Hyperliquid徹底ガイド:オンチェーン板型Perp DEXの仕組みと攻め方を完全解説

暗号資産

本稿では、CoinMarketCapのパーペチュアル対応DEXランキング掲載銘柄からHyperliquidを取り上げ、仕組みから実践的な活用法までを体系的に整理します。Hyperliquidは、オンチェーンで板寄せ・マッチングを行う数少ない「板型Perp DEX」で、CEXに近い操作感と遅延特性を保ちながら、清算や資金調達率などの重要メカニクスをスマートコントラクトで完結させる点が特徴です。

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なぜHyperliquidか:差別化ポイントの要約

  • 完全オンチェーンの板寄せ:価格優先・時間優先(price-time priority)の板で、ティック・ロットに基づく注文がオンチェーンで整列・約定します。CEXと同じ感覚で板読み・指値の分割配置が可能です(Order book)。
  • 独自L1+HyperBFT:HotStuff系のBFTを発展させたHyperBFTで合意。ベンチマークではp50遅延0.2秒、p99で0.9秒と公表(Overview)。スキャルピングや自動売買への適性が高い。
  • 頑健な価格指標:CEX加重中央値ベースのOracle、複合ロジックのMark(HL板・外部Perp・オラクルを統合)を使い、清算・損益計算・トリガーに用います(Robust price indices)。
  • 時間粒度の細かい資金調達:資金調達(Funding)は1時間ごとに決済。金利成分は8時間0.01%(時給0.00125%)を採用し、プレミアム指標に基づき算出(Funding)。
  • 清算とADLの規律:メンテナンス証拠金は「最大レバの初回証拠金の半分」を基準に、口座/ポジション価値が下回ると清算。最終防衛としてADLで健全性を維持(Margining / Auto‑deleveraging)。
  • ボリューム連動の手数料:14日出来高に応じたティアで、Perp基準のテイカー/メイカー料率が決まる。スポット出来高はティア計算で2倍換算され、手数料最適化の余地がある(Fees)。

アーキテクチャ概説(初心者向けに要点だけ)

HyperCoreが板・清算・マージン等の「取引中枢」を担い、HyperEVMは同一コンセンサスの下で一般的なEVMスマートコントラクトを動かします。分離チェーンではなく、同一状態で密結合しているため、流動性や価格参照をEVM側アプリが直接利用できます(HyperEVM)。

合意はHyperBFTで、オンチェーンでの「一意のトランザクション順序」を確定。CEXのようにオフチェーン注文板に依存しないのが設計思想です(Overview)。

証拠金・レバレッジ・清算の実務

証拠金モードはクロス/アイソレ両対応。新規建玉時に初回証拠金が拘束され、クロスでは未実現損益が他建玉に再利用、アイソレでは個別に増減可能。清算は、口座(またはアイソレ対象)の価値がメンテナンス証拠金を割り込むと発動します。メンテナンス証拠金は「最大レバ時の初回証拠金率の1/2」を基本とする tier 体系で、資産毎の最大レバ×ポジション規模に応じて段階的に厳しくなります(Margining / Margin tiers)。

清算後に残余の負債が出る場合、ADL(自動デレバ)が最終安全弁として起動。含み益とレバ比を加味した順位で反対側ポジションを優先的にクロースして、プラットフォームの健全性を守る設計です(Auto‑deleveraging)。

価格の基準:OracleとMarkの使い分け

Oracleはバリデータが各CEXのスポット中値の加重中央値を3秒間隔で集計。Markは①オラクル+乖離EMA、②HLベスト気配・ラストの中央値、③外部Perp中値の加重中央値を統合した指標。清算や損益評価、TP/SLの発火トリガーはMarkベース、資金調達の決済額はオラクル価格で計算されます(Oracle / Robust price indices / Funding)。

資金調達(Funding)の仕様と読み方

HyperliquidのFundingは1時間ごとに発生し、金利成分0.00125%/hプレミアム成分で決まります。プレミアムはimpact notionalでの板の食われ方を使って計測され(impact bid/askとオラクルの差)、8時間換算の計算式を時割りで適用。時間内は5秒ごとにサンプリング平均され、上限は4%/hでクリップされます(Funding)。

実務TIP:資金調達は「板の厚み」と「直近の食われ方」に敏感です。直前までのプレミアムが極端にプラスに振れた後、複数回の大口成行で一気に負方向へ傾く場合、次回のFundingに向けて短期の反転が起きやすい局面があります。1時間区切りの境目(xx:59〜xx:05)でのミスフィルは致命傷になり得るため、約定後の速やかなストップ更新とリスク限定が肝要です。

手数料とメイカー設計

手数料は14日出来高ティア制。Perpのベース料率はテイカー0.045%/メイカー0.015%から始まり、出来高に応じて逓減し、上位ティアではメイカー0%リベートまで到達します。スポット出来高はティア計算で2倍カウントされるため、原資が小さい初心者でもスポットの回転を併用するとティア改善が早い(Fees)。

