GU失速をVWAPで拾う:寄り付き5分の高値失敗から狙う逆張りスキャル戦略

寄り付き直後のギャップアップ(GU)は、個人の短期資金・アルゴ・ニュース反応が同時に流れ込み、数分で“買いの勢い”と“利確の重さ”が入れ替わります。本記事は、その切り替わりを「寄り後5分の高値更新失敗」として捉え、VWAP(出来高加重平均価格)までの押しを逆張りで取りに行くスキャル戦略を、初心者でも再現できる形で分解します。

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この戦略が刺さる局面:GUの「買い疲れ」と初動の需給

前日比+5%以上のGUは、材料・需給・指数連動など理由は様々ですが、共通して「寄りで一気に買われる」状態です。ここで重要なのは、寄り直後の上昇が継続的な買いなのか、寄りで一斉に突っ込む買いなのかの判定です。

寄り後5分で高値更新に失敗するパターンは、典型的に次の流れで起きます。

①寄りで成行買いが集中し、最初の1〜2分で高値を付ける。②上値で利確・戻り売り・空売りが増え、歩み値が細り始める。③高値を更新できないまま、押し目の買いが弱くなる。④「さっきまで買っていた層」が不安になり、浅い押しでも投げが出る。——この④の“投げ”がVWAP方向へ価格を引っ張ります。

このときVWAPは、寄りからの出来高を含めた「その日の平均的な約定コスト」を表します。GU銘柄は寄りの出来高が厚く、VWAPが短期参加者の損益分岐ラインとして機能しやすい。だから、初動で買い疲れが出ると、価格はVWAPへ回帰しやすい、というのが戦略の核です。

前提条件:狙う銘柄と避ける銘柄

逆張りは“何でも”やると事故ります。最初に、狙って良いGUと、触らない方が良いGUを明確にします。

狙いやすいGU

・前日比+5〜+12%程度で、寄り前から出来高が集まり板が厚い(薄い急騰は振れが荒い)。
・材料が「既に市場に周知」か「そこまで強烈ではない」(決算サプライズでも極端でない)。
・寄りの最初の5分で高値更新できず、上ヒゲや失速が見える。
・寄り後の出来高が急減し、買い上げが続かない。
・指数が強くない(指数が強いと押しが浅い/逆に指数が弱いと落ちすぎるので後述のフィルタを使う)。

避けるべきGU

・ストップ高付近で張り付く可能性が高い(押しが来ない、逆張りの出番がない)。
・材料が強すぎる(大型の上方修正、思惑ではなく確度の高いIRなど)+寄り後も成行買いが止まらない。
・板が極端に薄い(1ティックで数%動く)→VWAP回帰より“飛ぶ・投げる”のランダム性が勝つ。
・寄り後5分で高値更新失敗したように見えても、実は指数主導の押し(日経先物急落など)で、銘柄固有の需給が崩れていないケース。

エントリー条件を「機械的」にする:3つのチェック

この戦略の難しさは、感覚で入るとブレることです。そこで、初心者でも判断が一致しやすいように、チェックを3段にします。

チェック1:GU条件(前日比+5%以上)
当たり前ですが、+2%程度の小さなGUは“寄りの熱量”が足りず、VWAPが強い磁石になりません。最低+5%、できれば+7%以上を基準にします。

チェック2:寄り後5分の高値更新失敗
ここは「5分足で高値更新できない」と定義します。具体的には、寄り付きから5分間の中でつけた高値を、その次の5分足で更新できない状態です。さらに精度を上げるなら、次のどれかを満たすと“失敗”の信頼度が上がります。

・最初の5分足が上ヒゲ(高値圏で売りが出た証拠)。
・2本目の5分足が陰線(買いが続いていない)。
・歩み値の成行買いが減り、同値付近での約定が増える(上がらない)。

チェック3:VWAPまでの距離とスピード
「VWAPまで押したら買う」では遅いし、押しが深いと危険です。実務的には、VWAPの少し上(例:VWAP+0.1〜0.3%)で“減速”したら入ります。減速の見方はシンプルで、1分足なら“連続陰線が止まる”、5分足なら“下ヒゲが出る”。板なら“成行売りが一巡して、売りが細る”。この“減速”がないままVWAPを割っていくと、単なる崩れで下落トレンド入りの可能性が高いです。

