NR7パターン徹底解説:ボラティリティ収縮からのブレイクアウト戦略

テクニカル分析

本記事では、プライスアクションの中でも知る人ぞ知る「NR7(Narrow Range 7)」パターンについて詳しく解説します。NR7は、7本分のローソク足の中で最も値幅(高値-安値)が狭くなった足を捉える手法で、ボラティリティが収縮した後のブレイクアウトを狙う戦略として世界中のトレーダーに利用されています。

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  1. NR7パターンとは何か
  2. NR7を構成する具体的な条件
  3. NR7が機能しやすい相場環境
    1. 1. 一定のトレンドが出た後の持ち合い局面
    2. 2. 重要な経済指標やイベントの前後
  4. NR7ブレイクアウト戦略の基本ルール
    1. 1. エントリールール
    2. 2. 損切りルール
    3. 3. 利確ルール
  5. NR7戦略の具体的なトレード例
    1. ケース1:上昇トレンド中の押し目からのNR7ブレイク
    2. ケース2:レンジ相場のブレイク失敗パターン
  6. NR7シグナルの質を高めるフィルター条件
    1. 1. 上位足のトレンド方向と揃える
    2. 2. 出来高・ティックボリュームの確認
    3. 3. ボラティリティ指標との組み合わせ
  7. NR7とインサイドバー・ピンバーなど他パターンとの組み合わせ
    1. 1. NR7+インサイドバー
    2. 2. NR7+ピンバー(ハンマー/シューティングスター)
  8. NR7戦略で陥りやすい失敗パターン
    1. 1. 明確な方向感のない完全レンジ相場で乱発する
    2. 2. 損切りを後回しにしてしまう
    3. 3. ロットサイズの管理が甘い
  9. NR7戦略を裁量トレードとシステムトレードの両方で活かす
    1. 1. 裁量トレードでの活用
    2. 2. システムトレードでの活用
  10. 初心者がNR7を学ぶ際のステップ
    1. ステップ1:チャート上でNR7を「目で探せる」ようにする
    2. ステップ2:過去チャートでの検証(リプレイ学習)
    3. ステップ3:デモ口座や少額でのリアルトレード
    4. ステップ4:自分なりのフィルターとルールを明文化する
  11. まとめ:NR7は「静けさの後の一撃」を捉えるための武器

NR7パターンとは何か

NR7は「Narrow Range 7」の略で、直近7本のローソク足の中で最も値幅が小さい足を指します。たとえば日足チャートであれば直近7日間、1時間足なら直近7本の1時間足の中で、最も値幅が狭い足がNR7です。この足が出現したということは、「市場参加者の攻防は続いているが、値幅がどんどん縮小している=エネルギーが溜まっている」状態だと解釈できます。

相場は、ボラティリティの収縮と拡大を繰り返す性質があります。値幅が小さい状態(収縮)が続いた後には、往々にして大きなトレンド(拡大)が発生します。NR7は、この「収縮の極点」をシンプルなルールで捉えるための考え方です。

NR7を構成する具体的な条件

NR7の定義は非常にシンプルです。

  • 直近7本のローソク足を対象にする
  • それぞれのローソク足の「高値-安値」の値幅を計算する
  • その中で最も値幅が小さい足を「NR7」と定義する

たとえば、ある通貨ペアの1時間足で直近7本の値幅が次のようになっていたとします。

  • 1本目:25 pips
  • 2本目:18 pips
  • 3本目:30 pips
  • 4本目:22 pips
  • 5本目:16 pips
  • 6本目:14 pips
  • 7本目:12 pips

この場合、最も値幅が狭いのは7本目の「12 pips」なので、この7本目の足がNR7です。この足の高値・安値を起点に、次の足でどちらにブレイクするかを見ていく、というのがNR7戦略の基本的な考え方になります。

NR7が機能しやすい相場環境

NR7は「レンジが続いた後のブレイク」を狙うパターンです。そのため、以下のような環境で特に有効性が高まりやすいとされています。

1. 一定のトレンドが出た後の持ち合い局面

たとえば、ドル円がしっかりと上昇トレンドを描いた後、数時間~数日のあいだ横ばいの動き(ボックスレンジ)に入ったとします。この持ち合いの終盤でNR7が出現すると、「次の一押し」が始まりやすい場面として注目できます。既存トレンドと同方向にブレイクした場合、トレンドフォローの継続エントリーとして使いやすいです。

2. 重要な経済指標やイベントの前後

雇用統計やFOMCなどのビッグイベント前には、市場参加者が様子見に回りやすく、値幅が縮小していきます。その過程でNR7が出ることがあります。イベント直後の急激なブレイクに乗る、という攻め方もありますが、初心者のうちはイベント直後のスプレッド拡大やダマシも多いため、やや落ち着いてからのブレイク確認を優先するほうが安全です。

NR7ブレイクアウト戦略の基本ルール

ここからは、実際にNR7を用いてトレードするための、現実的でシンプルなルール例を提示します。FXでも株でも、時間軸を変えれば同じように応用できます。

1. エントリールール

以下は1時間足チャートを使ったFXトレードの例です。

  • ① 直近7本のローソク足の中からNR7を特定する
  • ② NR7の足の高値・安値に水平線を引く
  • ③ 次の足で「高値ブレイク」または「安値ブレイク」が起きた方向に成行または指値でエントリーする

買いエントリー条件の例:

  • NR7の高値を、次の足の実体またはヒゲで明確に上抜け
  • ブレイク時の出来高やティックボリュームが、それまでより増加しているとなお良い

売りエントリー条件の例:

  • NR7の安値を、次の足が明確に下抜け
  • こちらも、ブレイク時の出来高・ティックボリュームの増加があると信頼度が高まる

2. 損切りルール

NR7戦略は「ブレイクアウト戦略」である以上、損切りをあらかじめ機械的に決めておくことが極めて重要です。典型的な損切り位置は以下のとおりです。

  • 買いの場合:NR7の安値の少し下に損切りを置く
  • 売りの場合:NR7の高値の少し上に損切りを置く

こうすることで、「NR7レンジの外側に出た方向へ乗り、逆側を割り込んだら潔く撤退」という明確なルールになります。損切りを広げすぎるとリスクが肥大化するので、NR7の値幅が異常に大きい場合はそもそもトレードしないというフィルターも有効です。

3. 利確ルール

利確については、リスクリワード比を固定する方法と、相場の構造に合わせる方法があります。

  • リスクリワード固定:損切り幅の2倍~3倍を最初の利確目標にする
  • 節目を利用:直近の高値・安値、日足のサポート・レジスタンス、ピボット、ボリンジャーバンドなどを目安にする

たとえば、NR7の値幅が20 pipsで損切りが20 pipsの場合、最低でも40 pips(2R)、できれば60 pips(3R)を狙う、といった考え方です。トレンドが強いと感じる局面では、ポジションの一部を途中で利確しつつ、残りをトレイリングストップで伸ばしていく方法も有効です。

NR7戦略の具体的なトレード例

ここでは、FXのドル円1時間足チャートを想定した仮想的な例で、NR7戦略の流れをイメージしやすくします。

ケース1:上昇トレンド中の押し目からのNR7ブレイク

ドル円が1週間ほど強い上昇トレンドを形成し、その後3日ほど横ばいのボックスレンジになっているとします。このレンジの終盤、直近7本のうち最も値幅が小さいNR7が出現し、その高値がレンジ上限に近い位置にあります。

  • NR7高値:151.20円
  • NR7安値:151.00円
  • 値幅:20 pips

次の足で、151.20円をしっかりと上抜けし、終値も151.25円で引けたとします。この時点で、以下のようなトレードが考えられます。

  • 買いエントリー:151.25円
  • 損切り:NR7安値の少し下、150.95円(約30 pipsのリスク)
  • 第1利確目標:リスクリワード2倍で151.85円(+60 pips)
  • 第2利確目標:直近の日足の高値152.20円近辺

実際のチャートでもよくあるパターンで、上昇トレンド中にエネルギーを溜めた後、NR7をきっかけにトレンドが再加速するケースです。

ケース2:レンジ相場のブレイク失敗パターン

一方、NR7のブレイクがすべて成功トレードにつながるわけではありません。たとえば、明確なトレンドがないまま長期間レンジ相場が続き、レンジ中央付近でNR7が出現したケースでは、上にも下にもダマシブレイクが連発することがあります。

このようなときに無理にNR7ブレイクを追いかけると、「上に抜けたと思ったら急反転して損切り、今度は下に抜けたと思ったらまた反転」という、いわゆる往復ビンタのリスクが高まります。後述する「フィルター条件」を設けることで、このような質の悪いNR7シグナルをある程度排除することができます。

NR7シグナルの質を高めるフィルター条件

NR7自体のロジックは非常にシンプルですが、そのまま機械的に使うとダマシも多くなります。そこで、シグナルの質を高めるためのフィルター条件をいくつか組み合わせると実用性が大きく向上します。

1. 上位足のトレンド方向と揃える

たとえば、1時間足でNR7ブレイクを狙う場合、4時間足や日足のトレンド方向を確認しておき、「上位足と同じ方向のブレイクだけ取る」というルールにすると、勝率が安定しやすくなります。

  • 日足が上昇トレンドなら、NR7高値ブレイクのみエントリー
  • 日足が下降トレンドなら、NR7安値ブレイクのみエントリー

こうすることで、「大きな流れに逆らったブレイク」を意図的に見送ることができ、余計な負けトレードを減らせます。

2. 出来高・ティックボリュームの確認

株式や先物では出来高、FXではティックボリュームを参考にすることで、ブレイクの本気度をある程度測ることができます。

  • ブレイクした足の出来高が、直近数本より明らかに多い
  • ブレイク方向に連続したローソク足が出現している

このような特徴があれば、短期的な「ストップ狩り」よりも、実際の資金フローを伴った動きである可能性が高まり、NR7ブレイクの信頼度が上がります。

3. ボラティリティ指標との組み合わせ

NR7は「値幅の狭さ」をローソク足だけで判定しますが、これにATR(Average True Range)などのボラティリティ指標を組み合わせると、より精度の高いフィルタリングが可能です。

  • 現在のATRが、直近一定期間の平均よりも低下している
  • そのうえでNR7が出現している

この条件がそろうと、「相場全体としてもボラティリティが収縮しており、そこにNR7という極端な収縮が現れた」と解釈できます。こうした場面は、その後のボラティリティ拡大がより期待しやすくなります。

NR7とインサイドバー・ピンバーなど他パターンとの組み合わせ

NR7は単独でも使えますが、他のプライスアクションパターンと組み合わせることで、シグナルの質と再現性が高まります。

1. NR7+インサイドバー

インサイドバーは、直前のローソク足の高値・安値の範囲内にすっぽりと収まる足です。これがNR7として出現するケースでは、「値幅が狭いだけでなく、直前足のレンジ内に完全に押し込められている」状態となり、さらなるエネルギーの圧縮を示唆します。

この場合、インサイドバーの高値・安値、もしくは親足(直前の足)の高値・安値をブレイク基準として利用することで、ブレイク後の伸びを狙いやすくなります。

2. NR7+ピンバー(ハンマー/シューティングスター)

NR7のローソク足そのものが、長いヒゲを持つピンバー(ハンマーやシューティングスター)になっている場合も注目に値します。たとえば、上昇トレンドの押し目で、安値圏に下ヒゲの長いハンマー型NR7が出現し、その高値を次の足でブレイクしたケースでは、「安値圏での買い支え+エネルギー収縮からの上昇再開」という、非常に教科書的な形になります。

NR7戦略で陥りやすい失敗パターン

NR7は強力なパターンですが、使い方を誤ると負けが積み重なりやすい側面もあります。ここでは避けるべき典型的な失敗パターンを整理します。

1. 明確な方向感のない完全レンジ相場で乱発する

日足・4時間足レベルで長期間のボックスレンジが続いている場面では、NR7のような「値幅の狭さ」を根拠としたシグナルが頻発します。しかし、その多くはレンジの中央付近での無意味なブレイクとなりやすく、損切りを連発しやすい状況です。

このような局面では、「レンジ上限または下限に近い位置で出たNR7だけを狙う」など、価格帯のフィルターを設けることが有効です。

2. 損切りを後回しにしてしまう

NR7の値幅は小さいとはいえ、放置していれば大きなトレンド逆行に巻き込まれる可能性があります。「一度はNR7レンジからブレイクしたのだから、そのうち戻るだろう」と根拠なくポジションを握り続けると、含み損が雪だるま式に膨らみます。

エントリー前にリスク許容度を明確に決めておき、「NR7の反対側を抜けたら必ず損切り」というルールを守ることが、長期的なトータル収支を安定させるうえで不可欠です。

3. ロットサイズの管理が甘い

NR7の値幅が小さいからといって、過度にロットを増やしてしまうのも典型的な失敗要因です。たしかに、同じ証拠金でも損切り幅が小さいほどロットを増やしやすくなりますが、連敗したときのダメージを考えると、資金に対する1回あたりのリスクを一定割合に抑えることが重要です。

