この記事では「IPOセカンダリーで初値割れ後に出来高減少を確認して逆張り」を、再現性のあるルールとして落とし込みます。IPOは値動きが荒く、ニュースや雰囲気で語られがちです。しかし実際に取るべき情報はシンプルで、初値形成の直後に何が起き、誰が売って、誰が買っているのかを、板と出来高で確認するだけです。
ポイントは「初値割れ=弱い」ではなく、初値割れ後に“売り圧”が枯れた瞬間を狙うことです。枯れたかどうかは、感覚ではなく、5分足の出来高と歩み値の質で判断します。ここでは、初心者がやりがちな事故(飛びつき、ナンピン地獄、損切り遅れ)を避けるための、具体的なチェックと手順を提示します。
- この戦略が機能しやすい相場環境
- 用語を最低限だけ押さえる(初心者が迷わないため)
- 戦略の核心:初値割れの「第2フェーズ」を取る
- エントリー条件をルール化する(再現性のための数値)
- 注文の出し方:成行で突っ込まない(スリッページを避ける)
- 損切りルール:1回で致命傷を負わない設計
- 利確ルール:欲張るほど負けに近づく
- 歩み値で“売り枯れ”を見抜く具体例
- 時間帯の癖:IPOは「朝一」と「後場寄り」で性格が変わる
- 具体的なシナリオ(数字で追う)
- 失敗パターンと回避策(ここが勝敗を分ける)
- 銘柄選別:同じIPOでも“勝ちやすさ”は違う
- 検証のやり方:スクショではなく“数値ログ”で残す
- 実行チェックリスト(画面の前で迷わない)
- まとめ:底当てを捨てて、売り枯れ確認で勝率を上げる
- 注意すべき“地雷”イベント:ロックアップ・需給情報・急な規制
- “出来高減少”の誤読を防ぐ:本当に減っているのか、ただ止まっているのか
- エントリーを2種類に分ける:反発待ち型と、反転確認型
- ポジションの持ち方:1回の反発で終わる銘柄と、2波動が来る銘柄
- ミニFAQ:よくある疑問に短く答える
この戦略が機能しやすい相場環境
IPOの“初値割れ”は、単なる下落ではなく「需給の入れ替わり」です。上場初日〜2日目の短期資金は、利益確定とロスカットが同時に出やすいため、値動きが不連続になります。逆張りが機能するのは、次の条件が揃うときです。
第一に、指数が崩れていない(あるいは急落していない)こと。指数が同時に崩れると、IPO固有の需給よりも“リスクオフの流れ”が優先され、反発しても伸びないか、戻りが浅く終わります。第二に、当該IPOが市場の注目を集めていること。注目がないIPOは板が薄く、スプレッドが広がり、少ない成行で価格が飛びます。これは逆張りに不利です。
第三に、初値形成後に一度は売りが走ったものの、どこかで売りの勢いが止まり、出来高が減り始めること。これが今回の主題です。反対に、下げながら出来高が増え続けるのは“投げが続いている”サインで、逆張りで勝ちにくい局面です。
用語を最低限だけ押さえる(初心者が迷わないため)
ここで扱う指標・用語は3つだけです。
初値:上場後、最初に付く価格。初値形成までに売買が成立しない時間があり、その間に気配が動きます。
出来高:一定時間内に成立した株数。5分足出来高の増減は、需給の“熱量”を示します。
歩み値:成立した約定の列。成行主体か、指値主体か、同ロット連発かで、参加者の行動が読めます。
テクニカル指標を大量に入れるほど複雑になり、判断が遅れます。IPOセカンダリーは速度勝負なので、見るものを絞るのが正解です。
戦略の核心:初値割れの「第2フェーズ」を取る
初値割れ後の動きは、ざっくり3段階に分かれます。
第1フェーズ(投げ・損切りが出る):初値で買った層が含み損になり、耐えられず投げます。ここは最も危険です。
第2フェーズ(売りの枯れ):投げが一巡し、安値更新の勢いが落ちます。ここが狙い目です。
第3フェーズ(リバの加速):下げ止まりが見え、短期勢が反発を取りに来ます。ここで伸びるかどうかは、板と出来高次第です。
多くの初心者は、第1フェーズで「安い」と感じて拾い、さらに下げて恐怖で投げます。逆に勝ちやすいのは、第2フェーズの“売り枯れ確認後”です。安値は取れなくていい。底当てを捨てると、勝率が上がります。
エントリー条件をルール化する(再現性のための数値)
この戦略の条件は「初値割れ」「出来高減少」「安値更新失敗」の3点セットです。具体的には次のように定義します。
条件A:初値割れ後に下落トレンドが一段出た
