寄り付き5分の出来高急増と成行買い連続を起点にした順張り手法

寄り付き直後は、個人・機関・アルゴが同時に動き、情報の非対称性が一気に解消されます。その結果、値が跳ねる銘柄と、ただの気配倒れで沈む銘柄が短時間で選別されます。本記事は、その最初の選別が終わる前の「5分」だけに特化し、出来高の異常値と歩み値の成行買い連続を同時に満たす局面だけを順張りする、シンプルだが再現性の高い短期手法を扱います。

この戦略の核は二つです。第一に、寄り付き直後の5分足出来高が直前の平均に対して「統計的に異常」な水準にあること。第二に、歩み値で同方向の成行が連続し、板が一方的に食われる“力学”が確認できること。この二条件が揃うと、買い手側が時間優先で価格を取りに来ているため、押し目の待ち時間が短く、損切りも構造的に置きやすいのが強みです。

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この手法が機能しやすい背景

寄り付きの価格形成は、前日の引け後から当日の寄り前までに蓄積した注文が一度にぶつかるイベントです。ニュースや決算、テーマ材料、指数・先物のギャップ、需給要因などが合成され、寄りの瞬間に市場参加者の“期待”が価格に織り込まれます。ここで重要なのは、寄った瞬間の上下ではなく、その直後に「追い注文」が出ているかどうかです。

追い注文は、判断が後追いになった参加者(寄りを見てから入る層)と、寄り後の流動性が出た瞬間にアルゴが動かす注文から発生します。出来高が跳ねるのは前者と後者が同時に出たサインで、歩み値に成行買いが連続するのは“板の上にある売り”が吸収され続けているサインです。つまり、この戦略は「価格」ではなく「注文の質」を見ており、これが一般的な寄り付きブレイクよりも騙しを減らすポイントです。

狙う銘柄の条件

初心者が最初に躓くのは、条件が揃っているように見えても、実は流動性や板の厚みが足りず、少しの成行で乱高下する銘柄を触ってしまうことです。そこで、銘柄選定を先に固定します。目安として、寄り前の気配段階で「前日出来高が一定以上」「当日も寄り付き前板が極端に薄くない」「スプレッドが広がりにくい」銘柄を優先します。

具体的には、寄り付き直後に数千株〜数万株が数秒単位で約定し、ティックがスムーズに進む銘柄が向きます。逆に、板が薄いのに値幅だけ大きい小型は、歩み値の“連続”が見えても、実態は数発の成行で価格が飛んでいるだけのことが多く、損切りが滑りやすいので避けます。材料面では、決算・上方修正・受注・提携・規制緩和などの「当日も話題が継続しやすい」要因があるほど、寄り後の追随が伸びやすい傾向があります。

用意する画面と指標

必要なものは多くありません。5分足チャート、出来高、VWAP、そして歩み値(約定履歴)と板です。出来高の比較は「直前5本平均」を使いますが、寄り付き直後は前日後半のボラや出来高分布で平均が歪むことがあります。そこで、実務上は「直前5本平均に加え、前日後場の平均も軽く意識」するのが安全です。

VWAPは、押し目の深さと撤退ラインの根拠になります。寄り付きの初動はVWAPから上方乖離しやすいですが、成行買い連続が止まった後の最初の押しでVWAPに近づくか、VWAPの上で踏みとどまるかは、買いの持続性を測る材料になります。

エントリー条件を文章で固定する

ここからが本題です。条件は「寄り付きから最初の5分足」で判定します。まず、1本目の5分足出来高が、直前5本の5分足出来高平均の3倍を超えていること。単に3倍を超えるだけでなく、寄り後1〜2分で一気に出来高が積み上がり、その後も約定が途切れない“密度”があることを確認します。

次に、歩み値で成行買いが連続していることを確認します。ここでいう連続は、「同一方向の成行が短い間隔で繰り返され、売り板が段階的に食われていく」状態です。成行買いが単発で混じる程度では弱く、買いが連打されることで板の上の売り指値が薄くなり、次の価格に“押し上げられる”ような動きが理想です。

