5分足移動平均線の乖離を使った修正安スキャルピング:戻りの「角度」と板で狙う

株式

スキャルピングは「速く売買する」ことが目的ではありません。目的は、短期の価格が“行き過ぎ”た直後に起きやすい平均回帰(いったん元に戻る)を、小さく・高確度で抜くことです。本記事では、初心者でも再現しやすい材料として5分足の移動平均線(MA)と、その乖離(かいり)=離れ具合を使い、修正安(下げ過ぎの戻り)を狙う実戦手順を、板と歩み値の読み方まで踏み込みます。

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この手法が刺さる局面:どんな「下げ過ぎ」を狙うのか

5分足MA乖離スキャルは、次のような局面で機能しやすいです。

  • 材料の大小に関係なく、短期資金が一気に売り浴びせた直後(寄り直後、後場寄り、指数急落の巻き込まれなど)
  • 下げの途中で売りが枯れ、“投げ”が一巡しやすい薄い瞬間が出る
  • 板がスカスカでも、逆に厚くても、「戻りの余地」が短時間で生まれる

逆に、下げが“本格トレンド”に変わった局面(悪材料で連続安、出来高を伴って安値更新が続く等)では、平均回帰が起きにくく危険です。そこで、まずは「狙ってよい下げ」と「触ってはいけない下げ」を判別する設計が重要になります。

準備:5分足MAは何を使うか(初心者向けの設定)

移動平均線は無数に設定できますが、初心者は増やさない方が勝てます。本記事では次の2本で十分です。

  • 5分足20MA:短期の“平均価格”の中心(体感として一番使いやすい)
  • 5分足60MA:短期トレンドの“地ならし”役(トレンド判定に使う)

なぜこの組み合わせか。20MAはスキャルの「戻り先の目標」になりやすく、60MAは「戻りが単なる反発で終わるか、戻りが伸びるか」の境界になりやすいからです。いきなり複数MAやボリンジャーを重ねると、判断が散らばってルールが壊れます。

乖離を数値化する:%乖離と“何ティック戻るか”の現実

乖離は感覚で見ても良いのですが、初心者ほどブレます。そこで、最低限の数値化をします。

乖離率(%)=(現在値 − 5分足20MA)÷ 5分足20MA × 100

これを使う理由は、株価が500円でも5000円でも同じ基準で「行き過ぎ」を比較できるからです。目安としては次のとおりです(銘柄のボラで調整)。

  • −0.6%~−1.0%:軽い行き過ぎ。戻りは小さめ(スキャル向き)
  • −1.0%~−1.8%:狙い目。売り一巡が出れば戻りが出やすい
  • −1.8%以下:危険領域。投げの後に戻ることもあるが、崩壊相場だと即死しやすい

重要なのは「乖離が大きいほど儲かる」ではなく、乖離が大きいほど“損切り幅も広がる”という現実です。狙うのは“戻りが出る確率”と“損切りが近い形”が両立する地点です。

核となる発想:戻りは「角度」「速度」「板の吸収」で決まる

5分足MAからの乖離だけでは勝てません。勝てる人は、次の3つを同時に見ています。

  • 角度:下げの傾きが急すぎると“売りの勢い”が強く、戻りが出ても弱い
  • 速度:下げが加速した直後は、アルゴの成行が止まると一瞬で反転する
  • 吸収:安値圏で売りが出ても、同値付近で“食われて”価格が割れない

この「吸収」が見えた瞬間が、スキャルの勝負所です。テクニカルは“場所”を示すだけで、エントリーの引き金は板・歩み値にあります。

エントリー手順:初心者でも迷わない4ステップ

ステップ1:銘柄を選ぶ(触っていい銘柄の条件)

同じ乖離でも、銘柄で難易度が激変します。初心者向けの条件はシンプルです。

  • 出来高がある(目安:東証の個別なら寄り後に数十万株以上、板が薄すぎない)
  • 値幅がある(1ティックが細かい銘柄はスキャル向きだが、値動きが鈍いと手数料負け)
  • ストップ安/極端な悪材料ではない(“底なし”を避ける)

ステップ2:「行き過ぎゾーン」を決める(乖離+節目)

乖離率が−1.0%前後以上になり、かつ節目が近いときが候補です。節目は次の優先順位で見ます。

  • 当日安値(更新するか止まるかで心理が変わる)
  • 前日終値(ギャップを埋めに行く流れが出る)
  • ラウンドナンバー(1000円、1500円など)

初心者がよくやる失敗は「乖離があるから買う」。正しくは「乖離+節目で、売りが止まりやすい場所を待つ」です。

ステップ3:板・歩み値で“売り一巡”を確認する(ここが最重要)

確認ポイントは3つだけに絞ります。

  • 安値付近で成行売りが連発しても、同値で吸収されて下に抜けない
  • 買い板の厚みが“自然に”増える(急に巨大板が出てすぐ消えるのは罠もある)
  • 歩み値の売買が「売り→同値→買い」の順に変化する(特に同値が続くのが強い)

ここでのコツは、チャートだけ見ないことです。“割れそうで割れない”時間が数十秒~数分続いたら、戻りの芽が出ます。

ステップ4:エントリー(買い)と利確目標を同時に決める

買い方は2種類。初心者は①から始めると事故が減ります。

①反転確認型:安値圏で一度上に跳ね、押したところで買う(遅いが安全)

