出来高で勝つ暗号資産トレード:CVD・VWAP・OBVを使った実戦フレームワーク完全版

テクニカル分析

価格だけを追っても勝率は安定しません。暗号資産は流動性の偏りが激しく、出来高(ボリューム)こそが「どこで資金が実際に動いたか」を教えてくれます。本記事では、出来高データの種類、信頼できる読み解き方、そして CVD(Cumulative Volume Delta)VWAP(出来高加重平均)OBV(On-Balance Volume) を組み合わせた実戦フレームワークを提示します。初心者でも明日から実装できるレベルで、手順・数値例・チェックリストまで落とし込みます。

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なぜ暗号資産で「出来高」が要になるのか

暗号資産は株式よりも取引所間の分断が強く、同一銘柄でも市場ごとの板厚・手数料・参加者属性が異なります。価格は騙せても、本当に約定した数量(出来高)は誤魔化しにくい。出来高はブレイクの質、トレンドの持続性、だましの可能性を定量化する唯一の手掛かりです。

出来高データの3層

  • スポット出来高:現物の約定数量。資金の純流入/流出を示唆。
  • デリバティブ出来高:先物・パーペチュアル。レバレッジ・ヘッジ需要を反映。
  • オンチェーン活動量:Tx数や手数料、アクティブアドレスなど。投機と実需の温度感。

単一の出来高では偏りが出ます。現物と先物のギャップ資金調達率(Funding)先物建玉(OI)なども併読して初めて「本当に資金が入っているか」を判断できます。

基本指標:VWAP・OBV・CVDの役割分担

VWAP(出来高加重平均価格)

VWAPは「平均的な参加者のコスト」を表します。価格がVWAPの上にあるほど買い方が優位。アンカードVWAP(特定のイベント起点から計算)を使うと、半減期や大幅ニュース後の公正価格帯を可視化できます。

OBV(On-Balance Volume)

価格の上げ下げで出来高を加算/減算して累積する指標。価格が横ばいでもOBVだけが上昇しているなら、静かな買い集めの可能性。ダイバージェンス検出に強い。

CVD(Cumulative Volume Delta)

成行買い(アグレッシブバイ)と成行売り(アグレッシブセル)の差を累積したもの。足跡(フットプリント)として、どちらが主導権を持ったかを定量化。価格が上がっているのにCVDが伸びないなら、上値での売り叩き=息切れ上昇を示唆します。

データ取得の現実解

集計の信頼性は超重要です。取引所ごとに出来高の算出と表示が微妙に異なるため、同一のデータベンダーで一貫して比較するのが安全です。先物中心の戦略なら、主要2〜3取引所に絞って足並みを確認します。

戦略A:出来高同伴ブレイクアウト(再入場ロジック付き)

狙い:レンジ上抜け時に「実需の同伴」を条件化して、だましを回避します。

  1. 直近20期間の出来高平均を算出(例:5分足×20)。
  2. レンジ上限を実体でブレイクし、その足の出来高が平均の1.8倍以上
  3. CVDが直近高値を更新、OBVも上向き。
  4. VWAP(当日)より上で推移し、ブレイク足の安値−αに逆指値ストップ。
  5. 失速してもVWAPを明確に割れない限りホールド。VWAP割れ+出来高細りで利確部分約定。

数値例:BTCUSDT 5分足。レンジ上限=¥10,200,000。ブレイク足の出来高=平均の2.1倍、CVD高値更新、当日VWAP=¥10,150,000。エントリー=¥10,215,000、初期ストップ=¥10,130,000(−0.83%)。第一利確=リスクリワード1:1達成時、第二利確=当日最高値更新が止まった足で出来高減少を確認したら。

戦略B:スクイーズ→出来高拡大の初動回収

狙い:ボリンジャーやATRで圧縮を測り、拡大の初動を出来高フィルターで抽出

  1. ATR(14)/価格が過去60本の20%分位以下を「圧縮」と定義。
  2. 圧縮解除足で出来高が過去30本の上位10%に入る。
  3. CVDがゼロラインを上抜け(買い主導へ転換)。
  4. アンカードVWAP(圧縮起点)を終値で上回る。

失速の判断は簡潔に:出来高が平均割れ×2本+CVDの反転で一旦撤退。

戦略C:アンカードVWAP回帰(イベント起点)

半減期・大規模アップグレード・主要ETFニュースなど、相場の「新しいフェーズ」が始まった起点にアンカーを打ちます。価格が乖離し過ぎたとき、出来高が細る戻りでショート、出来高が復帰する押し目でロング、という二面運用が可能。乖離率は過去分布から統計的に閾値化します(例:±2σ)。

