再生可能エネルギー(太陽光・風力)が増えるほど、「発電所が足りない」より先に起きやすいのが送電網(電力系統)の詰まりです。発電できても送れない。これが投資テーマとして面白い理由は、ボトルネックが明確で、しかも解消には時間とお金がかかり、関連企業の受注と収益が長期で積み上がりやすいからです。
本記事では、送電網更新がなぜ今“世界的な投資テーマ”になっているのかを、できるだけ初歩から説明しつつ、投資に落とし込むための具体的な見方(どの数字を追うか、どんな企業が儲かりやすいか、どんな落とし穴があるか)まで掘り下げます。個別銘柄の推奨ではなく、判断の型を作ることが目的です。
- 送電網とは何か:発電所とコンセントの間にある巨大な“道路網”
- なぜ今、送電網更新が急務なのか:3つの構造変化
- 「系統混雑」と「出力制御」を投資家はどう読むべきか
- 送電網更新で儲かる側の収益構造:誰が何で稼ぐのか
- 投資家が追うべき“数字”:ニュースより先に変化が出る指標
- 日本で起きやすい論点:再エネだけでなく「地域偏在」と「工場立地」が鍵
- テーマ株の探し方:送電網更新の“勝ち筋”にいる企業を絞り込む
- 「良いテーマ」でも負ける典型:投資家が踏みやすい落とし穴
- ポートフォリオへの組み込み方:分散の設計を“ボトルネック”に合わせる
- チェックリスト:投資判断の前に確認する10項目
- まとめ:送電網は“地味だが確度が高い”長期テーマになりやすい
- より深く理解する:送電網の「増強」と「賢くする」は別物
- 直流送電(HVDC)が注目される理由:距離と変動性の問題をまとめて解く
- 配電網(ラストワンマイル)の更新が効く場面:EVと分散電源の時代
- 市場心理の読み方:送電網テーマが株価で先行しやすい局面
- 具体例で練習:ニュース1本を投資判断に変換する手順
- 初心者のためのデータ入手先:難しい統計を追わずに“まず掴む”
- 最後に:このテーマで“勝ちやすい人”の共通点
- リスクシナリオと撤退ルール:テーマが外れたと判断する具体条件
送電網とは何か:発電所とコンセントの間にある巨大な“道路網”
電力は「発電→送電→配電→需要家(家庭や工場)」という流れで届きます。送電網は高電圧の送電線・鉄塔・変電所・系統制御システムなどの集合体で、例えるなら高速道路とインターチェンジです。道路が細い、老朽化している、事故が多い、渋滞する——こうなると物流が止まるのと同じで、電気も流せません。
送電網がボトルネックになる場面は、想像以上に多いです。例えば「晴れた昼に太陽光が大量発電→需要はそこまで伸びない→送電線が混み合う→出力制御(いわゆる“捨てる”)が発生」という状況。これは発電設備が悪いのではなく、系統側の受け皿が足りないことが原因です。
なぜ今、送電網更新が急務なのか:3つの構造変化
①再エネの立地が“遠い”。風力は沿岸・洋上、太陽光は日照条件の良い郊外や山間部に集まりがちです。需要地(都市圏・工業地帯)から遠いほど、長距離の送電が必要になります。これが、送電容量の増強や新設の需要を生みます。
②電力需要の質が変わった。電気自動車(EV)の充電、ヒートポンプ、データセンター、半導体工場など、電力を大量に・安定的に使う需要が増えています。需要が増えるだけでなく、停電許容度が下がります。つまり、送電網は「大きく」「強く」「賢く」なる必要があります。
③老朽化が同時進行。送電線や変電設備の寿命は長い一方、更新投資は後回しになりやすい。結果として、更新が一斉に必要になる“山”が来ます。再エネ拡大と老朽更新が同時に来るので、工事の人手・資材・機器の供給制約も起きやすく、単価上昇や納期遅延のリスクまで含めて市場のテーマになります。
「系統混雑」と「出力制御」を投資家はどう読むべきか
ニュースで「出力制御が増えた」「系統が混雑している」と聞くと、再エネ事業の逆風に見えるかもしれません。投資家としては、ここを一段深く読むべきです。出力制御は、短期的には再エネの売電量を削りますが、同時に送電網への投資不足が可視化された証拠でもあります。道路で言えば渋滞が増えた状態で、これは“道路拡張需要”があるということです。
