引けピン出来高ピークを使った翌日ギャップアップ狙いの短期戦略

株式

「引けピン」とは、大引け(引け前の売買が最終的に約定して価格が確定する瞬間)で、その日の高値・安値・節目価格付近に“ピン留め”されたように株価が収束して引ける現象です。これ自体は偶然でも起きますが、引け間際に出来高がその日最大まで膨らみ、かつ終値が狭いレンジに収束して引けた場合、翌日に需給の余熱が残り、寄り付きでギャップアップ(GU)しやすいケースがあります。

本記事は、この「引けピン+出来高ピーク」を“翌日GUを取りに行く短期戦略”として、初心者でも再現できる形に落とし込みます。ポイントは、誰がどんな意図で引けに集中的に売買したのかを板・歩み値・出来高推移から推定し、翌日の「寄りで伸びる条件」と「寄り天で終わる条件」を事前に分けることです。単なる経験則ではなく、検証可能なルールにします。

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  1. 1. なぜ「引けピン出来高ピーク」で翌日GUが起きるのか(需給の構造)
    1. パターンA:大口の「仕込み完了」
    2. パターンB:ショートの買い戻し(ショートカバー)
    3. パターンC:指数・リバランス・引けクロス由来の需給
  2. 2. 戦略の全体像(前日引けで持ち越し→翌日寄りで判断)
  3. 3. エントリー条件(前日引けまでに満たすべきチェック)
    1. (1)出来高ピークの定義
    2. (2)引けピン(価格収束)の定義
    3. (3)トレンドの“土台”
    4. (4)板・歩み値で“人の手”を確認する
  4. 4. 具体例(数字でイメージする)
    1. 例1:翌日GUが伸びたケース(仕込み完了型)
    2. 例2:翌日GUしたが寄り天だったケース(ショートカバー型)
  5. 5. 翌日の売買ルール(寄りの判断を機械化する)
    1. (1)寄り前の気配チェック
    2. (2)寄り後5分の“合否判定”
    3. (3)利確・損切りの基準
  6. 6. 失敗パターンと回避策(ここで負ける人が多い)
    1. (1)引け出来高ピーク=材料出尽くし
    2. (2)引けで“吊り上げ”て翌日売り抜け
    3. (3)地合い悪化のギャップダウン
  7. 7. スクリーニング手順(初心者でも毎日回せる)
    1. (1)引け15分前:候補を一次抽出
    2. (2)引け10分前〜引け:出来高と収束を監視
    3. (3)引け直後:ルールで最終合格だけ残す
  8. 8. 検証(バックテスト)で“自分の相場”に合わせる
  9. 9. まとめ:勝つための本質は“引けで買った理由”を見抜くこと

1. なぜ「引けピン出来高ピーク」で翌日GUが起きるのか(需給の構造)

引けの売買は、日中の連続取引とは異なり、注文がまとめてぶつかって価格が決まるため、最後の数分に“価格を動かしたい・動かしたくない”意図が混在します。出来高ピークが出る場面は、ざっくり次の3パターンに分かれます。

パターンA:大口の「仕込み完了」

上げたい側が、日中に集めた在庫(買い)を最後にもう一段積み上げ、終値も高めに寄せて引けます。翌日は寄り付きから買い気配が強く、GUしやすい。特徴は、引けに向けてジワ上げ→最後に出来高最大→終値が当日高値圏になりやすい点です。

パターンB:ショートの買い戻し(ショートカバー)

空売り勢が含み損になり、引けで強制的に買い戻して終わるケースです。翌日は“燃料”が残っているとGUする一方、買い戻しが一巡していると翌日は伸びません。特徴は、引け直前に急騰するが、歩み値が成行買い連続で板が薄く、日中トレンドは弱いことが多いです。

パターンC:指数・リバランス・引けクロス由来の需給

TOPIXやETF、ファンドのリバランス、あるいは引けクロス的な大口約定が出ると、引けに巨大な出来高が立ちます。ただしこれは「翌日の継続性」がまちまち。価格を上へ持ち上げる意図が薄いため、翌日は寄りでギャップは出ても持続しにくい場合があります。見分けるには、引けの価格が“狙い撃ち”されたように特定水準でピタッと止まるか、ただの大量約定で終値が偶然そこになったかを観察します。

2. 戦略の全体像(前日引けで持ち越し→翌日寄りで判断)

基本の流れはシンプルです。

(前日)引け前に候補を絞る → 引けで出来高ピーク&終値条件を満たした銘柄だけ少量で持ち越す → (翌日)寄り付きの気配・板・最初の5分で「伸びる型」なら利確、「怪しい型」なら即撤退

ポイントは「持ち越し前にルールで落とす」「翌日の寄りで躊躇なく切る」の2点です。持ち越し戦略は“夜間リスク”があるので、当たると大きいが、外すと痛い。だからこそ、入口を狭くして、出口は機械的にします。

3. エントリー条件(前日引けまでに満たすべきチェック)

