- RSIダイバージェンスとは何か:まず「定義」を固定する
- なぜ効くのか:価格とモメンタムの“ズレ”を利用する
- まずはここだけ守る:ダイバージェンスの見つけ方(再現可能な手順)
- 4種類を区別する:通常/隠れ(Hidden)ダイバージェンス
- 「だまし」を避ける核心:確認条件(コンファメーション)を必ず入れる
- 具体例で理解する:株・FX・暗号資産での典型シナリオ
- エントリー設計:逆張りを“戦略”にする3つの型
- 利確と損切り:ダイバージェンスは「小さく負けて大きく勝つ」が基本
- 時間足の選び方:初心者は「大きい足」で練習する
- “勝てる形”に寄せる:フィルター(条件の絞り込み)の実務
- 検証の進め方:初心者でも“数字”で判断できる最短ルート
- よくある失敗と対策:ここを潰すだけで成績は変わる
- すぐ使えるチェックリスト:エントリー前に5つだけ確認
- まとめ:ダイバージェンスは「予兆」だからこそルールが効く
RSIダイバージェンスとは何か:まず「定義」を固定する
RSI(Relative Strength Index)は、一定期間の上昇幅と下落幅の比率から「買われ過ぎ・売られ過ぎ」を測るオシレーターです。ただし、ダイバージェンス(逆行現象)を使う目的は、単なる過熱感の把握ではありません。価格の推進力(モメンタム)が弱まり、トレンドが継続できなくなる「前兆」を捉えることです。
最初に重要なのは、曖昧な言葉を排除して定義を固定することです。ここがブレると、後で検証しても再現性が出ません。
本記事で使う定義(初心者がまず迷わないための最低限)
強気ダイバージェンス(Bullish Divergence):価格は安値を更新しているのに、RSIの安値は切り上がる(下落の勢いが鈍る)。
弱気ダイバージェンス(Bearish Divergence):価格は高値を更新しているのに、RSIの高値は切り下がる(上昇の勢いが鈍る)。
これだけ覚えれば十分ですが、実戦では「どの安値(高値)を比べるか」が最大の落とし穴になります。次章で手順化します。
なぜ効くのか:価格とモメンタムの“ズレ”を利用する
相場がトレンドを作るとき、価格は押し目・戻りを挟みながら進みます。強い上昇トレンドでは、押し目でも買いが入り、次の高値で再び勢いが出やすい。一方、トレンド末期になると「高値は更新するが、買いの勢いが前回より弱い」状態が現れます。これが弱気ダイバージェンスの典型です。
ポイントは、ダイバージェンスは“転換を保証するシグナル”ではなく、“転換確率が上がる状態”だということです。だからこそ、後述する「確認条件」「損切りの置き方」「期待値の作り方」が主役になります。
まずはここだけ守る:ダイバージェンスの見つけ方(再現可能な手順)
初心者がやりがちな失敗は、チャートのどこでも線を引いて「ダイバージェンスっぽい」と解釈してしまうことです。これを防ぐため、次のルールで“比較対象”を固定します。
手順1:価格の「スイング高値・安値」を先に確定する
ダイバージェンスは「スイング(波)」の比較です。ローソク足1本単位ではなく、波の山・谷を比べます。方法はシンプルで構いません。
例:安値なら「直近の安値の前後で、少なくとも2〜3本は安値を更新していない」など、自分が一貫して判定できる条件を決めます。高値も同様です。ここが決まると、RSI側も同じタイミングの山・谷を比較できます。
手順2:同じ期間のRSIを使い、同じスイング同士を比較する
RSIの山・谷を、価格の山・谷と同じスイングに対応させます。価格が「安値1 → 反発 → 安値2」なら、RSIも同じ区間で「谷1 → 山 → 谷2」を比較します。
手順3:ノイズを減らすために“最低距離”を設ける
安値1と安値2(高値1と高値2)が近すぎるとノイズになりがちです。目安として、同一時間足で「少なくとも10〜20本以上離れている」など距離条件を入れると、だましが減ります。スキャルピングなら距離は短く、スイングなら長くが基本です。
4種類を区別する:通常/隠れ(Hidden)ダイバージェンス
ダイバージェンスには「転換狙い」だけでなく「トレンド継続狙い」もあります。代表がHidden Divergenceです。
通常ダイバージェンス(転換の予兆)
・弱気:価格は高値更新、RSIは高値切り下げ → 上昇の勢いが弱い
・強気:価格は安値更新、RSIは安値切り上げ → 下落の勢いが弱い
隠れダイバージェンス(継続の予兆)
・隠れ強気:価格は安値切り上げ(押し目が浅い)のに、RSIは安値切り下げ → 押し目が深く見えるが、構造は上昇継続