実務TIP:メイカー残しは「張り過ぎ」より「引き過ぎ」が安全。板の中でimpact notionalに対する自分の板割合が過大になると、プレミアム歪みを自分で作るリスク(=次回Funding逆噴射)が高まります。半歩内側と一歩外側に薄く分散して置き、逆行時はすぐ逃がすのが基本線。

リスク:何が最悪か、どう避けるか

  • L1/ブリッジ・スマコン:独自L1上で稼働し、ブリッジやコア契約に起因するリスクは残ります(Risks / Audits)。常に最小限の余力だけを入金する。
  • オラクル/マークの異常:一時的な価格乖離でも清算はマーク価格で進む。OI上限1%ルール(遠すぎる指値の制限)が導入される場合がある点も理解(Risks)。
  • 流動性ショック:主要アセット以外は板厚が薄い時間帯がある。スプレッド×サイズで滑りコストを事前に見積もる。

初心者でも機能するシンプル戦略(実装の道筋)

1) Funding反転スキャルプ(超短期)

狙いは「直前1時間のプレミアム過熱→サンプリング平均の鈍化→境目での供給逆転」。条件:①直前30分でプレミアムが同方向に0.5σ以上継続、②impact bid/askの差が縮小し始める、③出来高が直前5分平均の1.5倍以上。実行:xx:58〜xx:04の間は建玉を軽くし、xx:05以降に板内側へ分散指値→滑ったら即撤退。出口:+0.15%〜0.25%の価格優位 or 次のFunding告知で半分利確、ストップは建値−0.10%固定から階段式に繰上げ。

2) メイカー・リベート+ミニ・レンジ回転

スプレッドが比較的一定の時間帯(アジア午前など)に、ベースから±0.10%幅で等間隔に薄く静的注文を置き、約定後は必ず対側も同時に建て直してデルタ・ニュートラルに近づける狙い:メイカー手数料の逓減+微小スプレッド回収。守り:片側だけ食われ続けるとFunding方向の逆噴射で死ぬため、建玉の偏りを常に把握し、偏りが1/3を超えたら外側の板を取り下げる。

3) 清算バッファ固定法

最大レバ前提のメンテナンス証拠金を逆算し、「証拠金価値 ÷(想定最大ドローダウン)≥ 2.0」を常時満たすように玉サイズを決める。クロスで複数ペアを持つ場合は、相関資金調達方向が偏らないように、「BTC/ETH/SOLの逆相関セット」などペアリングを決めておく(Margining / Margin tiers)。

口座の作り方と基本オペレーション

  1. 少額USDCをブリッジ(公式ブリッジ)。入金は段階的に。大金は置かない(Risks / Audits)。
  2. 初回はアイソレで練習。TP/SLはMarkトリガー前提で「スリッページ余白」を広めに。
  3. Fundingの締め時刻前後は建玉を軽くするルール化。狙うなら締めから5分後以降。
  4. 出来高が薄い時間帯は「テイカー禁止」。メイカーの分割指値のみで様子見。
  5. 出来高ティアはスポットも回して底上げ。上位ティアでメイカー0%〜に近づけば、戦略の許容エッジが広がる(Fees)。

よくある落とし穴

  • 「板を自分で動かす」問題:impact notionalに対する自分の板比率が大きすぎると、Fundingのプレミアムを自分で歪める。板の厚みを常にウォッチ。
  • 「跨ぎ」リスク:米指標・FOMC等はp99レイテンシ0.9秒でも足りない瞬間がある。イベント時は玉を外すか、ストップを深く。
  • 「クロス一括清算」:クロスで複数ポジを抱えると、1銘柄の急変で全部巻き込まれやすい。初心者はまずアイソレで癖を掴む。

軽量チェックリスト(印刷推奨)

  • 建玉方向=Funding方向に偏っていないか
  • 次のFunding境目までの時間建玉サイズは適切か
  • Markとベスト気配の乖離が急拡大していないか
  • 清算バッファ(維持証拠金比2.0倍以上)を維持できるか
  • 出来高ティア改善のためのスポット回転計画があるか

まとめ

Hyperliquidは、CEX級の指値操作感とオンチェーンの透明性を両立する数少ない板型Perp DEXです。資金調達の時間粒度、頑健な価格指標、清算とADLの規律、出来高連動の手数料など、「仕組みの癖」を理解して初めてエッジが出ます。本稿のプレイブックを小さなサイズで試し、資金管理の規律を守りながら、自分の時間帯・銘柄に最適化していきましょう。

参考資料(公式)

p-nuts

お金稼ぎの現場で役立つ「投資の地図」を描くブログを運営しているサラリーマン兼業個人投資家の”p-nuts”と申します。株式・FX・暗号資産からデリバティブやオルタナティブ投資まで、複雑な理論をわかりやすく噛み砕き、再現性のある戦略と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ実践できること、そして迷った投資家が次の一歩を踏み出せることを大切にしています。

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