(1分足でも可)
・損切り位置(ティック数)と実際の損益
・利確の根拠(成行連続が止まった、板厚が戻った、など)
特に「Aだけで入った負け」「BはあったがCが弱かった負け」を分類すると、改善ポイントが明確になります。検証は過去チャートだけでは足りません。板と歩み値の記録(スクショでも可)が武器になります。
運用ルールのテンプレ(そのまま使える形)
最後に、運用ルールをテンプレ化します。文章で固定し、毎回これに照らして実行します。
・監視銘柄は3~5に絞る(目を増やすほど誤認が増える)
・寄り後◯分はノートレ(自分の得意時間だけ戦う)
・A(板急変)→B(歩み値連続)→C(出来高増)を全て満たしたらエントリー準備
・エントリーは再加速で行う(高値/安値更新直後に飛びつかない)
・損切りは-◯ティックで固定し、ロットは許容損失から逆算
・+◯ティックで半分利確、残りは成行優勢が崩れたら撤退
・連敗◯回で終了(メンタル要因を排除)
まとめ:短期で勝つ鍵は「値動き」ではなく「注文の質の変化」
「出来高が急減した後の最初の大陽線」は、板と歩み値に現れる“注文の質の変化”を捉える手法です。チャートの形に頼るのではなく、誰が(指値か成行か)主導しているかを観測し、切替直後の期待値を取ります。
勝率を上げる最短の道は、ルールを固定し、ログで改善することです。A→B→Cの順番、再加速エントリー、固定損切り、半分利確。この4点を崩さなければ、初心者でも「大崩れしない短期売買」に近づきます。


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