たとえば「1トレードで口座残高の1%まで」といった形で、リスク上限をルール化しておき、その範囲内でロットを調整するやり方が堅実です。

NR7戦略を裁量トレードとシステムトレードの両方で活かす

NR7の良い点は、ルールが非常に明確で、プログラム化しやすいことです。ローソク足の値幅さえ取得できれば、どのプラットフォームでも簡単に検出できます。

1. 裁量トレードでの活用

裁量トレードの文脈では、「チャート画面にNR7を自動でマーキングするインジケーター」を表示しておき、その中から「上位足トレンドと合致」「節目に近い」「出来高が伴っている」といった条件を満たすパターンだけを厳選して入っていくのが現実的です。

あらかじめ自分なりのチェックリストを用意しておくと、エントリーの一貫性が保ちやすくなります。

2. システムトレードでの活用

システムトレードでは、NR7の定義が明確であることを活かして、バックテストや検証を行うことができます。

  • 対象銘柄:ドル円、ユーロドル、日本株の主要銘柄など
  • 時間足:1時間足、4時間足、日足など
  • 売買ルール:NR7ブレイク、NR7+上位足トレンドフィルターなど
  • 評価指標:勝率、平均損益、最大ドローダウン、プロフィットファクターなど

実際に統計を取ることで、「どの時間足・どの銘柄・どの条件でNR7が機能しやすいか」を客観的に把握できるため、裁量判断の裏付けとしても非常に有用です。

初心者がNR7を学ぶ際のステップ

最後に、これからNR7を実際のトレードに取り入れていきたい初心者の方向けに、現実的な習得ステップを整理します。

ステップ1:チャート上でNR7を「目で探せる」ようにする

まずはインジケーターに頼らず、チャート上で直近7本のローソク足の中で最も値幅が狭い足を、自分の目で探す練習をしてみてください。最初は時間がかかりますが、「どのような場所にNR7が出やすいのか」「どの後に大きなトレンドが発生しやすいのか」を体感的に理解できます。

ステップ2:過去チャートでの検証(リプレイ学習)

TradingViewなどのチャートツールには、過去チャートを一歩ずつ再生できるリプレイ機能があります。この機能を使って、NR7が出た直後の値動きを何十例、何百例と観察してみると、「この位置のNR7は強い」「こういうときのNR7は騙されやすい」といった感覚が身についてきます。

ステップ3:デモ口座や少額でのリアルトレード

過去検証である程度イメージが掴めたら、次はデモ口座、もしくは極少ロットで実際にトレードしてみましょう。リアルタイムの値動きの中でNR7を見つけ、ブレイクアウトを待ち、損切り・利確までを一連の流れとして経験することで、数字だけでは分からない「メンタル面の課題」も見えてきます。

ステップ4:自分なりのフィルターとルールを明文化する

一定数のトレードをこなしたら、「どの条件のときに勝ちやすかったか」「どのパターンで負けやすかったか」をノートやスプレッドシートに記録し、自分なりのフィルターとルールを文章化しておきます。

たとえば:

  • 日足が明確なトレンドのときだけトレードする
  • レンジ中央のNR7は捨て、レンジ上限・下限に近いものだけ狙う
  • 経済指標の直前30分は新規エントリーしない

このようなルールを少しずつ洗練させていくことで、NR7戦略は単なる「パターン探し」から、再現性のある「自分の武器」へと変わっていきます。

まとめ:NR7は「静けさの後の一撃」を捉えるための武器

NR7パターンは、相場のボラティリティ収縮と拡大という根本的な性質を、シンプルなローソク足のルールで捉えるための有用な手法です。

  • 直近7本で最も値幅が狭い足=NR7
  • トレンド方向と揃えたブレイクアウトで特に威力を発揮
  • インサイドバーやピンバーなど他のプライスアクションと組み合わせると精度アップ
  • 明確な損切りルールとロット管理が、長期的な安定収支には不可欠
  • 裁量トレードにもシステムトレードにも応用しやすい

まずは、自分が普段トレードしている銘柄と時間軸で過去チャートを見返し、「大きなトレンドが始まる直前にNR7が潜んでいなかったか」を探してみてください。その中から「自分が自信を持って使えるパターン」だけを抽出し、ルール化していくことが、NR7を武器として定着させる近道です。

p-nuts

お金稼ぎの現場で役立つ「投資の地図」を描くブログを運営しているサラリーマン兼業個人投資家の”p-nuts”と申します。株式・FX・暗号資産からデリバティブやオルタナティブ投資まで、複雑な理論をわかりやすく噛み砕き、再現性のある戦略と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ実践できること、そして迷った投資家が次の一歩を踏み出せることを大切にしています。

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