本記事は「ギャップダウン(GD)した銘柄が寄り付いた直後、最初の5分足で安値を更新せず、下ヒゲが明確に出たのを確認して“初動の買い”を狙う」手法を、投資初心者でも迷子にならないように分解して解説します。
狙いはシンプルです。GDは恐怖や失望で投げが出やすい一方で、「想定より悪くない」「売りが一巡した」瞬間には短期の買い戻し・押し目買いが集中しやすく、寄り直後の反発が鋭くなります。そこで、主観を減らすために“最初の5分足”という区切りと、“安値更新しない+下ヒゲ”という形状を条件にして、投げの一巡を機械的に捉えます。
- この戦略のコア:なぜ「寄り直後5分」と「下ヒゲ」なのか
- まずは前提:GDの定義を自分の中で固定する
- エントリー条件を「二重化」して事故を減らす
- 具体的な売買シナリオ(値動きの例)
- 損切りの置き方:ここが曖昧だと手法は崩壊する
- 利確の考え方:初心者は「2段階利確」で十分
- 「勝ちやすいGD」と「触らないGD」を見分ける簡易フィルタ
- 板・歩み値で見る“吸収のサイン”
- よくある失敗パターンと対処
- 再現性を上げる「チェックリスト」化
- 資金管理:初心者は「1回の負け」を極小にする
- 検証のやり方:最初は「20サンプル」だけ集める
- MQL4で「条件検知→アラート」まで自動化する(初心者向け)
- 寄り付き前の準備:初心者が“朝にやること”を固定する
- エントリーの微調整:安全型と攻め型の違い
- まとめ:この手法は“形の否定”が見えたら即撤退が前提
この戦略のコア:なぜ「寄り直後5分」と「下ヒゲ」なのか
寄り直後は、夜間に溜まった注文(成行や指値)が一斉にぶつかるため、短時間で需給がリセットされます。GD銘柄では特に、寄り直後に“投げ成行”が集中しやすく、最初の数分で下方向のエネルギーが一気に放出されます。
ここで重要なのが、「安値更新しない」という事実です。寄った直後に安値を更新し続ける銘柄は、まだ投げが終わっていません。逆に、最初の5分で安値が更新されず、下ヒゲが残るということは、安値圏で買いが吸収している(=売りの勢いが一度止まった)可能性が高い、というサインになります。
下ヒゲは、ローソク足の“影”に過ぎません。しかし、寄り直後という最も荒い需給の時間帯で下ヒゲが出るのは、短期の買い手が「この値段なら拾う」と明確に動いた痕跡になりやすい。初心者が再現しやすい理由は、チャート形状が比較的わかりやすく、ルール化しやすいからです。
まずは前提:GDの定義を自分の中で固定する
同じ「GD」でも、銘柄の体感はバラバラです。曖昧なままだと検証ができないので、最初は定義を固定します。おすすめは次の2段階です。
GDの最低条件:当日寄り付きが前日終値より-1.5%以下(小さすぎるGDはノイズになりやすい)
優先条件:寄り付きが前日終値より-3%以下、かつ前日出来高が過去20日平均以上(注目されている銘柄の方がリバウンドも“速い”ことが多い)
最初から難しくしないために、数字は“仮”で構いません。大切なのは、同じ定義でサンプルを集め、結果が良いか悪いかを比較できる状態を作ることです。
エントリー条件を「二重化」して事故を減らす
初心者がやりがちな失敗は、下ヒゲだけで飛びつくことです。GD銘柄の下ヒゲは、ただの一時的な買い戻しで終わることも多い。そこで、条件を二重化して“ダメな下ヒゲ”を排除します。
条件A:最初の5分足で「安値更新しない」
ここで言う安値更新とは、寄り付いてからの最安値を、次の数十秒〜数分でさらに下回ることです。理想は「寄りの瞬間が最安値、もしくは寄り直後に一度だけ最安値を付け、その後は割らない」です。最初の5分足が確定するまで待つのが基本ですが、後述の“安全な前倒し”もあります。
条件B:下ヒゲの長さが、実体と釣り合う
下ヒゲが出たと言っても、1ティック程度では意味が薄い。目安としては、最初の5分足の「下ヒゲが実体(始値と終値の差)の1.5倍以上」あると、吸収の痕跡として扱いやすいです。これも絶対ではありませんが、機械的にフィルタを作るなら役に立ちます。
条件C:出来高の“減速”が出ている
最初の1〜2分で投げが集中し、その後に出来高が落ちるのは「売りが一巡した」典型です。分足の出来高を見て、1分足でピーク→2〜3分目から減速、という流れが出ているかを確認します。逆に、5分間ずっと出来高が高止まりしているなら、まだ激しい攻防中で、ヒゲが出ても再下落しやすいです。
具体的な売買シナリオ(値動きの例)
ここからは、数字でイメージを固定します。例えば前日終値が1,000円の銘柄が、材料悪化や地合い悪化で翌日寄りが950円(-5%GD)だったとします。
