窓埋め(ギャップフィル)で勝率を上げるための需給読みと実践ルール

株式

「窓(ギャップ)」は、前日終値と当日始値の間に価格帯の空白が生まれる現象です。ニュース、決算、需給要因、夜間先物や海外市場の急変などで一気に形成され、短期トレーダーにとっては“最初に発生する歪み”です。窓埋め(ギャップフィル)は、この歪みが短時間〜数日で解消され、価格がギャップの起点へ戻る動きに乗る発想ですが、闇雲に「窓は必ず埋まる」と信じると簡単に焼かれます。本記事は、窓埋めが起きやすい条件と、起きにくい“埋まらない窓”を見分け、再現性のあるルールに落とすための具体的な運用手順をまとめます。

スポンサーリンク
【DMM FX】入金

窓埋めが起きるメカニズム:なぜ戻るのか

窓が生まれる瞬間、市場参加者の意思決定は一斉に更新されます。ギャップ上方向なら「買い遅れた人」「ショートの踏み」「寄り付きで利確したい人」、下方向なら「投げ売り」「損切りの連鎖」「安く拾いたい買い」など、相反する注文が同時に積み上がります。窓埋めは、その後の注文の優先順位が「新しい情報の評価」から「未約定注文の消化(ポジション調整)」へ移るタイミングで起きやすいです。つまり、窓埋めはファンダメンタルの正しさよりも、短期の需給(誰がどこで苦しくなり、どこで楽になるか)で説明できます。

窓埋めが起きやすい典型は次の2つです。(1)材料が弱く、寄りで過剰に動いた:買い・売りの初動が行き過ぎ、反対売買が優勢になる。(2)新規材料より“既存ポジションの調整”が中心:夜間の先物や海外で動いた分を、現物参加者が日中に調整して戻す。逆に、窓が埋まりにくいのは「新しい価格帯が正当化される」場合です。これを先に仕分けするのが実戦では最重要です。

まず分類:埋まる窓・埋まらない窓を分ける3タイプ

窓を見たら、最初に“タイプ判定”をします。ここを曖昧にすると、同じチャート形状でも期待値が真逆になります。

1)ブレイクアウェイ・ギャップ(埋まりにくい)
長いレンジの上抜け/下抜け、重要な業績転換、規制変更などで、新しい価格帯が市場の合意になるギャップです。出来高が増え、ギャップ方向にトレンドが伸びやすい。窓埋め狙いは避け、押し目(戻り)待ちの順張りが基本になります。

2)ランナウェイ(継続)ギャップ(埋まりにくい)
すでにトレンドが出ている途中で追加燃料が入り、加速するギャップです。移動平均やVWAPの上(下)で推移し、押し目が浅い。埋めに行くとしても時間がかかり、逆張りは負けやすい。

3)エグゾースション(枯れ)ギャップ(埋まりやすい)
材料の出尽くし、過熱、踏み上げ最終局面で出るギャップです。寄り直後から反対売買が強く、ギャップ方向の続伸が鈍い。ここが窓埋め戦略の主戦場です。

初心者がやりがちな失敗は、ブレイクアウェイを“埋まる窓”だと誤認することです。そこで、次章のチェック項目で、タイプ判定をルール化します。

窓埋めの勝率を上げるチェックリスト(寄り前〜寄り後15分)

窓埋めは「寄り付きの一発勝負」に見えますが、実際は寄り前の準備が8割です。下のチェックを上から順に潰します。

チェック1:ギャップ幅は“ATRの何%”か
同じ1%の窓でも、ボラの低い銘柄では大事件、高ボラ銘柄では日常です。目安として、日足ATR(14)に対してギャップ幅が0.3〜0.8ATR程度だと埋まりやすく、1.0ATR超はトレンド継続の確率が上がります。※ATRは絶対ではなく、後述の出来高や材料とセットで使います。

チェック2:材料の“強度”と“新規性”
決算なら「売上・利益のサプライズ」よりも「ガイダンス」「粗利率」「受注」「翌期見通し」を見ます。為替・商品・金利要因なら、その変動が短期のノイズか、構造変化(政策・規制・需給)かを切り分けます。窓埋めを狙うのは、材料が弱い/既出/解釈が割れるケースです。逆に、明確な上方修正や構造変化は埋まらない前提で考えます。

チェック3:出来高の“寄り前気配”と“寄り付き直後”
気配段階で板が薄く、寄りで一気に付くギャップは、過剰に飛びやすく反動も出やすい一方、スリッページが増えます。寄り後に出来高が爆発しても、価格が伸びない(上なら高値更新できない、下なら安値更新できない)場合はエグゾースション寄りです。逆に、出来高増+高値/安値更新を素直に続けるなら、埋め狙いは撤退します。

