本記事は、デイトレードの中でも再現性が作りやすい「5分足VWAPの攻防 デイトレの買い方売り方の優劣判定」を題材に、VWAP(出来高加重平均価格)を軸にした判断プロセスを解説します。銘柄名の推奨や売買の勧誘ではなく、相場観察と検証の枠組みです。
VWAPは「その日の市場参加者の平均取得単価」に近い指標として扱われ、機関投資家・アルゴ執行・デイトレ資金まで幅広く参照します。したがってVWAP周辺は、単なる移動平均線よりも約定が集中しやすい“戦場”になります。ここでの攻防を読めるようになると、無駄なエントリーが減り、損切りも早くなります。
- 1. まず結論:VWAPトレードは「場所」と「注文の質」を見抜くゲーム
- 2. VWAPの基礎:なぜVWAPが効くのか(初心者向けに噛み砕く)
- 3. 重要な前提:VWAPだけで売買しない(3点セットで見る)
- 4. 事前準備:当日朝にやるスクリーニング(3〜5銘柄に絞る)
- 5. 観測の技術:VWAP周りで見える「勝ち筋」と「罠」
- 6. エントリーの設計:初心者向けに「数」で決める3条件
- 7. 具体的な売買の型:3つだけ(まずは1つに絞る)
- 8. 損切りとロット:初心者が破綻しないための実装
- 9. 実戦で使える観測チェックリスト(文章で理解→当日そのまま使う)
- 10. 具体的な時間帯別の“起きやすいVWAP攻防”と立ち回り
- 11. 検証(バックテスト)の具体手順:VWAP攻防を“統計”にする
- 12. よくある質問(FAQ):初心者が詰まりやすいポイント
- 13. まとめ:VWAPは“平均値”ではなく“戦場の中心”として使う
- 14. もう一段だけ精度を上げる工夫:初心者が“次にやるべき”3つ
- 15. トレード日誌テンプレ:勝ち負けより「再現性」を記録する
1. まず結論:VWAPトレードは「場所」と「注文の質」を見抜くゲーム
初心者がまず理解すべきは、VWAP自体は魔法のラインではなく、参加者が意識している“基準値”に過ぎない点です。価格がVWAPを上回る/下回ることより、VWAP周辺で誰が攻め、誰が守っているか(板・歩み値・出来高で観測できる)に価値があります。
このテーマで勝ちやすいのは、①取引回数を減らして“条件が揃った瞬間だけ入る”人、②損切りを機械的に実行できる人です。負けやすいのは、①VWAPに触れたから反発するはず、と決め打ちする人、②含み損を祈りで耐える人です。
2. VWAPの基礎:なぜVWAPが効くのか(初心者向けに噛み砕く)
VWAPは、簡単に言えば「その日の取引で、どの価格帯でどれだけ売買されたか」を反映した平均値です。出来高が大きい価格ほど重みが増えるため、単純平均よりも市場の実態に近い“中心”になります。
デイトレ目線で重要なのは、VWAPが次の性質を持つことです。
①損益分岐点の目安になりやすい:VWAP近辺は多くの参加者の平均取得に近く、上なら含み益、下なら含み損の参加者が増える傾向があります。含み損側は戻り売り、含み益側は押し目買いが出やすく、売買の理由が発生しやすい。
②アルゴ執行の基準になりやすい:VWAPに近い価格で平均的に執行したい参加者がいると、VWAP周辺で板が厚くなったり、同じ数量の歩み値が繰り返されたりします。つまり、VWAP周辺は“人間の心理”だけでなく“機械の都合”でも出来高が集まりやすい。
③ブレイク・リバートの判定軸になりやすい:VWAPを挟んで上に定着できるか、下に沈むかは、その日の地合い・材料・需給の強弱を短時間で測るリトマス試験紙になります。
3. 重要な前提:VWAPだけで売買しない(3点セットで見る)
VWAPは「場所」を示すだけで、「勝てる根拠」ではありません。勝率を上げるには、VWAPに加えて板と歩み値、そして出来高の増減をセットで見ます。
・VWAP:戦う場所(どこで攻防が起きているか)
・板:いま置かれている注文の壁(守り/攻めの意志)
・歩み値:実際に約定した方向と強さ(本当に食っているか)
・出来高:エネルギー量(その攻防に参加者がいるか)