初値から少なくとも1回は明確に下方向へ走り、5分足で陰線が連続する、または急落足が出る。これは“投げが出た”ことを確認する目的です。初値割れ直後の横ばいは、まだ需給が固まっていないことが多く、だましになりやすいです。
条件B:5分足出来高がピークアウトする
目安として、下落局面で最大出来高を付けた5分足(ピーク足)に対して、次の2〜3本の5分足出来高が連続して減少していること。数値で言うと「ピーク足の出来高を100としたとき、次が70以下、その次が50以下」くらいのイメージです。厳密でなくて良いですが、“減っている”が明確であることが重要です。
条件C:最初の5分足安値を割れない、または割っても即戻す
出来高が減っているのに、安値更新ができない(あるいは更新しても瞬間で戻る)なら、売り手が尽きてきた可能性が高いです。歩み値で見ると、成行売りが連発しても値が下がらず、むしろ同値で吸収される動きが出ます。
この3条件が揃ったら、逆張りの“準備完了”です。次に、実際の注文の出し方(負けにくい型)へ進みます。
注文の出し方:成行で突っ込まない(スリッページを避ける)
IPOは板が薄く、成行は滑りやすいです。逆張りは「拾う位置」より「壊れたら即切る」が要なので、注文は次の型が扱いやすいです。
基本は指値で“待つ”。条件Cの“割れない安値”付近に指値を置き、刺さったら反発を待つ。刺さらず上に行くなら見送る。これでいいです。
どうしても取りたいなら、小ロットで試し玉→増し玉の順にします。最初から全力で入ると、たった数ティックのブレで損切りが難しくなります。
また、約定直後に含み損が出ても、条件B(出来高減少)が維持され、条件C(安値更新失敗)が崩れていないなら、慌てる必要はありません。逆に、出来高が再び急増し、安値を明確に割れ始めたら、それは“第1フェーズが継続”です。逆張りは撤退します。
損切りルール:1回で致命傷を負わない設計
IPO逆張りで最悪なのは「含み損を見ない」「ナンピンで平均単価を下げる」「板が崩れても耐える」です。これを封じるために、損切りを価格で決めます。
損切りラインは、条件Cで使った“割れないはずの安値”を、5分足の終値で明確に割ったら撤退、が最も扱いやすいです。ヒゲで一瞬割るのはIPOでは普通に起きます。終値で割る=吸収が効かなくなった可能性が高い、という整理です。
さらに堅くするなら、出来高が再びピーク足の80%以上まで戻ったら(売りが再燃したら)撤退、という“熱量”条件も追加できます。価格だけだと、板の急変で損切りが遅れる場合があるからです。
ロット管理は「損切り幅×株数=許容損失」を先に固定します。初心者はここを曖昧にしがちです。IPOは一回のミスが大きくなりやすいので、最初から負け上限を小さく固定してください。
利確ルール:欲張るほど負けに近づく
リバウンド狙いは、戻りが浅くても勝てる設計にします。利確は2段階が現実的です。
利確1(安全確保):直近の戻り高値(5分足で反発して最初に付けた高値)に到達したら、一部を利確。ここは“戻り売り”が出やすいゾーンです。
利確2(伸びを狙う):出来高が増えながら高値更新が続く場合だけ、残りを引っ張る。出来高が減り始めたら、伸びが止まりやすいので手仕舞い優先です。
「初値まで戻るまで持つ」は、経験者なら良い場面もありますが、初心者にはおすすめしません。理由は、初値付近が強い“レジスタンス”(戻り売り)になりやすく、そこで一気に叩かれることが多いからです。小さく確実に取る設計が、この戦略の本質です。
歩み値で“売り枯れ”を見抜く具体例
出来高減少は大枠の条件ですが、IPOでは「出来高が減っても、売りが強い」ケースがあります。そこで歩み値を併用します。以下は典型パターンです。
良い形(吸収):成行売りが数回連続しても、約定価格が下に飛ばず、同値や1ティック下で止まりやすい。買い板が薄いのに下がらないなら、誰かが受けている可能性があります。
悪い形(叩き):成行売りが出るたびに、約定価格が1ティックずつ確実に下へ滑る。歩み値が“階段状”に下がるときは、吸収ではなく崩しです。
もう一つ重要なのが、同ロット連発です。たとえば「5,000株」「10,000株」が同じ間隔で連続するなら、アルゴや大口が“処理”しています。これが売り側の処理なら下げが続きますし、買い側の処理なら下げ止まりに近づきます。判定は簡単で、同ロット連発が出ているのに値段が下がらないなら買い側優勢です。
時間帯の癖:IPOは「朝一」と「後場寄り」で性格が変わる