チェック4:上位足の抵抗帯(直近高値/安値、日足の節目)
窓は“節目で発生”すると埋まりにくいです。例えば、半年間の高値を抜ける窓上げはブレイクアウェイになりやすい。逆に、レンジ内で出た窓、前回高値/安値の手前で止まる窓は、戻りやすいです。

チェック5:指数・セクターの地合い
個別の窓埋めは、指数先物の流れで簡単に潰されます。日経先物/TOPIX先物の寄り前の方向とボラ、同セクターの代表銘柄の気配を見て“追い風か逆風か”を決めます。逆風なら、エントリーを遅らせるか、サイズを落とします。

実践ルール①:窓埋めの王道は「寄り天・寄り底」ではなく“反転確認”

窓埋めを狙うとき、寄り付きで逆張りするのは最も危険です。理由は簡単で、寄りは情報と注文が一気にぶつかるため、初動が最もノイズだからです。再現性を上げるには、次のように“反転を確認してから入る”設計にします。

ギャップアップ(窓上げ)での基本形
・前提:材料の強度が弱い/解釈割れ、上位足の強い抵抗帯が近い、寄り後に上値が伸びない。
・トリガー:寄り後に高値を更新できず、5分足で陰線が連続し、VWAPを下抜ける(またはVWAP付近で反転)。
・エントリー:VWAP割れの戻り(リテスト)でショート、もしくは直近安値割れで追随。
・利確:ギャップの半分(50%埋め)で一部、残りは前日終値(フル埋め)手前で分割。
・損切り:当日高値更新、またはVWAP上での再定着。

ギャップダウン(窓下げ)での基本形
・前提:投げが出ているが材料が致命的ではない、指数が下げ止まり気配、出来高が出ても安値更新しない。
・トリガー:寄り後に安値更新できず、5分足で陽線が優勢になり、VWAPを上抜ける(またはVWAP付近で反転)。
・エントリー:VWAP上抜け後の押し(リテスト)でロング、または直近高値上抜けで追随。
・利確:まずはギャップの半分、次に前日終値手前。
・損切り:当日安値更新、またはVWAP下での再定着。

要点は、窓埋めを“価格が戻る現象”ではなく、“初動の誤差が修正される局面”として捉えることです。そのためには、VWAPや直近高安のような、参加者が実際に意識しやすい水準をトリガーにします。

実践ルール②:ギャップの「半分埋め」を利益確定の基準にする理由

窓埋めは、フル埋め(前日終値到達)だけを狙うと期待値が下がりやすいです。なぜなら、半分埋めの地点は、早期に含み益が出た参加者の利確が出やすく、反発・反落が起きやすい“中間の揉み合い帯”になりやすいからです。ここで一部利確しておくと、残りのポジションでフル埋めを狙う際に、心理的・資金的な余裕が生まれます。

具体的には、ギャップ幅をGとすると、最初の利確目標を0.4〜0.6Gに置きます。たとえば前日終値1000円、当日寄り1100円(+10%窓上げ)なら、1050円付近が“半分埋め”です。ここで半分落とし、残りは1000円手前で板・歩み値を見ながら分割決済します。この“分割”が、窓埋め戦略をギャンブルから運用へ変えます。

具体例:決算ギャップアップでの窓埋め(日本株の典型パターン)

例として、ある中型株が決算で一時的に買われ、翌日+8%のギャップアップで寄ったケースを想定します。寄り前のニュースを読むと、売上は良いがガイダンスが保守的、粗利率が悪化、という“強弱混在”でした。こういう材料は、寄りで過剰に買われた後、短期勢の利確とアルゴの逆回転で戻りやすい。

寄り後の観察ポイントは3つです。
(1)寄り直後に高値更新できるか:できないなら買いの勢いが弱い。
(2)出来高の割に値が伸びないか:伸びないなら上での売りが厚い。
(3)VWAPを割れるか:割れたら“平均コストを上回って買った人”が含み損になり、売りが出やすい。

ここで、寄り後15分で高値更新に失敗し、VWAPを下抜け、戻りがVWAPで叩かれたら、ショートのシナリオが成立します。損切りは当日高値更新。利確は半分埋め→前日終値手前。重要なのは、寄りで逆張りしないことと、VWAPで“戻り売りが機能している”のを確認してから入ることです。

具体例:FX・暗号資産の「週明けギャップ」への応用

為替や暗号資産は、日本株のような明確な寄り付きがない(あるいは週末を挟む)ため、ギャップの性格が少し違います。代表的なのが、FXの週明け窓と、暗号資産での急ニュースによるスパイクです。