この4つが同じ方向を向いた時だけ、エントリーします。逆に、1つでも矛盾があれば“見送り”が正解です。
4. 事前準備:当日朝にやるスクリーニング(3〜5銘柄に絞る)
寄り付き後に探し始めると、VWAP攻防の“最初の波”を逃します。初心者は次の手順で候補を絞ってください。
①材料の有無:決算、業績修正、テーマ物色、指数イベント、金利・為替など。材料があると出来高が集まり、VWAPが機能しやすい。材料ゼロの薄商いはVWAPが“飾り”になります。
②流動性:板が極端に薄い銘柄はスリッページが増え、VWAP攻防を読む前に負けます。初心者は「出来高が一定以上(例:前日出来高が数十万株以上)」の銘柄から選びます。
③値幅の余地:一日の値幅が小さい銘柄は、手数料とスプレッドで不利です。ATRや前日の高安レンジで、最低限のボラがあるか確認します。
④気配の偏り:寄り前の気配が極端に買い/売りに偏る銘柄は、寄り後にVWAPから離れやすい一方、戻りも速いことがあります。ここは“狙い方”が変わるので、候補としてメモします。
5. 観測の技術:VWAP周りで見える「勝ち筋」と「罠」
5-1. 勝ち筋A:VWAPを跨いだ後、反対側で“定着”する
単にVWAPを跨いだだけでは弱いです。定着とは、例えば「VWAPを上に抜け→押してもVWAPを割らない→歩み値の買いが継続→板が下で補充される」という一連の流れです。ここまで揃うと、VWAPが“下値の基準”になりやすい。
5-2. 勝ち筋B:VWAP付近で出来高が増え、片側だけが食われる
VWAP近辺で出来高が増えるのは普通ですが、重要なのは片側だけが連続して食われるかです。例えば買い優勢なら、上の売り板が次々に消化され、同じ価格帯の売りが補充されても食われ続ける。歩み値で同方向の約定が連打される。これが“攻めが勝っている”状態です。
5-3. 罠A:VWAP付近で上下に往復(ノコギリ)
VWAP周りで上下に往復する局面は、綱引きが拮抗しており、初心者が最もお金を溶かすゾーンです。理由は、反発・ブレイクがどちらも失敗しやすく、損切りが連続しやすいからです。ここは“やらない”が最大の戦略です。
5-4. 罠B:板が厚いのに、歩み値が進まない
よくあるのが「買い板が厚い→安心して買う→全然上がらない→板が消える」という事故です。板は“置いてある”だけで、約定していません。歩み値が進まないなら、攻める買いが不在で、ただの見せかけの可能性があります。
6. エントリーの設計:初心者向けに「数」で決める3条件
ここから先は、判断を主観から切り離します。最低限、次の3条件が揃ったらエントリー候補です。
条件1:出来高の段差(最低2倍)
例:直近の5分足平均出来高が2万株なら、直近1本が4万株以上。段差が弱いと、VWAP攻防はダマシが増えます。
条件2:VWAPを跨いだ後の“押し戻し失敗”
買いなら、VWAP上で一度押してもVWAPを割れない(割ってもすぐ戻す)。売りなら、VWAP下で戻してもVWAPを超えない。“跨いだ方向に留まれるか”が重要です。
条件3:歩み値の同方向性(連続性)
買いなら上方向約定が優勢、売りなら下方向約定が優勢。歩み値が交互に出るならまだ早いです。初心者は“連続”が確認できるまで触らない。
7. 具体的な売買の型:3つだけ(まずは1つに絞る)
型①:VWAP上での押し目買い(最も再現性が高い)
手順:①VWAP上抜け → ②出来高段差 → ③VWAPまで押すが割れない(または割って即復帰) → ④歩み値が買い優勢に戻る → ⑤エントリー。
利確:直近高値付近で一部、残りは歩み値失速で手仕舞い。
損切り:VWAP割れが“定着”(割った後に戻せず、歩み値が売り優勢に変化)。
数値例:株価1,000円。VWAP=995円。VWAPを上抜けて1,010円まで上昇。押しが997円まで来たが、996→997→998と買い約定が連続し、板も997円に補充。997〜999円で買い。1,008円で半分利確、残りは歩み値が止まった1,012円付近で撤退。損切りは995円明確割れで-0.2〜0.4%程度。
型②:VWAPを割った戻り売り(下落局面の基本)