IPOセカンダリーは、時間帯によって参加者が変わります。これを理解すると、無駄なトレードが減ります。
寄り〜10:00:最も荒い。初値で入った層の投げが出やすい一方、短期勢も多い。出来高は出るが、だましも多い。条件B(出来高減少)を“厳しめ”に見る。
10:00〜前場引け:値幅が落ち、板が整理される。売り枯れ確認がしやすく、逆張りの成功率が上がりやすい。
後場寄り:昼休みでポジションが分断され、ギャップが出やすい。後場寄りで急落→出来高減少→反発、の形は取りやすいが、寄り直後はスプレッドが広がりやすいので成行厳禁。
初心者は「朝が一番動くから朝だけやる」となりがちですが、むしろ後半の方が読みやすいことも多いです。値動きの派手さと、勝ちやすさは別物です。
具体的なシナリオ(数字で追う)
ここでは架空の例で、判断の流れを示します。あるIPOが初値2,000円で寄り、その後1,900円台へ下落、初値割れが発生したとします。
9:10に1,920円→1,860円へ急落し、この5分足出来高が120万株(ピーク)。次の5分足が80万株、その次が55万株に減少。価格は1,860円を割れそうで割れず、1,865〜1,875円で推移。歩み値では成行売りが出ても1,864円あたりで止まり、同値約定が増える。ここで条件A・B・Cが揃います。
エントリーは1,868円に指値。刺さった後、1,880円まで戻したらまず一部利確。次に1,895円を超えて出来高が増え続けるなら残りを保有。ところが1,890円で出来高が減って失速したなら、残りも利確して終了。損切りは、1,860円を5分足終値で割ったら撤退。これで、底当てではなく“売り枯れ確認後の反発”を取りに行けます。
失敗パターンと回避策(ここが勝敗を分ける)
失敗1:出来高減少を待てずに拾う
「急落=チャンス」と感じてしまい、第1フェーズで飛びつく。回避策は単純で、ピーク足を見てから判断すること。ピーク足が出ていない=投げが終わっていない可能性が高いです。
失敗2:板が薄いのにロットを入れすぎる
少ない売買で価格が飛び、損切りが機能しない。回避策は、板の厚さとスプレッドを見て、ロットを半分以下に落とすこと。IPOは“勝てる局面”でも滑るので、ロットは守りから入ります。
失敗3:ナンピンで平均単価を下げる
逆張りは一見ナンピンと相性が良さそうに見えますが、IPOでは危険です。なぜなら、売りの本体が“誰かの処分”の場合、枯れないまま一気に下へ抜けるからです。回避策は、増し玉をするなら反発確認後に限定すること。下げている最中の増し玉はしません。
銘柄選別:同じIPOでも“勝ちやすさ”は違う
この戦略は、どのIPOでも同じように機能するわけではありません。選別の基準を明確にします。
勝ちやすいIPO:出来高が厚く、寄り付きから注目度が高い。値動きが荒くても、注文が途切れず、売り枯れ・買いの吸収が読みやすい。
勝ちにくいIPO:出来高が薄く、板がスカスカ。ストップ安方向へ寄り付きやすい。反発してもスプレッドが広く、利確が難しい。
判断は簡単で、1分足や歩み値が“止まらず流れ続ける”かどうかです。流れないIPOは、逆張りの検証が難しく、偶然勝っても再現性が出ません。
検証のやり方:スクショではなく“数値ログ”で残す
この手法は検証すると伸びます。やることは難しくありません。トレードごとに次の4点だけ記録します。
- ピーク足の出来高(万株)
- ピーク後2本の出来高(減少率)
- エントリー時の“割れない安値”と、実際に割れたか(5分足終値)
- 利確位置(最初の戻り高値まで取れたか)
これを10回分集めるだけで、あなたの得意・不得意が見えます。例えば「出来高減少率が小さいと負ける」なら条件Bを厳しくすれば良い。こうしてルールを自分用に最適化できます。
実行チェックリスト(画面の前で迷わない)
最後に、エントリー前の確認項目を文章でまとめます。これを一度“読み上げ”てから注文すると、無駄打ちが減ります。
初値割れ後に一段の下落が出たか。下落の途中で5分足出来高のピークが出たか。ピーク後の出来高は2本以上、明確に減っているか。出来高が減っているのに安値更新ができない、または割っても即戻す動きがあるか。歩み値で、成行売りが出ても価格が滑らず、同値約定や吸収の気配があるか。板が薄いならロットを落としたか。損切りライン(5分足終値で割れたら撤退)を先に決めたか。最初の戻り高値で一部利確する前提を持っているか。
