- 結論:指数が崩れているのに上がる銘柄は「買われる理由」がある
- この戦略が機能しやすい相場環境
- 「ディフェンシブ株」とは何か:初心者向けの実務的な定義
- 狙うのは「逆行が始まった最初の30〜90分」
- 事前準備:朝の10分で“候補”を作る
- 当日の監視指標:見るのは3つだけ
- エントリーの型:2つだけ覚える
- 損切りと利確:数字で固定する
- 具体例:朝から崩れる日(シナリオA)
- 具体例:途中で崩れる日(シナリオB)
- ありがちな失敗と回避策
- 検証のやり方:初心者でもできる簡易バックテスト
- 実行チェックリスト:迷わないための当日手順
- まとめ:逆行は“安全”ではなく“需給の歪み”を取る
- ポジションサイズ設計:初心者が最初にやるべき“上限”の決め方
- 注文の出し方:成行を使うなら“条件”を付ける
- 複数銘柄を同時に追わない:最大2銘柄までの理由
- “逆行が本物か”を見抜く追加フィルター
- 持ち越し判断:基本はデイトレ、例外だけ残す
- 勝ちパターンの言語化:トレード日誌は“3行”で十分
結論:指数が崩れているのに上がる銘柄は「買われる理由」がある
相場全体(例:日経平均・TOPIX)が下げている局面で、特定のディフェンシブ株だけが逆行高する場面があります。ここで重要なのは「下げ相場だから全部売る」でも「ディフェンシブなら安全」でもありません。逆行高の初動は、資金が“逃げ先”を探しているサインであり、短期的には需給が一方向に偏りやすい、つまり取りやすい局面です。本記事は、初心者でも再現できるように、監視→エントリー→利確/損切り→持ち越し判断までを、具体的な数値と手順で分解します。
この戦略が機能しやすい相場環境
逆行高はいつでも出ますが、勝率が上がるのは「指数が弱いのにディフェンシブに資金が集まる」局面です。代表例は次の3パターンです。
① 金利・為替・米国要因で指数が弱い日:グロースや景気敏感が売られ、内需/生活必需の相対優位が出やすい日です。
② イベント前後のリスクオフ:重要指標や中央銀行イベント前後は、ポジションを軽くしたい資金が「落ちにくい銘柄」に避難しやすくなります。
③ 需給イベント(リバランス/決算/指数寄与の歪み)と重なる日:指数側の売買が強制的に出る一方、逆行銘柄側には相対的に買いが残り、差が拡大します。
「ディフェンシブ株」とは何か:初心者向けの実務的な定義
教科書的には、景気変動の影響が小さい業種(生活必需品、医薬品、電力・ガス、通信など)と言われます。ただし短期トレードでは、業種分類だけでは不十分です。ここでは、“市場がリスクオフになったときに、相対的に買いが入りやすい構造を持つ銘柄群”をディフェンシブとして扱います。
具体的には、次のような条件を満たす銘柄は「逆行の器」になりやすいです。
・日中の出来高が安定していて板が厚い(スプレッドが極端に広がらない)
・個人だけでなく機関投資家も触る銘柄(急騰急落より“じわ上げ”が多い)
・配当/優待/規制/独占性など、買いの根拠が複数ある
・指数下落日に、過去にも相対強度が上がった履歴がある
狙うのは「逆行が始まった最初の30〜90分」
逆行高を一日中追いかけると、後半は利確や指数反発に巻き込まれて成績が落ちます。取りやすいのは初動です。理由はシンプルで、資金の移動(ローテーション)は最初に一気に起きるからです。
本戦略のコアは次の一文に集約できます。
「指数が下げ加速した直後に、ディフェンシブが高値更新(もしくはVWAP回復)し、出来高が伴った瞬間だけを取る」
事前準備:朝の10分で“候補”を作る
当日いきなり探すと遅れます。前日夜〜当日寄り前に候補リストを作り、寄り後は“監視→反応”に徹します。
ステップ1:候補ユニバースを固定する
初心者は、銘柄数を絞ったほうが勝ちやすいです。例として、以下のように30〜60銘柄程度に絞り込みます。
・生活必需品、医薬品、通信、電力・ガス、鉄道などの内需ディフェンシブ
・時価総額が大きく、出来高がある(“寄り付きが飛ばない”)
・直近1カ月で極端な急騰をしていない(高値波乱は別戦略)
ステップ2:「指数が下げた日に強かった銘柄」を履歴で拾う
ここがオリジナリティの部分です。単に業種で選ぶのではなく、過去の“逆行実績”をスコア化します。方法は難しくありません。
