たくり線で底打ちを狙うシンプル逆張り戦略ガイド

テクニカル分析

この記事では、ローソク足の「たくり線(たくり足)」を使って、相場の底打ち局面を狙うシンプルな逆張り戦略について解説します。株式、FX、暗号資産など、チャートがある市場であれば基本的な考え方は共通です。専門用語をできるだけかみ砕きながら、具体的なエントリー・利確・損切りルールまで順番に整理していきます。

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たくり線とは何か

たくり線は、長い下ヒゲを持ち、実体が比較的小さいローソク足のことを指します。下落トレンドの終盤で出現することが多く、「一度大きく売られたものの、最終的には買い戻されて安値圏での投げ売りが一巡したサイン」として解釈されます。

ざっくり言い換えると、「一瞬パニック的に売られたが、安値ではしっかり買い手が控えていた」ことを示す足形です。この心理の転換点を利用して、底打ちリバウンドを狙っていくのが、たくり線を使った逆張り戦略です。

たくり線の典型的な形状

  • 下ヒゲが長く、当日の値幅に対してヒゲ部分が大きい
  • 実体は小さく、陰線でも陽線でもよいが、終値が安値からは大きく戻っている
  • それまで下落が続いていた局面で出るほど信頼度が高い

チャート上では「下に大きく突っ込んだあと、V字気味に戻して小さな実体を残した足」とイメージすると分かりやすいです。

たくり線が示す投資家心理

たくり線の強みは、単なる形のパターンではなく、その裏側にある「市場参加者の心理」を読み解きやすい点にあります。

  • 寄り付きから売りが優勢になり、一気に安値まで投げ売りが加速する
  • 安値圏で「さすがに売られすぎだ」と判断した参加者が買いに転じる
  • ショートポジションの買い戻しも重なり、終値までに大きく戻す

この流れは、短期的な売りエネルギーが一巡し、売り方が苦しくなり始めていることを意味します。逆張りの発想では、この「売りのガス欠」をとらえて、リバウンドを取りにいきます。

たくり線をエントリーに使うための基本ルール

たくり線を見つければ何でも買えばよいわけではありません。ダマシを減らすために、いくつかのフィルターとルールを組み合わせていきます。

ルール1:明確な下落トレンドで出現していること

たくり線は「下げ相場の終盤」で信頼度が高まります。チャート上で、少なくとも直近5~10本程度は高値と安値が切り下がる流れになっているかを確認します。

移動平均線を使うなら、例えば20期間移動平均線を価格が明確に下回っている状況で出たたくり線を重視すると、トレンドの流れに合った「下げ過ぎの反発」を狙いやすくなります。

ルール2:下ヒゲの長さが十分にあること

下ヒゲが短い足は、単なる小反発に過ぎないことが多くなります。目安として、次のような条件を追加します。

  • 下ヒゲの長さが実体の2倍以上
  • 当日の安値が、直近数日の安値を明確に更新している

これにより、「一度大きく売り込まれたが戻した」という特徴をしっかり満たした足だけを抽出できます。

ルール3:出来高やボラティリティも確認する

株式であれば、たくり線の日の出来高が直近平均よりも増えているかを確認します。出来高が膨らんでいるたくり線は、「投げ売りと新規の買いがぶつかった結果」と解釈でき、底打ちの信頼度が高まります。

FXや暗号資産では出来高が使いにくい場合も多いので、ATR(平均的な値動き幅)などを併用して「いつもより大きく振れた日」のたくり線を重視する方法もあります。

たくり線を使った具体的なエントリー戦略

ここからは、実際にトレードで使える形になるよう、シンプルなルールセットに落とし込んでいきます。時間軸は、日足~4時間足のスイングトレードを想定しますが、基本的な考え方はどの足でも応用できます。

戦略概要

  • 対象:株式、FX、暗号資産などのトレンドが出やすい銘柄・通貨ペア
  • 方向:下落トレンド終盤での逆張りロング(買い)
  • 狙い:短期的な自律反発~トレンド転換の初動

ステップ1:下落トレンドとサポートゾーンの確認

まずはチャート全体を俯瞰して、次のような条件を満たす銘柄だけを候補にします。

  • 中期的に下落トレンドが続いている
  • 週足や日足で意識される安値(サポート)付近に価格が近づいている
  • 移動平均線(20日線や50日線など)から大きく乖離している