FXの週明けギャップは、週末のニュースで流動性が薄い時間帯に価格が飛び、週明けの東京時間で流動性が回復すると“正常化”として戻ることがあります。ただし、地政学や政策のような構造変化の場合は戻りません。運用ルールは、日本株と同じで「反転確認→半分埋め→分割利確」です。特にFXでは、窓の起点が週末終値なので、短期勢が意識しやすい節目です。

暗号資産は24時間で窓というより“瞬間的な流動性欠損”が起きます。板が薄い取引所や、レバレッジ清算が連鎖する局面では、ローソク足に大きなヒゲと“擬似ギャップ”が出ます。この場合、窓埋めの考え方は「過剰清算の戻り」を拾う形になります。ただし、取引所ニュース、規制、ハッキングなどの致命的材料では戻りが弱いので、材料の強度判定がより重要です。

損切り設計:窓埋めは「小さく負けて大きく取る」より“負けを早く切る”

窓埋めは逆張り色が強く、トレンドが出ると一気に負けます。したがって、損切りは“価格水準”で機械的に置き、迷う余地を消すのが適しています。

代表的な損切りルールは次の通りです。
・窓上げの窓埋めショート:当日高値更新で撤退(更新幅が小さくても撤退)。
・窓下げの窓埋めロング:当日安値更新で撤退。
・VWAPを使うなら:VWAP再定着(一定時間、VWAPの反対側に戻れない)で撤退。
・時間損切り:寄り後◯分(例:60分)経っても半分埋めに届かないなら撤退。

時間損切りが重要な理由は、窓埋めは“早い修正”が起きる局面ほど期待値が高いからです。ダラダラと横ばいになるなら、窓埋めの優位性は薄れます。この考え方は、株でもFXでも暗号資産でも共通です。

罠:窓埋め狙いで破綻しやすい3パターン

パターン1:大テーマのブレイクを逆張りする
長期金利ショック、政策転換、業績トレンドの反転など、構造変化の窓は埋まりません。短期の形だけで逆張りすると、損切りが遅れた瞬間に致命傷になります。

パターン2:出来高の意味を無視する
出来高が増えているのに価格が伸びないなら“枯れ”の可能性がありますが、出来高が増えて価格が伸びるなら“合意形成”です。同じ出来高増でも意味が逆です。価格の反応をセットで見ます。

パターン3:フル埋めに固執する
半分埋めで反転するケースは多いのに、フル埋めまで粘って利益を削る。分割利確を入れるだけで、成績は劇的に安定します。

検証のやり方:自分の市場・時間軸で“窓埋めの確率”を数字にする

窓埋めは市場と銘柄特性で確率が変わります。たとえば、大型株は流動性が高く、裁定・アルゴが働くため短期での修正が起きやすい一方、材料が強いとトレンドも強い。小型株は板が薄く、窓が極端になりやすく、スリッページが増えます。

初心者でもできる検証手順はシンプルです。
(1)対象を絞る:例)東証プライムの出来高上位50銘柄。
(2)ギャップ条件を定義:例)前日比±2%以上の寄り付き。
(3)到達条件を測る:例)当日中に半分埋め、当日中にフル埋め、翌日までにフル埋め。
(4)フィルタを追加:出来高、上位足の節目、材料の強度(決算/非決算)。
これだけで、あなたの得意な“窓”の形が見えます。

ポイントは、検証を“勝てる手法探し”ではなく、“やっていい窓・やってはいけない窓の仕分け”に使うことです。窓埋めは全てを取ろうとすると負けます。選別で勝ちます。

最終まとめ:明日から使える窓埋め運用チェック

最後に、運用を一枚の手順に落とします。
1)寄り前:ギャップ幅をATRで相対化し、材料の強度と新規性を判定する。
2)寄り後:高値/安値更新の可否と、出来高の割に伸びない“枯れ”を観察する。
3)トリガー:VWAPと直近高安で反転確認してから入る(寄り逆張りは原則しない)。
4)利確:まず半分埋めで一部、残りでフル埋めを分割狙い。
5)損切り:当日高値/安値更新、VWAP再定着、時間損切りで迷わず撤退。
この5点が守れると、窓埋めは“感覚”ではなく“ルール”になります。

窓埋めは派手ではありませんが、需給の歪みを取る戦略として、株・FX・暗号資産に共通して応用が効きます。ただし、最大の敵は「窓は必ず埋まる」という思い込みです。埋まる窓だけを選び、埋まらない窓から逃げる。これが継続的な収益のコアです。

板・歩み値で精度を上げる:窓埋めは“注文の偏り”を読むゲーム

窓埋めのエントリーは、チャートだけでも可能ですが、板(指値の厚み)と歩み値(約定の流れ)を見ると失敗が減ります。特に日本株は寄り後しばらく、アルゴがVWAPを意識して“押し上げ/押し下げ”を作るため、VWAP付近の板の変化が素直に出ます。

