前日終値ギャップ率で読む“窓埋め”の初動判断:寄り付き10分のシナリオ設計

株式投資

前日終値から寄り付きが大きく離れて始まる「ギャップ(窓)」は、短期トレーダーにとって最も再現性を作りやすい局面のひとつです。理由はシンプルで、寄り付き直後に「買い戻し」「投げ」「アルゴの寄り成り」「指数連動の注文」が集中し、価格が一方向に走るか、反対方向に素直に戻るかが、短時間で決着しやすいからです。

ただし「窓は埋まる」だけを信じて逆張りすると、トレンド初動に轢かれて終わります。勝ち筋は、ギャップの大きさを“入口”にしつつ、寄り付き10分で『埋めに行く窓』か『走る窓』かを判別し、入る・見送る・撤退を機械的に決めることです。

この記事では、前日終値からのギャップ率を軸に、窓埋めトレードの「初動判断」を具体的に解説します。個別株を中心に書きますが、指数先物やFXでも考え方はほぼ同じです。

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ギャップ率とは何か:窓の“深さ”を数字で固定する

ギャップ率は、前日終値(C)と当日寄り付き(O)の離れ具合を%で表したものです。

ギャップ率(%)=(O − C)÷ C × 100

例えば前日終値が1,000円で、寄り付きが1,030円なら +3.0% のギャップアップ。寄り付きが970円なら −3.0% のギャップダウンです。ここで重要なのは、「同じ+30円」でも株価水準が違えば意味が変わる点です。1,000円の+30円は+3%ですが、10,000円の+30円は+0.3%で、値動きの“圧”が違います。ギャップ率は、その違いを強制的に揃えて比較できるのが強みです。

窓埋めが起きやすい“4つの理由”:需給の正体を知る

窓が埋まる背景は「心理」ではなく、具体的な注文フローで説明できます。代表的には次の4つです。

1)利確と損切りが同時に発生する:ギャップアップなら、前日から持っていた人の利確売りが出ます。同時に、空売り勢は踏まれて買い戻しを迫られます。ギャップダウンなら、信用買いの投げ・追証回避の成行が出やすい一方、ショート勢は利確買い戻しを入れやすい。つまり寄り付き付近は、反対売買がぶつかりやすいのです。

2)寄り成りの集中:ニュースや決算で注目された銘柄ほど、寄り成りが増えます。寄り付きは一度で価格が決まるため、そこが過剰に振れやすい。過剰に振れた分が、短時間で戻る(=窓埋め)ことがあります。

3)指数連動・裁定の介入:大型株や指数寄与度が高い銘柄は、先物・ETF・裁定取引のフローが寄り付きに絡みます。個別ニュースが薄いギャップは、指数フローの歪みが原因の場合があり、歪みが解消すると戻りが出やすい。

4)ボラティリティの“平均回帰”:寄り付き直後はスプレッドが広がりやすく、板も薄いことが多い。薄い板でついた価格は“真の合意価格”ではない場合があり、流動性が戻ると適正水準へ回帰しやすい。

まず結論:ギャップ率で相場を3分類しないと話が始まらない

窓埋めの難しさは、窓のサイズによって別ゲームになることです。目安として、まずギャップ率を次の3つに分けて考えます(個別株・通常地合いを前提)。

A:小さな窓(おおむね±0.3%〜±1.0%):ノイズ領域。寄り付き後に埋まるかどうかよりも、出来高・VWAP・指数の方向性が優先されます。窓埋め狙いの優位性は薄いので、無理に窓を理由に逆張りしない。

B:中くらいの窓(おおむね±1.0%〜±3.0%):最もチャンスが出やすい領域。寄り付きの過剰反応が起きやすく、かつ「今日はトレンドの日だ」と断定するには材料が弱いことも多い。初動を見て、窓埋めか順行かを判断して乗れる。

C:大きな窓(おおむね±3.0%〜±8.0%):材料主導の日。窓埋めは“起きることもある”が、起きない日の損失が致命傷になりやすい。ここは窓埋めより、「走る窓を押し目で拾う」視点が主戦場。窓埋めをやるなら、条件を厳格にする。