手順:①VWAP割れ → ②戻りでVWAP近辺まで戻す → ③VWAPを超えられず失速 → ④歩み値が売り優勢に戻る → ⑤売り(または買いを避ける)。
初心者がよくやる逆張り買い(VWAP割れで買う)は、この局面では危険です。戻り売りの方が“理由”が明確で、損切りもしやすい。
型③:VWAPブレイクの初動追随(ただし条件は厳しめ)
VWAPを跨いだ瞬間を追いかけるのは難易度が高いですが、出来高段差が強烈で、歩み値が一方向に揃うなら、短期の初動だけ狙えます。利確は欲張らず、“1波”で終えるのが安全です。
8. 損切りとロット:初心者が破綻しないための実装
このテーマで一番大事なのは、勝率よりも損失の制御です。VWAP攻防は見た目以上にダマシがあるため、損切りを曖昧にすると連敗で資金が消えます。
8-1. 損切りは「価格」ではなく「状態」で決める
例:押し目買いなら、①VWAP割れが継続、②歩み値が売り優勢に反転、③板の補充が止まり連続して食われる。これらが揃ったら即撤退です。“少し待てば戻る”は、統計的に最悪の習慣になります。
8-2. ロットは“損切り幅”から逆算する
資金100万円、1回の許容損失を0.3%(3,000円)に設定。損切り幅が3円なら、ロットは1,000株で3,000円。損切り幅が10円なら、ロットは300株で3,000円。こうして「どんな相場でも同じ痛み」にします。これがメンタルと検証精度を守ります。
8-3. 取引コスト(手数料・スプレッド)を“戦略に組み込む”
スキャルほどコストの影響が大きいです。利幅が1ティック〜数ティックなら、約定速度・成行の滑り・信用金利などで期待値が消えます。初心者は、最低でも“利幅がコストの3倍以上”になる場面だけを狙うのが安全です。
9. 実戦で使える観測チェックリスト(文章で理解→当日そのまま使う)
以下は、VWAP付近で手を出す前に読む“文章チェックリスト”です。チェックが多いほど優位性が上がります。
①出来高:VWAP付近で出来高が明確に増えているか。増えていないなら参加者が少ない。
②歩み値:同方向の約定が連続しているか。交互なら様子見。
③板の補充:食われた板が復元するか。復元しないなら弱い。
④VWAPの位置:VWAPが水平に近いか、急に曲がっているか。急角度はトレンド、水平はレンジ。レンジならノコギリ注意。
⑤直近高安:VWAP付近の攻防が、直近高値/安値のどこに位置しているか。抵抗帯が近いなら利幅が減る。
⑥地合い:指数・先物が逆方向に走っていないか。個別が強くても指数の逆風で潰れます。
10. 具体的な時間帯別の“起きやすいVWAP攻防”と立ち回り
同じVWAPでも、時間帯で意味が変わります。初心者は時間帯に合わせて期待値を調整してください。
寄り付き直後(9:00〜9:15):VWAPが形成され始めで不安定。最初は触らず、出来高段差が出る銘柄だけ観測。
9:15〜10:30:VWAPが落ち着き、攻防が読みやすい。初心者の主戦場。
前場引け前(11:00〜11:30):手仕舞い・ポジション調整でダマシが増える。利幅を欲張らない。
後場寄り(12:30):ギャップでVWAPの意味が一変。ニュースが出た日は“別の相場”として見直す。
大引け前:指数や需給イベントで一方向に走ることがあるが、逆回転も速い。初心者は無理に触らない方が良い。
11. 検証(バックテスト)の具体手順:VWAP攻防を“統計”にする
上達の最短ルートは、感覚ではなく、条件を固定して検証することです。手順は次の通りです。
①条件を1つの型に絞る(例:型①の押し目買いのみ)。
②エントリー条件を文章化(出来高段差、VWAP定着、歩み値連続)。
③20例集める(成功10、失敗10が理想)。
④失敗例から“禁止ルール”を作る(例:VWAP付近のノコギリは触らない、など)。
⑤次の20例で改善効果を見る。
初心者の検証で重要なのは、勝ち例よりも負け例です。負け例の共通点を“禁止ルール”に変えた瞬間、期待値が跳ねます。
12. よくある質問(FAQ):初心者が詰まりやすいポイント
Q1. VWAPは何分足で見ればいい?
