ボリンジャーバンドスクイーズで狙う「値幅の爆発」入門ガイド

テクニカル分析

ボリンジャーバンドは、価格の上下にバンドを描くことで「相場の温度感」を視覚化する代表的なテクニカル指標です。その中でも特にトレーダーから注目されるのが、バンド同士がギュッと縮まる「ボリンジャーバンドスクイーズ」です。これは、値動きが一時的に小さくなり、エネルギーが溜まっている状態を示すサインと考えられています。

本記事では、ボリンジャーバンドスクイーズの仕組みから、具体的なエントリー・イグジットの考え方、株・FX・暗号資産での活用イメージ、よくある失敗パターンまでを、初めての方にも分かりやすいように体系的に解説します。

スポンサーリンク
【DMM FX】入金
  1. ボリンジャーバンドの基本:まずは「何を見ている指標か」を理解する
    1. なぜスクイーズが重要なのか
  2. ボリンジャーバンドスクイーズの見つけ方
    1. 実務的なスクイーズ判定のシンプルな基準例
  3. 株・FX・暗号資産で共通して使えるスクイーズの考え方
    1. 株式の例:決算発表前後のスクイーズ
    2. FXの例:重要指標前のレンジ相場
    3. 暗号資産の例:ボラティリティの「谷」からの復活
  4. ボリンジャーバンドスクイーズを使ったシンプルな戦略例
    1. 戦略のコンセプト
    2. 具体的なルール例(イメージ)
  5. スクイーズ戦略で初心者がハマりやすい落とし穴
    1. 落とし穴1:スクイーズ=必ず大相場と勘違いする
    2. 落とし穴2:方向性を決めつけて先にポジションを持つ
    3. 落とし穴3:損切りルールが曖昧なままエントリーする
  6. 他のテクニカル指標との組み合わせで精度を高める
    1. トレンド系との組み合わせ:移動平均線やMACD
    2. オシレーターとの組み合わせ:RSIやストキャスティクス
  7. 時間軸ごとの特徴と注意点
    1. 短期足(5分〜15分足)でのスクイーズ
    2. 中期〜長期足(日足〜週足)でのスクイーズ
  8. 自分のルールとして落とし込むためのステップ
    1. ステップ1:過去チャートでスクイーズとブレイクを観察する
    2. ステップ2:自分なりのエントリー条件・損切りルールを言語化する
    3. ステップ3:小さいロットやデモ口座で試しながら微調整する
  9. まとめ:スクイーズは「準備運動が整った相場」を探すレーダー

ボリンジャーバンドの基本:まずは「何を見ている指標か」を理解する

ボリンジャーバンドは、移動平均線(一般的には20期間)を中心に、その上下に標準偏差を用いてバンドを描いた指標です。代表的な設定は以下の通りです。

  • 期間:20
  • 上バンド:20SMA + 2σ
  • 下バンド:20SMA – 2σ

このバンドの意味合いは、「価格がこの範囲に収まる確率が高いゾーン」です。ボラティリティ(価格変動の大きさ)が大きくなるとバンドが広がり、逆に値動きが小さくなるとバンド幅が狭まります。

なぜスクイーズが重要なのか

スクイーズとは、ボリンジャーバンドの上下が近づき、バンド幅が明らかに狭くなっている状態を指します。これは、

  • トレンドが一服して値動きが小さくなっている
  • 市場参加者が様子見モードで、エネルギーを溜めている
  • 次の大きな値動き(ブレイクアウト)の「予告編」であることが多い

という特徴があります。実務的には、「スクイーズ → ブレイク → トレンド」という流れを狙い打ちするのが、ボリンジャーバンドスクイーズ戦略のコアです。

ボリンジャーバンドスクイーズの見つけ方

スクイーズを定量的に捉えるには、「バンド幅」を指標として用います。バンド幅とは、

バンド幅 = (上バンド − 下バンド) ÷ 中心の移動平均

のように、価格に対してどれくらいバンドが広がっているかを数値化したものです。チャートツールによっては「BB Width」や「ボリンジャーバンド幅」などの名前でインジケーターが用意されています。