・隠れ弱気:価格は高値切り下げ(戻りが弱い)のに、RSIは高値切り上げ → 戻りは強く見えるが、構造は下落継続
初心者はまず「通常ダイバージェンス」だけで十分です。Hiddenまで手を広げると、誤認が増えます。
「だまし」を避ける核心:確認条件(コンファメーション)を必ず入れる
ダイバージェンスだけで飛びつくと負けます。特に強いトレンド中は、ダイバージェンスが何度も出ては無視され、トレンドが続くことが普通に起きます。そこで、転換の“前兆”に対して、転換の“事実確認”を入れます。
確認条件A:価格が直近の構造を壊す(高値・安値の切り替え)
弱気ダイバージェンスなら「直近押し安値を割る」、強気ダイバージェンスなら「直近戻り高値を超える」など、トレンド構造が崩れたことを条件にします。これが最も再現性が高い方法です。
確認条件B:移動平均線やVWAPなど、参加者が見ている線を使う
例:上昇局面の弱気ダイバージェンスなら、短期MAを割り、戻りでMAに頭を抑えられたらエントリー、などです。重要なのは「多くの参加者が見ている指標」を使うことです。マイナー指標を足すほど、再現性は落ちやすい。
確認条件C:RSIの“50ライン”を境界にする
RSIは50が中立です。弱気ダイバージェンス後にRSIが50を割ると、上昇モメンタムが失速したと判断しやすい。強気ダイバージェンス後に50を超えると、回復が見えます。これ単体では弱いですが、A/Bと組み合わせると使いやすい補助条件になります。
具体例で理解する:株・FX・暗号資産での典型シナリオ
例1:個別株(決算後の高値更新→弱気ダイバージェンス)
決算でギャップアップし、その後も高値を更新するが、出来高が細り、RSIの高値は更新できない。これは「買いの勢いが衰え、利確勢が増え始めた」状態です。
手順:①高値1と高値2を確定 → ②RSI高値が切り下げなら弱気ダイバージェンス → ③直近押し安値割れを待つ → ④割れた戻りでショート(またはロングの利確・ヘッジ)という流れにすると、飛びつきが減ります。
例2:FX(トレンドが強い時ほど“待つ”価値が増える)
FXは株よりトレンドが伸びる局面があり、ダイバージェンスは“何度も出る”ことがあります。だからこそ「確認条件A(構造破壊)」を優先し、転換が確定するまで待つ方が期待値が高くなりやすいです。
例:上昇中に弱気ダイバージェンスが出たら、直近押し安値割れまで静観。割れなければ、単なる過熱で終わるケースが多い。割れたら、戻りで売る。これだけで無駄な逆張りが激減します。
例3:暗号資産(24時間市場の“急反転”に備える)
暗号資産は急騰急落が起きやすく、ダイバージェンスが「急反転の前兆」として機能しやすい局面もあります。ただし、ボラが大きい分、損切り幅も広くなりがちです。そこで、後述する「ポジションサイズ調整」が必須になります。
エントリー設計:逆張りを“戦略”にする3つの型
ダイバージェンスは逆張りになりやすいので、型がないと事故ります。ここでは初心者が扱いやすい順に3つの型を提示します。
型1:構造破壊→戻り売り(買い)型(最優先)
弱気ダイバージェンス→押し安値割れ→戻りで売る。強気ダイバージェンス→戻り高値超え→押し目で買う。
“最初のエントリーを遅らせる”代わりに、だましを大幅に減らせます。
型2:ブレイク即時型(上級寄り、損切りが明確な場合のみ)
押し安値割れ(戻り高値超え)を確認した瞬間に入る型です。値幅を取りやすい反面、ヒゲで戻されるリスクが上がります。初心者はまず型1から入るのが安全です。
型3:レンジ上限・下限との合流(サポレジ重視)
レンジ上限付近で弱気ダイバージェンス、レンジ下限付近で強気ダイバージェンスが出ると、反転が起きやすい“地形”と合流します。地形(水平線)とモメンタム(RSI)が一致したときだけ狙う、という絞り込みが有効です。
利確と損切り:ダイバージェンスは「小さく負けて大きく勝つ」が基本
逆張りは当たると大きい一方、外れると連敗しやすい。だからルールはシンプルにします。
損切り(ストップ)の置き方:基準は“否定ライン”
弱気ダイバージェンスでショートするなら、直近のスイング高値の上(あるいは戻り高値の上)。強気ダイバージェンスでロングなら、直近のスイング安値の下。
「そこを超えたら(割れたら)シナリオが壊れる」場所が、損切りの合理的な置き場です。
利確:まずは“次の支持・抵抗”を目標にする
転換を狙うなら、まずは直近のサポート(レジスタンス)や、押し目・戻りの起点を目標にするのが現実的です。そこを抜けたら、残りをトレール(追随)する。
利確を一撃で完璧に当てようとすると、メンタルが崩れます。分割が有効です。
