暗号資産と株式相関の変化:分散効果が消える局面を読む

暗号資産

暗号資産(とくにビットコイン)と株式の相関は、昔から「高い/低い」と決めつけられがちですが、実態は“局面ごとに変わる”のが普通です。相関が低い時期は分散投資の味方になりますが、相関が急に上がる局面では「分散しているつもりが、同時に下がる」事故が起きます。

本記事では、相関が変化するメカニズムを初心者にも分かる言葉で整理しつつ、個人投資家が実際に取れる手順(観測指標・判断ルール・配分例・撤退ライン)まで落とし込みます。ポイントは“暗号資産=永久に株式と別物”という発想を捨て、相関が上がる条件を先に理解しておくことです。

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  1. 相関とは何か:初心者がまず誤解しやすいポイント
  2. なぜ暗号資産と株式の相関は変わるのか:3つのエンジン
    1. 1) 流動性(お金の量)エンジン:金融環境が同じ方向に圧力をかける
    2. 2) 参加者(誰が売買しているか)エンジン:機関化すると株式に寄る
    3. 3) レバレッジ(強制売り)エンジン:下げ局面で“相関が跳ねる”
  3. 相関レジームの3分類:あなたのポジションは今どこにいるか
    1. レジームA:低相関(暗号資産が独自材料で動く)
    2. レジームB:中相関(リスク資産として連動)
    3. レジームC:高相関(ストレス局面で同時に崩れる)
  4. 相関が上がりやすい“前兆”チェックリスト(個人用)
    1. 前兆1:米金利・実質金利が上向きで、株式のバリュエーションが圧縮される
    2. 前兆2:株式市場のボラティリティ上昇(不安が増え始める)
    3. 前兆3:暗号資産のレバレッジが積み上がる(清算リスクが増える)
    4. 前兆4:ドル高(またはドル資金の逼迫)が進む
  5. “分散が効かない”局面に備えるポートフォリオ設計
    1. 基本ルール:暗号資産は“最大損失”から逆算して配分する
    2. 分散の本命は「現金・短期債・質の高い債券」で作る
  6. 相関に応じて配分を動かす:初心者でも運用できる簡単ルール
    1. ルール1:月1回、株式とビットコインの“同時下落”の回数を数える
    2. ルール2:株式が大きく崩れた週は、暗号資産もリスク資産として扱う
    3. ルール3:暗号資産を買うのは“相関が落ちた後”に限定する
  7. 具体例:100万円で始める“相関変化対応”の設計(イメージ)
  8. よくある失敗と回避策
    1. 失敗1:「暗号資産は株式と逆相関」と決めつける
    2. 失敗2:レバレッジ取引で“相関ジャンプ”に巻き込まれる
    3. 失敗3:ニュースで動き、ルールがなくなる
  9. まとめ:暗号資産は“分散”ではなく“レジーム対応”で勝負する

相関とは何か:初心者がまず誤解しやすいポイント

相関は「同じ方向に動きやすい度合い」です。+1に近いほど同方向、-1に近いほど逆方向、0に近いほど無関係に近い動きをします。ただし、相関は“ある期間の平均値”なので、短期で急変します。ここが落とし穴です。

例えば、過去1年の相関が低くても、暴落週だけ切り取れば相関は高くなることがあります。さらに、相関は「価格」だけを見ているため、同時に下がった理由(強制ロスカット、資金引き上げ、金利ショックなど)を説明しません。相関は便利な“結果指標”ですが、“原因指標”ではありません。

なぜ暗号資産と株式の相関は変わるのか:3つのエンジン

1) 流動性(お金の量)エンジン:金融環境が同じ方向に圧力をかける

相関が上がりやすい最大要因は、流動性です。市場にお金が余っているときは「リスク資産」がまとめて買われやすく、株も暗号資産も上がりやすい。逆に金融引き締め・実質金利上昇・信用収縮では、株と暗号資産が一緒に売られやすくなります。

初心者向けに言い換えると、「投資家が“現金が足りない”状態」になると、換金しやすいものから売られます。暗号資産は24時間で売れて、ボラティリティも高く、証拠金取引が多いので、資金繰りが悪化した局面で売り圧が強まりやすい。その結果、株式と同じ方向に動きやすくなります。

2) 参加者(誰が売買しているか)エンジン:機関化すると株式に寄る

暗号資産の初期は、株式市場と別の参加者(個人中心・コミュニティ中心)が多く、相関が低いことがありました。しかし、機関投資家・ヘッジファンド・上場企業などが参入すると、売買の“理由”が株式と似てきます。

たとえば「リスクオン/オフ」「金利ショック」「株式の損失を埋めるための換金」といった行動は市場横断で起きます。株式で損した機関が暗号資産を売ってキャッシュを作る、という動きが強まるほど、同時下落が増え、相関が上がります。