窓上げの窓埋めショートで見たいのは、「上に買いがあるように見えるのに、約定が追いつかない」状態です。具体的には、
・上の売り板が薄いのに、成行買いで価格が跳ねない
・同じ価格帯で売り約定が連発し、買いが吸収されている
・高値更新のたびに即座に叩かれ、上髭が伸びる
こういう時は、上で待っている“利確・戻り売り”が強く、窓埋めが進みやすい。逆に、買い板が厚く、成行買いで素直に上に抜けるなら、無理に逆張りしません。

窓下げの窓埋めロングでは逆で、「下がっているように見えるのに、投げが枯れている」状態を探します。・下の買い板が厚く、成行売りが入っても安値更新しない
・安値付近で大きな約定が出た後、すぐに反発する
・出来高が増えているのに陰線が伸びず、下髭が出る
この場合、追証・損切りの売りが一巡して、反発(=窓埋め)が起きやすい。

ポジションサイズの決め方:窓埋めは“最大損失”から逆算する

窓埋めは、当たれば速い一方、外れるとトレンドに巻き込まれて損が膨らみます。したがって、エントリー根拠より先に「このトレードで最大いくら失うか」を決め、その損失に合わせてロットを調整します。

具体例として、株で1回の許容損失を資金の0.5%に設定するとします。損切り幅が(当日高値更新まで)2%なら、建玉は資金の25%相当が上限になります(0.5% ÷ 2% = 25%)。損切り幅が4%なら上限は12.5%です。この“損切り幅が広いほどロットを落とす”原則を徹底すると、窓埋めのような逆張り戦略でも生き残れます。

FXや暗号資産ではレバレッジが効くため、さらに厳密にします。指標発表や急ニュースでボラが跳ねると、通常の損切り幅が一瞬で到達します。その日は窓埋めをやらない、やるならロットを半分以下にする、といった“取引回避ルール”も立派な戦略です。

窓が埋まらないと判断したら:順張りへ切り替える“プランB”

窓埋めの最大の強みは、早い段階で“間違い”が分かることです。当日高値/安値を更新した時点で、窓埋めシナリオは崩れています。そこで損切りした後に、さらに利益機会を狙うなら、発想を逆にして順張りのプランBを用意します。

プランBの例(窓上げ)
・当日高値更新+出来高増+VWAP上で推移 → 押し目買いへ。
・エントリーは、VWAP付近までの押し、またはブレイク後のリテスト。
・利確は、直近高値更新ごとの分割。
窓埋めに固執せず、環境認識に従って“勝てる側”へ乗り換えると、トータルの期待値が上がります。

プランBを持つと、損切りが心理的に軽くなります。窓埋めは「当たれば勝ち、外れれば終わり」ではなく、シナリオを切り替える分岐点として使うと強い。この設計ができると、初心者でも“負けが致命傷にならない”トレードになります。

時間帯の癖:窓埋めが進みやすい「タイミング」を知っておく

窓埋めは一日中同じ確率で起きるわけではありません。市場の参加者が入れ替わる時間帯に、価格の“再評価”が起こりやすいからです。日本株なら、寄り付き直後(9:00〜9:30)に初動の誤差修正が起き、前場引けにかけて一度落ち着き、後場寄り(12:30)に再びポジション調整が入りやすい。さらに大引け前(14:30以降)は、デイトレの手仕舞いが増え、半分埋め→フル埋めが進むことがあります。

この“時間帯の癖”を利用すると、無駄な粘りが減ります。例えば、寄り後60分で半分埋めに届かないなら、その日の窓埋めの勢いは弱い可能性が高い。逆に、後場寄りで指数が反転し、個別もVWAPを取り戻すなら、そこから窓埋めが加速することがあります。ただし、これは地合い依存なので、指数先物の方向とセットで判断します。

FXや暗号資産なら、流動性が増える“ロンドン時間”“NY時間”に窓(歪み)の修正が起きやすいです。東京時間で作った過剰な動きが、欧米時間の参加者に否定されて戻る、という構図は頻出です。反対に、欧米時間に作ったトレンドは東京時間では止まりにくいこともあるため、時間帯の主導権を意識すると噛み合います。

p-nuts

お金稼ぎの現場で役立つ「投資の地図」を描くブログを運営しているサラリーマン兼業個人投資家の”p-nuts”と申します。株式・FX・暗号資産からデリバティブやオルタナティブ投資まで、複雑な理論をわかりやすく噛み砕き、再現性のある戦略と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ実践できること、そして迷った投資家が次の一歩を踏み出せることを大切にしています。

p-nutsをフォローする
株式
スポンサーリンク
【DMM FX】入金
シェアする
p-nutsをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました