投資初心者はまず何から始めるべきか?ゼロから始める最初の3か月ロードマップ

投資の始め方

「投資を始めたいけれど、何から手を付ければいいのか分からない」という悩みは、多くの人が最初にぶつかる共通の壁です。ネットやSNSには膨大な情報があふれており、「S&P500が良い」「いや全世界株式だ」「高配当株が正解だ」と、意見もバラバラです。その結果、何も決められずに時間だけが過ぎてしまう人も少なくありません。

本記事では、「投資初心者 まず何から始めるべきか」というテーマについて、ゼロの状態からでも迷わず動けるように、最初の3か月で踏むべきステップをロードマップ形式で整理して解説します。具体的な金額イメージや、商品選びの考え方、やってはいけないNG行動まで、できるだけ実務的な視点からお伝えしていきます。

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投資を始める前に必ず決めておきたい3つのこと

いきなり「どの銘柄を買うか」から考え始めると、ほぼ確実に迷子になります。最初に決めるべきなのは、銘柄ではなく「方向性」です。具体的には、次の3つです。

1. お金の「目的」を言葉にする

投資は目的によって正解が変わります。たとえば、

  • 老後資金を20〜30年かけて作りたいのか
  • 5〜10年後の住宅頭金を用意したいのか
  • 数年以内の子どもの教育費を増やしたいのか

というように、ゴールのイメージを明確にすると、取るべきリスクの大きさや、向いている商品が自ずと絞られてきます。ここが曖昧なままだと、短期の値動きに振り回されて、「やっぱり怖い」と売ってしまいがちです。

紙のノートやスマホのメモで構わないので、「老後資金として65歳までに◯万円」など、数字と年齢をセットで書き出しておくと、後の判断基準になります。

2. 投資に回せる「期間」を決める

投資に回したお金を、どれくらいの期間は基本的に引き出さない前提にできるかも重要です。一般的には、

  • 10年以上動かさなくてよいお金:株式中心の長期投資と相性が良い
  • 3〜5年程度:株式と安全資産を組み合わせたバランス型
  • 数年以内に使う可能性が高い:価格変動の小さい商品や預金が中心

という考え方が一つの目安になります。もちろん厳密に分ける必要はありませんが、「このお金は最低10年触らない」と自分の中で線を引いておくと、短期の値動きに反応しづらくなります。

3. 自分の「リスク許容度」を把握する

リスク許容度とは、「どれくらいの価格のブレなら精神的に耐えられるか」という感覚的な許容量です。年収や資産額、家族構成などの要素に加えて、「評価額が一時的に20%下がったとき、どう感じるか」をイメージしてみると、自分なりのラインが見えてきます。

たとえば、100万円の投資が80万円に減った時に、

  • 「まあ長期で見れば大丈夫」と思えるのか
  • 「夜眠れないほど気になる」のか

後者のタイプであれば、最初から株式100%にせず、安全資産を混ぜるなどの調整が必要です。数字上の理論だけでなく、自分の性格も織り込んでおくことが重要です。

最初の3か月でやるべき5ステップ概要

方向性がなんとなく見えてきたら、次は具体的な行動です。ここでは、投資初心者がゼロから3か月で「毎月の積立が自動で回り始めている状態」になるためのステップを、全体像として示します。

  1. 生活防衛資金を確保する
  2. 証券口座を1つだけ開設する
  3. 投資方針と商品タイプを決める(インデックス中心を想定)
  4. 毎月の積立額と日付を決め、設定する
  5. 値動きの見方と「やってはいけないこと」を学ぶ

この5ステップを順番に進めるイメージを持ちながら、各ステップを詳しく見ていきます。

ステップ1:生活防衛資金を先に分けておく

最初にやるべきことは、投資のことではなく「守りを固めること」です。具体的には、給料振込口座とは別に、生活防衛資金として、

  • 生活費の3〜6か月分

程度を現金や普通預金で確保しておきます。たとえば毎月の生活費が20万円なら、少なくとも60万〜120万円は、投資とは別枠でキープしておきたいイメージです。

理由はシンプルで、「急な出費で投資を崩さないため」です。家電の買い替え、急な引っ越し、病気やケガなど、予期せぬ支出は必ず起こります。そのタイミングが、たまたま株価が大きく下がっている局面と重なると、「安値で売らされる」という最悪のパターンになります。