※ストップ高・ストップ安級(±8%〜)は別枠。板・規制・値幅制限が絡み、普通の窓埋めモデルが通用しません。

“窓埋め”と“走る窓”の違い:寄り付き10分で見分ける観察ポイント

寄り付き後の最初の10分は、窓埋め派とトレンド派のどちらが優勢かを判定するのに十分な情報が出ます。見るべきは次の5点です。

① 寄り付きの出来高が「平常の何倍」か

前日同時刻(寄り付き〜5分)の出来高と比較して、2倍程度なら通常、5倍以上なら“イベント級”です。イベント級の出来高は、窓埋めよりもトレンド継続(走る窓)になりやすい。なぜなら、受け渡し(売り手⇔買い手)の主体が入れ替わり、価格帯が“更新”されやすいからです。

② 寄り付き直後の値動きが「一気に埋める」か「埋めに行って跳ね返される」か

ギャップアップなら、寄り付き後に下へ向かって前日終値を試しに行く動きが出ます。このとき、前日終値に近づくほど売りが強まって止められるなら「走る窓」寄りです。逆に、寄りの数分でスルッと前日終値方向へ戻るなら、窓埋めの可能性が上がります。

③ VWAPに対して価格が“上に張り付く”か“下に戻される”か

寄り付き後にVWAP(当日出来高加重平均価格)が形成され始めます。価格がVWAPの上で推移し続けるなら買い優勢、下で推移し続けるなら売り優勢。窓埋めは、一度VWAPを割り込んでから戻れないなどのサインが出ると失敗しやすいです。

④ 板(気配)に「逃げる厚み」があるか

窓埋めで重要なのは、埋める方向へ“行きやすい板”かどうかです。例えばギャップアップで窓埋め狙い(下方向)をするなら、下の買い板が薄く、上の売り板が厚い方が、下への滑り(=埋め)を起こしやすい。逆に下が厚く支えられているなら、売っても落ちづらく、埋め切れないまま反転して損切りになりやすい。

⑤ 指数(TOPIX・日経先物)と“同方向”か“逆方向”か

個別株のギャップが、指数の強弱と同方向なら「地合いが背中を押す」状態になり、走る窓になりやすい。逆方向なら、指数フローが相殺し、窓埋めが起きやすいケースがあります(もちろん材料が強い場合は例外)。

実戦ルール①:寄り付き直後に入らない。最初の“足”を待つ

初心者が窓埋めで最もやりがちな失敗は、寄り成り直後に反射で逆張りすることです。寄り付き直後はスプレッドが広く、約定が滑りやすい。さらに最初の価格は「注文の偏り」で決まるため、最初の1〜2分は情報が少なすぎるのです。

実務的な解は単純で、「最初の1本(1分足または3分足)が確定するまで何もしない」というルールにします。これだけで、寄りの無駄な往復ビンタが激減します。

実戦ルール②:窓埋め狙いは“前日終値までの距離”で利確を設計する

窓埋めトレードは、ゴール(前日終値)が明確です。だからこそ、利確は「気分」ではなく距離で設計します。

例:前日終値 1,000円、寄り付き 1,030円(+3%)。窓埋め狙いは下方向です。ここでの利確設計は、いきなり「1,000円まで取る」ではなく、段階を作ります。

・第一利確:ギャップの1/3戻し(1,030→1,020付近)
・第二利確:ギャップの2/3戻し(1,030→1,010付近)
・最終利確:前日終値(1,000付近)

なぜ段階が必要か。窓埋めは「埋め切らずに反転」が頻発するからです。特に+3%〜+5%のギャップでは、1/3や2/3でいったん止まり、そこから買いが再点火して高値更新するパターンが多い。“埋め切るまで粘って勝ちを捨てる”のを避けるために、距離ベースで機械的に降ろします。

実戦ルール③:損切りは「寄り付き直後の高値(安値)」に置く。理由は明確

窓埋めは逆張りです。逆張りの損切りを曖昧にすると、負けが大きくなります。おすすめは、寄り付き直後に付けた高値(ギャップアップで売る場合)、または安値(ギャップダウンで買う場合)を明確な撤退ラインにすることです。

