- この手法で狙うもの:『売りが尽きたあとに、買いが主導権を奪う瞬間』
- なぜ機能しやすいのか:連続陰線が作る“需給の歪み”
- まず定義を固定する:何を「連続陰線」と呼ぶか
- エントリーの核:『高値更新』をどう判定するか
- フィルター:高値更新が“ダマシ”になりやすい条件を排除する
- 具体的な手順:監視→判定→注文→撤退を“型”にする
- 利確設計:勝ちを小さくまとめないための“出口”
- 具体例1:寄り天からの連続陰線→VWAP回復→初押しで入る
- 具体例2:場中の下げ続き→板薄化→戻り高値ブレイクに追随
- 初心者がやりがちな失敗と対策
- チェックリスト:エントリー前に10秒で確認する項目
- 練習方法:最短で身につけるための“検証の型”
- まとめ:狙うのは“底”ではなく“買いの勝利宣言”
- ロット管理:初心者が破綻しないための“損失額固定”
- 板と歩み値で“本物のブレイク”を見分ける
- 場面別アレンジ:寄り付き・後場・引け前でルールを変える
- “やらない”条件:勝ちパターンより重要なリスク回避
- 簡易バックテストのやり方:手作業でも検証できる
- メンタルの実装:迷いを減らす“二択化”
この手法で狙うもの:『売りが尽きたあとに、買いが主導権を奪う瞬間』
今回のテーマは「連続陰線のあとに高値更新した初動」です。言い換えると、短期で売られ続けた銘柄が、ある瞬間を境に“上方向の勢い”に切り替わるポイントを、デイトレ(または数日スイング)で取りに行く設計です。
初心者がまず理解すべき核心は、反転は“安値”ではなく“高値更新”で確認するという発想です。底値当ては難易度が高く、損切りも遅れがちです。一方で「高値更新」は、買い手が売り圧力を吸収し切った証拠として扱えます。ここをトリガーにすれば、根拠と撤退ルールを作りやすくなります。
なぜ機能しやすいのか:連続陰線が作る“需給の歪み”
連続陰線(例えば5分足で陰線が連発、あるいは日足で陰線が数本続く)は、短期勢の損切り・投げ、信用の整理、利確の連鎖を生みます。これが進むと板は薄くなり、出来高が枯れ、売りの主体が弱まります。
その状態で、買いが入る“理由”が重なると、価格は軽く上に跳ねます。ポイントはファンダメンタルズの良し悪しよりも、短期の注文フローです。例えば以下のような条件が重なると、上への初動が出やすくなります。
- 投げ売りが一巡し、安値を割っても伸びない
- 売り板が薄く、買いが少し入るだけで上に飛ぶ
- 出来高が底打ちし、上昇局面で出来高が増える(需要が本物)
- 前の戻り高値(抵抗帯)を超えることで、ショートカバーや追随買いが誘発される
しかし、単に「陰線が続いたから買う」は危険です。陰線が続いたままズルズル行く“トレンド継続”も多いからです。だからこそ本稿では、高値更新を条件にして初動だけを取り、外れたら小さく撤退する設計に落とし込みます。
まず定義を固定する:何を「連続陰線」と呼ぶか
曖昧な定義は再現性を壊します。初心者ほど、数値で決めてください。おすすめは次の2レイヤーです。
(A)5分足の連続陰線:寄り後〜場中で、5分足陰線が3〜6本連続。陰線の実体が大きく、下ヒゲが短いほど“売りが強い”状態。
(B)日足の連続陰線:日足で3〜5本の陰線が連続。ギャップダウンや終値ベースで切り下げが続いている状態。
デイトレで扱いやすいのは(A)です。理由は、同じ日の中で完結しやすく、損切り幅も小さく設計できるためです。本稿は(A)を主軸にし、必要に応じて(B)をフィルターにします。
エントリーの核:『高値更新』をどう判定するか
ここが最重要です。高値更新は“何の高値”かを決めないとブレます。おすすめの判定は3段階です。
- 直近2〜3本の5分足高値を更新(ミニブレイク)
- 直近の戻り高値を更新(押し戻されていた抵抗帯の突破)