具体例を作ります。ある地域で太陽光が急増し、昼のピークで送電線容量を超えるとします。電力会社は安全のため一部の発電所に出力抑制を要請します。すると発電事業者は「蓄電池を併設して抑制分を貯めて夜に売る」「需要家と直接契約して現地消費を増やす(PPA)」などの対策を取ります。ここで見えてくるのは、送電線だけでなく、変電所増強・系統用蓄電池・配電網のデジタル化といった周辺投資が連鎖する点です。投資テーマは“送電線一本”では終わりません。
送電網更新で儲かる側の収益構造:誰が何で稼ぐのか
関連企業を考えるとき、まず「どの工程でお金が動くか」を分解します。送電網更新は、ざっくり次の領域に分かれます。
(A)機器・資材:変圧器、開閉装置、遮断器、送電ケーブル、鉄塔、がいし、制御装置など。ここは受注が伸びやすい一方、銅・アルミ・鋼材などの原材料価格の影響も受けます。価格転嫁力がある会社ほど強いです。
(B)建設・エンジニアリング:送電線工事、変電所建設、地中送電工事、海底ケーブル敷設など。人手不足の影響が直撃します。受注は増えても、工期遅延や採算悪化が起き得るので、利益率の推移を必ず見る必要があります。
(C)系統運用のソフトウェア:需給調整、系統監視、配電自動化(DMS/SCADA等)、サイバーセキュリティ。電力は“動くインフラ”になっており、データと制御で効率が決まります。ハードより軽い資本で高い利益率が狙える場合もあります。
(D)周辺インフラ:蓄電池、パワーエレクトロニクス(PCS)、直流送電(HVDC)関連、計測・通信。再エネの変動性を吸収するため、送電網の“クッション材”が必要になります。
初心者が陥りがちなミスは、「送電網投資=電力会社が儲かる」と短絡することです。規制産業の電力会社は、投資が増えるほど短期利益が増えるとは限りません。一方で、上流の機器メーカーや工事会社、ソフト企業は、受注増が利益に直結しやすい。まずはこの構造を押さえるべきです。
投資家が追うべき“数字”:ニュースより先に変化が出る指標
送電網更新は長期テーマなので、日々のニュースだけ追うと疲れます。代わりに「先に変化が出る数字」を見ると、ブレが減ります。ここでは初心者でも追える形に落とします。
1)設備投資計画(CAPEX)の増減。電力会社・送配電会社・政府系機関が出す中期計画に、増強投資の枠がどれだけ積まれているか。投資枠が増えると、数四半期遅れて受注・売上が増えやすいです。
2)受注残(バックログ)と納期。機器メーカーや建設会社の決算資料に出る受注残は、将来売上の“貯金”です。さらに「納期が延びている」「供給制約がある」というコメントは、短期の利益率悪化と、長期の需要の強さが同居するサインです。
3)系統接続待ち(コネクション・キュー)。再エネやデータセンターが「作りたいのに接続できない」状態が増えると、送電網投資の圧力が増します。これは政策の文脈で語られやすいので、制度変更とセットで見ます。
4)出力制御の頻度・量。これは“渋滞指数”です。増えるほど短期にはネガティブに見えても、投資需要の根っこが太い可能性が高い。
日本で起きやすい論点:再エネだけでなく「地域偏在」と「工場立地」が鍵
日本の場合、送電網更新を読むときに「再エネの量」だけでは足りません。ポイントは需要の増える場所です。例えば、半導体工場やデータセンターの誘致は、地方でも起きます。ところが、地方の系統は都市部ほど余裕がないことが多く、工場一つで需給構造が変わるケースがあります。
具体例として、仮に地方に大規模データセンターが来るとします。24時間稼働で、瞬断が許されない。ここで必要なのは、単に「電力供給量」ではなく「系統の冗長性(ルートが複数あるか)」「変電所容量」「短絡容量」「保護リレーの整合性」など、専門的な要素です。こうした投資は地味ですが、案件化すると数年単位で続きます。投資家の目線では、受注が“点”ではなく“面”で広がることに注目します。