具体的な手順:寄り前〜寄り後30分の時系列

以下は、朝のルーティンとして落とし込める具体フローです。

1)寄り前(8:30〜8:59)
・気配値で前日比+5%以上を抽出。
・板の厚みをざっくり確認(上下がスカスカなら除外)。
・前日出来高・平均出来高を見て、普段から流動性がある銘柄を優先。
・“その日の上値余地”を決めるため、直近の戻り高値(週足・日足)を目視。ここが近すぎる銘柄は失速しやすいが、反面、崩れも速いのでサイズを落とします。

2)寄り直後(9:00〜9:05)
・1分足で急騰しても追いかけない。狙いは「高値更新失敗→VWAP押し」。
・最初の5分足の高値が“天井候補”になるのでメモ。
・出来高が寄りで一気に出たか確認(出ていないなら見送り)。

3)9:05〜9:15(失敗の確認)
・2本目の5分足で高値更新できるかを見る。更新できないなら監視強化。
・歩み値が細り、同値が増え、買い板が増えないなら「買い疲れ」寄り。
・ここで“急に指数が崩れた”なら、一旦保留します(銘柄の失速ではなく、指数要因でVWAPを割るリスクがある)。

4)9:15〜9:30(VWAP押しの逆張り)
・VWAPラインを表示し、価格がVWAP方向に寄ってくるのを待つ。
・エントリーは「VWAPの少し上」で、売りが減速した瞬間。
・利確は「VWAPタッチ後の戻り(VWAP+0.3〜0.8%)」か「直近の戻り高値手前」。スキャルなので“取り切ろうとしない”。

注文の出し方:初心者が迷わない型

最初は注文が複雑になるほどブレます。ここでは“型”を決めます。

エントリー
・基本は指値(VWAP+0.1〜0.3%)で待ち、約定しないなら追わない。
・ただし減速が明確(急落→下ヒゲ→売り板が薄くなる)なら、成行で小さく入って、直後に逆指値で守る。

損切り
・原則は「VWAPを明確に割れて、戻りが弱い」とき。具体的には、1分足でVWAP下で2本連続陰線、または5分足の終値がVWAP下で確定。
・もう一つの分かりやすい基準が「寄り直後の安値割れ」。これは“需給が崩れた”サインになりやすい。

利確
・VWAPタッチ後に反発したら、半分は早めに利確してメンタルを安定させる。
・残りは、戻りが続く限り引っ張る。ただし、寄りの高値は“戻り売りの壁”になりやすいので、そこまで欲張らない。

具体例:想定シナリオで数字を置く

例えば、前日終値1,000円の銘柄が、材料で寄り前気配1,080円(+8%)になったとします。

9:00に1,080円で寄り、1分足で1,110円まで急騰。しかし、その後は1,105円→1,100円と上がらず、最初の5分足が上ヒゲで確定。9:05〜9:10の5分足でも1,110円を更新できず、出来高が減ってきました。

ここでVWAPが1,075円付近にあると仮定します(寄りの出来高が厚く、VWAPが寄り値に近い)。価格が1,090円→1,085円→1,080円と落ちてきたとき、VWAP+0.2%は約1,077円。あなたは1,078円に指値を置き、1,079円で約定。損切りはVWAP割れの1,073円(-0.6%程度)に逆指値。反発してVWAPを回復し、1,086円まで戻したら半分利確(+0.6%)。残りは1,092円で利確(+1.2%)——このように、小さく負けて、小さく勝ちを積む設計が現実的です。

勝率を上げるフィルタ:指数・セクター・板の“熱量”

同じ形でも、勝ちやすい日と負けやすい日があります。ここで使えるフィルタを3つ紹介します。

フィルタ1:指数の向き
日経平均が寄りから強く上昇している日は、GU銘柄の押しが浅く、VWAPまで届かないことがあります。この日は逆張りを無理に狙わず、むしろ「VWAPの上で下げ止まり→再上昇」を順張りに切り替えた方が簡単です。逆に指数が急落している日は、VWAPを割れやすく、逆張りが刺さりにくい。指数が荒れている日はサイズを落とすか見送りが安全です。

