IPO2日目:初値形成後にVWAPを回復した押し目を買うセカンダリー戦略(板・歩み値・需給で精度を上げる)

株式投資

本記事は、IPO(新規上場)2日目のセカンダリー(上場直後の短期売買)で、「初値形成後にVWAP(出来高加重平均価格)を回復したことを確認して、押し目で買う」戦略を、再現性が出る形まで分解して解説します。狙いはシンプルですが、IPOは値動きが荒く、板が薄く、アルゴが走りやすいので、一般的な押し目買いの感覚のまま入ると簡単に焼かれます。ここでは“入る条件”よりも、“入らない条件”と“切り方”を厚めにします。

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IPO2日目が「設計」しやすい理由

IPO初日(上場初日)は、初値がつくまで売買が成立しないことが多く、ついた瞬間から一気に価格帯が跳びます。初値形成の直後は、上場イベントの熱狂で買いが先行しやすい一方、初値で配分を受けた投資家の利確、短期勢の回転、空売り規制や信用制限などの制度要因が絡み、値動きが“ランダムに見えやすい”時間帯です。

一方、2日目は次の要素が揃いやすいのがポイントです。

①初値と前日終値が存在する(基準点が増える)/②前日の高値・安値・出来高ピークが「市場参加者の記憶」になっている/③初日の熱狂が一巡し、資金の強弱(本気買いか、回転か)が板と歩み値に出やすい。つまり、価格がどこで“攻防”になりやすいかを事前に設計しやすく、VWAPという軸に沿って「上方向に勢いが戻った瞬間」を判定しやすいのが2日目です。

この戦略のコア:VWAP回復=「買い手が平均コストを取り戻した」

VWAPは、その日の参加者の平均約定コストに近い指標です。価格がVWAPの下にいる時間が長いほど、買っている側は含み損を抱えやすく、戻り売りが出やすくなります。逆に、VWAPを上に抜けて定着すると、平均コストを取り戻した買い手が“利確しなくてもよい状態”になり、押し目が買われやすくなります。

IPO2日目は、指数や大型株と違い「ファンダが評価されてVWAPを守る」というより、「需給と短期資金がVWAPを基準に反応する」側面が強いです。だからこそ、“VWAPを一瞬抜けた”ではなく、“回復して押しても崩れない”まで確認する必要があります。

前日の準備:2日目の地図を作る(ここが勝率を決める)

朝の気配を見る前に、前日(初日)のチャートと板の履歴から、2日目に反応しやすい価格帯を3〜5本に絞ります。目安は以下です。

・初値(最重要):2日目の参加者が最も意識しやすい“イベント価格”
・初日の高値:利益確定が出やすい上値の壁
・初日の出来高ピーク付近:大口の平均取得帯になりやすい
・初日の引け値:持ち越し勢の損益分岐になりやすい
・値幅が一気に跳んだ価格帯(飛び石):板が薄く再訪時に急変しやすい

この地図がないまま「VWAP回復したから買い」は危険です。VWAP回復が起きても、すぐ上に初日の出来高ピークや高値が控えているなら、上値余地が薄く、押し目を待つ前に利確の波に飲まれやすいからです。

エントリー条件:必須条件(これが揃わない日は触らない)

以下は“必須”。1つでも欠けるなら見送る方が、長期的に資金が残ります。

必須1:初値形成後に「VWAP上抜け→5分足終値でVWAP上」
瞬間的な上抜けは、板が薄いIPOでは簡単に起きます。最低でも5分足の終値がVWAP上で確定すること。できれば、上抜けの足が出来高を伴い、次の足で高値更新しようとする“継続意思”が見えること。

必須2:VWAP回復直後の押しで「VWAPを割らない(または割っても即座に戻す)」
押し目買いの本質は、押した瞬間に買いが入るかどうかです。理想は、VWAP付近まで押しても下ヒゲを付けて戻し、VWAPの上で再び買いが優勢になる形。VWAPを明確に割って、戻りも弱いなら“回復失敗”です。

必須3:歩み値で「成行買いの連続」または「同ロットの連続約定(アルゴの回転)」が確認できる
IPOは板が薄く、指値だけでは価格を支えにくい。押し目で“成行が吸い上げる”動きが出るか、あるいは一定ロットが連続約定して板を食う動き(アイスバーグやアルゴ回転)が見えるかが重要です。押し目で出来高が死ぬなら、買いが不在です。