① 過去20営業日で「指数が-1.0%以下の日」を抽出します(TOPIXでも日経でも構いませんが、普段見ている指数に統一します)。
② その日、各銘柄の終値リターンが指数を上回った回数を数えます。
③ 回数が多い銘柄を上位からリスト化します。
この作業を一度やると、“リスクオフになると毎回顔を出す銘柄”が見えてきます。ここがあなたの武器になります。
ステップ3:当日のシナリオを分ける
指数が弱い日でも、下げ方が違います。次の2つに分けるだけで、無駄なエントリーが減ります。
A:寄りから弱い(ギャップダウン、寄り後も下げ継続)→逆行銘柄は寄り直後から強い形になりやすい。
B:寄りは普通だが途中で崩れる(10:00〜11:00や後場寄り)→指数が崩れ始めた瞬間に“ローテーションのスイッチ”が入りやすい。
当日の監視指標:見るのは3つだけ
情報を増やすほど迷います。逆行初動は、次の3つだけ見れば十分です。
① 指数の「下げ加速」
目安として、5分足で安値更新が連続し、下げ幅が拡大している状態です。数字で決めるなら、直近15分で指数が-0.4%以上動いた、などのルール化が有効です(自分の売買時間軸に合わせて調整します)。
② 銘柄の「相対強度」
相対強度とは、“指数に対してどれだけ強いか”です。シンプルな定義で構いません。例えば、(銘柄の当日騰落%)−(指数の当日騰落%)を見ます。指数が-1.0%なのに銘柄が+0.5%なら、相対強度は+1.5%です。これがプラスに広がっていく銘柄を狙います。
③ 出来高の「立ち上がり」
逆行は“気配”だけだと弱いです。買いが本物かを確かめるには出来高です。目安は、5分足出来高が直前5本平均の2倍以上。あなたのリストの銘柄は出来高水準が違うので、倍率で見るのがコツです。
エントリーの型:2つだけ覚える
型1:指数が崩れた直後の「高値更新ブレイク」
条件は次の通りです。
・指数が直近15分で下げ加速(安値更新が続く)
・銘柄の相対強度が+1.0%以上
・5分足出来高が直前平均の2倍以上
・直近の小さな高値(前の5〜15分の高値)を更新した
この瞬間に成行(または指値を少し上に置いて約定優先)で入ります。狙いは「逆行の継続」ではなく、資金の移動が一段進む“最初の噴き”です。
型2:VWAP回復の「押し目確認」
ブレイクが怖い初心者向けの型です。逆行銘柄でも、指数が崩れると一度押します。その押しがVWAP近辺で止まり、再び上を向いた瞬間を取ります。
条件は次の通りです。
・銘柄が寄り後に一度VWAPを割る、またはVWAP付近まで押す
・押し局面で出来高が減る(売りが強くない)
・VWAPを5分足終値で回復、かつ次の足で安値を切らない
ここで買います。損切りの置き場所が明確(VWAP割れ)なので、初心者のメンタルに合います。
損切りと利確:数字で固定する
逆行戦略は、当たれば伸びますが、外れると一瞬で逆流します。だから、損切りを曖昧にすると負けが大きくなります。ここも“文章で具体化”します。
損切り:エントリー根拠が崩れたら即撤退
型1(高値更新ブレイク)の損切りは、次のどちらか早い方です。
・ブレイク前のレンジ内に5分足終値で戻った
・相対強度が+0.3%未満に縮小した(逆行の意味が薄れる)
型2(VWAP回復)の損切りは明確です。
・VWAPを5分足終値で再び割った
初心者は、損切り幅を「円」で決めるより、根拠崩れで切る方が安定します。それでも不安なら、補助ルールとして、エントリー価格から-0.6%で機械的に切るなどの上限を付けます(銘柄の値動きに合わせて調整)。
利確:最初の波を抜く設計にする
利確は“伸ばす”より“取り切る”方が向きます。理由は、指数が反発した瞬間に逆行銘柄の優位性が消えやすいからです。
実用的な利確ルールは2段階です。
① +0.8%〜+1.2%で半分利確(値動きの荒い銘柄なら+1.5%まで許容)
② 残りは、5分足で安値切り下げまたは相対強度のピークアウトで手仕舞い
これで「勝ちを小さくしすぎず、負けを大きくしない」形になります。
具体例:朝から崩れる日(シナリオA)
例として、寄りから指数が弱い日を想定します。あなたのリストから、通信・医薬品・生活必需の大型株が候補に入っている前提です。
9:00〜9:10、指数が寄りから下げ、5分足で安値更新が続きます。多くの銘柄は陰線が連続し、板も薄くなります。このとき、ある通信株だけが寄りから買いが入り、指数が-0.8%の時点で銘柄が+0.3%だとします。相対強度は+1.1%です。