生活防衛資金を確保しておくことで、投資資金は「基本的に長期で放置してよいお金」に近づきます。これは、メンタル面でも非常に大きな安心材料になります。

ステップ2:証券口座を1つだけ開設する

次に行うのが証券会社の口座開設です。初心者の方は、最初から複数の証券会社を使い分ける必要はありません。まずはネット証券から1社選び、そこでスタートする方が管理もシンプルです。

証券会社を選ぶ際のチェックポイントとしては、

  • 手数料水準が分かりやすいか
  • 投資信託やインデックスファンドの品揃えが豊富か
  • 積立設定やアプリの使い勝手が良いか
  • NISA口座の開設がスムーズか

といった点があります。最近は、多くのネット証券で、インデックス型の投資信託の購入手数料が無料で、信託報酬も低い商品を扱っています。

口座開設そのものは、本人確認書類とマイナンバーがあればオンラインで完結できることがほとんどです。「とりあえず口座だけ作っておく」という意味でも、早めに手続きを進めておく価値があります。

ステップ3:最初の商品は「分散されたインデックス」を軸にする

口座の準備ができたら、「何を買うか」を考えます。投資初心者にとって重要なのは、

  • 一つの会社に賭けないこと(分散)
  • 値動きがイメージしやすいこと
  • コストが低いこと

の3点です。これらを満たしやすい選択肢として、多くの人が最初に検討するのが、「株価指数に連動するインデックス型の投資信託」です。

たとえば、ある国や地域全体の株式市場の動きを示す株価指数に連動する商品であれば、1本買うだけで数百〜数千銘柄に自動で分散投資している状態を作れます。個別株を自分で選んで分散させる必要はありません。

具体的にどの指数に連動する商品を選ぶかは、

  • 世界全体に分散したいのか
  • 特定の国や地域の成長性に期待するのか

といった考え方の違いによって変わってきますが、いずれにしても「一部の銘柄だけに集中している商品ではないこと」を確認するのが第一歩です。

商品ページでは、組入銘柄数や上位構成銘柄の比率、信託報酬などの情報を確認できます。特に、信託報酬(運用管理費用)は、年率0.1〜0.2%台といった水準の低コスト商品が多数存在するため、できるだけ低いものを選ぶ意識を持っておくと良いでしょう。

ステップ4:毎月いくら積み立てるかを具体的な数字で決める

商品がなんとなく見えてきたら、「毎月いくら積み立てるか」を決めます。この段階で多くの人がやりがちなのが、「余ったら投資に回そう」と考えてしまうことです。しかし、実際には余りません。生活水準は、収入に応じて自然と膨らんでいくからです。

そこでおすすめなのが、収入から先に投資分を差し引いてしまう「先取り型」の考え方です。具体例として、手取り収入が月25万円の人を考えてみましょう。

  • 手取り:250,000円
  • 家賃・住宅費:80,000円
  • 食費・日用品:50,000円
  • 通信費・光熱費:20,000円
  • 保険・サブスクリプション等:10,000円
  • その他(交際費・趣味など):60,000円

このようなイメージの場合、いきなり毎月10万円を投資に回すのは現実的ではありません。一方で、毎月1万円〜2万円であれば、生活を大きく圧迫せずに続けられるケースが多いはずです。

たとえば、

  • 毎月1万円を20年間積み立てる
  • 年率3〜5%程度で資産が増えたと仮定する

といった場合でも、長期で見ると元本(240万円)に対して大きな差が生まれる可能性があります。実際の運用成績は市場環境によって変動しますが、「時間」と「継続」の効果を意識すると、少額からでも始める意味があることがイメージしやすくなるはずです。