エントリーのタイミングは、寄り付きの瞬間に飛び乗るのではなく、寄り後の初動で「高値更新の再トライ」が出た瞬間を狙います。寄り直後は不安定で、約定が偏ると一瞬で逆流します。歩み値の成行買い連続が続き、板の売りが薄くなった状態で、直近高値(寄り後の一度目の上値)を再度叩く局面は、追随の買いが入りやすく、損切りも寄り後の押し安値に置きやすい構造になります。

“成行買い連続”を見誤らないコツ

歩み値は、ただ眺めるだけだと情報量が多く、初心者は焦ります。見るポイントを固定します。第一に、約定の間隔が詰まっているか。第二に、同じロットサイズが連続していないか。第三に、上の価格に約定が移る速度が速いか。間隔が詰まるのは参加者が増えたサインで、同ロット連続はアルゴや分割執行の可能性があり、価格が上に移る速度は売り板吸収の強さを示します。

反対に危険な形もあります。例えば、成行買いが見えるが、直後に同等以上の成行売りが混ざり、約定が上下に散らばる形です。これは方向が定まっておらず、単に寄り直後の注文がぶつかっているだけの可能性があります。もう一つは、成行買いが続いても板の厚い価格帯で止まり、出来高だけ増えて価格が進まない形です。大口の売りが待っていることが多く、ブレイクの失敗につながりやすいので、ここは無理に突っ込まない方が期待値が上がります。

損切り設計:構造で置く

この戦略が初心者に向く理由の一つは、損切りを「根拠のある場所」に置けることです。推奨は、寄り後に形成された最初の押し安値、もしくは1本目5分足の安値近辺です。成行買い連続が本物なら、押し安値は短時間で切り上がりやすく、そこを割ると“買いの連打”が止まったサインになりやすいからです。

損切り幅は銘柄ボラに依存しますが、固定pipsや固定円ではなく「構造割れ」で統一した方がブレません。例えば、押し安値を明確に割ったのに粘ると、寄り付きのボラに飲み込まれて連続損失の原因になります。逆に、構造が保たれているのに小さな逆行で切ると、勝てる局面を取り逃がします。判断を減らすために、ルールは“押し安値割れで撤退”のように文章で固めます。

利確設計:伸ばすより、崩れを取る

利確は二段構えが実用的です。第一の利確は、初動の勢いが最も強いゾーンで一部を手仕舞いし、心理的な余裕を作ります。第二の利確は、歩み値で成行買い連続が明確に途切れ、板の買い厚が減り、上値が鈍る“崩れ”を合図にします。ここで重要なのは、天井を当てに行かないことです。寄り付きは天井が出やすい一方で、強い銘柄はそのまま走ります。天井当ては難易度が高く、再現性が落ちます。

具体的には、上昇が続いている間はVWAP上を維持しやすく、VWAPに近づく押しで買いが再点火することがあります。したがって、VWAPを明確に割り、戻りが弱く、歩み値が売り優勢に傾いたら撤退する、という“状態”で利確を決める方が一貫します。

典型的な成功パターンを具体例で理解する

想定例として、前日引け後に材料が出て、寄り前から買い気配が強い銘柄を考えます。寄り付きは前日比でギャップアップし、最初の1分で出来高が一気に積み上がります。歩み値は成行買いが連続し、売り板が一段ずつ削られていきます。ここで一度だけ上値が止まり、短い押しが入りますが、押しは浅く、約定密度は落ちません。押しの後、再び直近高値を試す瞬間にエントリーすると、追随の買いが入りやすく、数十ティックの伸びが出ます。

このときのポイントは、押しが浅いこと自体ではなく、押しの最中も「成行買いの連打が完全に途切れていない」こと、そして売り板の厚い価格帯が食われる過程が見えることです。押しで成行売りが増え、買い板がスカスカになるなら、それは押しではなく失速です。見分けは歩み値の“連続性”にあります。

失敗パターン:出来高だけで飛び乗る

最も多い失敗は、出来高3倍だけを見て飛び乗ることです。出来高が増える要因には、買いだけでなく、寄り直後の投げ売り、寄り天の利確、空売りの踏み上げと踏み下げ、裁定やクロス取引などが混じります。出来高が多いのに価格が進まない、あるいは上がってもすぐ戻るときは、買い手が“価格を取りに来ていない”可能性があります。