フィルタ2:セクターの地合い
例えば半導体全体が強い日に、半導体株がGUして失速しても、セクター買いが下支えしてVWAPで反発しやすい。一方、セクターが弱いのに個別だけGUしている場合、需給が一巡すると支えがなく、VWAPを割って崩れるリスクが上がります。

フィルタ3:板の“厚み”と歩み値の癖
板が厚い銘柄は、VWAP近辺で待機している買いが多く、反発しやすい傾向があります。歩み値が「同じロットが連発する」タイプはアルゴ比率が高い可能性があり、VWAPでの反応が綺麗に出ることがあります。逆に、板が薄く飛びやすい銘柄は、VWAPが意味を持ちにくいので避けます。

よくある失敗パターンと対処法

失敗1:VWAPに届く前に反発して置いて行かれる
これは“押しが浅い日”です。逆張りは待つ戦略なので、置いて行かれたら追いかけないのが正解。対処としては、VWAPだけでなく「寄り値」「直近の支持線(1分足の切り返し)」も併用し、押しが浅いと判断したら、VWAP回復を確認して順張りへ切り替えるルールを用意します。

失敗2:VWAPで買ったのに、そのままVWAP割れで下落
これは“崩れ”です。原因は、材料が弱い・寄りの買いが短期だけ・指数が悪い、など。対処は単純で、VWAP割れを許容しない。VWAP下で粘る時間を与えないことが損失を小さくします。逆張りは「当たれば大きい」ではなく「外れたら速く切る」が生命線です。

失敗3:高値更新失敗を待てず、早売り・早買いになる
寄りは値動きが速いので焦ります。しかし、この戦略の根拠は“買い疲れ”の確認にあります。最初の5分足が確定しないうちに入ると、単なる押し目を見誤り、踏まされます。対処は、最初の5分足確定まで触らないと決めることです。

リスク管理:1回の負けを致命傷にしない設計

短期売買で最も重要なのは、正確な予想ではなく、負け方の管理です。具体的には、次の3点を徹底します。

・1トレードの許容損失を固定(例:口座の0.2〜0.5%)。
・逆指値を入れ、例外を作らない(例外が“連敗の拡大”を生む)。
・同じ日に同条件で2回以上負けたら、その日は撤退(相場と噛み合っていない)。

応用:VWAPだけに頼らない“回帰の目印”

VWAPは便利ですが万能ではありません。以下の目印を合わせると精度が上がります。

・寄り値:寄り値は心理的な節目。VWAPが寄り値近辺にある日は反発が綺麗になりやすい。
・前日高値:GUでも前日高値は意識されやすく、押しの止まりやすいポイントになる。
・出来高の山:寄り直後に出来高が集中した価格帯は“重いが支えにもなる”。VWAPと重なると強い。

検証のすすめ:初心者でもできる“手動バックテスト”

戦略は、感覚ではなく数字で育てる方が早いです。難しいプログラムは不要で、次の手順で十分です。

①過去30営業日で「前日比+5%以上GU」した銘柄をリスト化。②チャートで寄り後5分の高値更新失敗があったかをチェック。③VWAPまで押した割合、VWAPで反発した割合を数える。④損切り基準(VWAP割れ)での最大逆行をメモ。——これをやると、あなたの得意な銘柄群・苦手な値動きが見えてきます。

まとめ:この戦略の本質は「待つ逆張り」と「速い撤退」

前日比+5%以上のGUは“朝だけの特需”が発生しやすい反面、買いが一巡すると、想像以上に押します。寄り後5分の高値更新失敗は、その転換点のサインです。そこからVWAPまでの押しを逆張りするなら、銘柄選別減速の確認、そしてVWAP割れでの即撤退をセットにしてください。

スキャルは派手さより再現性です。最初は小さなサイズで、同じ型を淡々と繰り返し、検証結果に合わせて条件を微調整する。これが、短期で“安定して残す”ための最短ルートです。