A. VWAP自体は時間軸に依らず1本です。見るべきは、VWAP周辺の値動きを1分足〜5分足でどう観測するかです。初心者は5分足で大局、1分足で約定の勢い確認がバランス良いです。
Q2. VWAPに触れたら必ず反発する?
A. しません。反発する時は“反発するだけの買い圧力(歩み値と板の補充)”が観測できます。触れただけで買うのは、根拠が薄いです。
Q3. 逆張りでVWAPを使いたい
A. 逆張りは難易度が高いので、まずは押し目買い/戻り売りの順張り寄りから作るのが合理的です。逆張りは、反対方向の出来高段差が出た時だけに限定してください。
13. まとめ:VWAPは“平均値”ではなく“戦場の中心”として使う
5分足VWAPの攻防 デイトレの買い方売り方の優劣判定を攻略する鍵は、VWAPを「線」として信じるのではなく、VWAP周辺での出来高、歩み値の同方向性、板の補充を見て、勝っている側に短時間だけ乗ることです。初心者は、型①(VWAP上での押し目買い)に絞り、損切りとロットを固定して検証してください。
14. もう一段だけ精度を上げる工夫:初心者が“次にやるべき”3つ
14-1. VWAPバンド(標準偏差)で「行き過ぎ」を数値化する
多くのチャートツールでは、VWAPに対して±1σ、±2σのバンド(標準偏差)を表示できます。これは「その日の値動きが、平均(VWAP)からどれだけ離れているか」を確率的に見る道具です。ここでの狙いは逆張りではなく、順張りの利確/撤退を速くすることです。
例えば、押し目買いで入った後に価格が+2σ付近まで到達したら、そこで新規の買いが入り続けるか(歩み値が連打されるか)を確認します。連打が止まり、上の売り板が補充されて食えなくなったら、“伸び切り”のサインになりやすい。こうすると「利確が遅れて往復ビンタ」の確率が下がります。
14-2. アンカードVWAPで「大口の平均取得」を推定する
材料が出た日や大きなギャップの日は、通常のVWAPだけでは“基準”がぶれます。そこで、重要イベント起点(例:決算発表、寄り付き、急騰の初動高値/安値)にアンカーしたVWAP(Anchored VWAP)を引くと、大口がそのイベント以降にどこで平均取得しているかを推定しやすくなります。
アンカードVWAPの近辺は、利益確定と押し目買いが交差しやすく、板と歩み値の攻防が明瞭に出ることがあります。初心者は「通常VWAP+アンカードVWAPが近い」局面を優先すると、読み違いが減ります。
14-3. 注文の出し方を“戦略化”する(成行の乱用をやめる)
VWAP攻防では、約定の速さが勝敗を分けますが、成行を乱用するとスリッページで期待値が崩れます。おすすめは次の考え方です。
・エントリー:最初は指値で“置く”のではなく、条件が揃ったら成行1回で入る(遅れると優位性が消えるため)。ただし薄板銘柄ではやらない。
・損切り:損切りは迷わず成行。ここでケチると被害が拡大します。
・利確:利確は指値で置けるなら置く。約定しないなら、歩み値失速で成行撤退。
この“役割分担”だけで、初心者の成績は安定しやすくなります。
15. トレード日誌テンプレ:勝ち負けより「再現性」を記録する
デイトレは、感想を書いても上達しません。検証可能な事実(条件が揃っていたか)を記録します。以下の項目をコピペして、1トレード1行で十分です。
①銘柄/時刻:例)XXXX 9:42
②型:例)型①VWAP押し目買い
③出来高段差:直前平均の何倍か
④VWAPの状態:上で定着/下で定着/ノコギリ
⑤歩み値:同方向連続あり/なし(具体的に何秒・何回)
⑥板の補充:復元あり/なし(どの価格帯)
⑦結果:利確/損切りと理由(状態で)
⑧改善点:次回の禁止ルール候補
これを20回分集めれば、「自分が勝てる場面」と「触ってはいけない場面」が自然に分かれてきます。
最後に、これは情報提供であり、最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。最初は小ロットで、ルール遵守率を高めることが、最短で再現性に繋がります。


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