- この戦略の核心:昼休みPTS「出来高急増」は“後場の需給イベント”の予告編
- 前提知識:PTSで何が起きているのか(初心者が最初に押さえるべき構造)
- 狙うべき銘柄プロファイル:全部の出来高急増がチャンスではない
- 検知:乱高下ではなく「異常な出来高」を捉える(具体的な数値ルール)
- 選別:後場寄りで勝てる形だけを残す(フィルター設計)
- 執行:後場寄り“即エントリー”を成立させる具体手順(タイムラインで説明)
- 撤退:負けを小さく固定する(この戦略で一番大事)
- 具体例:3つの典型パターン(あなたが明日から再現できる形)
- 失敗パターン集:この戦略でやりがちな負け方
- 検証のやり方:再現性を上げるためのログ項目(数値化のコツ)
- 派生:FX・暗号資産に応用するなら(“休憩時間”の置き換え)
- 最終チェックリスト:後場寄りで“即エントリー”する前に10秒で確認すること
この戦略の核心:昼休みPTS「出来高急増」は“後場の需給イベント”の予告編
日本株の昼休み(11:30〜12:30)は、東証の現物市場が止まり、値段形成は原則として進みません。一方で、PTS(私設取引システム)では売買が続きます。ここで出来高が急増する銘柄は、単なる“暇つぶしの取引”ではなく、後場寄り(12:30)で価格が跳ぶ前兆になりやすい局面があります。
理由はシンプルです。昼休み中に情報が出る(IR、適時開示、観測記事、海外先物の変動、為替急変など)と、現物の板は止まっているのに、先に反応したい参加者がPTSに集まります。すると「価格はPTSで一度動き、後場寄りで本体(東証)に注文が雪崩れ込む」という順番が起きます。
この戦略は、その“順番”を利用します。ポイントは、PTSの出来高急増を「後場寄りの初動で優位性が出る条件」にまで落とし込み、売買するのは後場寄りの数分間に限定することです。昼休みにPTSで追いかけるのではなく、後場寄りで執行します。
前提知識:PTSで何が起きているのか(初心者が最初に押さえるべき構造)
PTSは複数存在し、時間帯や参加者が偏ります。昼休みは特に、流動性が薄くなりやすく、スプレッド(売買気配の差)も広がりがちです。この「薄さ」は危険にもチャンスにもなります。
薄い市場では、少ない成行でも価格が飛びやすい一方、同じく少ない注文で急落もします。つまり、昼休みPTSでの価格は“確定した公正価格”というより、限られた参加者の力学が反映された「予兆」だと捉えるのが合理的です。
したがって、本戦略はPTSの価格そのものを信奉しません。見るのは出来高の“異常値”と、その背景(材料、需給、銘柄の癖)です。価格は参考、出来高はシグナル、執行は東証の後場寄り、これが基本形です。
狙うべき銘柄プロファイル:全部の出来高急増がチャンスではない
昼休みPTSの出来高急増は、次の3タイプに分けると判断が速くなります。
タイプA:材料ドリブン(IR・ニュース)
適時開示や決算、上方修正、提携、受注など“言い訳が強い”材料でPTSが動くタイプです。後場寄りでトレンドが継続しやすく、順張り向きです。ただし「出尽くし」も早いので、初動の設計が重要になります。
タイプB:需給ドリブン(仕掛け・踏み上げ・回転)
明確な材料が薄いのに出来高だけが膨らむタイプです。小型で浮動株が少ない、信用需給が偏っている、前日からのテーマ物色が継続しているなど、需給の歪みが背景にあります。後場寄りで一段高もありますが、反転も速いので損切り設計が必須です。
タイプC:誤認・誤発注・薄板暴走
昼休みPTSの薄さで価格が飛んだだけのケースです。後場寄りで東証の厚い板に吸収され、逆方向に戻ることが多い。ここは逆張りの宝庫にもなりますが、初心者が最初に手を出すと事故りやすい領域です。まずは回避してよいです。
検知:乱高下ではなく「異常な出来高」を捉える(具体的な数値ルール)
あなたがやるべきは、昼休み中に全銘柄を眺めることではありません。検知ルールを固定し、候補を自動的に絞り込むことです。おすすめの実務的な基準は次の通りです。
基準1:昼休みPTS出来高が“日中出来高”の5〜10%を超える
午前の出来高が少ない銘柄ほど比率が跳ねます。比率だけで判断せず、絶対量も併用します。
基準2:昼休みPTS出来高が“午前の1分平均”の20倍以上
午前(寄り〜前引け)を分単位で均したとき、昼休みの同時間帯にそれを大きく超えるなら異常値です。
基準3:連続約定の形(歩み値)が片側に偏る
同サイズ成行の連発、あるいは成行比率の急上昇は、アルゴや大口の「一括処理」の匂いです。価格より形を見ます。
