レイヤー1競争の勝者条件:暗号資産インフラの覇権を決める指標と投資判断

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  1. はじめに:レイヤー1は「チェーンの銘柄選び」ではなく、経済圏の覇権争い
  2. レイヤー1の本質:価値は「台帳」ではなく「決済・実行レイヤーの利用料」から出る
  3. 勝者条件①:セキュリティ(安全性)は“ブランド”ではなく“コスト構造”で見る
  4. 勝者条件②:分散性と検閲耐性は、規制ショック時の“生存力”を決める
  5. 勝者条件③:スケーリングはTPS競争ではなく、実需に対して遅延と確定性が適切か
  6. 勝者条件④:トークノミクスは「インフレ率」より“価値回収”と“売り圧”で判断する
  7. 勝者条件⑤:開発者(Dev)とプロダクトの供給能力が、ネットワーク需要を作る
  8. 勝者条件⑥:流動性とステーブルコインの厚みが、DeFiの“摩擦コスト”を決める
  9. 勝者条件⑦:MEV(最大抽出価値)を制御できるかが、プロの資金を呼ぶ
  10. 勝者条件⑧:ガバナンスは“民主主義”より、変更の安全性と意思決定コストで見る
  11. 勝者条件⑨:互換性と規格は“乗り換えコスト”を支配する
  12. 勝者条件⑩:ブリッジとクロスチェーンは利便性ではなく“破綻リスク”として見る
  13. 投資家のための“L1スコアカード”:10分で候補をふるいにかける方法
  14. 具体例:同じ「高速・低手数料」でも勝てるチェーンと勝てないチェーンの分岐点
  15. エントリーと利確の実務:L1は“イベントドリブン”と“ファンダメンタル”が交差する
  16. よくある誤解:L2が伸びるとL1は負けるのか?
  17. まとめ:勝者条件は「速度」ではなく、耐久性のある需要と価値回収の設計

はじめに:レイヤー1は「チェーンの銘柄選び」ではなく、経済圏の覇権争い

暗号資産の世界では、同じような機能を掲げるレイヤー1(L1)が乱立しています。しかし投資として見ると、L1は「速い・安い」といった表面のスペックだけで勝敗が決まりません。実際に価値を生むのは、取引需要開発者が集まる力セキュリティと検閲耐性トークンが価値を吸い上げる設計、そして規制・取引所・ステーブルコインまで含めた周辺条件です。

この記事では、初心者でも「何を見れば勝者条件が判断できるのか」を、投資家の観点で徹底的に分解します。特定の銘柄の買い推奨ではなく、複数チェーンを横断して通用する評価軸を作ることが目的です。読むだけで、ニュースやXの煽りに振り回されず、チェックリストで冷静に比較できるようになります。

レイヤー1の本質:価値は「台帳」ではなく「決済・実行レイヤーの利用料」から出る

L1はブロックチェーンの土台です。送金・決済、スマートコントラクト実行、NFT発行、DeFi取引など、あらゆる処理を最終確定させます。ここで重要なのは、L1が稼ぐ源泉が「利用料(手数料)」であることです。

株式でいうと、L1トークンは「ネットワークの株券」とよく言われますが、実態はもう少し複雑です。ネットワークが稼いだ手数料が、トークンの価値に直結する設計なら株に近い。しかし、手数料が焼却されず、バリデータや別の関係者に流れる設計なら、投資家は“売上はあるのに株主還元が薄い会社”を買っているのに近くなります。

したがって、勝者条件を評価する第一歩は「利用が増えたとき、トークンがどれだけ価値を回収できるか」です。ここを外すと、利用が伸びても価格が伸びない、あるいは伸びても持続しない、という典型パターンにハマります。

勝者条件①:セキュリティ(安全性)は“ブランド”ではなく“コスト構造”で見る

セキュリティは抽象的に語られがちですが、投資判断では具体化できます。ポイントは「攻撃する側の期待値」と「防御する側のコスト」を比較することです。攻撃が合理的に割に合う状況なら、いずれ狙われます。

例えば、PoW(作業証明)ならハッシュパワーを買うコストが攻撃コストになります。PoS(ステーク証明)なら、トークンを買ってステークするコストが攻撃コストに近い。ここで注意点は、PoSは価格が上がるほど攻撃コストも上がりやすい反面、流動性が高いと「一時的に借りて攻撃できる」余地が生まれることです。

初心者が現実的に見るべき指標は以下です。

・バリデータの分散度:上位数社(取引所、カストディ、クラウド)が大半を握るなら中央集権リスクが強い。
・クライアント多様性:実装が1種類だとバグで全停止しやすい。複数実装があると単一点障害が減る。
・過去の障害履歴:停止・巻き戻り・重大バグの頻度と、復旧までの時間。
・スラッシング設計:不正時にどれだけ痛い罰があるか。罰が軽いと規律が弱い。