リスクリワード(RR)と勝率の現実
ダイバージェンス戦略は、勝率が高いとは限りません。むしろ、だましがある前提で、RRを2以上(例:損切り1に対し利確2)で設計すると、トータルが安定しやすいです。勝率を追うほど、損切りを伸ばして破綻しがちです。
時間足の選び方:初心者は「大きい足」で練習する
ダイバージェンスはノイズに弱いので、最初は日足や4時間足など、やや大きい時間足で練習すると学習が早いです。5分足など超短期は、検証量が膨大になり、心理的にも疲れます。
おすすめの順序:日足(観察)→4時間足(練習)→1時間足(応用)→短期(必要なら)
“勝てる形”に寄せる:フィルター(条件の絞り込み)の実務
ダイバージェンスは出現頻度が高いので、フィルターで質を上げます。増やし過ぎは禁物ですが、以下は初心者でも効果が出やすい組み合わせです。
フィルター1:主要トレンド方向を上位足で確認する
例:日足が上昇トレンドなら、4時間足の強気ダイバージェンス(押し目買い)を優先する。日足が下落なら、弱気ダイバージェンス(戻り売り)を優先する。
「上位足の流れに沿う」だけで、逆張りの事故が減ります。
フィルター2:出来高・ボラの変化(勢いの鈍化)を見る
株なら出来高が細る、FX/暗号ならATRが縮小するなど、勢いの鈍化が伴うと、ダイバージェンスの説得力が上がります。逆に、勢いが増しているのに逆張りするのは危険です。
フィルター3:イベント前後は別物と割り切る
決算、雇用統計、FOMCなどイベント直後は、テクニカルの前提が崩れやすい。イベントを跨いでポジションを持つなら、ストップを広げるかサイズを落とすなど、設計を変える必要があります。
検証の進め方:初心者でも“数字”で判断できる最短ルート
最終的に頼れるのは、自分のルールが過去にどう振る舞ったかです。難しい統計は不要で、まずは次の形で十分です。
ステップ1:ルールを紙に書けるレベルまで具体化する
例:①日足上昇トレンド(高値・安値切り上げ)
②4時間足で価格が高値更新、RSIが高値切り下げ(弱気ダイバージェンス)
③4時間足で直近押し安値を終値で割る
④割れた後、戻りで短期MAにタッチして陰線確定で売る
⑤損切りは戻り高値上、利確は直近サポート、残りはトレール
ここまで書けると、誰がやっても同じトレードになります。
ステップ2:サンプルを最低50回集める
10回ではブレます。まずは50回。可能なら100回。
記録するのは「エントリー根拠」「損切り幅」「利確幅」「結果」「スクリーンショット」だけで十分です。
ステップ3:勝率より“期待値”を見る
期待値=(平均利益×勝率)−(平均損失×負け率)です。
勝率が低くても平均利益が大きければ勝てます。逆に勝率が高くても平均損失が大きいと負けます。ダイバージェンスは後者に陥りやすいので、損切りの徹底が最重要です。
よくある失敗と対策:ここを潰すだけで成績は変わる
失敗1:強いトレンド中の“早すぎる逆張り”
対策:確認条件A(構造破壊)を必須にする。エントリーを遅らせてよい。
失敗2:どの山・谷でも線を引いてしまう
対策:スイング確定のルール(前後2〜3本など)と距離条件(10〜20本など)を入れる。
失敗3:損切りを曖昧にして粘る
対策:否定ラインに置く。損切り幅が広いならロットを落とす。損切りを動かさない。
失敗4:指標を足し過ぎて複雑化する
対策:最初は「価格構造+RSI+確認条件」まで。複雑化は検証できるようになってから。
すぐ使えるチェックリスト:エントリー前に5つだけ確認
1)価格のスイング高値/安値が明確か
2)RSIの山/谷が対応しており、通常ダイバージェンスの定義に合うか
3)スイング間に十分な距離があるか(ノイズではないか)
4)確認条件(構造破壊、MA/VWAP、RSI50など)を満たしたか
5)損切り位置が“否定ライン”として合理的で、サイズ調整も済んでいるか
この5つを満たさないトレードは、見送る方が長期的に有利になりやすいです。
まとめ:ダイバージェンスは「予兆」だからこそルールが効く
RSIダイバージェンスは、相場のモメンタム低下を可視化する強力なヒントです。ただし、シグナル単体で勝とうとすると、だましで削られます。勝ち筋は、①定義の固定、②比較対象の手順化、③確認条件の導入、④否定ラインでの損切り、⑤期待値での検証——この5点に集約されます。
最初は「通常ダイバージェンス+構造破壊→戻りエントリー」の型だけで構いません。これを50回検証し、数字で手応えが出たら、時間足やフィルターを拡張してください。相場は常に変化しますが、再現可能なルールと検証習慣は、変化に耐える武器になります。


コメント