9:15、指数がもう一段下げた瞬間、通信株の5分足出来高が直前平均の2.3倍になり、直近高値を更新しました。ここが型1のエントリーポイントです。成行で入った後、最初の目標は+1%。9:25に到達したら半分利確し、残りは5分足の安値切り下げまで引っ張ります。
もし9:20の時点で更新が失敗し、5分足終値でレンジ内に戻ったら撤退です。ここで粘ると、指数反発のタイミングで一気に押し戻されます。
具体例:途中で崩れる日(シナリオB)
次に、寄りは落ち着いているが、10:30頃から指数が崩れるケースです。こういう日は、最初はディフェンシブも動かず、崩れの瞬間にだけ急に相対強度が立ち上がります。
10:20までは指数は横ばい。あなたは“候補銘柄は触らない”と決めて待ちます。10:30、指数が急に-0.4%動き、5分足で安値更新が続きます。ここで、医薬品株がそれまで横ばいだったのに、出来高を伴ってVWAPを回復し始めたとします。押しが浅く、出来高が減ってから再び増えたなら、型2の出番です。
10:40、5分足終値でVWAP回復、次の足で安値を切らないのを確認して買います。損切りはVWAP割れ終値、利確は+1%で半分、残りは相対強度のピークアウトです。指数がさらに崩れれば伸びますし、指数が反発すれば早めに終わります。いずれにせよ“初動の波だけ”を抜く設計です。
ありがちな失敗と回避策
失敗1:ディフェンシブなら何でも買ってしまう
逆行戦略で一番多い負け方です。業種がディフェンシブでも、当日弱い銘柄は普通に弱いです。必ず相対強度と出来高で“買われている事実”を確認します。
失敗2:指数が止まった後に追いかける
指数の下げが止まると、避難先買いは一巡します。逆行銘柄は「強い」ではなく「相対的に強い」だけなので、指数反発で簡単に利確されます。指数が崩れている最中にだけ仕掛けます。
失敗3:利確を欲張って往復ビンタ
逆行は伸びるときは伸びますが、伸び続ける保証はありません。半分利確を入れるだけで心理が安定し、残りをルールで処理できます。初心者ほど“利確の自動化”が効きます。
検証のやり方:初心者でもできる簡易バックテスト
あなたの戦略は、検証して初めて資産になります。難しいプログラムは不要で、最初は手作業で十分です。
① 過去1〜3カ月で「指数が大きく下げた日」を10日選びます。
② その日のディフェンシブ候補(あなたのリスト)を見て、相対強度が高かった銘柄を3つ記録します。
③ 逆行が立ち上がった時間、出来高の倍率、エントリー位置(高値更新かVWAP回復か)、その後の最大伸び/押しをメモします。
④ “取りやすい形”の共通点を抜き出し、ルールを数値化します。
この作業で、あなた固有の「逆行しやすい銘柄」「逆行が本物になる条件」が見えてきます。
実行チェックリスト:迷わないための当日手順
最後に、当日の流れを文章で固定します。
(1)寄り前に候補リストを30〜60銘柄に絞る。逆行実績の上位を優先する。
(2)寄り後は指数の5分足だけを見て、“下げ加速”が起きた瞬間を待つ。
(3)下げ加速が来たら、候補の中で相対強度+1.0%以上、出来高2倍以上の銘柄だけを残す。
(4)エントリーは型1(高値更新)か型2(VWAP回復)だけ。その他は触らない。
(5)損切りは根拠崩れ(レンジ内回帰、相対強度縮小、VWAP割れ)で即。
(6)利確は+1%前後で半分。残りは5分足の形か相対強度ピークアウトで手仕舞い。
まとめ:逆行は“安全”ではなく“需給の歪み”を取る
ディフェンシブ株が指数下落に逆行した初動は、恐怖で売られる市場から“資金が逃げ込む”ことで発生します。これは安全資産だからというより、需給が短期的に一方向へ傾く現象です。だからこそ、狙うのは初動、確認するのは相対強度と出来高、撤退は根拠崩れで機械的に行います。これを徹底すれば、下げ相場でも「取れる場面だけを取りに行く」実戦的な武器になります。
ポジションサイズ設計:初心者が最初にやるべき“上限”の決め方
短期回転で一番の敵は、1回のミスで資金が大きく減り、次のチャンスで動けなくなることです。逆行初動は魅力的に見える分、サイズを上げたくなりますが、それは最悪のタイミングです。サイズは「当たる自信」ではなく「損切りまでの距離」で決めます。