ここが戦略の心臓です。条件は多く見えますが、目的は「翌日も買われるタイプの引け出来高ピーク」だけを残すことです。

(1)出来高ピークの定義

「引けピン出来高ピーク」を定義します。以下は実務的に使える基準です。

  • 引けの最後5分(または最後10分)の出来高が、その日で最大の5分出来高(または10分出来高)になっている
  • かつ、最後5分の出来高が直前の5分×3本平均の2倍以上(急増を客観化)

単に“引けに増えた”では弱いです。その日最大まで伸びたことが重要です。日中にもっと大きい山があるなら、引けは単なる整理の可能性が上がります。

(2)引けピン(価格収束)の定義

「引けピン」は主観になりがちなので、数値で縛ります。

  • 最後5分足の実体が小さい:高値−安値が当日ATR(簡易で可)の20%以下、または当日値幅の10%以下
  • 終値が“節目”に近い:ラウンドナンバー(例:1,000円、2,000円)・前日高値/安値・VWAP・当日高値/安値のいずれかから0.3%以内

「節目に吸い寄せられて引けた」状態は、翌朝もその節目が意識されやすい。逆に、引けで乱高下して終値がどこでもない位置なら、翌日の方向性は弱くなりやすいです。

(3)トレンドの“土台”

引けだけ強くても、土台が弱いと翌日は続きません。初心者でも見やすい土台条件を入れます。

  • 前日比プラス(目安:+2%〜+8%程度)で終える。大幅高(+15%超)だと翌日は利確が出やすい
  • 終値がVWAP以上、できれば当日VWAP乖離が+0.5%〜+2.5%の範囲(伸び過ぎは危険)
  • 日中の安値から終値までの戻りが強い(終値が当日レンジ上位30%)

狙うのは「引けで一発だけ跳ねた銘柄」ではなく、日中の買いの流れの上に“引けの追い込み”が乗った銘柄です。

(4)板・歩み値で“人の手”を確認する

ここがオリジナリティ部分です。チャートだけでなく、板と歩み値で「引けに誰かが本気で買った」痕跡を探します。

  • 引け前に買い板が段階的に厚くなる(同一価格帯で買い数量が増える)
  • 歩み値で同サイズの買いが連続する(例:5,000株が10回など)。アルゴや分割発注の可能性
  • 引け直前に売り板が“逃げる”ように薄くなり、価格が下がらない(売り圧が引けで吸収された)

逆に、引けで出来高は出たが、歩み値はバラバラで、板は薄いまま上下に飛ぶなら、単なる投げと拾いの衝突であり、翌日の継続性は低いです。

4. 具体例(数字でイメージする)

架空例で、条件の意味を具体化します。

例1:翌日GUが伸びたケース(仕込み完了型)

銘柄A:前日終値1,000円 → 当日終値1,060円(+6%)。日中は1,020〜1,065円のレンジでジワ上げ。VWAPは1,045円。引け最後5分で1,058〜1,061円の狭い値幅に収束し、出来高はその日最大の5分出来高。歩み値は2,000株の買いが連続し、売り板が薄くなっても価格が崩れない。

この場合、翌日は寄り前気配が1,080円(GU)で寄り付き、最初の5分で1,085円まで伸び、押し目でもVWAPを割らずに推移しやすい。戦略としては、寄り付き直後の強さを確認して、5分足の押し目かVWAPタッチで一部利確、残りを当日高値更新まで伸ばすイメージです。

例2:翌日GUしたが寄り天だったケース(ショートカバー型)

銘柄B:前日終値800円 → 当日終値832円(+4%)。日中は弱く、後場にかけて下げ基調だったが、引け直前に一気に832円まで跳ねて出来高ピーク。歩み値は成行買い連続で板が薄く、上は軽いが下も支えが薄い。終値は当日レンジ中央付近。

このケースは翌日もGUしやすい一方、寄りの買いが一巡すると支えがなく落ちやすい。寄りで伸びなければ即撤退が正解です。「寄った瞬間だけ強い」を取りに行くなら、寄り後1〜3分で伸びなければ損切りするルールが必要です。

5. 翌日の売買ルール(寄りの判断を機械化する)

持ち越し戦略で一番大切なのは翌日の出口です。前日どれだけ条件が良くても、翌日がダメなら切る。ここを曖昧にすると、ただの祈りになります。

(1)寄り前の気配チェック

寄り前に見るのは「GUしているか」だけではありません。

  • 気配が上でも、買い気配の更新が止まっている(気配が上がらない)なら弱い
  • 売り気配が厚く、上に行くほど売り数量が増えるなら寄り天リスク
  • 前日引け値より上で寄るとして、上昇率が過大(+8%超など)なら利確優勢になりやすい

理想は「程よいGU(+1%〜+5%)」です。大きくGUし過ぎると、寄りで利確がぶつかって伸びにくくなります。

(2)寄り後5分の“合否判定”

初心者向けに、寄り後5分で合否を出すルールを作ります。

  • 合格(ホールド/買い増し検討):寄り後5分で当日高値を更新、または押してもVWAPを割らず出来高が維持
  • 不合格(撤退):寄り後5分で高値更新できず、出来高が急減し、5分足が上ヒゲ陰線や大陰線で確定