理由は2つあります。

1)初動の極値を更新したら“走る窓”の確率が跳ねる:寄り付き直後の高値を再び抜く(または安値を割る)ということは、反対売買の吸収が終わり、順行が勝ったサインになりやすい。

2)初心者でも迷いにくい:損切りラインは、引け後にチャートを見ても明確に検証できます。「このルールで負けたのは正しい負けだったか」を振り返りやすいのが、上達速度に直結します。

ケーススタディ①:+2.2%ギャップアップ、材料弱め→窓埋めが機能した例

想定シナリオです。前日終値 2,500円。寄り付き 2,555円(+2.2%)。ニュースは「同業の好決算で連想買い」程度で、当社固有の材料は弱い。指数は横ばい。

寄り付き後1分で2,565円を付けてから反落し、3分足で陰線。出来高は前日同時刻比で3倍程度。板は上に売り厚め、下は薄い。

この状況は、“走る窓”の条件(出来高爆発・指数同方向・材料強い)が揃っていません。窓埋め優位性が上がる局面です。

トレード設計(例):
・エントリー:2,548円(寄り付き後の戻り売り、1分足で安値更新を確認してから)
・損切り:2,566円(寄り付き直後の高値 2,565円の少し上)
・第一利確:2,535円(ギャップ1/3戻し)
・第二利確:2,518円(ギャップ2/3戻し)
・最終利確:2,500円(前日終値)

ポイントは、「入る場所」より「切る場所」が先です。逆張りは、正解のエントリーが後から分かることが多い。だから、損切りが明確でない逆張りは成立しません。

ケーススタディ②:+4.8%ギャップアップ、決算サプライズ→窓埋めが失敗しやすい例

前日終値 1,200円。寄り付き 1,258円(+4.8%)。決算で上方修正+自社株買い。寄り付きの出来高が前日同時刻比10倍。指数も上昇。

このとき初心者がやりがちなのが、「+4.8%は上げすぎだから売り」で入ってしまうことです。しかし、この状況は、買いの主体が強く、窓を埋めずに“窓を土台にして上へ拡張する”典型です。寄り付き後に少し下げても、VWAP付近で買いが湧き、再び高値更新しやすい。

ここでの合理的な発想は逆で、窓埋めは見送り、「押し目で順張り」です。例えば、寄り付き後の最初の押し(1〜3分足での調整)がVWAP付近で止まり、再びVWAPを上抜けるタイミングで入る。損切りはVWAP割れや押し安値割れ。利確は前日比の節目(+7%、+10%)や板の厚い価格帯です。

“窓埋めをやっていい日”のチェックリスト:条件が揃わないならやらない

窓埋めは、やる日を選ぶだけで成績が大きく改善します。次の条件が多く揃うほど、窓埋めの期待値が上がります。

・材料が弱い(連想・噂・地合い・需給)
・寄り付き出来高が爆発していない(目安:前日同時刻比5倍未満)
・指数が逆風ではない(逆風だと走る窓になりやすい)
・寄り付き後に“窓を埋める方向”へ素直に一度動く
・VWAPが埋め方向への加速を邪魔していない(VWAPで止められていない)
・板が埋め方向へ抜けやすい(支えが薄い)

逆に、「決算」「業績修正」「規制緩和」「大型契約」など強材料+出来高爆発がある日は、窓埋めは“危険な逆張り”になりやすい。勝っても小さく、負けが大きくなる構造です。

ギャップダウンの窓埋め:上げより難しい理由と、やるならこの形

ギャップダウン(窓下)の窓埋めは、ギャップアップより難しいことが多いです。理由は、下げの局面では「投げ」が連鎖しやすく、下方向に流動性が消えるからです。加えて信用買いの追証回避が重なると、寄り付き後もしばらく売り圧が続きます。