たくり線は、こうした「売られすぎ+サポート付近」の環境でこそ威力を発揮します。サポートの候補としては、過去の安値、日足・週足の水平線、フィボナッチの押し目水準などを組み合わせて考えます。

ステップ2:サポートゾーンでのたくり線出現を待つ

サポートゾーン付近で、以下の条件を満たすたくり線が出現するのを待ちます。

  • 下ヒゲが実体の2倍以上
  • 安値がサポートラインを一度明確に割り込んでから、終値でサポート付近まで戻している
  • 出来高が直近5日平均以上(株式の場合)

この形は、「一度サポートを割り込んで投げ売りを誘ったが、結局はサポート圏内まで買い戻された」パターンであり、典型的なたくり線のイメージに近くなります。

ステップ3:翌足の確定でエントリーを判断する

たくり線の当日終値で飛びつくのではなく、翌足の動きで「本当に反発する力があるか」を確認してからエントリーする方が、ダマシを減らせます。

  • 翌足が陽線で、たくり線の高値を上抜ける→買いエントリー
  • 翌足が弱く、たくり線の安値を割り込む→見送り、またはシナリオの撤回

具体的には、「たくり線の高値+数ティック(または数pips)」に買いの逆指値を置いておき、ブレイクした場合のみ自動的にポジションが建つようにするのがシンプルです。

ステップ4:損切りとロット管理

損切りは、たくり線の安値の少し下に置くのが基本です。たくり線の安値を明確に割り込んでしまった場合、「投げ売り一巡」のシナリオが崩れたと判断できます。

  • 損切りライン:たくり線の安値-許容スプレッド
  • 1回のトレードで失ってよい金額を口座残高の1~2%以内に抑える
  • 損切り幅から逆算してロットサイズを調整する

たくり線は底打ち狙いの逆張りなので、外れたときのダメージを小さく抑えることが長期的なパフォーマンスに直結します。

ステップ5:利確戦略

利確の考え方は大きく2パターンあります。

  • 短期リバウンド狙い:直近の戻り高値や移動平均線までを目標にする
  • トレンド転換狙い:分割利確しながら、残りをトレーリングストップで伸ばす

初心者のうちは、「最初の抵抗帯(直近の戻り高値や20日線など)で一括利確」する運用の方が、心理的な負担が少なく、勝ちパターンを定着させやすくなります。

株・FX・暗号資産それぞれでの使い方の違い

たくり線自体の考え方はどの市場でも共通ですが、値動きのクセや出来高の扱いが異なります。それぞれの特徴にあわせて調整していきます。

株式市場でのたくり線

  • 出来高情報が豊富で、「出来高を伴うたくり線」は信頼度が高い
  • 個別株はギャップダウンを伴うたくり線が出やすく、投げ売りの終盤サインとして機能しやすい
  • 決算や材料で急落したあとに出るたくり線は、リバウンドが大きくなるケースもある一方で、悪材料が根深い場合は再度売られるリスクもあるため注意が必要

FX市場でのたくり線

  • 24時間市場でギャップが少ないため、下ヒゲの長さや時間帯を重視する
  • ロンドン時間やニューヨーク時間の安値更新からのたくり線は、短期トレーダーの投げ売りが巻き戻される場面として狙いやすい
  • 主要なサポートライン(前日安値、週足サポート、ピボットポイントなど)と組み合わせると精度が上がる

暗号資産市場でのたくり線

  • ボラティリティが大きく、たくり線に見える足が頻発しやすいので、フィルターが重要
  • 週足や日足など、比較的長い時間軸でたくり線を探すとノイズを減らしやすい
  • 出来高や資金フロー(オンチェーンデータなど)を補助的に使うと、投げ売りのピークを探りやすい

たくり線戦略を強化するフィルター

たくり線だけに頼るのではなく、他のテクニカル要素と組み合わせることで、エントリー精度とリスクリワードを改善できます。

フィルター1:トレンド系指標との組み合わせ

例えば、次のような条件を加えます。

  • 日足で価格が200日移動平均線の上にある長期上昇トレンドの中で、調整下落の終盤に出るたくり線だけを狙う
  • RSIが30以下の売られすぎゾーンでたくり線が出た場合のみエントリー候補にする

