ビットコイン(BTC)の送金では、手数料(fee)をいくらに設定するかが承認速度を左右します。特に現在のようにネットワークが混雑している時期に、**極端に低い手数料(例:1sat/vByte)**で送金すると、いつまで経っても承認されないというケースが発生します。
この記事では、
- 低手数料で送金したBTCが「いつかは承認されるのか」
- 実際に送金が詰まったときの具体的な対処方法(RBF・CPFP)
を、個人投資家・トレーダーの視点で詳しく解説します。
低fee(例:1sat/vByte)の送金は承認されるのか?
理論上は「はい」、だが現実は「いいえ」に近い
- 理論上、ネットワークが非常に空いているときなら、低feeでもマイナーに拾われて承認されることがあります。
- しかし現実には、常にmempool(未承認トランザクションの待機場所)が混雑しているため、1sat/vByteのようなトランザクションは後回しにされ続けるのが常です。
mempoolが溢れると何が起きるか?
Bitcoin Coreなどのフルノードでは、mempoolの容量(デフォルト約300MB)を超えると、
「古くてfeeの低いトランザクション」から順に削除されていきます。
これは、手数料を上げない限り、その送金が永久に処理されないことを意味します。
結論:低fee送金は「詰まる前提」で考えるべき
- 手数料相場が20〜50sat/vByteとなる状況下で、1sat/vByteで送るのは無謀です。
- 特に重要な送金(取引所、支払い、戦略的移動など)は、確実に承認されるfeeで送ることが鉄則です。
承認されない送金を動かす実用的な対処法2選
万が一、送金が詰まってしまった場合でも、適切な方法でリカバリーできます。以下に2つの代表的な方法を解説します。
① Replace-by-Fee(RBF):手数料を上乗せして再送信
概要
RBF(リプレイス・バイ・フィー)は、未承認の送金を高い手数料で「上書き」して再送信できる仕組みです。マイナーは、よりfeeの高いバージョンを優先して処理します。
条件
- 最初に送金した際に、RBFフラグをONにして送る必要があります。
- 非対応ウォレットでは使えないため、対応ソフトを使用することが前提です。
対応ウォレット例
ウォレット名 | RBF対応可否 |
---|---|
Electrum | ✅ 対応 |
Sparrow Wallet | ✅ 対応 |
Blue Wallet | ✅ (Advanced設定) |
Bitcoin Core | ✅ 対応 |
MetaMaskなど | ❌ 非対応(BTC未対応) |
操作例(Electrum)
- トランザクション一覧から未承認の送金を右クリック
- 「Increase Fee」を選択
- 新しいfee(例:20〜30sat/vByte)を設定して送信
- 上書き送信され、ブロックに取り込まれる可能性が高まる
② CPFP(Child Pays For Parent):自分宛送金なら「子」が「親」を引き上げる
概要
CPFPは「子が親の手数料を肩代わりする」という考え方で、
詰まっているトランザクション(親)から送られたBTCを使って、新たな送金(子)を高feeで出すことで、親子まとめて承認される仕組みです。
条件
- 親トランザクション(詰まっている送金)で受け取る予定のアドレスの秘密鍵を自分が持っていることが必要です(=自分宛て送金であること)。
操作例(Sparrow Wallet)
- 詰まったTXをウォレットでインポート
- そのUTXOを入力に指定して、新規送金(子トランザクション)を作成
- feeを30〜50sat/vByteに設定し、高速で送信
- マイナーは、親と子をセットで取り込み、結果として親TXも処理される
各対処法の比較まとめ
項目 | Replace-by-Fee(RBF) | CPFP(Child Pays For Parent) |
---|---|---|
前提条件 | 送金時にRBFをONにしている | 自分が詰まっている送金の受信者 |
対応ウォレット | Electrum、Sparrowなど | Electrum、Sparrowなど |
使い方 | 送金を上書きしてfeeを上乗せ | 子トランザクションでfee上乗せ |
成功率 | 高い | 高い(特に子TXのfeeを十分に上げれば) |
よくある誤解と注意点
❌「放っておけばそのうち承認されるでしょ?」
→ 現在のfee環境では、事実上ありえません。
❌「mempoolに乗ってるなら安全」
→ mempoolは溢れると古い低feeのTXから削除されます。ウォレットからも見えなくなる可能性があります。
安全な送金のために知っておくべきfee設定の目安(2025年時点)
目的 | 推奨fee(sat/vByte) |
---|---|
緊急(10分以内) | 40〜60 |
標準(数時間) | 20〜30 |
非緊急(数日待てる) | 10〜15 |
長期放置覚悟 | 1〜5(ただし非推奨) |
feeの参考には mempool.space や jochen-hoenicke.de などが便利です。
まとめ:低fee送金にリスク、対策を知って使いこなせ
- 1sat/vByteのような極端に低い手数料での送金は、現実には承認されず、ネットワークから削除される可能性が高い。
- 送金が詰まった場合は、RBFまたはCPFPの活用を。
- fee相場は変動するため、常にネットワーク状況を確認して適切なfee設定を行うことが重要です。
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