ステップ5:積立日と買付方法を設定して「自動化」する

毎月の積立額が決まったら、証券会社のサイトやアプリで「積立設定」を行います。ここで決める主な項目は、

  • どの商品を
  • 毎月いくら
  • 何日に買うか

の3点です。多くの証券会社では、毎月の積立日を月1回〜数回から選べる仕組みになっています。給料日後の数日以内に設定しておくと、「使いすぎて残らなかった」という事態を防ぎやすくなります。

また、「ドルコスト平均法」と呼ばれる考え方に基づき、毎月同じ金額で自動的に買い付けることで、価格が高い時には少しだけ、安い時には多くの口数を買うことになります。これにより、長期的には購入単価が平準化される効果が期待できます。

重要なのは、設定さえしてしまえば、あとは自動で積立が続いていくという点です。「忙しくて買いそびれた」「感情的に怖くなって止めてしまった」といったミスを減らす意味でも、自動化は初心者にとって強力な味方になります。

投資初心者がやりがちなNG行動とその回避策

ここからは、実際の初心者の行動でよく見かける「損をしやすいパターン」と、その回避策を具体的に見ていきます。

NG1:最初から一括で大金を入れてしまう

口座を開設した直後のテンションで、まとまった資金を一気に投入してしまうケースは少なくありません。しかし、初心者にとっては、価格の上下に慣れていない状態での大きな金額の投資は、精神的な負担が大きくなりがちです。

たとえば、300万円を一度に投資し、その直後に市場全体が10%下落した場合、評価額は270万円になります。理論的には、長期で保有を続ければ回復する可能性もありますが、「30万円減った」という事実だけに目が行き、「やはり自分には向いていない」と撤退してしまう人も多いのが現実です。

これを避けるためには、

  • 最初は少額の積立から始める
  • まとまった資金を入れる場合も、数回に分けて時間をずらす

といった工夫が有効です。慣れてから金額を増やしていく方が、長く続けやすくなります。

NG2:短期の値動きだけを見て売買を繰り返す

スマホでいつでも残高を確認できるようになったことで、1日単位の値動きに過剰に反応してしまう人が増えています。朝と夜にアプリを開いては、評価損益がプラスかマイナスかで一喜一憂し、そのたびに売買を検討するような状態です。

しかし、長期投資を前提としたインデックス運用においては、日々の値動きはノイズに近いものです。1日で2〜3%動くこともあれば、数か月間ほとんど変化がないこともあります。短期の動きだけを追いかけていると、本来の目的である長期の資産形成からズレてしまいます。

対策として、

  • アプリを開く頻度を意識的に減らす(たとえば月1回など)
  • 評価額ではなく「保有口数」を増やすことを目標にする

といった工夫が有効です。「今日は何口増えたか」に視点を変えるだけでも、短期の上下に振り回されづらくなります。

NG3:他人の成功体験だけを見て商品を乗り換える

SNSや動画サイトでは、「この商品で◯◯万円儲かった」といった情報が頻繁に流れてきます。それ自体は一つの事例として参考になりますが、それを見てすぐに商品を乗り換えてしまうと、長期の積立効果を自分で壊してしまうことになります。

たとえば、

  • 数年かけて積み立てた商品を、含み益が乗った段階で別の商品に乗り換える
  • 乗り換えた直後に、元の商品の方が好調になる

といった「追いかけっこ」を繰り返してしまうと、「長く持ち続けることで得られる複利」のメリットが薄れてしまいます。

他人の成功体験を見たときは、「自分の目的や期間と合っているか」という視点でフィルターをかけ、「それでも自分の方針を変える必要があるのか」を冷静に考えることが重要です。

具体的なポートフォリオイメージ(あくまで一例)

ここでは、あくまでも考え方のイメージとして、リスク許容度の違いによるポートフォリオ例を挙げます。実際の投資判断は、ご自身の状況と照らし合わせて検討する必要があります。

ケース1:20〜30代、長期で増やしたいタイプ

将来の老後資金や資産づくりを主目的として、20年以上の長期運用を前提にできるケースです。この場合、株式の比率を高めても、時間分散でリスクをならしていく発想が取りやすくなります。