3) レバレッジ(強制売り)エンジン:下げ局面で“相関が跳ねる”

暗号資産は先物・無期限先物・証拠金取引が一般的で、清算(ロスカット)が連鎖しやすい構造です。株式が急落するとリスク管理上のマージン(証拠金)要求が増え、同時に暗号資産側のポジションも縮小されます。すると暗号資産が追加で売られ、株式と同じ方向の動きが強まります。

ここで重要なのは、「普段は相関が低い」ことが安全を保証しない点です。ストレス局面ほど、レバレッジ解消が同時に起き、相関が上がります。分散が効くと思っていたポートフォリオが“同時に崩れる”のはこのためです。

相関レジームの3分類:あなたのポジションは今どこにいるか

相関の局面を、実務的に3つに分けます。厳密な統計モデルを使わなくても、この3分類だけで意思決定はかなり改善します。

レジームA:低相関(暗号資産が独自材料で動く)

オンチェーン要因、規制の個別ニュース、半減期期待、特定チェーンの技術イベントなど、暗号資産特有の材料が強い局面です。このときは株式と別の動きをしやすく、分散効果が期待できます。ただしボラティリティは高いので、配分を増やして良いという意味ではありません。

レジームB:中相関(リスク資産として連動)

金融環境が主役になり、株式のグロース株(特にナスダック)と似た動きをしやすい局面です。暗号資産の“成長期待”が買われ、金利・流動性に敏感になります。初心者が最も長く遭遇するのはこのレジームです。

レジームC:高相関(ストレス局面で同時に崩れる)

急落・信用不安・流動性枯渇の局面です。レバレッジ解消、換金売り、マージン要求が重なり、株式も暗号資産も同方向に大きく動きます。この局面では「暗号資産は分散になる」という前提が崩れます。ここで致命傷を負わない設計が必要です。

相関が上がりやすい“前兆”チェックリスト(個人用)

ここからが実務(=実際に使える手順)です。難しい指標を増やすより、観測を習慣化し、行動ルールを固定する方が成果が出ます。以下は、相関が上がりやすい局面を早めに察知するためのチェック項目です。

前兆1:米金利・実質金利が上向きで、株式のバリュエーションが圧縮される

金利上昇は、将来の利益を割り引く力が強まり、グロース株に逆風です。暗号資産も同様に“将来期待”で買われやすいので、金利ショックに反応しやすくなります。初心者は「暗号資産は金と同じ」と誤認しがちですが、短中期ではリスク資産として反応する場面が多い点を前提に置くべきです。

前兆2:株式市場のボラティリティ上昇(不安が増え始める)

急落の前に、株式のボラティリティ(値動き)がじわじわ増えます。ニュースの悪材料が連続し、指数が上がらないのに日々の上下が大きい状態です。この局面は“リスク削減”が進みやすく、暗号資産の買いが弱くなります。相関が高まる準備段階と考えます。

前兆3:暗号資産のレバレッジが積み上がる(清算リスクが増える)

無期限先物の建玉が増える、資金調達率(ファンディング)が偏る、短期で過熱した上昇が続く、といった状況は「少しの下げで清算が連鎖する」状態になりがちです。株式が小さく崩れただけでも暗号資産側の清算が発火し、結果として同時下落が起きます。

前兆4:ドル高(またはドル資金の逼迫)が進む

ドルが強い局面は、世界のリスク資産に逆風になりやすいです。暗号資産も例外ではなく、ドル建てで売買される以上、ドル資金が高くなる(借りにくくなる)と投機は縮みます。ドル高=必ず下落ではありませんが、相関が上がる条件が整いやすい点は押さえておくべきです。

“分散が効かない”局面に備えるポートフォリオ設計

ここでは、暗号資産を入れるなら必須の設計を提示します。結論はシンプルで、暗号資産を「株式の上乗せリスク」として扱い、ストレス局面でも破綻しないサイズに落とすことです。

基本ルール:暗号資産は“最大損失”から逆算して配分する

初心者がやりがちなのは、「期待リターンから配分を決める」ことです。暗号資産は上下が大きいので、期待リターンで考えると配分が過大になりやすい。代わりに最大損失(ドローダウン)から逆算します。

例として、あなたの総資産を1000万円とします。暗号資産は急落時に-50%を普通に起こし得ると仮定します。このとき、暗号資産に200万円(20%)を入れていたら、暗号資産だけで-100万円です。株式も同時に下がると、全体損失は一気に拡大します。

逆に「暗号資産要因で許容できる損失は総資産の-5%まで」と決めるなら、-50%を想定して配分は10%が上限になります。さらに、株式と同時に崩れるレジームCを想定するなら、上限を5%程度まで下げる方が保守的です。ここは性格ではなく“生存”の問題です。