- 当日高値を更新(場の空気が変わった合図。追随が入りやすい)
初心者に向くのは「直近の戻り高値を更新」です。なぜなら、そこは“売りが出やすい価格帯”で、突破できた事実が強いからです。逆に、当日高値更新は派手ですが、既に走った後でエントリーが遅れやすいこともあります。
フィルター:高値更新が“ダマシ”になりやすい条件を排除する
反転狙いの最大の敵はダマシです。高値更新したのに、すぐ叩き落とされるパターンです。これを減らすために、次のフィルターを入れます。
1)出来高の確認:高値更新した足(またはその直前足)の出来高が、直前5本平均の1.5倍以上。出来高が伴わない高値更新は、板の薄さによる“偶然の上振れ”で終わりやすいです。
2)VWAPの位置:VWAPより下での高値更新は、戻り売りに潰されやすいです。理想は「VWAPを回復 → 押し目でVWAP付近を割らない → 再度高値更新」。VWAPを使うと、買いが平均約定コストを上回っているかが分かります。
3)指数・セクターの地合い:個別が頑張っても、指数が急落すると巻き込まれます。最低限、日経平均やTOPIXが同時間帯に急落していないか、先物が荒れていないかをチェックしてください。
具体的な手順:監視→判定→注文→撤退を“型”にする
初心者が勝ちやすくなるコツは、型を固定することです。以下は実務に近い手順です(裁量の余地を減らします)。
ステップ1:候補抽出(10分で終える)
場中なら、値下がりランキングから、直近30分で下落率が目立つのに出来高が落ちてきた銘柄を拾います。寄り直後なら、GDや寄り天で陰線が連発している銘柄が対象です。
ステップ2:連続陰線の“質”を確認
単に陰線が続いているだけでなく、終盤で「下げても伸びない」兆候を探します。たとえば、安値更新しても次の足で下ヒゲが出る、出来高が減る、売り板が薄くなる、などです。ここで“売り疲れ”を推定します。
ステップ3:戻り高値を線引きする
連続陰線の中でも、途中で一度だけ反発した小さな山(戻り高値)ができます。その山の高値が、あなたの“トリガーライン”です。ここを超えたら、売りを吸収したと判断します。
ステップ4:エントリーは2方式のどちらかに限定
方式A:ブレイク成行(スピード優先):戻り高値を超えた瞬間に成行。上に飛ぶ銘柄で有効。ただし滑り(約定の悪化)リスクあり。
方式B:ブレイク後の初押し(安定優先):高値更新後、1〜2本の5分足で押したところを指値。押しが浅く、VWAPやブレイクラインを割らないことが条件。こちらが初心者向きです。
ステップ5:損切りは「ライン割れ」で即時
ルールは単純にします。ブレイクライン(戻り高値)を終値で割る、またはVWAPを明確に割って戻らないなら撤退。感情で耐えると、反転狙いは一瞬で“落ちるナイフ”に変わります。
利確設計:勝ちを小さくまとめないための“出口”
初心者は損切りだけでなく利確も課題です。反転初動は伸びるときは伸びます。出口を固定しましょう。
第一利確(半分):直近の大きめの戻り高値、またはVWAP乖離+1.5〜2.5%あたり。ここで一部利確すると心理が安定します。
第二利確(残り):5分足で高値更新が止まり、陰線が2本続いたら撤退、またはトレーリング(直近安値割れ)で追いかけます。初動狙いは“粘りすぎない”ことが重要です。
具体例1:寄り天からの連続陰線→VWAP回復→初押しで入る
想定シナリオ:寄り付き直後に高値をつけた後、5分足で陰線が5本連続。出来高は序盤が多いが、4本目以降で減少。安値更新しても下に伸びない。VWAPの下で揉み合いが発生。
ここでやることは、まず“連続陰線の途中の戻り高値”を引きます。例えば2本目の陰線の戻し高値がライン。次に、VWAP回復の瞬間を待ちます。VWAPを超えて5分足終値が維持され、出来高も増えた。そこで「ブレイク後の初押し方式」にします。