これにより、「長期的には上昇トレンドだが、短期的に売られすぎた押し目」をピンポイントで拾いやすくなります。

フィルター2:価格帯別出来高やサポート帯の厚み

株式や一部の暗号資産では、価格帯別出来高(出来高プロファイル)を確認できるツールがあります。たくり線の下ヒゲが「出来高が厚く積み上がっている価格帯」で反発している場合、その水準に潜在的な買い支えが多いと解釈できます。

フィルター3:複数時間軸の確認

日足でたくり線が出ているのと同時に、4時間足や1時間足でもダブルボトムや陽線包み足などの反転シグナルが出ていれば、反発の信頼度が高まります。複数の時間軸で「底打ちの兆し」が合流しているポイントを優先して狙う、という考え方です。

たくり線戦略のバックテストと検証ポイント

たくり線に限らず、どんなパターンも「過去チャートでルール通りに動かしたらどうだったか」を検証することで、自分なりの感覚値と信頼度を固めることができます。

検証時に決めておくべき項目

  • 対象市場(例:日経225先物、ドル円、ビットコインなど)
  • 時間軸(日足、4時間足など)
  • たくり線の定義(ヒゲと実体の比率、トレンド条件など)
  • エントリー条件(高値ブレイク、成行など)
  • 損切り・利確のルール(固定幅、直近高値、リスクリワード比など)

これらを紙やスプレッドシートに明文化し、少なくとも数十~百件単位で検証することで、「自分のルールでどれくらいの勝率・リスクリワードが期待できるか」のイメージが掴めます。

検証でよくある落とし穴

  • 「たくり線っぽい」足を都合よく選んでしまい、結果が良く見えすぎる
  • 負けトレードのパターンを記録せず、「うまくいった事例」だけを覚えてしまう
  • 検証では守れたルールを、実際のトレードでは守れずに感情的な判断をしてしまう

検証の目的は、「たくり線が必ず機能することを証明する」ことではなく、「どういう条件なら比較的うまく機能しやすいか」を知ることです。負けパターンも含めて冷静に記録するほど、実戦での判断が安定していきます。

実践で使うためのチェックリスト

最後に、たくり線戦略を実際のトレードで使う際のチェックリストをまとめます。エントリー前に一度立ち止まって確認することで、感情任せのトレードを減らすことができます。

エントリー前チェック

  • 中期的に見て下落トレンドの終盤に位置しているか
  • 重要なサポートゾーン付近でたくり線が出ているか
  • 下ヒゲが十分に長く、実体が小さいか
  • 出来高やボラティリティが「投げ売りのピーク」を示していそうか
  • 翌足がたくり線の高値を上抜ける動きになっているか
  • 損切りラインとロットサイズは、口座残高に対して無理のない水準になっているか

ポジション保有中のチェック

  • 最初に決めた利確目標やトレーリングストップのルールを守れているか
  • ニュースや材料に振り回されてルールを変えていないか
  • 決済後に、エントリーからイグジットまでの判断を簡単にメモしているか

まとめ:たくり線は「底打ち候補を絞り込むためのツール」

たくり線は、売られすぎた相場の中で「投げ売りが一巡し、安値圏で買い手が現れた瞬間」を視覚的に示してくれる足形です。ただし、たくり線だけで相場の大底を言い当てることはできません。

重要なのは、サポートゾーンやトレンドの位置づけ、出来高やボラティリティなど、複数の要素と組み合わせて「底打ち候補」を絞り込むことです。そのうえで、損切りとロット管理のルールを明確にし、勝ちパターンと負けパターンの両方を検証しながら、自分のスタイルに合ったたくり線戦略へとブラッシュアップしていくことが大切です。

最初から完璧なルールを作ろうとせず、「小さなロットで試しながら、検証と修正を繰り返す」ことが、長く相場に残り続けるための現実的なアプローチになります。

p-nuts

お金稼ぎの現場で役立つ「投資の地図」を描くブログを運営しているサラリーマン兼業個人投資家の”p-nuts”と申します。株式・FX・暗号資産からデリバティブやオルタナティブ投資まで、複雑な理論をわかりやすく噛み砕き、再現性のある戦略と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ実践できること、そして迷った投資家が次の一歩を踏み出せることを大切にしています。

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