分散の本命は「現金・短期債・質の高い債券」で作る

初心者向けに断言します。暗号資産で分散を作ろうとすると、最悪の局面で同時に崩れます。分散の土台は、現金や短期債(価格変動が小さい資産)で作ります。暗号資産は“リスク・スパイス”であり、土台ではありません。

この認識に切り替えるだけで、相関が上がったときの損失は大幅に抑えられます。暗号資産を入れるなら、まず守りの枠(現金・短期債)を確保し、その上で小さく載せるのが合理的です。

相関に応じて配分を動かす:初心者でも運用できる簡単ルール

「相関が上がったら下げる」と言うだけでは実行できません。個人が実行できるように、ルールを3段階にします。毎日判断しない。月1回か、週1回だけチェックして機械的に動かします。

ルール1:月1回、株式とビットコインの“同時下落”の回数を数える

統計ソフトは不要です。直近20営業日(約1か月)で「株式指数が下げた日」と「ビットコインが下げた日」が同日に重なった回数を数えます。重なりが増えるほど、相関レジームはB→Cに近づいている可能性が高いと判断します。

目安として、重なりが10回を超える(半分以上)なら“連動が強い”とみなし、暗号資産の比率を半分に落とす。15回を超えるなら一段強い警戒として、さらに半分に落とす。こういう単純ルールでも、暴落の巻き込みを減らす効果があります。

ルール2:株式が大きく崩れた週は、暗号資産もリスク資産として扱う

株式が週次で大きく下げた(例:指数が数%以上下落)場合、暗号資産は“独自要因”よりも“資金繰り要因”で売られやすくなります。この週は「暗号資産を増やして押し目買い」という発想が危険になります。やるなら、買い下がりではなく、サイズを落としてから段階的に戻す方が安全です。

ルール3:暗号資産を買うのは“相関が落ちた後”に限定する

初心者が勝ちやすいのは、上昇トレンドの追いかけではなく、相関が落ちて市場が落ち着いた後に“少しずつ戻す”やり方です。具体的には、同時下落の重なり回数が目に見えて減り、値動きが落ち着いた段階で、月2回などルールを決めて分割購入します。

具体例:100万円で始める“相関変化対応”の設計(イメージ)

ここではイメージとして、投資に回せる資金が100万円のケースを考えます。目的は「暗号資産で一発逆転」ではなく、学びながら生き残り、相関が跳ねる局面でも致命傷を避けることです。

例:現金(または短期債相当)60万円、株式インデックス35万円、暗号資産5万円。暗号資産は5%に固定します。相関が低い局面で増やしたくなるかもしれませんが、初心者の段階では“固定”が強い。相関が上がる局面でダメージを受けにくいからです。

次に、月1回のチェックで同時下落の重なりが増えてきたら、暗号資産5万円を2.5万円に落とし、差分は現金に戻します。相関が落ち着いたら元の5万円に戻す。これだけでも、暗号資産の“巻き込み損”を軽減できます。

よくある失敗と回避策

失敗1:「暗号資産は株式と逆相関」と決めつける

逆相関になる局面はありますが、常態ではありません。とくにストレス局面では同方向に動くことが多い。分散効果を期待するなら、「逆相関」ではなく「相関が変わる」を前提に置く必要があります。

失敗2:レバレッジ取引で“相関ジャンプ”に巻き込まれる

相関が跳ねる局面は、たいてい値動きも荒く、ロスカットが起きやすい。初心者がレバレッジをかけると、方向性が合っていても一時的な急落で退場します。現物中心にし、サイズで調整する方が合理的です。

失敗3:ニュースで動き、ルールがなくなる

暗号資産はニュースが多く、心が揺れます。しかし相関が上がる局面は、ニュースというより資金繰り・流動性で決まることが多い。だからこそ、前兆チェックと配分ルールを先に決め、ニュースに反応しすぎないことが重要です。

まとめ:暗号資産は“分散”ではなく“レジーム対応”で勝負する

暗号資産と株式の相関は固定ではなく、金融環境・参加者・レバレッジで変わります。分散が効く時期もありますが、最悪の局面では一緒に崩れます。だから、暗号資産を入れるなら「最大損失から配分を逆算」「守りの土台は現金・短期債」「相関が上がる前兆でサイズを落とす」という設計が必須です。

相関が上がる局面で生き残れれば、その後の回復局面で再びリスクを取れます。勝ち残る投資は、当たりを引くことより“退場しない構造”を作ることから始まります。

p-nuts

お金稼ぎの現場で役立つ「投資の地図」を描くブログを運営しているサラリーマン兼業個人投資家の”p-nuts”と申します。株式・FX・暗号資産からデリバティブやオルタナティブ投資まで、複雑な理論をわかりやすく噛み砕き、再現性のある戦略と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ実践できること、そして迷った投資家が次の一歩を踏み出せることを大切にしています。

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