このチェックを通過したときだけ、逆張りを実行します。IPOは“毎回取る”より“取れる形だけ取る”方が、結果が安定します。
まとめ:底当てを捨てて、売り枯れ確認で勝率を上げる
IPOセカンダリーの逆張りは、華やかに見える一方で、初心者が最も負けやすい分野でもあります。勝つために必要なのは、複雑な指標ではなく「投げが終わった合図」を待つ冷静さです。初値割れ後の出来高ピークアウトと、その後の出来高減少、安値更新失敗、歩み値の吸収。この4点をセットで確認できたときだけ入る。これが、事故を減らしながらリバウンドを取りに行く、実務的な型です。
次にやることはシンプルです。過去のIPOチャートを10銘柄分見て、ピーク足→出来高減少→反発の形を探してください。形が見えるようになったら、エントリーは自然に絞れます。絞れたトレードは、勝ちやすく、学びも速いです。
注意すべき“地雷”イベント:ロックアップ・需給情報・急な規制
IPOは情報イベントで性格が急変します。初心者が見落としやすいのは、ロックアップ解除や大株主の売却可能条件、そして市場全体の急変(指数急落、先物主導の下振れ)です。これらは「出来高減少」というテクニカルな合図を無効化することがあります。特に、ロックアップ解除が近い、あるいはVC比率が高いといった需給の背景がある場合、下げ止まりに見えても上値が重くなりやすいです。
ただし、ここで大事なのは“情報を全部理解してから入る”ことではありません。逆張りの実務では、危ない日はやらない、これで十分です。具体的には「当日、同じセクターのIPOが連鎖で崩れている」「指数が急落している」「寄りから売買が荒れ過ぎてスプレッドが広い」など、相場が荒れているサインがあるなら、勝負を降ります。見送る勇気が、長期的な成績を守ります。
“出来高減少”の誤読を防ぐ:本当に減っているのか、ただ止まっているのか
出来高が減って見える理由は2つあります。ひとつは売りが枯れて落ち着いた場合。もうひとつは、参加者が一時的に引いて“様子見”になっただけの場合です。後者は危険で、次の一撃が下方向に出ると、逆張りは巻き込まれます。
区別のコツは、価格の反応です。売りが枯れているなら、少量の買いで価格が上がりやすくなります。つまり、出来高が減っている局面で、陽線が出たり、下ヒゲが増えたり、同値での吸収が続いたりします。反対に、出来高が減っているのに、上に跳ねる気配がなく、じりじりと安値を試すだけなら、それは単に“薄い”だけで、反発の燃料がありません。
エントリーを2種類に分ける:反発待ち型と、反転確認型
実務上は、エントリーを2タイプに分けると整理できます。
反発待ち型(早いが難しい):条件A〜Cが揃ったら、安値近辺で指値を置き、先回りします。利点はリスクリワードが良いこと。欠点は、だましが混ざることです。
反転確認型(遅いが堅い):条件A〜Cに加えて、直近の小さな戻り高値を5分足終値で上抜けしてから入ります。利点は勝率が上がること。欠点は取り分が減ることです。
初心者には反転確認型が向きます。理由は、迷いが減るからです。底付近での判断は心理負荷が高く、ミスが増えます。確認型なら「上抜けたら入る、抜けなければやらない」で済みます。
ポジションの持ち方:1回の反発で終わる銘柄と、2波動が来る銘柄
IPOのリバは、(1)一瞬で戻って終わる銘柄と、(2)一度戻って押してからもう一段行く銘柄に分かれます。見分けは難しそうですが、観察点はシンプルです。
一瞬で終わる銘柄は、戻り局面で出来高が増えず、板の売りが厚く、上値で吸収されます。2波動が来る銘柄は、戻り局面で出来高が増え、板の上が軽く、押し目でも売りが続かず、再び買いが入ります。つまり、戻りで“勢い”が出るかが分岐点です。勢いが出ないなら利確優先。勢いが出たなら、押し目に再エントリーを検討します。
ミニFAQ:よくある疑問に短く答える
Q:出来高減少が出たのに、さらに下げた。なぜ?
A:減少が“売り枯れ”ではなく“様子見”だった可能性があります。価格が上に反応しない減少は信用しないのが安全です。
Q:VWAPや移動平均は見なくていい?
A:見ても構いませんが、初心者は増やしすぎない方が良いです。IPOは時間が浅く、移動平均が機能しにくい場面も多いので、まずは出来高と歩み値の型を優先してください。
Q:どのくらいの回数やれば上達する?
A:目安は10〜30回です。ただし、同じ失敗を繰り返すと伸びません。毎回、ピーク足と減少率、損切りの形を数値で記録し、条件を微調整してください。


コメント