テーマ株の探し方:送電網更新の“勝ち筋”にいる企業を絞り込む
ここから実務的に(=実際の手順として)銘柄群を絞る方法を示します。手順はシンプルで、初心者でも再現できます。
ステップ1:工事と機器のボトルネックを特定する。送電線新設が難しい国・地域では、地中化や既存線の増強、直流送電、変電所の高効率化が重要になります。ボトルネックがどこかで、儲かる企業群が変わります。
ステップ2:カタログ企業より“採用される部品”企業を見る。派手な名前の大型メーカーだけでなく、特定部材でシェアが高い企業(例えば特殊ケーブル、絶縁材、保護装置、計測器など)は、価格交渉力を持つ場合があります。決算資料で「○○向けが伸びた」と書かれやすいのも特徴です。
ステップ3:受注残と利益率の“両方”を見る。受注残が増えているのに利益率が落ちている企業は、供給制約や人件費増を抱えている可能性があります。これは悪ではなく、改善の余地でもあります。初心者は「売上だけ伸びている」に飛びつきがちですが、利益率の方向が最重要です。
ステップ4:政策・規制の変更点を押さえる。送電網投資は制度に引っ張られます。例えば、接続ルール、系統利用料金、容量市場、需給調整市場、再給電方式など。制度が変わると、設備投資の優先順位が変わり、勝ち筋が入れ替わります。
「良いテーマ」でも負ける典型:投資家が踏みやすい落とし穴
送電網更新は魅力的ですが、負けパターンもあります。典型を先に知っておくと、傷が浅くなります。
落とし穴1:受注は増えるが利益が増えない。固定価格契約の工事、原材料高、労務費高、工程遅延。これらが重なると、売上は増えても利益が削られます。対策は、粗利率・営業利益率のトレンドと、会社のコメント(価格転嫁の進捗)を継続的に見ることです。
落とし穴2:投資タイミングが早すぎる。長期テーマは「正しいが時間がかかる」ことが多い。株価は期待で先に動き、実需が来るまで調整することもあります。初心者は“テーマに乗る=今すぐ買う”になりがちですが、現実には、受注残が増え始めた局面や、設備投資計画が上方修正された局面など、確認できるシグナルを待つ方が勝率が上がります。
落とし穴3:バリュエーションがテーマで膨らむ。成長期待でPER等が上がった銘柄は、金利上昇や景気悪化で簡単に萎みます。テーマ株は「業績×評価」の二段階で負ける可能性があるため、利益成長の確度を重視します。
ポートフォリオへの組み込み方:分散の設計を“ボトルネック”に合わせる
送電網更新テーマを一つの銘柄で取りに行くと、個別要因で振られます。初心者には、テーマ内分散の考え方が有効です。
例えば、(1)機器メーカー(資材)、(2)建設・EPC、(3)ソフト・制御、(4)周辺インフラ(蓄電池・HVDC等)のように分け、景気感応度や原材料感応度が異なるものを組み合わせます。こうすると、銅価格上昇で機器メーカーが苦しくても、ソフト企業が相対的に耐える、といったバランスが取れます。
さらに、エネルギー政策は国によって速度が違うため、投資対象を国内だけに限定しない視点も重要です。とはいえ初心者は、まずは「自分が理解できる市場」から始めるのが合理的です。理解が浅いと、下落局面で保有できません。
チェックリスト:投資判断の前に確認する10項目
最後に、実際に投資判断をする前の確認項目を、文章で整理します。ここを押さえると“雰囲気投資”になりにくいです。
第一に、その企業は送電網更新のどの工程で稼ぐのか(機器・工事・ソフト・周辺)を言語化します。第二に、受注残が増えているか、設備投資計画が追い風かを確認します。第三に、原材料高や人件費増を価格転嫁できるか、利益率のトレンドで検証します。第四に、主要顧客が集中していないか(特定の電力会社頼み等)を見ます。第五に、納期遅延・品質問題・リコールといった“現場リスク”がないかをチェックします。