  • 株式インデックス:70〜90%
  • 安全資産(預金・債券など):10〜30%

具体的には、世界全体や特定地域の株価指数に連動する投資信託を中心に据え、毎月の積立で口数を増やし続ける形が一つのイメージです。一方で、ボーナスの一部などを現金で残しておき、急な支出に対応できるようにしておくと安心です。

ケース2:40〜50代、10〜15年程度を想定するタイプ

教育資金や住宅ローンの繰上返済など、10〜15年程度のスパンで使う可能性のある資金を運用したい場合は、株式一辺倒ではなく、値動きの異なる資産を組み合わせる発想が重要になります。

  • 株式インデックス:50〜70%
  • 債券や安定資産:30〜50%

株式だけでなく、価格変動の相対的に小さい債券や、現金・預金を一定割合混ぜることで、「大きく増えなくてもよいから、大きく減らないようにしたい」というニーズに寄せていくイメージです。

値動きをどの程度チェックすべきかという practical な目安

投資を始めると、多くの人が「どのくらいの頻度でチェックすればよいのか」という疑問を持ちます。ここでの一つの実務的な目安は、

  • 残高の確認:月1回〜数か月に1回
  • ポートフォリオの見直し:年1回程度

です。特に、積立を自動化している場合は、毎日残高をチェックする必要はありません。むしろ、短期の値動きに振り回されて方針を変えてしまうリスクの方が大きくなります。

年1回程度、たとえば誕生月や年末などに、「資産配分が当初のイメージから大きくズレていないか」を確認し、株式比率が想定より大きくなりすぎていれば一部を安全資産に振り分けるなどの調整を行う、というサイクルが現実的です。

税金や制度は「ざっくり構造理解」を優先する

投資を始めるとき、多くの初心者がつまずくのが「税金や制度の細かさ」です。配当や売却益に何%課税されるのか、NISAと課税口座の違いは何かなど、調べ始めるとキリがありません。

最初の段階では、細部まで完璧に理解しようとするよりも、

  • 利益には原則として一定の税率がかかること
  • 長期の資産形成を支援するための優遇制度が用意されていること
  • 制度には利用できる金額や期間の上限があること

といった「構造」をざっくり把握しておくことを優先した方が、行動に移しやすくなります。具体的な数字や期限は、商品を選ぶ段階や、実際に注文するタイミングで、その都度確認すれば十分という考え方もあります。

今日からできる「投資準備チェックリスト」

最後に、本記事の内容を踏まえて、今日からでも着手できる準備項目をチェックリスト形式でまとめます。すべてを一度に完璧にこなす必要はありませんが、上から順番に進めていくことで、投資を始めるまでの道筋がはっきりしてきます。

  • 生活費の3〜6か月分を、生活防衛資金として別枠で確保した
  • 投資の目的(何年後に、どのくらいの資金を目指すか)をノートに書き出した
  • 投資に回せる期間(当面引き出さない前提の年数)をざっくり決めた
  • 自分がどの程度の評価損なら精神的に耐えられそうかイメージした
  • ネット証券を1社選び、口座開設の申込みを完了した
  • 分散されたインデックス型の商品を中心に検討する方針を持った
  • 毎月いくらなら無理なく積み立てられるか、家計の数字をもとに決めた
  • 証券会社の積立設定画面で、商品・金額・日付を入力し、自動積立を開始した
  • アプリの通知やログイン頻度を、自分にとってちょうど良いレベルに調整した
  • 年1回は、資産配分と積立額を見直す「棚卸し日」を決めた

このチェックリストを一つずつクリアしていくことで、「なんとなく不安で動けない状態」から、「仕組みとして積立が回っている状態」へと、一歩ずつ進むことができます。

投資は、始めた瞬間に劇的な変化が起こるものではありません。しかし、今日一歩を踏み出し、仕組みを作っておくことで、数年後・数十年後の資産形成に大きな差が生まれる可能性があります。まずは、生活防衛資金の確保と、証券口座の開設という二つのステップから、着実に進めていきましょう。

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