寄り直後、売りが集中して942円まで瞬間的に下げる。ところが、942円で板に買いが厚く、歩み値が「同じ価格帯での約定が続く(吸収)」状態になる。1分足の出来高は大きいが、2分目以降はやや減速。価格は946〜952円で揉み合い、最初の5分足が「安値942円、終値951円、下ヒゲ長め」で確定した。
このときの基本エントリーは2つです。
エントリー案1(安全寄り):5分足確定後、次の足で951円を上抜けたら買い(“戻りの確認”を取る)
エントリー案2(前倒し寄り):5分足が確定する前でも、安値942円を割らずに切り返し、946→948→950と戻す過程で、出来高が減速しているなら小さく入る(ただし損切りは厳格)
初心者は案1が無難です。逃したように見えても、GDリバは初動が続く場合、次の足でも十分に利益幅が取れることがあります。焦って前倒しすると、吸収が“未完成”の状態で捕まりやすい。
損切りの置き方:ここが曖昧だと手法は崩壊する
この戦略は逆張り要素が強いので、損切りが命です。損切りを曖昧にすると、GDからの続落で簡単に大きな損失になります。損切りは「形が否定された地点」に置きます。
基本の損切り:寄り後の最安値(例:942円)を明確に割れたら撤退。具体的には「942円割れで成行」「941円で逆指値」など、事前に決めます。
ポイントは“少し割れたら”ではなく、“割れたら即”です。下ヒゲ戦略は、最安値が守られている間だけ成立します。守られないなら、売りの勢いが戻ったということなので、そこに希望を持っても優位性はありません。
利確の考え方:初心者は「2段階利確」で十分
利確も曖昧にすると、せっかくのリバを取り逃がします。おすすめは「近い抵抗で半分利確→伸びたら残りを伸ばす」です。
利確ポイント1:寄り付き価格(例:950円)付近。GD後の戻りは、まず寄値が意識されやすい。
利確ポイント2:VWAP(出来高加重平均価格)付近。日中に買い勢が強いとVWAPまで戻すことが多く、逆にVWAPで叩かれることも多い。
例えば951円で買って、寄値950〜955のゾーンで半分利確、残りはVWAP(仮に960円)に近づいたら利確、という形です。初心者は“全部を天井で売ろう”としない方が結果が安定します。
「勝ちやすいGD」と「触らないGD」を見分ける簡易フィルタ
GDなら何でも買うと、地雷に当たります。初心者向けに、触らない方がいいケースを先に決めます。
触らないGD:出来高が寄りで出ない(閑散)
寄り直後の出来高が薄い銘柄は、下ヒゲが“偶然のティック”で出ることがあり、信頼性が落ちます。板が薄いと、少額の注文でローソク足の形が変わるからです。
触らないGD:悪材料が“継続性”を持つ
例として、業績の下方修正や減配、増資など、市場が数日かけて織り込みやすい材料は、初動リバが弱いか、リバしても戻り売りが強くなりやすい。初心者は「材料の重さ」を評価しづらいので、最初は“材料不明でも急落した”タイプや、“地合い連れでGDした”タイプを中心にすると検証しやすいです。
勝ちやすいGD:地合いが落ち着いている、または指数が戻している
個別のリバウンドは、指数の支えがあるほど伸びやすい。寄り付き直後に日経平均やTOPIXが下げ止まり、先物が戻している状況は追い風になります。逆に指数が下落トレンドを継続しているなら、個別のリバは短命になりやすいので、利確を近めに寄せます。
板・歩み値で見る“吸収のサイン”
下ヒゲだけでも戦えますが、板と歩み値を少し見るだけで精度が上がります。初心者でも使えるポイントだけに絞ります。
サイン1:同一価格での約定が連続する(例:942円で何度も約定する)
これは「売りが出ても買いが受けている」状態です。売りが強いだけなら、価格はスルスル下に滑ります。止まるには理由がある。
サイン2:売り板が薄くなり、買い板が一段ずつ厚くなる
寄り直後は売り板が厚く見えても、実は見せ玉であることもあります。初心者は見せ玉の判別は難しいので、「売り板が薄くなっていく」「買い板に厚みが出る」という“変化”だけを見ます。
サイン3:成行売りの連続が止まり、指値の攻防に変わる
投げが一巡すると、成行の比率が落ち、指値での売買が増えやすい。ここでローソク足が下ヒゲを作りやすくなります。
よくある失敗パターンと対処
この手法の失敗は、だいたい型が決まっています。事前に知っておくだけで、損失の大半が減ります。
失敗1:下ヒゲが出た瞬間に飛びつき、次の投げで刈られる