実務的なスクイーズ判定のシンプルな基準例

初心者でも使いやすい目安として、次のような基準が考えられます。

  • 過去6か月〜1年程度のチャートで見て、バンド幅が「過去○%以内の低さ」にある
  • 視覚的に見て、普段より明らかに細く「ゴムが縮んでいる」ように見える
  • ローソク足が上下バンドの内側で小さく行ったり来たりしている

厳密な数値化をしなくても、最初は「いつもより細い状態になっている場所を探す」程度で構いません。重要なのは、スクイーズの後にどのような値動きが起きやすいかを、具体的なチャートを通じて感覚的に身につけていくことです。

株・FX・暗号資産で共通して使えるスクイーズの考え方

ボリンジャーバンドスクイーズは、株式相場、為替相場(FX)、ビットコインやアルトコインなどの暗号資産といった、ほとんどの「トレンドが出る市場」で共通して使えるアイデアです。

株式の例:決算発表前後のスクイーズ

例えば、ある銘柄が決算発表を控えているとします。市場は「良いのか悪いのか判断がつかない」状態で、出来高はそこそこあるものの、株価はあまり動かず横ばいが続くケースがあります。このような局面では、ボリンジャーバンドの幅が徐々に狭くなり、スクイーズが発生しやすくなります。

決算発表後、サプライズ的な内容が出れば、上か下どちらかに大きくブレイクし、バンドが一気に広がります。スクイーズは「どちらに動くか」までは教えてくれませんが、「動き出したら一方向への走りが出やすい局面」である可能性を示唆してくれます。

FXの例:重要指標前のレンジ相場

為替相場では、雇用統計や政策金利の発表前に、値動きが極端に小さくなり、数十pipsの狭いレンジで推移することがあります。このときも、ボリンジャーバンドが細くなり、スクイーズ状態になります。

重要指標の発表後は、一気にレンジを抜けて大きく動き、そのままトレンドが数時間〜数日続くことも少なくありません。スクイーズを確認しておくことで、「どの時間帯・どの通貨ペアに注目すべきか」の優先順位づけがやりやすくなります。

暗号資産の例:ボラティリティの「谷」からの復活

暗号資産はボラティリティが大きい一方、長期間にわたりボラティリティが低下し、価格がほとんど動かない期間が挟まることもあります。この「静かな期間」にボリンジャーバンドが極端に細くなり、その後、ニュースや資金流入をきっかけに大きくトレンドが走り出すケースがよく見られます。

スクイーズが発生している銘柄をウォッチリストに入れておけば、「そろそろ次の大きな値幅が出そうな候補」を効率的に管理することができます。

ボリンジャーバンドスクイーズを使ったシンプルな戦略例

ここでは、初心者でも取り入れやすいシンプルな考え方の例を紹介します。実際に資金を投じる前に、必ずデモトレードや過去チャートで十分に検証することをおすすめします。

戦略のコンセプト

コンセプトは非常に単純です。

  • スクイーズで「エネルギーが溜まっている」銘柄・通貨ペアを探す
  • 価格がバンドの外に「はみ出す」方向に動き出したら、その方向へのブレイクを狙う
  • 直近のレンジ幅やボラティリティをもとに、損切り・利確の目安を決めておく

具体的なルール例(イメージ)

以下は考え方の一例です。

  1. 20期間・2σのボリンジャーバンドを設定する。
  2. バンド幅が、過去3か月の中でも明らかに低い水準にある銘柄を探す。
  3. ローソク足が長い間、バンド内で小さく動いていることを確認する。
  4. 上方向へのブレイク狙いの場合:終値が上バンドをはっきりと上抜けたタイミングを観察する。
  5. エントリーは、ブレイクしたローソク足の高値を次の足で更新したタイミングなど、少し保守的に設定する。
  6. 損切りは、直近のレンジ下限や中心線(20SMA)割れなど、あらかじめ価格で決めておく。
  7. 利確は、リスクリワードが1:1.5〜2程度になる位置や、逆方向に強いシグナルが出たポイントで行うことを検討する。

