オーバーとアンダーの逆転を使ったトレンド反転の初動判断:板・歩み値・分足で読む“本尊”の転換点

取引手法

相場は「上がるか下がるか」ではなく、「誰がどこで在庫(ポジション)を抱え、どの価格帯で在庫を入れ替えるか」で動きます。ニュースや指標より先に、需給の転換が板(注文)と歩み値(約定)に出ることは珍しくありません。

その中でも、短期売買で非常に使い勝手が良いのが「オーバーとアンダーの逆転」です。ここで言うオーバーは買いが優勢で価格が上方向に押し上げられやすい状態、アンダーは売りが優勢で下方向に押し下げられやすい状態を意味します。重要なのは、“状態”が逆転する瞬間に、反転の初動が出やすいという点です。

本記事では、初心者でも再現できるように、オーバー/アンダーを数値化し、板・歩み値・分足出来高を組み合わせた「逆転検知 → 確認 → 仕掛け → 撤退」までを、株・先物・FX・暗号資産の共通ロジックとして整理します。相場観ではなく、チェックリストで運用できる形に落とします。

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  1. オーバーとアンダーの「定義」を曖昧にしない:まずは計測できる形にする
  2. なぜ「逆転」が効くのか:在庫の入れ替えが起きる瞬間だから
  3. 初心者が最初に覚えるべき「逆転の3タイプ」
  4. 実戦フロー:逆転を「検知」してから仕掛けるまでの5ステップ
  5. ステップ1:観測窓を固定する(30秒/1分/5分)
  6. ステップ2:逆転を数値で判定する(簡易ルール)
  7. ステップ3:価格が“反応する場所”を限定する(水平ライン/節目/VWAP)
  8. ステップ4:確認条件を1つ足す(だましを潰す)
  9. ステップ5:損切り位置を“先に”決めてから入る
  10. 具体例1:日本株(大型株)でのオーバー→アンダー逆転:高値更新失敗からの初動ショート
  11. 具体例2:日経平均先物でのアンダー→オーバー逆転:投げ売り後の吸収からの反発取り
  12. 具体例3:FX(ドル円)での逆転:スプレッドと“時間帯”を味方にする
  13. 具体例4:暗号資産(BTC)での逆転:未決済建玉の変化を“補助輪”にする
  14. だましを減らす「逆転フィルター」:この3つだけは必ず見る
  15. エントリーより重要:利確と撤退の設計(初心者が負ける原因の大半)
  16. 検証のやり方:初心者でもできる“シンプルなバックテスト”
  17. よくある誤解と失敗:ここを直すだけで成績が変わる
  18. 実戦チェックリスト:この順番で見るだけ
  19. まとめ:逆転は“サイン”ではなく“構造”を読む道具

オーバーとアンダーの「定義」を曖昧にしない:まずは計測できる形にする

最初に断言します。オーバー/アンダーを感覚で語り始めると、再現性が消えます。そこで、以下のように“計測できる形”にしておくと、判断がブレません。

定義A:歩み値の買い成行/売り成行のバランス(テープベース)
取引所の歩み値(約定)から、一定区間(例:30秒、1分、5分)で「買い成行(アグレッシブ買い)」と「売り成行(アグレッシブ売り)」の金額または数量を集計します。
・買い成行が優勢=オーバー(上に押し上げる圧力)
・売り成行が優勢=アンダー(下に押し下げる圧力)

定義B:板の厚みと更新頻度(オーダーブックベース)
板の上位数ティック(例:5〜10ティック)における、買い板合計/売り板合計の比率を見ます。さらに重要なのは“厚み”より“更新頻度”です。厚い買い板が何度も食われては復活するなら買い側が意図的に支えている可能性が高い。一方、厚い板が急に消えるなら見せ板・逃げ足の可能性もある。

定義C:分足のVWAP/短期MAに対する位置と戻り方(プライスアクションベース)
逆転は、価格がVWAP(または短期移動平均)を跨いだ瞬間よりも、その後の「戻り方」で確度が上がります。跨いでも、すぐ戻されるのは典型的なだましです。