寄り直後は、下ヒゲが“何度も”出ます。最初の下ヒゲはフェイクで、次で本物、ということもあります。対処は簡単で、「最初の5分足の確定を待つ」こと。前倒しエントリーをするなら、枚数を減らし、損切りを最安値割れに固定します。
失敗2:損切りを広げてしまい、GD続落の波に飲まれる
逆張りで一番やってはいけないのが、損切りの後ろ倒しです。最安値割れは“否定”なので、そこで撤退し、次の形を待つ方がトータルで勝ちやすい。もし入り直したいなら、「もう一度下ヒゲが出て、再び安値を守った」場面を新規のセットアップとして扱います。
失敗3:利確が遅く、VWAPで反転して利益が消える
GDリバは伸びるときは速い反面、上での売りも速いです。初心者は「まず寄値で半分確定」「残りはVWAP近辺」という2段階にしておくと、メンタルのブレが減ります。
再現性を上げる「チェックリスト」化
初心者が勝ちやすくなる一番のコツは、チャートを見て気分で判断しないことです。次のチェック項目を、毎回同じ順で確認してください。
① GD幅は-1.5%以上か(できれば-3%以上)
② 寄り直後に投げ(成行売り)が出た形跡があるか(出来高が寄りで膨らむ)
③ 1〜2分目をピークに出来高が減速しているか
④ 最初の5分足で安値更新していないか
⑤ 下ヒゲが“形として”見えるか(実体とのバランスがあるか)
⑥ 損切り位置(最安値割れ)を事前に置けるか
⑦ 利確の第一目標(寄値)と第二目標(VWAP)を決めたか
この7つを満たさないなら、見送る。見送る回数が増えるほど、手法は安定します。
資金管理:初心者は「1回の負け」を極小にする
勝ち方より先に、負け方を固定します。具体的には「1回のトレードで口座の0.5%以上は失わない」を目標にします。例えば資金100万円なら、最大損失5,000円です。
損切り幅が1%(例:951円買いで942円割れ損切り=約1%)なら、5,000円の損失に抑えるには、投下金額は約50万円まで。これだと大きすぎるので、初心者はもっと小さくていい。“枚数を減らして、淡々と繰り返す”ことが最短ルートです。
検証のやり方:最初は「20サンプル」だけ集める
手法の良し悪しは、体感ではなく数字で見ます。とはいえ、初心者がいきなり200サンプル集めるのは現実的ではありません。まずは20サンプルだけでいいので、同じ条件で集めます。
最低限、次を記録します。
・銘柄名
・前日終値、当日寄値、最初の5分足の安値・終値
・エントリー価格、損切り価格、利確価格
・指数の状況(寄り後に戻していたか)
・結果(R倍:利益÷リスク)
この「R倍」で見ると、損切りの厳格さが活きます。例えばリスク1に対して利幅が2なら2R。勝率が高くなくても、平均Rが1を超えれば戦えます。
MQL4で「条件検知→アラート」まで自動化する(初心者向け)
裁量が苦手なら、まずは“検知だけ”を自動化すると再現性が上がります。ここでは、MT4で株CFDではなくFX等のチャートでも応用できるように、ロジック部分を単純化した例を示します。実運用では銘柄・市場に合わせて調整してください。
//+------------------------------------------------------------------+
//| GD下ヒゲ初動の簡易アラート(MQL4) |
//| 目的:最初の5分足が確定した時点で、下ヒゲ+安値更新なしを検知 |
//| 注:株の寄り付き概念そのものはMT4銘柄により異なるため、 |
//| ここでは「日足の始値付近からの急落→5分足下ヒゲ」を想定。 |
//+------------------------------------------------------------------+
#property strict
input int LookbackBars = 1; // 直近の確定5分足を見る(1本前)
input double WickRatio = 1.5; // 下ヒゲが実体の何倍以上か
input int MinTickWick = 5; // 下ヒゲ最小ティック(ノイズ除外)
datetime lastAlertTime = 0;
int OnInit(){ return(INIT_SUCCEEDED); }
void OnDeinit(const int reason){}
void OnTick()
{
// M5で動かす想定
if(Period() != PERIOD_M5) return;
// 直近の確定足(1本前)
int i = LookbackBars;
