- まずSQとは何か:価格が「清算」される仕組みを超ざっくり理解する
- SQの本質:ファンダではなく「ルールと需給」で歪みが出る
- なぜ『SQ前日』が本番になりやすいのか
- 前日の先物攻防を読む3ステップ:固定点を探す
- SQ前日に出やすい値動きパターン3選と、初心者の立ち回り
- 見るべき指標はこれだけ:初心者向けSQ前日チェックリスト
- SQ前日〜当日の具体的な戦略:初心者でも再現できる3つの型
- SQ前後で負けないためのリスク管理:初心者が最初に作るべきルール
- 具体例:SQ前日の読み→当日朝のプラン→エントリーまでの流れ
- よくある失敗と対策:SQを“ギャンブル日”にしない
- オプション建玉(OI)の見方:初心者は『壁の位置と厚さ』だけ見ればいい
- SQを武器にするための事後検証:翌月に繋げるメモの型
まずSQとは何か:価格が「清算」される仕組みを超ざっくり理解する
株式市場には「イベントが価格を作る日」があります。その代表がSQ(特別清算指数)です。SQそのものは難しく見えますが、短期トレードで重要なのは「SQ当日より、前日に先物がどこで粘るか」「その粘りが翌朝の寄り付きや寄り天・寄り底にどう繋がるか」という“癖”です。
この記事では、SQ値がどう決まりやすいかの基礎から、前日(木曜)に起きやすい先物の攻防、そして初心者でも再現しやすい監視項目・エントリーの型まで、具体例を交えて解説します。
SQの本質:ファンダではなく「ルールと需給」で歪みが出る
SQは、先物・オプション取引の最終的な清算価格を決めるための指数です。難しい用語を全部捨てて言うと、SQは「その月のイベント日、決められたルールで算出される“基準値”」です。
ポイントは2つです。
1つ目は、SQは“市場参加者の都合”で大きな資金が動きやすいこと。ヘッジ(保険)やポジションの整理で、普段よりも寄り付き付近や引け前に注文が偏ります。
2つ目は、SQは“朝の時間帯”に決まることが多い(日本では寄り付き周辺の価格が集計される)ため、前日から当日寄りまでの先物の位置取りが重要になることです。
つまり、SQは「ファンダや決算」ではなく、「ルールと需給」で値動きが歪みやすい日です。だからこそ、初心者でも“観測できる材料”が増え、型を作りやすいイベントでもあります。
なぜ『SQ前日』が本番になりやすいのか
SQは“当日だけ”を見ても遅いことが多いです。理由はシンプルで、当日朝に向けて大口が前日から先物を動かして「都合の良い位置」に置きにいく動きが出やすいからです。ここで言う“都合”は、上げたい・下げたいという単純な話ではありません。
実際には、以下のような目的が混ざります。
– オプションの建玉(未決済)に対するヘッジを軽くするため、特定の行使価格帯の近くに先物を寄せたい
– 先物と現物の裁定(サヤ取り)の解消を、できるだけ不利にならない価格帯で終わらせたい
– 月末・期末のリバランスやETFの売買が控えていて、当日の現物の寄り注文の偏りを読んで先物を先回りさせたい
この“目的の混在”が、SQ前日に独特の値動き(行って来い・不自然なヨコヨコ・引け前の急変など)を作ります。初心者がやりがちなのは、木曜の夜に「上げそう/下げそう」と方向だけで勝負してしまうことです。勝ちやすいのは、方向ではなく「価格帯(レンジ)」と「時間帯(いつ動きやすいか)」に着目するやり方です。
前日の先物攻防を読む3ステップ:固定点を探す
SQの前日に見たいのは、ニュースよりも「先物がどこで止められているか」です。具体的には次の3段階で整理します。
① 前日(木曜)の日中:守られている価格帯を探す
日中の高値・安値、VWAP、前日終値、25日移動平均線など、参加者が意識しやすい“共通の目印”で何度も反発・反落した水準があれば、その水準は「守りたいライン」になりやすいです。
② 木曜の引け前:不自然な“吸い込み”があるか
引けにかけて出来高を伴って先物が特定の価格帯に吸い寄せられることがあります。現物の引けと先物の引けは連動しやすく、SQが近いほど“終値の位置取り”が強くなります。
③ 夜間(米国時間):海外要因で崩れても、戻されるか
米国株の動きで先物が一度崩れても、東京時間に入る前に元の価格帯へ戻されると、翌朝も「その価格帯が基準(固定点)」になりやすいです。逆に、戻せない場合は“固定点の引っ越し”が起きたサインです。
初心者は①だけで満足してしまいがちですが、勝率が上がるのは②③まで含めて「固定点がどこに置かれそうか」を当てに行くアプローチです。