実務的には、次の計算が一番シンプルです。
(許容損失額)÷(エントリー価格×想定損切り率)=株数(またはロット)
許容損失額は、初心者なら口座資金の0.2〜0.5%程度から始めるのが無難です。例えば資金100万円で0.3%なら3,000円。想定損切り率を0.6%と決めたら、1回のトレードで買える金額は約50万円が上限になります(3,000円÷0.006=50万円)。この上限があるだけで、感情でサイズを膨らませる事故が激減します。
慣れてきたら、逆行実績の高い銘柄(履歴スコア上位)だけ許容損失を少し上げる、といった“段階的な強化”にします。いきなり全銘柄でフルレバはやりません。
注文の出し方:成行を使うなら“条件”を付ける
逆行初動はスピードが命ですが、成行乱発はコスト増になります。ポイントは、成行を「約定優先で勝つべき瞬間」に限定することです。
型1(高値更新)は、更新を逃すと優位性が消えるため、成行(または買い上がり許容の指値)で構いません。ただし、板が薄い銘柄で飛ぶと致命傷です。目安として、最良気配の出来高が普段から厚い銘柄、スプレッドが1ティックに近い銘柄だけに限定します。
型2(VWAP回復)は、確認が目的なので、VWAP付近に指値を置いて待つ余地があります。約定しなければ見送る、という割り切りができます。初心者ほど型2中心の運用にすると、売買回数が減って精度が上がります。
複数銘柄を同時に追わない:最大2銘柄までの理由
逆行局面では、候補が一気に増えます。そこで多銘柄を追うと、判断が遅れ、最も良い形を取り逃がします。現実的には、同時に見るのは最大2銘柄までが限界です。
選び方は単純で、相対強度が最も高い銘柄と、出来高の立ち上がりが最もきれいな銘柄の2つに絞ります。似た形が並んだら、板が厚い方、値動きが素直な方を優先します。迷った時点で、あなたのルールがまだ固まっていないサインです。
“逆行が本物か”を見抜く追加フィルター
さらに精度を上げたい場合、次のフィルターが効きます。どれも難しい指標ではありません。
フィルターA:セクター同時性。単独銘柄だけが逆行しているのか、同業種がまとめて強いのかを見ます。同業種も強いなら資金ローテの可能性が高く、継続しやすいです。単独だけ強い場合は、個別材料か、たまたまの板の歪みの可能性が上がるため、利確を早めます。
フィルターB:前日高値・前日終値の位置。逆行銘柄が前日終値を明確に上回り、前日高値に近づいているなら買いの意思が強いです。逆に、指数が崩れているのに前日終値を越えられないなら、逆行のエンジンが弱い可能性があります。
フィルターC:押しの浅さ。指数が急落しているのに、逆行銘柄の押しが浅い(下ヒゲが多い、安値を切らない)なら、売り圧を吸収している可能性が高いです。これは型2の勝率を上げるサインになります。
持ち越し判断:基本はデイトレ、例外だけ残す
逆行戦略は本質的にデイトレ向きです。理由は、逆行の優位性が「当日のリスクオフ」という文脈に依存するからです。翌日に文脈が変われば、優位性も消えます。
それでも持ち越す例外は、次の条件を同時に満たす場合です。
・引けにかけて相対強度が落ちていない(むしろ広がっている)
・出来高が引けに向けて再び増加している(引け買いが入っている)
・日足で明確な節目(前日高値、直近高値、25日線など)を終値で上回って引けた
このときだけ、ポジションの一部(例:2〜3割)を残し、翌日の寄りでギャップと気配を見て処理します。例外運用をやるなら、翌朝に必ず手仕舞う前提で、欲張って中期にしないことが重要です。
勝ちパターンの言語化:トレード日誌は“3行”で十分
上達が早い人は、トレード日誌が具体的です。ただし長文は続きません。1回のトレードにつき、次の3行だけ書いてください。
(1)指数の状況:下げ加速のタイミング(例:10:30〜10:45で-0.5%)
(2)エントリー根拠:相対強度、出来高倍率、型1/型2のどちらか
(3)手仕舞い理由:根拠崩れか、利確条件到達か
これを20回分溜めると、“あなたが勝つ形/負ける形”が目に見えて分かります。そこから数値を微調整します。検証は、派手な理論より、この反復が効きます。


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