double o = iOpen(NULL, PERIOD_M5, i);
double c = iClose(NULL, PERIOD_M5, i);
double h = iHigh(NULL, PERIOD_M5, i);
double l = iLow(NULL, PERIOD_M5, i);
// 実体・下ヒゲ(陽線/陰線どちらでも計算)
double body = MathAbs(c - o);
double lowerWick = MathMin(o, c) - l;
// ティック換算
double tick = MarketInfo(Symbol(), MODE_POINT);
int wickTicks = (int)MathRound(lowerWick / tick);
// 下ヒゲが十分長い、かつ実体との比率が条件以上
bool wickOK = (wickTicks >= MinTickWick) && (body > 0) && (lowerWick >= body * WickRatio);
// 「安値更新しない」の簡易化:前の足より安値が切り下がっていない
// (実際の“寄り後最安値”とは異なるので、検知目的の簡易フィルタ)
double prevLow = iLow(NULL, PERIOD_M5, i+1);
bool noNewLow = (l >= prevLow);
datetime barTime = iTime(NULL, PERIOD_M5, i);
if(wickOK && noNewLow && barTime != lastAlertTime)
{
lastAlertTime = barTime;
Alert(Symbol(), " M5: 下ヒゲ+安値更新なし候補を検知。チャート確認してください。");
}
}
このコードは「自動売買」ではなく「候補を通知するだけ」です。初心者がやるべきは、通知が出たチャートを見て、前述のチェックリストを満たすかを確認し、満たすなら小さく試す、です。いきなり自動発注にしない方が安全です。
寄り付き前の準備:初心者が“朝にやること”を固定する
この戦略は寄り直後の5分で勝負が決まることが多いので、寄ってから探し始めると間に合いません。初心者は、寄り前にやる作業をテンプレ化すると劇的にミスが減ります。
手順1:前日終値からの気配値(または寄り想定)で-1.5%以下のGD候補をリスト化する。候補は多くても5〜10銘柄に絞る。多すぎると監視が散ります。
手順2:「地合い」と「業種」をざっくり確認する。指数が大きくGDしている日は、個別のリバが短命になりやすいので、利確を近づける前提で臨みます。逆に指数が落ち着いているなら、VWAPまでの戻りを狙いやすい。
手順3:前日高値・前日安値・寄り付き想定価格をチャートに水平線で引いておく。寄り直後は判断が忙しいので、“視覚的に”目標と損切りを置ける状態にします。
手順4:板が薄すぎる銘柄(出来高が常に少ない銘柄)は候補から外す。下ヒゲがテクニカルではなく偶然になりやすいからです。
エントリーの微調整:安全型と攻め型の違い
同じ「下ヒゲ確認」でも、入る場所でリスクとリターンが変わります。初心者は安全型を基本にし、慣れてきたら攻め型を“限定的に”試すのが現実的です。
安全型:最初の5分足確定→次の5分足で高値を更新したら買い。根拠は「下ヒゲで止まった上で、買いが継続している」こと。遅い代わりにだましが減ります。
攻め型:5分足確定前でも、1分足で切り返しが明確、かつ出来高が減速している局面で小さく入る。根拠は「最安値を守った直後の反発は最も値幅が出る」こと。ただし、損切りは最安値割れ一択で、躊躇は禁物です。
初心者が攻め型をやる場合は、“枚数を半分以下”にして、同じ損切りルールを守れるかだけを評価してください。利益額ではなく、ルール順守の訓練です。
まとめ:この手法は“形の否定”が見えたら即撤退が前提
GD後の下ヒゲ初動は、短期の需給反転を狙う分、伸びるときは速い一方で、間違えると続落に巻き込まれます。だからこそ、最初の5分足で条件を固定し、損切り(最安値割れ)を機械的に置くことが、初心者にとって最大の武器になります。
まずは「5分足確定後のエントリー」「寄値で半分利確」「最安値割れで撤退」という最も単純な型で、20サンプルだけ検証してください。そこで勝ち負けよりも、“同じ手順で同じ判断ができたか”を評価すると、次の改善が一気に進みます。


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