重要なのは「攻撃されないこと」ではなく「攻撃される動機を作らないこと」。TVLが膨らんだり、ステーブルコイン決済が集まったりして“宝箱”になるほど、セキュリティの甘さは致命傷になります。

勝者条件②:分散性と検閲耐性は、規制ショック時の“生存力”を決める

平時は分散性が軽視されがちですが、相場が荒れた局面や規制が強まる局面で、分散性は「チェーンが止まらない」「利用者が逃げない」ことに直結します。ここは株でいう“財務健全性”のようなもので、普段は地味でも、危機時に差が出ます。

例えば、主要バリデータが特定国の規制対象になったとき、取引が検閲されたり、ブロックに入らなかったりする可能性があります。さらに、クラウド依存が高いと、インフラ停止でチェーン全体が失速します。

投資家視点では、「規制ショックで一時的に下がる」ではなく、「構造的に利用が戻らない」リスクが怖い。検閲耐性が弱いチェーンは、企業導入が進んだように見えても、いざ規制が来た瞬間に“企業が撤退する”可能性が高いからです。

勝者条件③:スケーリングはTPS競争ではなく、実需に対して遅延と確定性が適切か

L1はTPS(秒間処理数)で比較されがちですが、投資ではTPSそのものより「混雑時の体験」と「最終確定までの時間」が重要です。なぜなら、実需が出るのは平時ではなく混雑時だからです。混雑した途端にガス代が跳ね、取引が通らず、MEVが荒れれば、ユーザーは逃げます。

また、確定性には二種類あります。確率的ファイナリティ(時間が経つほど覆りにくい)と、即時に確定するファイナリティです。DeFiの清算や決済には、どちらが求められるかがケースで変わります。高速な見かけの確定より、実際の“巻き戻り可能性”が低い方が価値になることもあります。

初心者が比較するときは、次の順で見ると失敗が減ります。

1) 混雑時の平均手数料と待ち時間
2) ファイナリティまでの実測時間
3) 障害時に手動介入が必要か(チェーン停止→再開の手続き)
4) L2/ロールアップとの役割分担が明確か

勝者条件④:トークノミクスは「インフレ率」より“価値回収”と“売り圧”で判断する

トークノミクスで初心者がやりがちな失敗は「最大供給量が決まってる=強い」「バーンがある=強い」といった単純化です。現実は、誰がいつ売るかと、ネットワークの利益が誰に配分されるかが全てです。

見るべきは次の4点です。

・発行(インフレ)と需要の綱引き:ステーキング報酬が高いほど、初期は魅力的でも長期の売り圧が強い。
・手数料の行き先:バーンされるのか、バリデータに流れるのか、財団が握るのか。
・アンロック(解除)スケジュール:VC・財団・チーム分がいつ市場に出るか。
・実需による“買い圧”の源泉:ガス代支払い、担保需要、ステーキング需要、アプリ内需要など。

具体例で考えます。あるチェーンが「高速で手数料が安い」場合、ユーザー体験は良い。しかし手数料が安すぎると、ネットワークが稼ぐ額が小さく、トークン価値に反映されにくい。このジレンマを解決するには、取引量が圧倒的に増えるか、MEVや追加サービスで収益を増やすか、あるいはL2を含めた経済圏で手数料総額を伸ばす必要があります。

投資家のチェックとしては、「価格が上がった時に、供給側(報酬・アンロック)がそれ以上に増えないか」を検証するのが実践的です。上昇局面は“売りたい人が増える局面”でもあるためです。

勝者条件⑤:開発者(Dev)とプロダクトの供給能力が、ネットワーク需要を作る

L1の価値は、ユーザーが直接チェーンを使うだけでなく、アプリがユーザーを連れてくることで増えます。つまり「開発者が集まる→アプリが生まれる→ユーザーが来る→流動性が集まる→さらに開発者が増える」という循環が必要です。

この循環の初期に必要なのが、開発者体験(DX)です。例えば、EVM互換であれば既存のツールや人材が使えます。逆に独自VMは差別化になる一方、開発者を教育するコストが高い。ここは“技術的に優れているか”より、“普及速度に勝てるか”が問題です。

投資家が追う指標としては、次が実用的です。

・GitHubのコミットやコントリビューター数(継続性が重要)
・主要アプリの数ではなく「売上・利用」が出ているアプリの有無
・ハッカソンや助成金が“使われた後”に残るプロダクトがあるか
・開発ツール(SDK、ドキュメント、監査文化)の成熟度