特に「出来高が急減」は重要です。前日引けで出来高ピークが立ったのに、翌朝の最初の5分で出来高が乗らないのは、“継続買いがない”サインです。迷わず撤退します。

(3)利確・損切りの基準

短期戦略は“損小利大”より“損小・勝率”寄りで設計した方が安定します。

  • 損切り:寄り値から−1%〜−2%(ボラで調整)。または寄り後5分の安値割れで即カット
  • 利確:寄り値から+2%〜+5%で分割利確。残りは当日高値更新トレイル(5分足安値割れで手仕舞い)

「翌日GU狙い」は、寄りで“ギャップ分”がすでに利益になっています。欲張って引っ張り過ぎると寄り天で吐き出しやすい。最初の利確は速く、伸びる銘柄だけ残すのが合理的です。

6. 失敗パターンと回避策(ここで負ける人が多い)

(1)引け出来高ピーク=材料出尽くし

引けの出来高が最大になったのは「買いの最終局面」で、翌日は燃料切れになることがあります。回避策は、前日からのストーリー確認です。上げの起点が何か(材料、需給、地合い)を最低限把握し、同じ材料で翌日も買われる余地があるかを見る。

(2)引けで“吊り上げ”て翌日売り抜け

小型株では、引けで価格を上に寄せて翌朝の寄りで売り抜ける動きもあります。回避策は、翌朝の寄り前気配で「売りが厚い」「買い気配が更新されない」などの弱さを感じたら、寄りで即逃げることです。持ち越しを正当化しない。

(3)地合い悪化のギャップダウン

夜間に先物急落や悪材料が出ると、どれだけ前日条件が良くてもGDします。これは避けられません。だからこそ、ポジションサイズを小さくする持ち越し銘柄を分散し過ぎない指数の夜間変動に敏感になる(日経先物・米株先物・為替)などの“事故対策”が必要です。

7. スクリーニング手順(初心者でも毎日回せる)

最後に、実際の作業手順を“毎日のルーティン”に落とします。

(1)引け15分前:候補を一次抽出

以下を満たす銘柄を監視リストに入れます。

  • 前日比+2%〜+8%程度で推移(極端な上げは除外)
  • 後場にかけて下げ渋り、終値がレンジ上位に近い
  • 板が極端に薄すぎない(翌朝のスリッページ事故を減らす)

(2)引け10分前〜引け:出来高と収束を監視

チャートは1分足または5分足、出来高はバーで見ます。最後の5分が膨らみ始めたら、歩み値で同サイズ連続・板の厚みの変化を確認。引け直前の乱高下ではなく、「大きな出来高なのに価格が崩れない」状態が理想です。

(3)引け直後:ルールで最終合格だけ残す

引けた後に、次を満たした銘柄だけを持ち越し候補にします。

  • 最後5分出来高がその日最大、かつ直前平均の2倍以上
  • 終値が節目から0.3%以内(VWAP/ラウンド/前日高値など)
  • 終値がレンジ上位30%で、VWAP以上

これを満たさない銘柄は、どれだけ雰囲気が良くても切り捨てます。戦略の再現性は「捨てる勇気」で決まります。

8. 検証(バックテスト)で“自分の相場”に合わせる

最後に、最低限の検証観点です。難しい統計は不要で、まずは記録から始めます。

  • 対象:東証の流動性がある銘柄(出来高・約定代金で下限を設定)
  • 条件:上記の「引け出来高ピーク」「引けピン」「土台」条件を満たした日
  • 評価:翌日の寄り値−前日終値(GU率)、寄り後5分の高値・安値、寄り天率
  • 分解:地合い(指数の前日・夜間)、材料有無、時価総額、ボラで層別

記録を30〜100サンプル集めると、「自分が触る銘柄帯」での勝ち筋が見えます。例えば小型株はGUは出やすいが寄り天も多い、など。そこで利確幅や損切り幅、合否判定の条件(VWAP割れで即撤退など)を調整します。

9. まとめ:勝つための本質は“引けで買った理由”を見抜くこと

引けピン出来高ピークは、翌日GUの“候補サイン”として強力です。ただし万能ではありません。勝率を上げるコツは、引けで出来高が最大になった「理由」を板・歩み値・価格位置で推定し、翌日の寄りで機械的に選別することです。前日の条件で入口を狭くし、翌日の寄りで出口を速くする。このセットが揃ったとき、持ち越し戦略は安定し始めます。

明日から実践するなら、まずは「引け15分前に候補抽出 → 引け直後に条件で合格だけメモ → 翌朝寄りの結果を記録」を10日続けてください。相場観ではなく、データで精度が上がります。

p-nuts

お金稼ぎの現場で役立つ「投資の地図」を描くブログを運営しているサラリーマン兼業個人投資家の”p-nuts”と申します。株式・FX・暗号資産からデリバティブやオルタナティブ投資まで、複雑な理論をわかりやすく噛み砕き、再現性のある戦略と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ実践できること、そして迷った投資家が次の一歩を踏み出せることを大切にしています。

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