エントリーは、VWAP付近まで押して、なおかつブレイクラインを割らないポイントに指値。損切りはブレイクライン割れ。利確は、寄り直後の高値手前で半分、残りは高値更新が止まるまで。こうすると“底当て”をせずに、買い主導に切り替わった部分だけを取れます。
具体例2:場中の下げ続き→板薄化→戻り高値ブレイクに追随
想定シナリオ:後場、ダラダラと売られて5分足陰線が6本連続。途中から出来高が枯れ、売り板が薄い。ここで小さな買いが入ると価格が1ティックずつ上にずれる。
このときは「ブレイク成行方式」が効きやすいです。理由は、板が薄く、指値を置いても置き去りにされやすいからです。戻り高値を超えた瞬間に成行で入り、すぐに逆指値(損切り)を置きます。
注意点は、板薄化局面は上下に飛びやすいことです。だからロットを落とし、損切り幅を事前に決めます。利確は早め(+0.8〜1.5%でもOK)。“薄い板の急騰”は急落も早いので、取りに行くのは初動だけで十分です。
初心者がやりがちな失敗と対策
失敗1:陰線が続いた時点で買ってしまう。→対策:高値更新を待つ。買いの根拠が「安いから」だけだと、下げトレンドに踏まれます。
失敗2:損切りが遅い。→対策:ブレイクライン割れで即撤退。反転狙いは“間違いを早く認める”ことが成績に直結します。
失敗3:出来高を見ない。→対策:高値更新の足で出来高増を必須にする。出来高が伴わないなら見送る勇気。
失敗4:利確が早すぎてトータルで伸びない。→対策:分割利確(半分先に利確、残りはトレーリング)。心理の安定と伸ばしを両立できます。
チェックリスト:エントリー前に10秒で確認する項目
- 陰線連続本数は3本以上か(5分足)
- 直近で出来高が減少し、売りの勢いが弱まっているか
- 戻り高値(トリガーライン)を明確に引けているか
- 高値更新の足で出来高が増えているか(平均の1.5倍目安)
- VWAP回復 or 少なくともVWAPに近づいているか
- 指数が急落していないか(巻き込みリスク)
- 損切り位置(ライン割れ)と許容損失額が決まっているか
練習方法:最短で身につけるための“検証の型”
上達の近道は、リアルマネーでいきなりやらないことです。次の順で進めると早いです。
1)過去チャートで100例見る:5分足で「陰線3〜6本→戻り高値ブレイク→その後どうなったか」を観察し、成功パターンと失敗パターンを分類します。
2)検証ノートは3項目だけ:①陰線本数、②ブレイク時出来高、③VWAP位置。この3つだけを記録すると、判断が洗練されます。
3)最初は小ロットで“ルール順守”を評価:利益ではなく、損切りがルール通りできたか、見送りができたかを評価軸にします。
まとめ:狙うのは“底”ではなく“買いの勝利宣言”
連続陰線後の初動は、底値当てではありません。売りが尽き、買いが主導権を奪ったサイン(高値更新)で入ることで、初心者でも撤退ルールを作りやすくなります。
最後に重要な一言だけ。この手法は、負けを小さくするほど強くなるタイプです。高値更新がダマシなら即撤退。伸びるときだけ分割利確で伸ばす。これを徹底すると、トータルでプラスに寄せやすくなります。
ロット管理:初心者が破綻しないための“損失額固定”
反転初動は当たると気持ちよく伸びますが、外れると一気に逆回転します。そこでロットは「株数」ではなく許容損失額から逆算します。やり方はシンプルです。
(1)1回のトレードで失ってよい金額を決める(例:口座の0.3〜0.7%)。
(2)損切り幅(エントリー価格−損切り価格)を円で測る。
(3)許容損失額 ÷ 損切り幅 = 最大株数(端数は切り捨て)。
