Hyperliquid徹底攻略:オンチェーン板取引で収益機会を掴む実践ガイド

暗号資産

この記事では、オンチェーンの中央集権的仲介を介さずに板寄せ(CLOB:Central Limit Order Book)で約定するパーペチュアルDEX「Hyperliquid」を徹底的に解説します。単なる概要紹介にとどまらず、ブリッジ入金手数料と資金調達率証拠金・清算の仕組み実践的トレード設計まで、明日から運用できる水準に落とし込みます。

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Hyperliquidとは何か

Hyperliquidは、専用の高性能レイヤー1上で動作するオンチェーンCLOB型の取引所です。板・マッチング・清算がチェーン上で確定されるため、約定履歴やポジション状態が完全に検証可能です。AMM型DEXと異なり、価格発見は板の気配と成行・指値の交錯で行われ、スプレッドや深さの読み解きが重要になります。Hyperliquidはパーペチュアル(無期限先物)に強みがあり、主要銘柄から長尾銘柄まで豊富な市場を提供します。

準備:ウォレット接続と入金(ブリッジ)

対応ウォレット

MetaMask・WalletConnect対応ウォレット・Trust Walletなど主要ウォレットから接続できます。接続後はアカウント作成なしで即座にUIへアクセスできます。

入金の考え方

Hyperliquidでの担保通貨は主にUSDC系です。入金はArbitrum上のUSDCからブリッジするのが標準ルートです。公式ブリッジの仕組みは、バリデータの2/3以上の署名が集まると入金が確定し、通常は1分未満で口座に反映されます。最低入金額が設定されているため、小さすぎる金額は失われるリスクがあります(例:5 USDC未満は不可)。

典型的な手順

  1. Arbitrum上にUSDC(少量のETHも手数料用に)を用意します。
  2. Hyperliquidアプリでブリッジを開き、送付元チェーン=Arbitrum、トークン=USDCを選択します。
  3. 送付額を入力し、ウォレットで承認します。数十秒〜1分程度で口座に反映されます。
  4. 反映後、パーペチュアル口座へ資金を振替(Perp Wallet)し、取引準備完了です。

外部ルート(Across、deBridge、Symbiosisなど)を使うと、元資産の位置に応じて最短経路でHyperliquidに着金させられます。まずは少額テストで動作確認することを推奨します。

手数料体系と資金調達率(Funding)

取引手数料

スポット・パーペチュアルともに基本はメイカー0.01%・テイカー0.035%程度が目安です(手数料ティアやキャンペーンにより変動)。ガス代はユーザー負担にならない設計で、取引コストの読みやすさが特徴です。

資金調達率の特徴

資金調達(Funding)は1時間ごとに清算されます。パーペチュアル価格と現物価格の乖離を矯正する設計で、金利成分とプレミアム成分の合成から算出されます。資金調達がプラスならロングがショートへ支払い、マイナスならショートがロングへ支払います。

資金調達率の簡易計算例

例:BTCパーペチュアルの資金調達率が+0.010%/h、名目ポジションが100,000 USDCのロングの場合、1時間の受取(支払)は100,000 × 0.0001 = 10 USDCです。1日では概ね×24=240 USDC相当(変動あり)。

重要なのは、資金調達は変動し、流動性が薄い銘柄やイベント時にスパイクする点です。受取狙いの戦略では、ヘッジや手仕舞い基準を事前に数式化しておく必要があります。

証拠金モードとレバレッジ設計

クロスとアイソレート

デフォルトはクロス証拠金で、口座全体の担保を共有します。アイソレートは銘柄ごとに担保を分離し、特定ポジションの破綻が他のポジションに波及しにくくなります。初心者は原則アイソレートで開始し、想定外連鎖のリスクを抑えると安全です。

レバレッジと清算の考え方

銘柄ごとに最大レバレッジが定義され、メンテナンス証拠金(維持率)は最大レバレッジ時の初回証拠金の概ね半分が基準です(例:最大20倍の銘柄なら維持率約2.5%)。維持率を下回ると清算エンジンが発動し、部分/全量の強制クローズで口座を保護します。

清算閾値の目安(簡易)

ロングの簡易式(目安):清算価格 ≒ 建値 × [1 − (1/レバレッジ) × (1 + 維持率)]
例:建値=100,000、レバ=10倍、維持率=2.5%なら、清算価格はおおむね100,000 × [1 − 0.1 × 1.025] = 89,750付近になります(実際は手数料や階層制により微修正)。

注文タイプと板の攻め方

主な注文タイプ

  • 成行:即時約定。スリッページと手数料負担が重くなりやすいのでイベント時以外は乱用しません。
  • 指値:板の内側に置いて待ちます。リベートとスプレッド改善の両面で有利です。
  • ストップ(逆指値):損切り・ブレイクアウトエントリーに必須。マーク価格で発火します。
  • TP/SL:建玉に利確・損切りを紐づける機能。誤ドラッグで即時約定しないようUIに保護があります。