歩み値・板で「失速」を見抜く:初心者向けの観察ポイント

チャートだけでも成立しますが、寄り付きの失速は歩み値(約定履歴)と板(気配)を見ると判断が速くなります。難しい読み方は不要で、次の3点だけ押さえてください。

1)成行買いの“連続”が途切れる
寄り直後は成行買いが連発しやすいですが、失速局面では連発が止まり、同値での細かい約定が増えます。上に行く力が弱いのに、上値で約定していない=買い上げが不在、という状態です。

2)買い板が増えないのに、売り板だけが厚くなる
高値付近で売り板が厚くなるのは自然ですが、問題は“買い板が育たない”ことです。買い板が薄いまま価格だけが高いと、少しの投げで下がりやすく、VWAPまでの押しが速くなります。

3)上を叩く大口が見える(同ロットの連続約定)
同じロット(例:2,000株、5,000株)が一定間隔で出て、上昇のたびに止められるなら、上値に供給がいる可能性が高いです。こうした局面は“高値更新失敗→押し”が起きやすい反面、下落も速いので、逆張りは必ず減速確認とセットにします。

時間帯で期待値が変わる:狙うのは9:10〜9:40が中心

寄り付き直後(9:00〜9:05)は、値が飛びやすくスプレッドも広がり、逆張りは不利になりやすい時間帯です。一方、9:10以降になると、寄りの一巡が終わり、VWAPが“その日の基準線”として機能し始めます。

実務的には、次のように時間帯で役割を分けると安定します。

・9:00〜9:05:触らない(観察して天井候補を決める)。
・9:05〜9:15:高値更新失敗を確認(失敗が確定した銘柄だけ残す)。
・9:15〜9:40:VWAP押しの逆張り本番(減速→エントリー→短期利確)。
・9:40以降:同じ形でも“ただの戻り売り相場”になりやすい。無理にやらない。

「1回で終わらせない」ルール:同日2回目のチャンスの扱い

GU銘柄は、VWAPで一度反発しても、再び押してくることがあります。ここで連続トレードすると、勝っていたのに吐き出すことが多い。そこで2回目以降の扱いを決めます。

・1回目で利確できた場合:2回目はサイズを半分以下。
・1回目で損切りになった場合:その日はその銘柄を触らない(相性が悪い)。
・2回目をやる条件:VWAP上に戻った後、再びVWAP付近まで押し、かつ出来高が明確に減って“下げが鈍い”ことを確認する。

特に重要なのは、「VWAPを割っている時間が長い」銘柄は触らないことです。VWAP下で滞在が長いほど、VWAPが“抵抗線”に変わり、逆張りの根拠が崩れます。

手数料・スリッページの現実:小さな利益を削らない設計

スキャルで見落としがちなのがコストです。1回あたり0.3〜0.8%を狙う戦略は、手数料とスリッページで“期待値が消える”ことがあります。対策は次の通りです。

・板が厚い銘柄を優先(スリッページが小さい)。
・エントリーは指値中心(成行は“減速の確認が取れたとき”だけ)。
・利確も指値で置き、欲張らない(刺さらないなら撤退)。
・1回のトレードで利幅が小さすぎるなら、そもそもその銘柄は対象外にする。

朝のチェックリスト:5行で迷いを消す

最後に、実際のトレード前に読むチェックリストを置きます。これにYESが多いほど、この戦略の“形”が整っています。

1)前日比+5%以上でGUしている。
2)寄り後5分で高値更新に失敗し、上ヒゲや陰線で失速が見える。
3)出来高がピークアウトし、買い上げが続かない。
4)板が厚く、VWAP近辺で反発しやすい環境(薄い急騰ではない)。
5)指数要因の急変ではなく、銘柄固有の“買い疲れ”が理由になっている。

この5行を満たす銘柄だけを、VWAP付近で“減速した瞬間”に拾い、VWAP割れで速く切る。これだけで、逆張りスキャルの再現性は一段上がります。

p-nuts

お金稼ぎの現場で役立つ「投資の地図」を描くブログを運営しているサラリーマン兼業個人投資家の”p-nuts”と申します。株式・FX・暗号資産からデリバティブやオルタナティブ投資まで、複雑な理論をわかりやすく噛み砕き、再現性のある戦略と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ実践できること、そして迷った投資家が次の一歩を踏み出せることを大切にしています。

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