第六に、金利上昇局面で株価がどれくらいブレるタイプかを把握します(成長株は評価が縮みやすい)。第七に、テーマ人気で割高になっていないかを、過去レンジや同業比較で見ます。第八に、政策変更で需要が先送りされるリスク(補助金・接続ルール等)を確認します。第九に、為替の影響(輸出入比率)を見ます。第十に、最悪ケース(業績が外れた場合)でも耐えられるポジションサイズに抑えます。
まとめ:送電網は“地味だが確度が高い”長期テーマになりやすい
再エネが増えるほど、送電網の更新・増強は避けられません。しかも、老朽化更新と需要増が同時に来るため、単発のブームではなく“工事の波”が何年も続く可能性があります。投資家としては、派手なニュースよりも、設備投資計画、受注残、利益率、制度変更といったファクトを追い、勝ち筋の企業群に分散して乗るのが王道です。
送電網更新は、表に出にくい分、理解した投資家が優位になりやすい領域でもあります。まずは自分が追える指標を決め、四半期ごとに点検する運用を作ってください。それが、テーマ投資を“再現性のある投資行動”に変える近道です。
より深く理解する:送電網の「増強」と「賢くする」は別物
送電網の投資というと「送電線を太くする」「変電所を増やす」といった“増強”だけを連想しがちです。しかし、実際には同じ設備でも運用を賢くすると容量が増えたのと同じ効果が出ることがあります。道路で言えば、道路幅を広げるだけでなく、信号制御やETCのように交通流を最適化する発想です。
例えば、配電網ではスマートメーターやセンサーを増やし、どの区間が混んでいるかをリアルタイムで把握できるようにします。さらに、分散型電源(太陽光)や蓄電池、EV充電器を“制御可能な負荷”として扱い、ピークを平準化します。これを可能にするのが、配電自動化、系統制御ソフト、通信インフラ、そしてサイバー対策です。投資家の視点では、ハード更新=巨大CAPEX、デジタル化=高利益率になりやすいという違いを押さえると、企業選別が一段精密になります。
直流送電(HVDC)が注目される理由:距離と変動性の問題をまとめて解く
送電技術の中で近年注目されるのがHVDC(高電圧直流送電)です。交流送電は歴史が長く設備も多い一方、長距離になるほど損失や系統安定化の難しさが増えます。直流は長距離で有利になりやすく、洋上風力のように海上で発電した電気を陸に運ぶ際にも使われます。
ここで重要なのは、「HVDCが増える=特定機器が必要になる」という点です。コンバータ設備、直流遮断器、海底ケーブル、制御システムなど、採用される部品・技術が変わります。つまり、送電網更新テーマの中でも、HVDCの普及が進む局面では、恩恵を受ける企業群が入れ替わる可能性があります。初心者がテーマ投資で負ける原因の一つは、テーマの中の“技術サブテーマ”の変化を追えないことです。だからこそ、決算説明資料で「HVDC関連」「洋上風力向け」「海底ケーブル」といったキーワードが増えているかを定点観測すると、早めに潮目が掴めます。
配電網(ラストワンマイル)の更新が効く場面:EVと分散電源の時代
送電網という言葉は高圧の送電線を想像させますが、投資が増えやすいのは配電網のケースもあります。EVの急増は、家庭や事業所の“最後の電線”に負荷をかけます。例えば、夜間に同じ住宅街で一斉に充電が始まると、変圧器が過負荷になります。これを避けるには、設備を増強するか、充電時間を分散させる制御(デマンドレスポンス)を入れる必要があります。
ここで面白いのは、配電網更新が「電力会社の投資」だけではなく、充電インフラ企業、制御ソフト企業、通信企業、蓄電池企業などの複合テーマになる点です。初心者はテーマの範囲を狭く取りがちですが、実際の投資機会は“隣接領域”に広がります。送電網更新を起点に、EV・データセンター・蓄電池のいずれかをサブテーマとして持つと、銘柄群の幅が出ます。
市場心理の読み方:送電網テーマが株価で先行しやすい局面
テーマ株は、実需より先に株価が動きます。送電網更新も例外ではありません。株価が先に走りやすいのは、主に3つの局面です。