SQ前日に出やすい値動きパターン3選と、初心者の立ち回り
ここからは、よくあるパターンを3つに分けて、実際の売買の考え方まで落とし込みます。数字は例ですが、読み方の型はそのまま使えます。
パターンA:特定の価格を挟んで“張り付く”(固定モード)
例:日経225先物が36,000円を中心に、35,950〜36,050円で何時間も推移。
この場合、目的は「36,000円近辺で朝を迎えたい」可能性が高いです。初心者が取るべき行動は、ブレイク狙いより“戻り・押し”の短期回転です。
– 36,050円付近で売りが厚く、反落が速いなら、36,030→36,000の戻りを小さく抜く
– 35,950円付近で買い戻しが速いなら、35,970→36,000の押し目を小さく抜く
重要なのは「損切りを固定点の外側に置く」こと。固定モードはレンジなので、損切りが浅いほど期待値が上がります。
パターンB:上に振ってから戻す(上ヒゲ回収モード)
例:夜間に36,200円まで急騰したが、東京寄り前に36,050円へ戻る。
この動きは「上に踏み上げて、上の売り・ヘッジを一度処理し、その後“元の固定点”へ帰る」形になりやすいです。初心者の狙いは、戻しの途中を追うのではなく、戻しが終わった後の“再固定”です。
– 36,050円へ戻った後、36,000〜36,050でヨコヨコになれば、固定点が維持されている可能性が高い
– 36,050を割って戻れないなら、固定点が下に移るサイン
パターンC:下に振ってから戻す(投げ回収モード)
例:夜間に35,700円まで急落したが、東京寄り前に35,950円へ戻る。
これは「投げ(ロスカット)を誘発して流動性を確保し、買い戻して位置取りを戻す」形です。初心者がやりがちなのは、急落局面で慌てて売りに飛び乗ること。SQ前後は“投げを回収して戻す”ケースが多いので、急落時はまず「戻す力があるか」を観察してから動きます。
この3つのパターンに共通するのは、最終的に“ある価格帯に戻す/置く”力が働きやすい点です。方向感より、固定点とレンジ幅に注目してください。
見るべき指標はこれだけ:初心者向けSQ前日チェックリスト
次に、初心者でもチェックしやすい“監視項目”を、優先順位つきで示します。ツールは証券会社の先物チャートと板、そしてオプションの建玉情報(多くのサイトで公開)だけで十分です。
優先順位1:先物の「前日比」と「前日終値の回復/割れ」
SQ前日は、前日終値の上下で“心理”が切り替わります。前日終値を回復して引ければ「上の固定点が残りやすい」、割れて引ければ「下の固定点に寄せやすい」。たったこれだけでも、翌朝のギャップ(窓)想定が変わります。
優先順位2:板の“厚いゾーン”が移動しているか
板は一枚一枚見るとノイズですが、「厚みの中心」がどこにあるかだけを見ると役に立ちます。例えば、買い板の厚みが35,950→35,990へ上がってくるなら、固定点を上に持ち上げたい意図が疑えます。逆に売り板の厚みが36,050→36,000へ降りてくるなら、上値を抑えたい意図が疑えます。
優先順位3:夜間の急変後に“戻すスピード”があるか
急騰・急落は材料で起きますが、SQ前日は「材料で動いた後、どれだけ速く戻すか」が重要です。戻しが速いほど、固定点が維持されている可能性が上がります。
優先順位4:オプションの建玉(OI)で“壁”の位置を推測する
細かい計算は不要です。見たいのは「建玉が多い行使価格帯」です。例えば、36,000のコールとプットがどちらも多いなら、36,000近辺が“吸着点”になりやすい。片側だけ極端に多いなら、その水準を抜けたときに一気に走ることもあります。
優先順位5:現物側の寄り付きで偏りそうなセクター
SQ前後は指数寄与度の大きい銘柄の動きが先物を引っ張ります。TOPIXと日経の差、半導体比率、銀行の強弱などを見て、「先物に追随しやすい現物がどっち向きか」を軽く当てておくと、寄りの初動で迷いにくくなります。
ここまでを“毎回のチェックリスト”にすると、SQ前日のノイズが整理されます。
SQ前日〜当日の具体的な戦略:初心者でも再現できる3つの型
次は、実際に「どうやってトレードに落とすか」です。SQ前日はボラが出るので、派手に儲けようとすると逆に負けやすいです。狙うのは“固定点周りの高確率の小さな歪み”です。
型1:固定レンジ回転(最優先・最もシンプル)
条件:
– 先物が特定の価格帯(例:36,000±50円)で2時間以上レンジ
– 板の厚みがレンジ中央へ寄る
やり方:
– レンジ上限で売り、下限で買い(逆張り)