戦略D:OBVと価格のダイバージェンスを使う押し目狙い

価格が高値更新していないのにOBVだけが高値更新していれば、静かな買い集めの合図。出来高スパイクを待って押し目を拾います。ストップは直近スイング安値を基準に。

戦略E:ニュース・ショックのエキゾースト判定

急騰後の「上ヒゲ+出来高最大化+CVD失速」は、短期の買い疲れを示しがち。直後の戻りでCVDが回復しないなら、短期逆張りのエッジが生まれます。必ずVWAP上/下の位置を併読して、平均回帰が働きやすい地合いかを確認します。

リスク管理:出来高を使ってストップとサイズを決める

  • ボラ基準ストップ:ATR×k(例1.5)で価格ノイズに耐える。
  • 流動性基準サイズ:直近出来高×参加時間比で自分の注文が板を壊さないサイズに制限。
  • スリッページ対策:部分利確・リデュースオンリー・OCOで滑りを管理。

実行の細部:成行/指値・板の厚み・アイスバーグ

出来高の急増局面では成行優位。反対に、板が薄い時間帯のブレイク試しは分割指値+約定確認で参加。アイスバーグ(隠し量)の出現はテープリーディングで推定し、見せ板に飛びつかない。

検証プロトコル(初心者でもできる最小構成)

  1. 時間軸を固定(例:5分足)。
  2. エントリー条件を3つ以内に絞る(例:ブレイク+出来高1.8倍+CVD高値更新)。
  3. 出口は2段(RR1:1とVWAP割れ/超え)。
  4. 30〜50トレード分の手計算バックテスト→勝率・PF・最大DDを算出。

数値は「改善の方向」を示すコンパス。悪天候のときは何を足すかではなく、何を削るかで調整します。

よくある失敗と修正例

  • 出来高だけで逆張り:VWAP位置を同時確認する。
  • 取引所間ミスマッチ:同一ベンダー・同一市場で比較する。
  • 指標の多すぎ:判断は遅くなる。役割が被る指標は捨てる

チェックリスト(毎トレード前)

  • 今日の基準:当日VWAP、直近平均出来高、主要ニュースの有無。
  • 方向:CVDの傾き、OBVのトレンド。
  • 実行:エントリー数値、ストップ水準、サイズ。
  • 撤退:出来高の細り、CVD反転、VWAP割れ/超え。

まとめ

価格の「結果」に飛びつくのではなく、出来高という「原因」を観察する。CVD・VWAP・OBVを役割分担で組み合わせれば、だましの多い暗号資産でも同じ手順で繰り返しトレードできます。まずは1銘柄・1時間軸から始め、数値と文章でログ化し、毎週1つだけ改善してください。

実例シミュレーション:ETHの出来高同伴ブレイク

前日高値付近で横ばい。5分足の平均出来高=12,000 ETH。ブレイク足の出来高=23,500 ETH(1.95倍)。CVDは直近高値を+1.2σで更新。OBVは2時間ぶりに上向き転換。VWAPを終値で明確に上抜け。ここで成行半分+指値半分で分散エントリー。初期ストップはブレイク足安値−0.6ATR。

その後、出来高が平均の1.1倍で継続し高値更新。RR1:1で半分利確、残りはVWAPトレイル。CVDがゼロラインに落ちた時点で降り、合計RR=1.7を確保。

Q&A:初心者が悩むポイント

Q. 指標の設定はデフォルトでいい?

A. 最初はデフォルトで十分。勝率・PFが安定したら期間を微調整。いきなり最適化はしないこと。

Q. 出来高が薄い時間帯の扱いは?

A. アジア早朝や週末はブレイクの質が落ちがち。当日VWAP±乖離帯の回帰戦略に限定するなど、時間帯で戦略を切り替える。

Q. 取引所間で価格がズレる

A. 板の厚みが違うため当然。自分が執行する市場のデータを主に読む。

用語ミニ辞典

フットプリント:足ごとの成行買い/売りの差(デルタ)を可視化したもの。
アンカードVWAP:任意の起点(イベント足)から計算するVWAP。
OBV:価格方向に出来高を加減して累積する指標。

運用ルール雛形(コピペ用)

①5分足。②ブレイク足の出来高≥平均×1.8。③CVD高値更新。④当日VWAP上。⑤初期SL=0.6〜0.9ATR。⑥RR1:1で半分利確、残りはVWAP割れ/超えで決済。⑦1日の最大損失=口座の1%。

検証ノート(追加)

記録は勝ち負けよりも「なぜ」を残します。出来高比・CVD傾き・VWAP乖離率・取引所・時間帯・スリッページを固定書式で残し、週次で集計しましょう。例えば「出来高倍率1.8〜2.2かつCVD更新」のセットアップは勝率56%、PF1.32、最大DD−6.8%など、数字で語れるようにすると改善が速くなります。

また、イベント起点のアンカードVWAPでは、乖離が±2σを超えた後の回帰を狙う設計が有効な場面が多い一方、トレンド相場では逆行が伸びやすい点に注意。必ず出来高の継続性とCVDの方向で相場フェーズを同定してください。

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