第一に、大規模な政策パッケージが出たときです。数字としての予算規模や中期計画が示されると、市場は“総額”を先に織り込みます。第二に、系統混雑や停電などのイベントが続いたときです。社会問題化すると、投資の加速期待が高まりやすい。第三に、主要企業が受注の大型案件を発表したときです。バックログが急増し、将来の業績が見えやすくなるからです。
逆に、株価が調整しやすいのは、金利上昇局面、原材料高が再燃した局面、工期遅延が顕在化した局面です。ここで重要なのは、調整局面が「テーマの否定」なのか「短期の採算問題」なのかを分けること。テーマが否定される材料(政策転換・需要消失)がないなら、調整は“次の仕込み場”になることがあります。ただし、初心者は値動きだけで判断しないこと。必ず、受注残と利益率の方向を確認します。
具体例で練習:ニュース1本を投資判断に変換する手順
ここで、ありがちなニュースを投資判断に変換する練習をします。仮に「ある地域で再エネの出力制御が前年の2倍になった」というニュースが出たとします。多くの人は「再エネは儲からない」と反射します。しかし投資家は、次の順序で考えます。
(1)出力制御が増えた理由は何か。発電が増えたのか、需要が減ったのか、送電線が詰まったのか。ここで送電線の制約が主因なら、(2)系統増強計画が前倒しされる可能性が上がります。次に(3)増強の手段は何か。送電線新設が難しいなら、変電所増強、系統用蓄電池、運用のデジタル化の比重が上がる。(4)その手段に強い企業群はどこか。最後に(5)その企業群の受注残・利益率はどうなっているか。ここまで落として初めて、ニュースが投資判断に変換されます。
初心者のためのデータ入手先:難しい統計を追わずに“まず掴む”
送電網テーマは専門用語が多く、最初の壁が高いです。そこで、初心者は「完璧な統計を追う」のではなく、「市場が見ている最低限の材料」に絞るのが現実的です。
第一に、企業の決算資料です。受注残、設備投資関連のコメント、主要プロジェクトの進捗が読み取れます。第二に、送配電会社・電力会社の中期計画や設備投資計画。第三に、国や規制当局が出すロードマップ(系統整備計画、再エネ導入見通し)。この3点だけでも、投資テーマとしての強弱はかなり判断できます。最初から系統工学を学ぶ必要はありません。「資金がどこに積まれているか」を追うのが投資家の仕事です。
最後に:このテーマで“勝ちやすい人”の共通点
送電網更新の投資で成果が出やすいのは、派手な値動きを追う人ではなく、淡々と定点観測できる人です。四半期ごとに、受注残・利益率・設備投資計画の3点を確認し、政策変更があれば企業の勝ち筋が変わるかを点検する。これを繰り返すだけで、テーマの中心にいる企業を外しにくくなります。
送電網は“地味”です。しかし、地味なテーマほど、理解の差がリターンに出ます。理解してからポジションを取る。これが、初心者が市場で生き残るための最短ルートです。
リスクシナリオと撤退ルール:テーマが外れたと判断する具体条件
長期テーマで一番危険なのは、「正しいはずだ」という思い込みで撤退できないことです。そこで、送電網更新テーマが外れた(もしくは一時停止した)と判断する条件を、あらかじめ持っておくと運用が安定します。
一つ目は、設備投資計画の減額や先送りが連続する場合です。特に、政策の優先順位が変わり、系統投資が後回しにされると、受注の波は鈍ります。二つ目は、受注残が減少に転じ、会社側のコメントも慎重になった場合です。三つ目は、利益率が悪化したまま改善策が見えず、値上げ交渉や工期管理で劣後している場合です。テーマ需要があっても、その企業が取りこぼす可能性があります。
撤退ルールはシンプルで構いません。例えば「受注残が前年同期比で2四半期連続マイナス」「営業利益率が前年差で一定幅以上悪化し、翌期ガイダンスでも回復見込みがない」「主要政策の見直しで投資枠が縮小した」など、数値と事実で決めます。相場観ではなく、ファクトで撤退する。これが初心者にとって最も重要なリスク管理です。


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