それでもギャップダウンの窓埋めをやるなら、形を限定します。狙うのは、「ギャップダウン→寄り付きで投げが出る→すぐに下ヒゲを作って反発→VWAP回復」の形です。

具体例:前日終値 900円。寄り付き 864円(−4.0%)。寄り直後に860円割れまで売られるが、すぐに買い戻しで上へ戻り、1分足で下ヒゲ。出来高は増えているが10倍ではない。指数は横ばい。こういうとき、「安値を割れなくなった」事実が出てから入ります。損切りは下ヒゲの安値割れ。利確はギャップの1/3・2/3戻し、そして前日終値。

“窓埋めトレード”を再現性に変えるメモ:毎回同じログを残す

トレードが上手くならない最大の理由は、負けた原因が曖昧なまま次に進むことです。窓埋めは条件が明確なので、ログが取りやすい。毎回、最低限次の項目だけメモしてください。

・銘柄/前日終値/寄り付き/ギャップ率
・当日の材料の強さ(強・中・弱)
・寄り付き〜5分の出来高倍率
・指数の方向(上・下・横)
・エントリー理由(どのサインで入ったか)
・損切りライン(寄り高値/寄り安値/VWAP割れなど)
・結果(1/3戻し・2/3戻し・埋め切りのどこまで行ったか)

これを30回分集めると、自分が勝てるのが「B:中くらいの窓」なのか「C:大きい窓の押し目順張り」なのかが見えてきます。勝てる条件を言語化できた瞬間に、トレードは“運”から“作業”に変わります。

窓埋めを「期待値」で考える:勝率よりR倍(リスクリワード)を見る

初心者ほど勝率にこだわりますが、窓埋めは勝率だけを見ると罠にはまります。小さく勝って、大きく負けやすいからです。見るべきはR倍(リスクリワード)です。

例:損切りが−0.6%、第一利確が+0.3%なら、第一利確だけだと0.5R(損失の半分の利益)です。第二利確が+0.6%で1R、最終利確が+1.0%で1.67R。つまり、「一部利確しつつ、伸びたときだけ大きく取る」構造を作らないと、期待値が上がりません。

窓埋めで勝っている人は、実は「窓を埋め切った時だけ大きく勝つ」設計になっています。だから、埋め切りまで行かない日は、途中で降りて小さな利益を確保し、負けは初動の極値更新で早く切る。これが骨格です。

よくある失敗と修正:初心者が最短で改善するポイント

失敗1:ギャップが大きいほど窓埋めをやりたくなる
→修正:大きい窓ほど材料が強い可能性が高い。まず材料の強さと出来高倍率で“やらない日”を決める。

失敗2:前日終値まで届かなかった=失敗だと思う
→修正:窓埋めは段階利確が前提。1/3戻し・2/3戻しで獲れていれば、設計通りの成功。

失敗3:損切りが遅れて戻るのを祈る
→修正:寄り高値(寄り安値)更新は撤退サイン。更新したら“走る窓”側に世界が変わったと割り切る。

失敗4:見送りができない
→修正:見送りはコストゼロの最強の判断。窓埋めは毎日ある。条件が悪い日は「観察→ログだけ残す」が正解。

まとめ:ギャップ率は“窓埋め可否”の入口、勝負は寄り付き10分の判断

窓埋めトレードは「窓は埋まる」という迷信でやるものではなく、ギャップ率でサイズを分類し、材料・出来高・指数・VWAP・板の情報で“埋めに行く窓”だけを選別するゲームです。

最後に、最重要ポイントをもう一度だけ整理します。

・寄り付き直後に入らない。最初の足が確定してから判断する
・窓のサイズ(ギャップ率)で戦い方を変える
・窓埋めは段階利確、損切りは寄りの極値更新で機械的に
・強材料+出来高爆発の日は窓埋めを見送る(押し目の順張りへ)

この型を守るだけで、窓埋めは「運試し」から「再現性のある短期戦略」に変わります。まずは少額で、1トレードごとにログを残し、条件別の勝ち負けを可視化してください。

p-nuts

お金稼ぎの現場で役立つ「投資の地図」を描くブログを運営しているサラリーマン兼業個人投資家の”p-nuts”と申します。株式・FX・暗号資産からデリバティブやオルタナティブ投資まで、複雑な理論をわかりやすく噛み砕き、再現性のある戦略と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ実践できること、そして迷った投資家が次の一歩を踏み出せることを大切にしています。

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