必須4:スプレッドと板厚が「許容範囲」
スプレッドが広すぎる(例:ティックが飛ぶ、最良気配のロットが極端に薄い)と、押し目で入っても即座に不利約定になりやすい。目安として、最良気配に一定の厚みがあり、1ティック飛びが常態化していない銘柄を優先します。

加点条件:揃うほど“伸びやすい”

必須を満たしたうえで、以下は加点。全部揃う日は強いです。

加点1:初値が前日高値に近すぎない(上値余地がある)
2日目の寄りが既に高値圏だと、VWAP回復しても上は重い。前日高値まで十分な距離(たとえば2〜3%以上)があると、短期でも取りやすい。

加点2:押し目の形が「時間調整」になっている
理想は、急落ではなく、横に揉んで出来高が落ち、VWAPが追いついてくる形。価格が横ばいでVWAPが上がってくると、次の上抜けが軽くなります。

加点3:押し目で売り板が薄くなる/買い板が増える
板の厚みが押しの局面で“買いに傾く”なら、下を支える参加者がいる。逆に、押しで買い板が消えるのは危険信号です。

具体的なエントリー手順:3段階で「損切り位置を先に決める」

初心者が一番やりがちなのは、VWAP回復を見て焦って成行で飛びつくことです。IPOはこれで負けやすい。順番はこうです。

ステップ1:VWAP回復を“確定”で見る
5分足終値でVWAP上。ここで初めて監視対象にします。まだ買わない。

ステップ2:押し目の候補ゾーンを決める
候補は(a)VWAP付近、(b)直近の上抜け起点、(c)1分足の直近安値、のどれか。どこまで押したら“失敗”か(損切りライン)を先に決めます。たとえば「VWAPを明確に割って1分足終値で下」など、ルール化します。

ステップ3:押し目で“買いの再点火”を確認して入る
入るトリガーは、押し目での下ヒゲ+次の足で高値更新、あるいは歩み値で成行買いが連続し、売り板が薄くなる瞬間です。エントリーは指値でもよいですが、板が薄い時は約定しないこともあります。約定させたいなら、ロットを小さくして成行にする代わりに、損切りは躊躇なく実行します。

利確と損切り:IPOの“正しい逃げ方”

利確と損切りを曖昧にすると、IPOは一撃で持っていかれます。ルール例を提示します(あなたの銘柄特性に合わせて調整してください)。

損切り(固定)
・エントリー根拠がVWAP回復なら、VWAPを明確に割って定着したら撤退(1分足終値で下、またはVWAP下で出来高増=崩れ)
・押し目の直近安値を割ったら撤退(“押し目が押しでなくなった”)
・板が急に薄くなり、1ティック飛びが増えたら一段ロットを落とすか撤退(流動性リスク)

利確(分割が基本)
IPOは伸びる時は伸びますが、戻す時も速い。全部を高値で取ろうとすると、結局戻りに巻き込まれます。具体的には、
・第一利確:直近高値(VWAP回復後の戻り高値)付近で1/3〜1/2を落とす
・第二利確:前日高値や出来高ピークなど“地図の壁”でさらに落とす
・残り:トレーリング(1分足の安値更新で手仕舞い、またはVWAP割れで手仕舞い)
この分割により、当たりの日は伸ばし、外れの日は小さく負ける構造が作れます。

よくある罠:VWAP回復に見えて“回復していない”パターン

失敗の多くは、VWAPの扱いを誤るか、需給を読み違えます。典型例を挙げます。

罠1:VWAP上抜けが「出来高なし」
出来高が伴わない上抜けは、薄い板の跳ねであることが多い。すぐ下に大量の指値売りが控えていて、押し目で踏まれて終わります。

罠2:VWAP回復直後に“上で揉む”のに、歩み値が買っていない
価格は上にいるのに、約定は小ロット中心で、売りがぶつけられている。これは上値の買いが弱い。押し目で崩れやすい。