– 損切りはレンジ外側に“短く”(例:上限+30円、下限-30円)
– 利確はレンジ中央または反対側手前(欲張らない)
ポイント:
固定レンジは「外に出たら意味が変わる」ので、損切りは機械的に切る。切れない人はロットを落とすべきです。
型2:固定点移動の初動だけ取る(ブレイクは“戻り確認”後)
条件:
– 夜間の急変後に戻せず、東京時間でも戻りが弱い
– 板の厚みの中心が一段ズレた
やり方:
– 旧固定点(例:36,000)への戻りが失敗した瞬間に順張り
– ただし“抜けた直後”ではなく、いったん戻って失敗したのを見てから入る
例:
36,000を割って35,930まで落ちる→35,980まで戻るが36,000を超えられず反落→35,960割れで売り
ポイント:
SQ前日はダマシも多いので、「戻り失敗」を条件にすると、初心者でも無駄なエントリーが減ります。
型3:寄り付き5分だけ勝負(当日朝のミニ戦術)
条件:
– 前日に固定点が明確
– 当日寄りでギャップが出た(上にも下にも)
やり方:
– 寄り付き直後は“方向”ではなく「ギャップを埋める力があるか」を見る
– 価格が前日固定点へ近づくなら、その途中を小さく取る
例:
前日固定点36,000。SQ当日寄りが36,120でスタート。
最初の1〜3分で36,080→36,050と素直に落ちるなら、36,000へ寄せる力が働いている可能性。36,040で一部利確、36,010で全利確のように段階で降りる。
逆に36,120のまま落ちないなら、固定点が上にズレた(36,100付近へ)と考え直す。
ポイント:
寄り直後はスプレッドや滑りが出やすいので、指値中心・ロット小さめが鉄則です。
この3つの型のうち、初心者は型1だけを徹底するのが最も現実的です。型2と型3は“慣れてから追加”で十分です。
SQ前後で負けないためのリスク管理:初心者が最初に作るべきルール
SQ前後はボラティリティが上がりやすく、普段の感覚でロットを張ると一撃で持っていかれます。ここは“戦術”より“運用ルール”が勝敗を決めます。特に次の3つは必須です。
① 1回の損失上限を「先に」決める
例:1回のトレードで最大-0.3%まで、1日最大-1%まで。SQ前後は連敗すると熱くなりやすいので、日次の上限が重要です。
② 損切り幅から逆算してロットを決める
固定レンジ回転なら損切りは30〜50円程度に収まることが多いです。例えば損切り50円で、許容損失が1万円なら、枚数は「1万円 ÷ 50円 = 200倍の価値」に合わせて調整します(取引単位に合わせて計算)。ロットを先に決めるのは逆です。
③ “見ない時間”を作る
SQ前日は無駄な上下動が多いです。固定点が明確でない時間帯に無理に触ると、手数料と精神力だけが削れます。自分の型(例:レンジが2時間続いたら触る)に当てはまらないなら、見ないのが正解です。
さらに、SQ前後は「ニュースに反応するアルゴ」が増えます。重要指標や要人発言の時間が重なるなら、その前後だけノートレードにするなど、事故を避ける設計が必要です。
具体例:SQ前日の読み→当日朝のプラン→エントリーまでの流れ
ここまでの話を、1つの物語としてまとめます。イメージできると、当日迷いが減ります。
前提:
– 木曜の昼、日経225先物は35,980〜36,060でレンジ。中心は36,020。
– 引けにかけて36,000付近に吸い寄せられ、現物引け後も36,000を割らずに推移。
– 夜間、米国株が弱く一時35,880まで急落したが、すぐに36,000へ戻して35,980〜36,020で落ち着く。
この状況の読み:
「下に振って投げを回収した後、36,000を守って再固定している」。固定点は36,000近辺の可能性が高い。
当日朝のプラン:
– 36,000±40円を基本レンジとして、レンジ回転を第一候補
– もし寄りが36,100以上なら、ギャップを埋める力があるかを最初の3分で確認し、36,050→36,020の戻りを小さく抜く
– 逆に寄りが35,900以下なら、35,950を超えて戻れるかを見て、戻り失敗なら型2へ切り替え
実際の売買(例):
寄り:36,080
1分後:36,050(下がる)
2分後:36,030(さらに下がる)
→「固定点へ寄せる力がある」と判断。36,040で小さく買い戻し(もしくは売りで取っているなら利確の準備)。
その後36,020で一部利確、36,005で全利確。
もし36,020で止まらず35,980まで落ちても、35,950で反発が速いなら“固定レンジ回転”として35,970で買い、36,000付近で手仕舞い。