数だけ増えても、助成金ハンターが増えるだけなら意味がありません。実需アプリが生まれているか、そしてその実需がトークン価値に結び付く設計か、ここまでセットで見る必要があります。

勝者条件⑥:流動性とステーブルコインの厚みが、DeFiの“摩擦コスト”を決める

L1のエコシステムでは、DEXやレンディングが成り立つかどうかが重要です。そこで鍵になるのが流動性です。流動性が薄いと、スリッページが大きくなり、裁定が効かず、価格が歪み、結果としてユーザーが離れます。これは株式市場の板が薄い銘柄と同じです。

さらに、実務ではステーブルコインの存在が決定的です。ステーブルが薄いチェーンは、価格変動が大きく、DeFiの担保運用や決済が不安定になります。逆にステーブルが厚いチェーンは、資金移動・決済・利回り商品の基盤が強くなり、結果として“金融インフラ”に近づきます。

チェックポイントは、単なるTVLではなく、ステーブル比率主要DEXの出来高レンディングの健全性(清算頻度、金利の異常値)、ブリッジ依存度です。TVLが大きく見えても、ブリッジ経由で一部のプロトコルに偏っているだけなら脆いです。

勝者条件⑦:MEV(最大抽出価値)を制御できるかが、プロの資金を呼ぶ

MEVは初心者が見落としやすい重要論点です。MEVとは、取引順序を操作することで得られる利益で、サンドイッチ攻撃などが代表例です。MEVが野放しだと、一般ユーザーは「取引するほど損をする」状態になり、チェーンの利用が頭打ちになります。

一方で、MEVを完全にゼロにするのも難しい。そこで勝者条件になるのは、MEVを“市場の税金”として透明化し、被害を最小化し、収益配分を設計できるかです。例えば、プライベートメンプール、オーダーフローオークション、PBS(提案者/構築者分離)など、設計は多様です。

投資家としては、「MEVが多い=悪」ではなく、「MEV対策のロードマップがあり、運用されているか」「ユーザーの不利益が縮小しているか」を観察します。DeFiが伸びるチェーンほどMEV問題も大きくなるため、ここを放置するチェーンは長期で評価が落ちやすいです。

勝者条件⑧:ガバナンスは“民主主義”より、変更の安全性と意思決定コストで見る

L1はアップデートを続けます。したがってガバナンスは不可欠ですが、投資家は「投票が多い=分散」ではなく、「変更が安全に実行される仕組みか」を見るべきです。

たとえば、オンチェーン投票で即座にパラメータが変わる仕組みは、スピードがある反面、攻撃や買収で危険な変更が通るリスクがあります。逆に、オフチェーン合意が強いチェーンは、権力集中の懸念はあっても、危機対応が速い場合もあります。

初心者が実務的に確認できるのは、「重大アップデートが過去にどう進められたか」です。揉めたのか、分裂したのか、ユーザーや開発者は付いてきたのか。株で言うと、経営陣の資本政策と株主対応の履歴に近いです。

勝者条件⑨:互換性と規格は“乗り換えコスト”を支配する

勝者が一社総取りになるなら、互換性は不要かもしれません。しかし暗号資産はマルチチェーンが現実です。ここで重要なのは「他チェーンから資金と開発者を奪う力」です。EVM互換はその典型で、既存のツール資産を引き継げます。一方、独自路線は差別化になるが、移住が進みにくい。

投資では、互換性の話を「技術の優劣」ではなく、市場の拡大速度として捉えます。高速にエコシステムを作れるチェーンは、短期で注目されやすい。しかし、長期で勝つには、単なるコピーではなく、独自の価値提案(例えばセキュリティの高さ、決済の確実性、規制耐性など)が必要です。

勝者条件⑩:ブリッジとクロスチェーンは利便性ではなく“破綻リスク”として見る

マルチチェーン時代にブリッジは便利ですが、投資家にとってはリスクの塊です。過去の大型ハックの多くがブリッジ周りで起きています。つまり「エコシステムが伸びるほど、ブリッジが標的になる」構図があります。

したがって、勝者条件は「ブリッジ依存で成長しているか、チェーン内に自己完結した流動性があるか」です。短期でTVLが伸びるチェーンは、実はブリッジで一時的に資金が流れただけ、ということがよくあります。このとき相場は派手に動きますが、資金が抜ける時も同じ速さで抜けます。

投資家のための“L1スコアカード”:10分で候補をふるいにかける方法

ここまでの要点を、実際に比較可能な形に落とします。銘柄分析に慣れていない人ほど、スコアカード方式が強いです。以下の質問にYes/Noで答え、Yesが多いものを残します。