罠3:前日高値が目の前
上値余地が薄いのに入ると、押し目が来る前に利確が出て失速します。地図の壁は必ず意識します。

罠4:寄り直後の“最初のVWAP”に過度に反応する
寄り直後はVWAPが安定しません。特に2日目寄りはギャップが出やすく、最初の数分はVWAPが急角度で動く。最低でも初値形成後の一定時間(例:10〜15分)を経てから判断するとブレが減ります。

銘柄選別:同じ戦略でも「向くIPO」と「向かないIPO」がある

IPO2日目といっても、全てが同じではありません。以下の条件を満たすほど向きます。

・出来高が十分(押し目で数分待っても約定が継続する)
・ティックサイズが細かく、スプレッドが極端に広くない
・前日に「初値→上→下→引け」のような攻防があり、価格帯に記憶がある
・テーマ性があり、短期資金が集まっている(ただし過熱しすぎは別)

逆に、出来高が細り、板がスカスカで、価格が飛び石になっている銘柄は、VWAP戦略の前に“流動性リスク”が勝ってしまいます。初心者はまず、板が比較的厚いIPO(大型寄り、あるいは出来高がついている銘柄)から練習する方が安全です。

1日の運用モデル:時間帯ごとの“やること”を固定する

場中に迷う最大の理由は、判断の順序が決まっていないからです。2日目の典型的な流れに沿って、やることを固定します。

寄り前:前日の地図(初値、前日高値、出来高ピーク、引け)をライン化。寄りの気配でギャップの大きさを確認。
初値形成〜その後10分:“観察だけ”。VWAPはまだ不安定。出来高の付き方と、上値で売りが出る場所を確認。
10〜60分:VWAP回復の有無を判定。回復した銘柄だけを押し目待ち。回復しない銘柄は触らない。
後場:午前の高値更新があるか、あるなら押し目を狙う。ないなら無理に触らず、出来高が戻る局面のみ。

具体例(架空):数字で“入る/入らない”を決める

例として、初値2,000円、前日高値2,240円、前日引け2,080円、2日目の初値2,120円で始まったケースを考えます(あくまで説明用の架空例です)。

・寄り後、2,120→2,060まで下落し、VWAP(当初)は2,090付近。
・その後、出来高を伴って2,100を上抜け、5分足終値がVWAP上で確定。ここで監視開始。
・押し目が2,090(VWAP)付近まで来た時、歩み値に成行買いが連続し、2,090の売り板が薄くなる。1分足が下ヒゲで反転。
→エントリー:2,095〜2,105(約定優先なら小ロット成行)
→損切り:VWAP(2,090)を明確に割って1分足終値が下、または押し目安値2,088割れで撤退(-0.5〜-0.8%程度)
→第一利確:直近高値2,135で1/2
→第二利確:前日高値2,240手前で追加利確(届かなければトレーリング)

この例のポイントは、「VWAP回復を確認してから押し目で入る」「損切り幅を先に固定」「利確は分割」の3点です。IPOで一撃を避けるには、この構造が必要です。

ロット管理:初心者は“値幅”より“流動性”でサイズを落とす

IPOでの事故は、方向性ではなく“約定と滑り”で起きます。損切りを決めても、板が飛んで約定が悪化し、想定以上に負ける。だからロットは、テクニカルよりも流動性で決める方が現実的です。

目安として、
・最良気配の板が薄い/1ティック飛びが頻発:ロットは通常の半分以下
・出来高が急減している:ロットを落とすか、見送る
・出来高が継続し、板も厚い:通常ロットでもよいが、損切りは機械的に
この運用にすると、“運が悪い一回”で資金が壊れる確率が下がります。

チェックリスト:エントリー前に10秒で確認する

最後に、場中で迷いを減らすためのチェックリストを置きます。全部にYESが付く銘柄だけ触る。これだけで無駄なトレードが減ります。

・前日の地図(初値/高値/出来高ピーク/引け)を把握しているか
・初値形成後、5分足終値でVWAP上にいるか
・押し目でVWAPを割っていない(または割っても即戻す)か
・歩み値で成行買いの連続、または同ロット連続約定が見えるか
・スプレッドと板厚が許容範囲か(飛び石が常態化していないか)
・損切りラインを数値で言えるか(VWAP割れ、直近安値割れなど)
・利確の第一地点が地図上にあるか(直近高値、前日高値など)