この戦略は、出来高と歩み値の“成行買い連続”をセットにすることで、出来高のノイズを削ります。成行買いが連続していないなら、どれだけ出来高があっても「順張りの根拠は弱い」と割り切って見送ることが、長期的な成績を押し上げます。

実行手順を時系列で固める

寄り前にやることは、候補を絞り、板の薄すぎる銘柄を排除することです。寄り付き後は、最初の1〜2分で出来高の積み上がり方を見ます。次に、5分足が確定する前でも、直前5本平均の3倍に到達しそうかを推定しながら、歩み値の成行買い連続を観察します。

エントリーは、直近高値再トライで行い、損切りは押し安値割れに置きます。利確は、まず短い伸びで一部を落とし、残りはVWAP割れや成行買い連続の崩れで撤退します。重要なのは、寄り直後のノイズに振り回されないことです。条件が揃わなければ何もしない。これを徹底するだけで、トレード回数は減りますが、期待値は上がります。

リスク管理:1回のミスで崩れない設計

寄り付きは、滑りやすく、約定も偏ります。したがって、ロットは“いつもより小さく”が基本です。損切りが構造割れで決まっている以上、想定損失は事前に固定できます。想定損失が許容範囲を超えるなら、入らないか、ロットを下げるだけです。こうして一回の逆行でメンタルと資金を崩さない設計にします。

また、同じ日に似た形が複数回出る銘柄もありますが、最初の1回目が最も優位で、2回目以降は参加者が学習し、反対売買も増えるため難易度が上がります。初心者は「最初の1回だけ」を基本にし、取りこぼしよりも事故回避を優先した方が結果が安定します。

相場環境フィルター:やらない日を決める

この手法は、全体相場が大きく荒れている日でも機能しますが、条件が悪い日は明確にあります。例えば、指数先物が寄り後に乱高下し、セクター全体が振らされる日です。個別が強くても、指数の急変で一瞬の投げが出て押し安値を割りやすくなり、損切りが連発します。

もう一つは、寄り前の材料が弱く、テーマも薄く、ただの思惑で上がっている銘柄です。こうした銘柄は、寄り後に追随が続かず、出来高だけ派手で終わりやすい。見極めとして、寄り前のニュースの新規性、同業や関連銘柄の連動、PTSの出来高、そして気配の強さを総合して、材料の“持続性”を意識します。

FX・暗号資産に応用する場合の考え方

FXや暗号資産には「寄り付き」がありませんが、流動性が急増する時間帯があります。FXならロンドン開始やNY開始、重要指標の直後、暗号資産なら米時間のボラが上がる局面や大型材料の直後です。ここでは5分足出来高を、ティックボリュームや取引所出来高で代替し、歩み値の成行連続を、テープ(約定)や板の食われ方で代替します。

ただし、24時間市場ではダマシも多く、ニュース反応が分散します。したがって、出来高の異常値の閾値(3倍)をそのまま移植するのではなく、普段の時間帯別平均に対して異常かどうかで判定します。考え方は同じで、「参加者が突然増え、同方向の成行が連続している局面」を狙うだけです。

検証の仕方:再現性を数字に落とす

手法を自分のものにするには、検証で“何が効いているか”を分解する必要があります。検証の軸は、出来高倍率、成行買い連続の定義、エントリー位置(高値更新か、押し目か)、損切り位置(押し安値か、VWAPか)、利確の型(固定幅か、状態撤退か)です。

初心者におすすめなのは、まず条件を厳しくして勝率を高め、次に条件を緩めて期待値が落ちない範囲を探す方法です。例えば、出来高倍率を3倍から4倍に上げると回数は減りますが、騙しも減ります。成行買い連続の定義も、単なる回数ではなく、一定時間内の連続や、上昇ティックへの偏りなど、定義を変えると結果が大きく変わります。検証で最も大事なのは、改善の方向性を一つずつ試すことです。

最後に:この手法の“勝ち筋”を一言で言う

寄り付き直後は、値動きではなく注文の質で勝負が決まります。出来高が異常に増え、歩み値で成行買いが連続し、板の売りが吸収される局面だけを狙う。これが本質です。条件が揃わないなら見送る。揃ったら構造で損切りし、崩れで利確する。この一貫性が、短期売買を“運”から“手順”に変えます。

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