この記事では、初心者が扱いやすいよう、主に定義A(歩み値のバランス)を軸に、定義B/Cで確認する流れを推奨します。

なぜ「逆転」が効くのか:在庫の入れ替えが起きる瞬間だから

トレンドが続く局面では、追随勢が増え、反対売買(利益確定や逆張り)は吸収されます。しかし、どこかで「追随の燃料」が尽きます。そこで起きるのが在庫の入れ替えです。

例えば上昇トレンドの終盤。買い成行が減り、売り成行が増えてくる。にもかかわらず価格が高値圏で横ばいになる。このとき、内部では「買いの勢いが弱いのに下がらない(下げが吸収される)」状態が起きます。ここから、支え役(買い側)が撤退する、または売り側が一気に踏み込むと、オーバー→アンダーが明確に逆転し、反転が走りやすくなります。

逆に下落トレンド終盤では、売り成行が減り、買い成行が増え、安値圏で横ばいになる。ここからアンダー→オーバーの逆転が起きると、ショートの買い戻しも重なって初動が速くなります。

初心者が最初に覚えるべき「逆転の3タイプ」

逆転は一枚岩ではありません。まずは以下の3タイプだけ覚えると整理しやすいです。

タイプ1:吸収→逆転(最も狙い目)
反対売買が出ても価格が崩れない(吸収)→その後に成行バランスが逆転する。
特徴:損切りを浅く置きやすく、だましを減らせます。

タイプ2:ブレイク失敗→逆転(だまし後の反転)
高値(安値)を更新しようとして失敗→戻される→成行バランスが逆転。
特徴:エントリーは“戻り確認後”が安全。勢いに飛び乗ると狩られやすい。

タイプ3:ニュース/指標で過剰反応→逆転(ボラ取り向き)
一気に動いた後、スプレッド拡大や板薄で振り回された後に逆転。
特徴:勝てるが難しい。初心者は無理に狙わず、リスク管理が先。

実戦フロー:逆転を「検知」してから仕掛けるまでの5ステップ

ここが本題です。以下の順番で進めると、勢い任せの売買から抜けられます。

ステップ1:観測窓を固定する(30秒/1分/5分)

短期売買は「どの時間軸で見ているか」が一致しないと、同じチャートでも判断が割れます。最初は以下で十分です。

・超短期(スキャ):30秒〜1分(FX/暗号資産で有効)
・デイトレ:1分〜5分(株・先物で扱いやすい)
・スイングの初動:5分〜15分(先物・大型株向き)

観測窓を固定したら、その窓で「買い成行/売り成行」を比較します。体感ではなく、一定時間で区切るのがポイントです。

ステップ2:逆転を数値で判定する(簡易ルール)

難しい指標は不要です。以下のような“簡易判定”で十分に機能します。

簡易判定例(1分窓)
・直近1分の買い成行金額 ÷ 売り成行金額 = 1.20以上 → オーバー
・直近1分の買い成行金額 ÷ 売り成行金額 = 0.83以下 → アンダー
・上記がオーバー→アンダー、またはアンダー→オーバーに切り替わったら「逆転検知」

比率の閾値(1.20/0.83)は、銘柄や市場で最適が変わります。最初は固定で運用し、後述の検証で調整してください。

ステップ3:価格が“反応する場所”を限定する(水平ライン/節目/VWAP)

逆転は、どこでも起きます。だからこそ「どこで起きた逆転を取るか」を決めないと、シグナルが多すぎて疲弊します。初心者におすすめは次の3つだけです。

1) 直近高値/安値(前回の反転点)
2) キリ番(例:日経先物の節目、FXのラウンドナンバー、暗号資産の大台)
3) VWAP(当日参加者の平均コスト)

これらは参加者が意識しやすく、逆転が“意味を持つ”場所です。逆転が検知されても、何もない場所なら見送ります。

ステップ4:確認条件を1つ足す(だましを潰す)

逆転検知だけで飛び乗ると、往復ビンタになりがちです。確認条件を1つだけ足してください。おすすめは以下のいずれか1つです。

確認A:VWAPを跨いだ後に、戻り売り/戻り買いが失敗する
上昇→下落に転じるなら、VWAP下での戻りが弱い(戻してもVWAPで叩かれる)ことを確認。

確認B:反転方向の出来高が増える
下落へ転じるなら、売り成行優勢に加え、反転側(売り)の出来高が増える。

確認C:板の“逃げ”が見える
支えていた買い板が薄くなる、または消える。逆に売り板が上から積まれる。

確認条件は1つで良いです。増やしすぎると、今度は入れなくなります。

ステップ5:損切り位置を“先に”決めてから入る

逆転の優位性は、初動を取れることにあります。初動は損切りも浅くできます。具体的には、以下のいずれかが基本です。

・直近の戻り高値/戻り安値の外側(数ティック/数pips)
・VWAPを再び跨いだら撤退(逆転否定)
・ブレイク失敗型なら、ブレイク起点の高値/安値を超えたら撤退