これらを満たして初めて「候補」とし、次の“選別”に進みます。検知は広く、選別で狭く。この順序を崩すと、無限にチャートを見て疲弊します。
選別:後場寄りで勝てる形だけを残す(フィルター設計)
候補が出たら、後場寄りで勝ちやすい条件に絞ります。ここが勝敗の8割です。私は次の5フィルターを推奨します。
フィルター1:午前の高値・安値との位置関係
PTSで上げているなら「午前高値をすでに超えているのか」「午前高値直下で止まっているのか」で期待値が変わります。午前高値を超えている場合は、後場寄りで“買い板の追随”が出やすく、順張りの継続性が上がります。直下で止まっている場合は、後場寄りで一度振られてから抜ける、または抜けずに反落する、の二択になりやすいので、エントリーを急がない方が成績が安定します。
フィルター2:ギャップの大きさ(上げ過ぎは事故率が上がる)
昼休みPTSで既に+10%のような伸びになっている場合、後場寄りで「寄り天」になりやすいです。狙いは“後場寄りの初動”なので、伸び切った状態はむしろ不利です。目安として、午前終値(前引け)比で+1%〜+5%程度に収まっている方が、後場寄りで伸びしろが残りやすいです。
フィルター3:板の厚みとスプレッド(薄すぎは危険、厚すぎは妙味が薄い)
後場寄りで動くには、板が薄すぎるとスリッページ(想定より悪い約定)が増え、厚すぎるとそもそも動かず勝ち幅が出ません。実践的には「上1ティックの売り板が昼休み中に何度も吸収されている」「買い板が“更新”されている」など、板が生きているサインを確認します。
フィルター4:出来高の“質”(単発の大口か、連続の回転か)
単発でドンと出来高が出た後、ピタッと止まる場合は危険です。後場寄りで続かないことが多い。逆に、出来高が波のように複数回出て、価格が階段状に切り上がっているなら、後場寄りで継続しやすいです。
フィルター5:市場環境(指数・先物・為替との整合性)
個別材料が弱いのに、指数(先物)と逆行している上昇は「アルゴの切替」「テーマ物色」「踏み上げ」など、説明が必要です。説明が付かない逆行は、後場寄りで崩れることも多い。初心者は、指数が落ち着いている日、あるいは指数が追い風の日に限定した方がよいです。
執行:後場寄り“即エントリー”を成立させる具体手順(タイムラインで説明)
戦略名にある「後場寄りで即エントリー」は、無条件の成行ではありません。以下のタイムラインで“条件付き即”にします。
12:20〜12:28:最終チェック(候補を2〜3銘柄に絞る)
この時間帯にやることは、(1)材料の有無を再確認、(2)午前高安の位置、(3)PTS出来高が継続しているか、の3点です。候補を増やさず、減らすフェーズです。
12:29:発注の型を決める(成行/指値/逆指値)
初心者に最も事故が少ないのは「後場寄り直後に成行で飛びつく」ではなく、「寄り後に最初の押しを待ち、VWAP(または午前終値)を背に指値で拾う」型です。ただし今回のテーマは初動取りなので、押しが来ないと乗れません。そこで、次の2パターンを用意します。
パターン1:寄り直後の“上抜け確認”で成行
・条件:後場寄りの最初の1分で午前高値(または昼休みPTS高値)を上抜け、かつ出来高が1分で午前1分平均の5倍以上
・執行:成行買い(または成行売り)
・損切り:上抜けラインの下に即撤退(-0.3%〜-0.6%など固定)
パターン2:寄り直後の“フェイク”を許容して2分目で入る
・条件:寄り1分で一度振られても、2分目の高値更新で再び買い優勢(歩み値で成行買いが戻る)
・執行:2分目の高値更新で成行
・損切り:寄り直後の安値割れ
12:30〜12:35:勝負区間(利益確定を“伸ばす”より“取り逃さない”)
後場寄りの初動は、数分で優位性が消えます。ここで欲張って“デイトレをスイング化”すると、勝っていたトレードを負けに変えます。利確の実務は次の2段階が安定します。
(1)+0.5%〜+1.0%で半分利確(銘柄のボラにより調整)
(2)残りは「直近1分足安値割れ」または「出来高ピークアウト」で手仕舞い
伸びる日は伸びますが、その日を当てにすると成績が不安定になります。初動戦略は“取り切る”より“積み上げる”発想が向きます。
撤退:負けを小さく固定する(この戦略で一番大事)
昼休みPTSは、情報の非対称性が強い時間帯です。あなたが見えていない理由で動いている可能性を常に残します。だから損切りは「柔軟」ではなく「機械」に寄せます。