板読みの基本

スプレッドの狭さ・約定頻度・厚み(深さ±2%)を観察し、板が薄いときはサイズを抑えて分割約定を徹底します。イベント前後は急速な板抜けと清算連鎖が発生しやすく、待ちの指値から逆指値へ切り替える判断速度が勝率を左右します。

実践戦略①:資金調達率キャプチャ(デルタニュートラル)

目的は資金調達の受取です。価格方向のリスクを極小化するため、同一銘柄のスポットとパーペチュアルでデルタを打ち消すか、相関が極めて高い代替銘柄を用いてヘッジします。

手順

  1. 対象銘柄の資金調達が継続的にプラスか、直近1週間の平均でプラス寄りかを確認します。
  2. パーペチュアルでロング、現物で同額ショート(借入可能な場合)または逆サイドの先物/他市場でヘッジします。
  3. 清算距離を確保するため、レバレッジは5倍以下、アイソレートで運用します。
  4. 日次で受取額とヘッジコスト(借入金利・手数料)を記録し、ネット受取がマイナス転化したら縮小・撤退します。

数値例

名目$100,000、資金調達+0.010%/h、ヘッジコスト年率5%相当、平均保有12時間/日なら、粗受取は10 USDC/時 × 12 = 120 USDC/日。ヘッジ・手数料を差し引いた純受取がプラスか日次で検証します。

落とし穴:資金調達は反転します。反転時のヘッジ解消と縮小ルール(たとえば3連続マイナスで一旦クローズ)を機械的に適用します。

実践戦略②:ブレイクアウト順張り(板薄リスク管理つき)

セットアップ

直近高値(または安値)にタッチする局面で、ストップ成行でのエントリーと、同時の損切り(逆指値)利確(指値)をOCO的に設計します。分割利確で平均約定を改善します。

ルール例

  • アイソレート3倍、初期リスク(エントリーと損切りの距離×サイズ)は口座残高の0.5%以内。
  • 1R到達で半分利確、残りは追随ストップ(トレーリング)へ。
  • イベント直前直後は原則見送り。スリッページ2倍発生を想定し位置サイズを半減。

検証の要点

勝率×PF(Profit Factor)で比較し、時間帯・銘柄・ボラティリティ別に分解。オンチェーン板は約定痕跡が残るため、データ抽出からの改善がやりやすいのが利点です。

実践戦略③:ボラティリティ・クラッシュ逆張り(清算連鎖の終盤狙い)

清算連鎖で大陽線(または大陰線)が出た直後、出来高ピークの次の足で板厚回復とテープの減速を確認し、逆方向へ小さくエントリー。損切りは直近スパイクの高安を明確に超えたら即時撤退。利確は半分を1R、残りはVWAP回帰で手仕舞いします。

この戦略は難度が高いので、サイズは最小にし、必ず事前に過去検証を行ってください。

日々のリスク管理チェックリスト

  • 証拠金モード:原則アイソレート。クロスは総ポジションの5%以下に限定。
  • レバレッジ:新規は2~5倍に抑制。イベント前後はさらに半減。
  • 清算距離:口座残高に対し想定DD(ドローダウン)5%以内で設計。
  • 発注:原則指値。成行はスリッページ上限(例:0.05%)を決め、上限超なら見送り。
  • 資金調達:時間足のトレンドと一致方向のみ保有。逆行時は縮小。
  • 銘柄選定:深さ±2%の厚み、24h出来高、OIが十分な銘柄を最優先。

運用オペレーション:データと自動化

Hyperliquidは約定や資金調達、清算関連の情報が公開APIやデータ基盤(例:Allium、Chainstack)で取得できます。約定ストリームからスプレッド・実効コストを計測し、銘柄別の資金調達推移清算危険度(liquidatableフラグ)を監視すると、優位性のある時間帯や銘柄が見えてきます。最初はスプレッド×サイズの実効コストを日次で表にし、改善を定点観測しましょう。

よくあるミスと回避法

  • クロス多用:一発の逆行で口座全体が巻き込まれます。ポジション分離を徹底。
  • 成行依存:薄い板での成行は致命的。指値と分割の設計を。
  • 資金調達の逆流:日次で傾向を確認し、反転シグナルで即縮小。
  • 清算価格の軽視:必ず清算距離を数値化し、距離が縮んだらサイズを落とす。

クイック開始手順(チェックリスト)

  1. ウォレット接続 → 少額USDCをArbitrumからブリッジ。
  2. パーペチュアル口座へ振替 → 取引手数料と資金調達の仕様を確認。
  3. アイソレート×低レバでエントリー → 同時にTP/SL設定。
  4. 日次でP/L・実効コスト・資金調達を記録 → 改善点を一つずつ実装。

まとめ

Hyperliquidは、オンチェーンでありながら板厚と約定品質に優れた実戦的なPerp DEXです。入金動線の短さ・手数料の明瞭さ・1時間ごとの資金調達は、短期トレードから中期のキャッシュフロー戦略まで幅広い設計に向きます。最初は小さく、遅く、分割で――この原則を守りつつ、週次で検証と改善を積み上げてください。

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