「どこで間違いと認めるか」が明確なほど、逆転トレードは安定します。

具体例1:日本株(大型株)でのオーバー→アンダー逆転:高値更新失敗からの初動ショート

想定シナリオ:前場に強く上昇した大型株が、前日高値付近で伸び悩んでいる。

1分足で見ると、高値を更新しようとするたびに上ヒゲが出る。一方で歩み値は、更新局面で買い成行が減り、売り成行が増える。しかし価格はすぐに崩れず、板の買いが下で受けているように見える(吸収)。

ここでのポイントは「崩れないから強い」と決めつけないことです。高値圏で崩れないのは、買いが強いからではなく、売りを吸収しているだけかもしれません。

逆転の検知:直近1分の成行比率が、買い優勢(例:1.3)→売り優勢(例:0.7)へ変化。さらにVWAPを割り、戻りでVWAPに届かず叩かれる(確認A)。ここで“オーバー→アンダー逆転が確定”とみなします。

エントリー:VWAP下での戻りが失敗した瞬間にショート(または戻り高値割れ)。
損切り:戻り高値の上(数ティック上)。
利確:まずは直近の押し安値(前場の押し目)で半分利確。残りは出来高が鈍化し、再びオーバーになりかけたら手仕舞い。

初心者がやりがちな失敗は、高値圏での最初の売り成行優勢を見てすぐ売ることです。高値圏は“踏み上げ”も起きやすいので、必ず確認条件(VWAP戻り失敗など)を挟むと事故が減ります。

具体例2:日経平均先物でのアンダー→オーバー逆転:投げ売り後の吸収からの反発取り

想定シナリオ:寄り直後に急落し、安値更新が続く。しかし一定の安値帯で、売り成行は出続けるのに価格が下がらなくなる。

これは典型的な「吸収」です。売りが出ても下がらない=下で誰かが買っている。ここで、売り成行が減り、買い成行が増え始めると、アンダー→オーバーの逆転が起きます。

逆転の検知:5分窓で売り優勢が続いた後、1分窓で買い優勢に転換。さらに安値更新が止まり、ダブルボトムのような形で“安値を守る”動きが出る。

エントリー:安値帯からの最初の反発で入るのではなく、いったん戻って押したときに、押しが浅く、再び買い成行優勢が出たタイミングでロング。
損切り:直近安値の下。
利確:VWAPまで、または直近戻り高値まで。VWAPに届いたら一度利確し、VWAP上に定着できるなら追随、叩かれるなら撤退。

先物は値動きが速いので、逆転の初動を取れるとリスクリワードが大きくなります。逆に、初動を逃して高いところで追いかけると、すぐ狩られます。

具体例3:FX(ドル円)での逆転:スプレッドと“時間帯”を味方にする

FXは板情報が限定される環境も多いので、歩み値ベースの概念を「ティック出来高」「急騰急落の戻り方」に置き換えます。

例えばドル円のロンドン時間寄りで上昇が加速したが、キリ番(例:150.00)付近で伸び悩む。ここで、上昇の勢い(上げのスピード)が落ち、上げてもすぐ戻される。ティック出来高が増えているのに進まない(吸収)状態が見えたら要注意です。

逆転の検知:1分足で、高値更新が止まる→戻りでVWAP(または短期MA)を割る→戻りが弱い(確認A)。
注意点:指標直後はスプレッドが広がるため、損切りが滑りやすい。初心者は指標直後の逆転取りは避け、流動性が戻ってからの“2波目の逆転”を狙う方が安定します。

具体例4:暗号資産(BTC)での逆転:未決済建玉の変化を“補助輪”にする

暗号資産は24時間で、フェイクのブレイクも多いです。その代わり、デリバティブ指標(未決済建玉、資金調達率など)が見られる環境があるのが強みです。

例えば急騰局面で未決済建玉が急増し、資金調達率が偏り、買いが過熱している。ここで高値更新が止まり、オーバー→アンダーに逆転した場合、ロングの巻き戻しが連鎖しやすい(下落が速い)という特徴があります。

エントリーは、逆転検知+戻り失敗(確認A)を満たした上で、ポジションサイズを控えめに。暗号資産は一瞬で取り戻す動きもあるため、逆転の否定(VWAP再奪還など)を見たら即撤退が基本です。