まとめ:VWAP回復は“合図”であって、“免罪符”ではない

IPO2日目の「VWAP回復→押し目買い」は、短期資金が最も反応しやすい形の一つです。ただし、VWAP回復は合図にすぎず、それ単体で勝てるわけではありません。前日の地図で上値余地を測り、押し目で買いの再点火(歩み値・板)を確認し、損切りを先に固定し、利確を分割する。これを徹底すると、荒い値動きの中でも、期待値をプラス側に寄せやすくなります。

最初は小ロットで、同じ手順を“毎回同じ順序”で回してみてください。上手くいった日・ダメだった日を、VWAP回復の質(出来高)と押し目の質(板・歩み値)で分類できるようになると、精度が一段上がります。

制度・注文の注意点:IPO特有の“足かせ”を理解しておく

IPOのセカンダリーは、銘柄によって信用取引の可否、空売り規制、値幅制限、増担保などのルールが絡みます。初心者が混乱しやすいのは「思った通りにヘッジできない」「買いだけで勝負するしかない」状況です。買い戦略でも、次の点は最低限押さえます。

・信用の可否:信用が使えない(または制限が強い)と、回転勢の参加が減って値動きが急に細ることがあります。出来高の継続性に直結します。
・値幅制限とストップ高/安:上値が値幅上限に近いほど、利確が早まりやすく、板が急に薄くなります。逆に下値が近い銘柄は、崩れた時に逃げ場がなくなる。VWAP戦略は“逃げられる市場”でのみ機能します。
・売買停止(ボラティリティ・インタラプション等):急変時は売買が止まり、再開気配でギャップが出ます。押し目買いで入っていると、損切りを置いていても想定外の位置で約定することがあります。急変局面では「入らない」判断も戦略の一部です。

注文の作り方:指値・成行を“状況で切り替える”

IPOは、同じ銘柄でも時間帯で板の厚みが変わります。注文方法は固定せず、状況で切り替えます。

板が厚い(スプレッドが狭い)とき:押し目ゾーンに指値を置き、約定後に即座に逆指値(または手動の損切りルール)を準備。
板が薄い(飛びやすい)とき:指値は刺さらず、刺さっても不利約定になりやすい。小ロットで成行→すぐに損切りラインを監視、という形の方が事故が減ることもあります。
一番危険:板が薄いのに大ロット成行。滑りで期待値が崩壊します。

また、押し目で“買いの再点火”を見て入る場合、エントリーを1回で決めず「2回に分ける」手も有効です。たとえば半分を押し目反転で入れ、残り半分は直近高値を再度超えた瞬間に追随する。こうすると、反転が失敗した時の損切りが軽くなり、成功した時は乗り遅れを減らせます。

検証のやり方:スクリーンショットではなく“数値”で残す

再現性を上げるには、感想ではなく数値で記録します。最低限、次の5項目を毎回メモすると、改善点が見えるようになります。

①VWAP回復の足の出来高(直前平均との差)/②押し目の深さ(VWAPからの乖離%)/③押し目での出来高の減り方(ピーク比)/④損切りまでの時間と滑り幅(ティック数)/⑤利確地点(地図のどの壁で反応したか)

これを20〜30回分ためると、「自分は出来高が伴わないVWAP回復に手を出している」「前日高値が近いのに粘って戻されている」など、負けパターンが定量化されます。IPOは相場観よりもプロセスの改善で成績が伸びやすい領域です。

最後に:この戦略を“やらない日”を決める

勝ちパターンを増やすより先に、負けパターンを減らす方が効きます。具体的には「寄りから30分で出来高が急減した」「VWAP付近で反発せず、VWAPが下向きに傾いた」「一度の成行で数ティック飛ぶ状態が続く」など、環境が整っていない日はノートレードにします。IPO2日目は毎日チャンスがあるわけではありません。条件が揃った“少ない日”だけ打つ方が、結果として資金効率が上がります。

p-nuts

お金稼ぎの現場で役立つ「投資の地図」を描くブログを運営しているサラリーマン兼業個人投資家の”p-nuts”と申します。株式・FX・暗号資産からデリバティブやオルタナティブ投資まで、複雑な理論をわかりやすく噛み砕き、再現性のある戦略と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ実践できること、そして迷った投資家が次の一歩を踏み出せることを大切にしています。

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