推奨は、エントリーの根拠と損切りを同一ラインに置くことです。例えば「午前高値ブレイクで買う」なら、午前高値割れで撤退。「2分目の高値更新で買う」なら、寄り安値割れで撤退。根拠が崩れたら即撤退、これ以外は迷いが増えます。
損切り幅の目安は、出来高が十分ある大型で-0.2%〜-0.4%、中小型で-0.4%〜-0.8%程度が現実的です。これを超えると“負けを取り返すためのトレード”が始まり、破綻します。
具体例:3つの典型パターン(あなたが明日から再現できる形)
例1:材料あり・午前高値ブレイク型(王道)
前引け後に好材料の開示が出て、昼休みPTSで出来高が午前出来高の8%まで増加。PTS価格は午前高値の手前で推移し、買い成行が断続的に連発。後場寄り直後、1分で午前高値を明確に上抜け、出来高も急増。ここで成行買い。損切りは午前高値割れ。利確は+0.8%で半分、残りは1分足安値割れで手仕舞い。結果として“初動の太い部分”だけを獲る形になります。
例2:材料薄・需給スイッチ型(勝てるが難易度高)
材料がないのにPTS出来高が急増。午前はヨコヨコだったが、昼休みに同サイズの約定が連続し、板が軽くなる。後場寄り直後に一度上に飛ぶが、すぐに押し戻される。ここで焦って飛びつかず、2分目の高値更新を待って成行。損切りは寄り安値割れ。利確は出来高がピークアウトした瞬間(歩み値の勢いが止まる)で素早く。伸びる日もありますが、基本は短期で回転する方が良いです。
例3:薄板暴走・後場寄りで逆回帰(回避すべきだが“理解”は必要)
昼休みPTSで薄板のまま急騰し、出来高は増えたが約定が単発。後場寄りで東証の厚い板に当たり、上値が重くなって反落。ここは順張りすると負けやすい領域です。逆張りをするなら「寄り直後の高値更新失敗」と「成行売り連続」など、明確な反転シグナルが必要です。初心者は“回避”が正解です。
失敗パターン集:この戦略でやりがちな負け方
(1)昼休みPTSで追いかけてしまう
スプレッドと薄板でコスト負けしやすい。勝っても小さく、負けは大きくなります。
(2)候補を増やしすぎて、後場寄りで判断が遅れる
後場寄りの優位性は数分で消えます。候補は2〜3に絞るべきです。
(3)損切りを“様子見”で広げる
初動戦略は“当たればすぐ伸びる”が前提。伸びないなら撤退するべきです。
(4)+10%級のPTS急騰に飛びつく
伸び切った状態は出尽くし・寄り天の確率が上がります。伸びしろの残る局面に限定します。
検証のやり方:再現性を上げるためのログ項目(数値化のコツ)
この手法は、感覚でやるとブレます。初心者ほど、最低限のログを付けるべきです。おすすめのログ項目は次の通りです。
・昼休みPTS出来高(絶対量/午前出来高比)
・PTSの高値/安値と午前高安の位置関係
・後場寄り1分の出来高(午前1分平均比)
・エントリー理由(上抜け/2分目再上昇/押し目など)
・損切りライン(何を割れたら撤退か)
・結果(R倍=利益÷初期リスク)
特にR倍を付けると、銘柄の値幅に左右されず、戦略の良し悪しが見えます。勝率よりR倍の分布が重要です。
派生:FX・暗号資産に応用するなら(“休憩時間”の置き換え)
FXや暗号資産は24時間動くので、昼休みのような“市場停止”がありません。それでも同じロジックは使えます。「流動性が一時的に薄い時間帯」「情報が出やすい時間帯」を、昼休みの代替として扱います。
例として、FXならロンドン開始直前〜直後、NY開始直後、重要指標前後が該当します。暗号資産なら週末の薄商い、米国時間の開始、ETF関連ニュースの時間帯などが近いです。要点は「薄い時間に出来高が異常化したら、次の“本流の流動性が戻るタイミング”で初動が出る」という順番です。
最終チェックリスト:後場寄りで“即エントリー”する前に10秒で確認すること
最後に、実戦で迷わないためのチェックを文章で固定します。後場寄り直前にこれを読み上げて、YESが多いほどエントリー価値が上がります。
(1)昼休みPTS出来高は明確に異常値か
(2)材料または需給の説明が付くか(説明できない逆行は避ける)
(3)午前高値(またはPTS高値)を上抜ける余地があるか(伸び切りは避ける)
(4)後場寄り1分の出来高が増える見込みがあるか(板が生きているか)
(5)損切りラインを“根拠の崩れ”に結び付けているか
この5つが揃えば、後場寄りの初動で勝ちやすい局面に近づきます。逆に1つでも欠けるなら、見送るのがプロの判断です。見送る回数が増えるほど、成績は安定します。


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