だましを減らす「逆転フィルター」:この3つだけは必ず見る

逆転は強力ですが、シグナルとしては頻発します。そこで、だましを減らすフィルターを3つだけ提示します。全部見る必要はなく、習慣化できるものからで構いません。

フィルター1:逆転が起きる場所が“意味のある場所”か
高値/安値、キリ番、VWAP、前日終値、前日高安など、参加者が意識するラインで起きた逆転だけを採用する。

フィルター2:逆転後に“走る燃料”があるか
上昇→下落なら、買い勢の損切りや利確が出やすい位置か。下落→上昇なら、ショートの買い戻しが出やすい位置か。燃料がないと、逆転してもレンジで終わります。

フィルター3:逆転の直前が“加速”していたか
加速の後の逆転は、巻き戻しも速い。逆に、ダラダラの後の逆転は、値幅が出にくい。期待値(取れる値幅)が変わるので、利確目標も変える。

エントリーより重要:利確と撤退の設計(初心者が負ける原因の大半)

逆転トレードで勝てない人は、シグナルの見間違いよりも「利確が遅い」「撤退が遅い」ことが多いです。逆転は初動が強く、その後はレンジ化しやすい。つまり“最初の伸び”を取る発想が合っています。

利確の基本:段階利確
1) 最初のターゲット:直近の押し安値/戻り高値、またはVWAP
2) 次のターゲット:日中高安、前日高安、節目
最初のターゲットで半分利確し、残りはトレーリング(逆転が再逆転したら撤退)にすると、伸ばしすぎの失敗が減ります。

撤退の基本:逆転の否定を見たら即撤退
逆転で入ったのに、再びオーバー/アンダーが元に戻る、VWAPを再び跨ぐ、戻りが強くなる。これは「あなたの仮説が外れた」サインです。迷わず逃げる。逆転はスピード勝負なので、撤退もスピード勝負です。

検証のやり方:初心者でもできる“シンプルなバックテスト”

「本当に効くのか?」は、検証でしか確信になりません。ただし、最初から難しい統計は不要です。以下のやり方で十分です。

1) 直近20回の逆転(アンダー→オーバー、オーバー→アンダー)を抽出する
2) 逆転が起きた場所(VWAP/キリ番/高安)をメモする
3) 逆転後、5分以内にどれだけ伸びたか(最大伸び)と、どれだけ逆行したか(最大逆行)を記録する
4) 自分が置きたい損切り幅で、勝率と平均損益をざっくり計算する

ここで重要なのは、勝率ではなく平均損益(期待値)です。逆転は勝率がそこそこでも、損切りが浅く利確が取れるとプラスになります。逆に、損切りが深いと、勝率が高くても一発で崩れます。

よくある誤解と失敗:ここを直すだけで成績が変わる

失敗1:逆転を見た瞬間に飛び乗る
→確認条件を1つ挟む(VWAP戻り失敗など)。

失敗2:逆転を“万能の天井・底”と勘違いする
→逆転は「初動の可能性」。レンジで終わることも多い。利確は早めに段階で。

失敗3:損切りが感情で遅れる
→逆転の否定(再跨ぎ、再逆転)を撤退ルールに固定する。

失敗4:逆転の頻度が多すぎて疲れる
→“意味のある場所だけ”で取る。シグナルを減らすのが上達の近道。

実戦チェックリスト:この順番で見るだけ

最後に、実際の画面で迷わないためのチェック順をまとめます。これをそのまま読み上げるつもりで使ってください。

1) 今どこ?(VWAP/高安/キリ番/前日ライン)
2) 直近1分(または5分)の成行バランスは?(オーバー/アンダー)
3) 逆転した?(比率が閾値を跨いだ?)
4) 確認条件は満たした?(VWAP戻り失敗/出来高増/板の逃げのどれか1つ)
5) 損切りはどこ?(否定されたら撤退できる位置?)
6) 最初の利確はどこ?(VWAP/押し安値/戻り高値)

まとめ:逆転は“サイン”ではなく“構造”を読む道具

オーバーとアンダーの逆転は、単なるテクニカル指標ではありません。市場参加者の在庫が入れ替わる構造を、板・歩み値・分足で観測するための考え方です。初心者がこの考え方を身につけると、相場が「当たる/外れる」から「優位性がある/ない」へ変わります。

まずは、観測窓を固定し、逆転を数値で判定し、VWAPや節目でだけ仕掛ける。この3点に絞って練習してください。シンプルに運用できるほど、結果は安定します。

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