(A)安全性・耐久性
・重大停止や巻き戻りが頻発していないか
・バリデータが特定企業・特定国に偏っていないか
・クライアント実装が複数あり単一点障害が小さいか

(B)需要の質
・手数料総額(または実需指標)が右肩上がりか
・出来高が助成金イベント時だけ膨らむ“花火”ではないか
・ステーブルコインの厚みが増えているか

(C)トークン価値回収
・利用増がトークン価値に反映される設計か(バーンや配分)
・アンロックが価格上昇局面に重ならないか
・インフレ(報酬)の売り圧が需要を上回っていないか

(D)供給能力(開発者とアプリ)
・実需アプリがあるか(ユーザーが残る理由があるか)
・開発者の活動が継続しているか(短期バズで終わっていないか)
・監査文化やツールが成熟しているか

スコアカードで残った候補に対して、次にやるのが“価格”の話です。良いチェーンでも高すぎれば投資としては苦しい。逆に微妙なチェーンでも相場の局面で短期の値幅は出ます。自分が狙うのが短期か長期かで、評価軸のウェイトを変えるとブレません。

具体例:同じ「高速・低手数料」でも勝てるチェーンと勝てないチェーンの分岐点

ここで具体的な思考実験をします。仮に、AチェーンとBチェーンがあり、どちらも高速で低手数料だとします。違いは以下だけ。

・Aチェーン:バリデータが分散、ステーブルが増加、手数料の一部がバーン、実需アプリが複数、障害が少ない
・Bチェーン:バリデータが数社に集中、ステーブルが薄い、手数料が極端に安く収益が小さい、助成金で一時的TVL、障害が時々ある

短期ではBチェーンが派手に上がることがあります。材料が出て資金が集まりやすいからです。しかし中期では、Bは「資金が抜けると何も残らない」ため下落が長引きやすい。Aは地味でも、流動性が残り、利用料が積み上がるなら、戻りが早い。

投資で重要なのは「当てる」より「外した時に致命傷を避ける」ことです。その意味で、Aのような“耐久性のある成長”は、初心者にとって再現性が高い選択になります。

エントリーと利確の実務:L1は“イベントドリブン”と“ファンダメンタル”が交差する

L1は株よりイベントの影響が大きいです。大型アップグレード、エアドロップ、主要取引所上場、ステーブルコイン導入、規制ニュースなどで、短期の需給が大きく動きます。

初心者向けに、現実的な運用ルールを2つ提示します。

ルール1:ファンダメンタル型(中長期)
・スコアカード上位のみを対象にする
・下落局面で分割、上昇局面でリバランス(上がった分を取り過ぎない)
・アンロック月、アップグレード前後はポジションを軽くする

ルール2:イベント型(短期)
・イベントの“前”は期待で上がり、“当日”は売られやすい前提で計画する
・出来高急増+ステーブル流入+手数料増加が揃ったときだけ追随する
・失敗時は“チェーン利用が残っているか”で撤退判断(価格ではなく利用で切る)

どちらにせよ、レバレッジを強くかけるほど、ブリッジハックや停止といった“テールリスク”にやられます。現物中心で、損失が限定される範囲で運用するのが合理的です。

よくある誤解:L2が伸びるとL1は負けるのか?

「L2が伸びたらL1の価値は抜ける」という直感は半分正しく、半分間違いです。L2は取引をまとめてL1に確定させるため、L1の役割は“最終決済”に寄ります。つまり、L2が増えるほどL1への最終確定需要が増える可能性もあります。

ただし、ここで勝者条件が出ます。L1が「L2にとって使いやすい決済層」になれるか。手数料設計、データ可用性、セキュリティ、そしてエコシステムとしての整合性が問われます。L2が乱立してバラバラになれば、ユーザー体験は悪化します。逆に、L1が“統合された金融圏”として機能すれば、L2の成長は追い風になります。

まとめ:勝者条件は「速度」ではなく、耐久性のある需要と価値回収の設計

レイヤー1競争の勝者条件を一言で言うなら、耐久性のある需要(利用)と、その需要をトークン価値に回収する設計、そして危機に耐える分散性とセキュリティです。高速・低手数料は必要条件になりつつありますが、それだけでは十分条件ではありません。

今日からできる実践としては、候補チェーンを3つ選び、スコアカードで比較し、手数料総額・ステーブル比率・出来高の推移、アンロック、障害履歴を一枚のメモにまとめてください。これだけで、短期の煽り材料に乗る回数が減り、結果として資金効率は上がります。

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