例えば許容損失3,000円で、損切り幅が15円なら、最大200株です(3,000÷15=200)。この計算を毎回やれば、「負けが大きすぎて続けられない」という典型的な事故を防げます。
板と歩み値で“本物のブレイク”を見分ける
高値更新のダマシを減らすには、ローソク足だけでなく、板と歩み値も補助に使うと精度が上がります。初心者でも見られるポイントに絞ります。
1)ブレイク直前に売り板が薄くなる:売り板の厚みが急に減る(取り消しが多い)と、少しの買いで抜けます。これ自体は“良い”とは限りませんが、抜けた後に出来高が続くかで真偽が分かれます。
2)歩み値で買い成行が連続する:ブレイクの瞬間に同方向の成行が続くと、追随買いが入っている可能性が高いです。逆に、抜けた直後に売り成行がぶつけられて即座に戻るなら、踏み上げ失敗の警戒です。
3)ブレイク後に“戻り売り”が吸収される:最初の押しで売りが出ても、価格がラインを割らず、歩み値が買い優勢のままなら、買いが強い証拠です。ここが「方式B:初押し」で入る最大の根拠になります。
場面別アレンジ:寄り付き・後場・引け前でルールを変える
同じ初動でも、時間帯で性質が変わります。初心者はまず“時間帯ルール”を持つと事故が減ります。
寄り付き(9:00〜9:30):ノイズが大きく、ギャップ要因も混ざります。おすすめは「VWAP回復→初押し」の安定型。ブレイク成行は滑りが出やすいのでロットを落とします。
前場中盤〜後場寄り(10:00〜13:30):材料や指数の影響が反映されやすく、パターンが素直になりがちです。出来高が急に戻る局面(アルゴ切替など)ではブレイク追随も機能します。
引け前(14:30〜15:00):手仕舞いと引け需給が混ざり、逆回転が速いです。初動だけを短く取り、引け跨ぎは別ルールに分けます(初心者は基本しない)。
“やらない”条件:勝ちパターンより重要なリスク回避
この手法は「やる時」より「やらない時」を決めるほど成績が安定します。以下は見送るべき代表例です。
- 材料の真偽が不明で、板が極端に薄い小型株:上にも下にも飛びやすく、損切りが機能しないことがあります。
- ストップ安・ストップ高近辺:値幅制限が絡むと、テクニカルより需給が支配します。初心者の練習には不向きです。
- 決算や重要IRの直後で値動きが荒すぎる:初動は取れますが、スプレッドと急変で再現性が落ちます。
- 指数が急落しているのに、個別だけ反転している:一瞬は上がっても、指数の売りで押し戻されやすいです。
簡易バックテストのやり方:手作業でも検証できる
初心者でも、ツールなしで“ざっくり検証”は可能です。ルールを固定して、20〜30銘柄×数日分を見るだけでも、体感が変わります。
検証ルール例:
・5分足陰線が4本連続した後、直近戻り高値をブレイクしたらエントリー。
・損切り:ブレイクライン−0.2%を割ったら撤退(または5分足終値で割れ)。
・利確:+0.8%で半分、残りは直近安値割れで撤退。
記録は「勝敗」だけでなく、ブレイク足出来高とVWAPの上下も書きます。すると、負けの多くが「出来高が伴っていない」「VWAP下のまま」など、具体的な原因に分解できます。原因が見えたら、その条件をフィルターに入れれば良いだけです。
メンタルの実装:迷いを減らす“二択化”
最後に、実戦で一番効くのはメンタルではなく設計です。迷いが出る局面を二択にします。
二択1:ブレイクした?→YESなら監視強化、NOなら触らない。
二択2:押しでラインを割った?→YESなら損切り、NOなら保有。
この二択化を徹底すると、判断が遅れにくくなります。反転初動は“判断の速さ”が優位性の一部です。迷いを減らすほど、同じルールでも結果が良くなります。


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