ここで大事なのは、当てに行っているのが「上がる/下がる」ではなく、「どこに吸着しやすいか」という点です。SQ前後はこの“吸着”が起きやすいから、短期の期待値が組み立てやすいわけです。
よくある失敗と対策:SQを“ギャンブル日”にしない
最後に、初心者がSQ前後でやりがちな失敗を、対策つきで整理します。
失敗1:SQ当日だけ見て、前日の固定点を無視する
対策:木曜の昼〜夜で「何度も止まった価格帯」を1つだけ決める。迷うなら、前日終値近辺を暫定の固定点にする。
失敗2:ブレイクした瞬間に飛び乗ってダマシに遭う
対策:ブレイクは“戻り失敗”を確認してから。特にSQ前後はヒゲが増えるので、1回目の抜けは見送るくらいで丁度いい。
失敗3:ロットを上げて一撃で退場する
対策:損切り幅からロットを逆算。SQ前後は「いつもの半分」が基本。勝っても増やさない。
失敗4:材料に反応して追いかけ、戻しに巻き込まれる
対策:材料で動いた後の“戻す力”を見る。戻す力が強いなら固定モード、弱いなら固定点移動。どちらかが見えるまで触らない。
失敗5:手数料負け・精神負け
対策:自分の型の条件が揃ったときだけ取引する。条件が揃わない日は“見送ったこと自体が利益”です。
SQは「読めば必ず勝てる」イベントではありません。しかし、前日の固定点という“観測可能な仮説”を作り、それに沿ってレンジ回転や戻り失敗を取るだけでも、無駄な売買が減り、結果として収益が安定しやすくなります。次のSQでは、まず木曜の段階で固定点を1つ決め、板の厚みと戻しの速さで検証するところから始めてください。
オプション建玉(OI)の見方:初心者は『壁の位置と厚さ』だけ見ればいい
オプションの建玉(OI)を見るとき、初心者は「コールが多い=上がらない」「プットが多い=下がらない」と単純化しがちです。実際はもう少しだけ整理が必要です。ただし、難しい計算は不要で、見るポイントは“壁の厚さ”と“壁の位置”の2つだけです。
1) 壁の位置:建玉が最も多い行使価格帯は「吸着しやすい」
例:36,000のコールとプットの建玉が突出して多い。
この場合、ディーラーやヘッジャーは36,000付近で損益が安定しやすく、先物がそこへ寄るとヘッジ調整が減ります。結果として、36,000が磁石のように働くことがあります。
2) 壁の厚さ:片側だけ厚いと「抜けた後に加速」しやすい
例:36,000のコール建玉が非常に厚く、プットは薄い。
この場合、36,000を上抜けると、ヘッジの買い戻しが買いを呼び、意外と走ることがあります。逆に下方向は“受け”が弱いので、下に抜けると急落することもあります。要は「厚い壁=絶対に止まる」ではなく、「厚い壁の周りでヘッジが動きやすい」くらいに捉えるのが現実的です。
3) “最大痛点(Max Pain)”はヒント程度に使う
ネットでよく見るMax Painは、オプション買い手が最も損をしやすい価格帯の目安として語られます。ただし実務的には、参加者の構成が変わると機能しません。初心者が使うなら、「固定点候補が複数あって迷うときの補助」程度に留めるのが安全です。
結論として、OIは“方向当て”の道具ではなく、「固定点の候補を絞る」「抜けた後に走りやすい側を想定する」ための道具です。これだけで十分、トレードの質が上がります。
SQを武器にするための事後検証:翌月に繋げるメモの型
SQ前後のトレードは、勝った負けたで終わらせると再現性が上がりません。初心者ほど、次の“検証テンプレ”を作っておくと、上達が速くなります(メモ帳で十分です)。
– ① 前日の固定点候補:例)36,000(根拠:日中レンジ中心、引けで吸着、夜間に戻した)
– ② 夜間の最大乖離:例)-120円(35,880まで)
– ③ 戻しの速さ:例)30分で36,000回復
– ④ 当日寄り:例)36,080(ギャップ+80)
– ⑤ 最初の5分:例)36,080→36,030(固定点へ寄せる)
– ⑥ 自分の型:例)型3(寄り5分)、型1(固定レンジ回転)
– ⑦ 結果:利確・損切りの位置、滑り、改善点
これをSQのたびに3回分だけ溜めると、「自分が勝てるのは固定点が明確なときだけ」「夜間の戻しが遅いときはブレイクが有利」など、個人の得意不得意が見えてきます。すると、SQというイベントが“ただ怖い日”から、“条件が揃えば触る日”に変わります。


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