②吸収先回り型:割れないのを確認し、同値~1ティック上で買う(速いが難しい)

利確目標は欲張らず、次のどちらかに固定します。

  • 5分足20MA手前(届かなくても利確する。平均回帰の“手前”が一番取りやすい)
  • 直前の小さな戻り高値(板が重いならここで逃げる)

損切り設計:勝ちより先に「死なない」を作る

スキャルで一番大事なのは損切りの置き方です。初心者は「逆行したら切る」という曖昧ルールで破産します。損切りは“価格”で決めます。

  • 基本は当日安値の下に置く(割れたらシナリオ崩壊)
  • 幅が広すぎるなら、そもそも触らない(これが最強のリスク管理)

さらに、ロットは「損切り幅×株数=許容損失額」から逆算します。例えば1回の損失許容が5000円で、損切り幅が5円なら、株数は1000株までです。これを守らないと、どれだけ勝率が高くても一撃で崩れます。

具体例1:寄り直後の下げ過ぎ→20MA手前で逃げる(典型スキャル)

想定シナリオです(数字は例)。

  • 寄り付き:1000円。直後に成行売りで985円まで急落
  • 5分足20MA:995円。乖離率は約−1.0%
  • 985円付近で売りが連発するが、歩み値が同値で止まり始める
  • 板の985円買いが徐々に厚くなり、984円を割れない

ここで、反転確認型なら「987円まで戻ってから986円押しで買い」。損切りは984円割れ。利確は993~994円(20MA手前)です。ポイントは、20MAタッチまで粘らないこと。初心者は「MAに触れたら売る」と決めがちですが、実際は触れる直前で失速しやすく、そこで利確できる人が残ります。

具体例2:指数急落の巻き込まれ→“戻りの速さ”だけ抜く

日経先物が急落した瞬間、大型株も一斉に売られます。このときの戻りは「理由なき売り」が止まっただけなので、戻りも速いが、再下落も速いです。

この局面のコツは、利確をさらに浅くします。

  • 利確は「直前の小戻り高値」までで十分
  • 歩み値が鈍ったら即撤退(“戻りの速度”が落ちたら終了)

指数連動の売りが落ち着くと、板の下側が急に消えてスッと戻る瞬間があります。その瞬間だけを狙い、欲張らず撤退します。ここで伸ばそうとすると、次の先物売りで狩られます。

よくある失敗と対策:初心者が負ける5パターン

この手法で負ける人の典型を、対策とセットで整理します。

  • 乖離だけで飛びつく:吸収確認がない。対策=「割れそうで割れない」を待つ
  • 損切り幅が広いのにロットが大きい:一発退場。対策=許容損失から株数逆算
  • 利確を欲張って20MA超えを狙う:逆流で削られる。対策=手前利確を固定
  • 悪材料の底なしを触る:平均回帰しない。対策=“理由ある下げ”は避ける
  • 同じ銘柄で何度も取り返そうとする:判断が劣化。対策=1銘柄の試行回数を上限化

上達のための練習方法:リアルトレード前にやるべきこと

いきなり資金を入れて学ぶと高い授業料になります。初心者は次の順番が堅いです。

  • まずは過去チャートのリプレイで「乖離→吸収→戻り」を100回見る
  • 次に板・歩み値の記録を取り、「割れない時間」と「戻り幅」をメモする
  • 最後に少額で、利確と損切りだけを機械的に実行する

ここでの狙いは、テクニカル理解ではなく撤退の反射神経です。スキャルは判断の速さより、撤退の速さで差がつきます。

運用ルール:毎日同じ判断をするためのチェックリスト

迷いを減らすため、当日の監視とエントリー前の確認項目を固定します。

  • 5分足20MAからの乖離率が−1.0%前後以上か
  • 当日安値・前日終値・ラウンドナンバーなど節目が近いか
  • 安値付近で売りが出ても割れない“吸収”が見えたか
  • 損切り幅が狭い(または許容損失内にロット調整できる)か
  • 利確目標(20MA手前 or 小戻り高値)が明確か

この5つが揃わないなら見送ります。見送りは機会損失ではなく、負けを避ける行為です。

まとめ:5分足MA乖離スキャルの本質は「場所」ではなく「吸収」

5分足MA乖離は、下げ過ぎの“場所”を教えてくれます。しかし利益になるのは、安値圏で売りが吸収され、価格が割れない瞬間だけです。初心者が勝ちやすい形は、乖離が大きい銘柄ではなく、損切りが近く、戻りが素直な銘柄です。

まずは「乖離率−1.0%前後」「節目」「吸収確認」「手前利確」「価格損切り」を徹底し、少額で同じ型を反復してください。スキャルはセンスより、ルールの固定で成績が決まります。

p-nuts

お金稼ぎの現場で役立つ「投資の地図」を描くブログを運営しているサラリーマン兼業個人投資家の”p-nuts”と申します。株式・FX・暗号資産からデリバティブやオルタナティブ投資まで、複雑な理論をわかりやすく噛み砕き、再現性のある戦略と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ実践できること、そして迷った投資家が次の一歩を踏み出せることを大切にしています。

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