このように、「スクイーズの発生 → ブレイク方向を確認 → リスクを限定した上でトレンドを取りに行く」という流れでシナリオを組み立てていきます。

スクイーズ戦略で初心者がハマりやすい落とし穴

ボリンジャーバンドスクイーズは強力なアイデアですが、誤解したまま使うと逆に損失を拡大させてしまうこともあります。ここでは、初心者が陥りやすいポイントを整理します。

落とし穴1:スクイーズ=必ず大相場と勘違いする

スクイーズは「大きく動く可能性が高い」状況を示すだけであり、必ずしも大相場になるとは限りません。また、ブレイク直後は一方向に走っても、その後すぐに反転して元のレンジに戻ってしまう「ダマシ」も多く存在します。

したがって、スクイーズを発見したからといって、レバレッジを大きくしすぎたり、資金の大半を一度に投入するのは危険です。あくまで「仕掛けの候補リスト」の一つとして、他の要素(トレンド方向、出来高、時間帯など)も合わせて判断することが重要です。

落とし穴2:方向性を決めつけて先にポジションを持つ

スクイーズ中は、方向感がはっきりしていないことが多く、「きっと上だろう」「そろそろ反発するだろう」と予測だけでポジションを持ってしまうと、逆方向にブレイクしたときに大きな損失を抱えやすくなります。

基本的なスタンスは「ブレイクを確認してからエントリー」です。ブレイク後の初動をすべて取りに行こうとするのではなく、「動き出してから乗る代わりに、ダマシをある程度避ける」という発想に切り替えると、精神的にも安定しやすくなります。

落とし穴3:損切りルールが曖昧なままエントリーする

スクイーズブレイクは、短時間で大きく動くことがあるため、損切りラインを決めずにポジションを持つと、数本のローソク足だけで想定以上の損失になってしまう場合があります。

「どこまで動いたら間違いだったと認めるか」を事前に決め、その水準に到達したら機械的に手仕舞うルールを作っておくことが重要です。チャート上の水準としては、直近の安値・高値、レンジの反対側、移動平均線のブレイクなどが候補になります。

他のテクニカル指標との組み合わせで精度を高める

ボリンジャーバンドスクイーズ単体でも有用ですが、他のテクニカル指標を組み合わせることで、エントリーの精度や自分の納得感を高めることができます。

トレンド系との組み合わせ:移動平均線やMACD

  • 中期の移動平均線(例:50期間)の向きが上向きであれば、上方向へのブレイクを優先する
  • MACDがゼロラインより上にあり、ゴールデンクロスに近い状態なら、上方向のブレイクに信頼感を持ちやすい
  • 逆に、移動平均線が下向きでMACDもマイナス圏であれば、下方向のブレイクを優先する

このように、スクイーズを「スタート地点の察知」に使い、トレンド系指標で「どちら向きに乗るか」を判断するイメージです。

オシレーターとの組み合わせ:RSIやストキャスティクス

  • RSIが50より上で推移している状態でのスクイーズ上抜けは、上昇トレンド再開のシナリオと相性が良い
  • ストキャスティクスが売られすぎゾーンからゴールデンクロスしたタイミングで、上バンドブレイクが起きると、短期の反発トレンドを取りに行く戦略が組みやすい

オシレーター系は「勢い」や「行き過ぎ」を測る役割を持つため、スクイーズのブレイク方向とオシレーターの向きが一致しているかどうかを確認することで、シナリオの信頼度をチェックできます。

時間軸ごとの特徴と注意点

ボリンジャーバンドスクイーズは、日足、4時間足、1時間足、さらには5分足など、さまざまな時間軸で発生します。時間軸によって、特徴やリスクも変わってきます。

短期足(5分〜15分足)でのスクイーズ

短期足では、スクイーズとブレイクが頻繁に発生します。その分、チャンスも多い一方で、ダマシやノイズも多く、スプレッドや手数料の影響も無視できなくなります。

短期足でスクイーズ戦略を使う場合は、

  • 取引コストが低い銘柄・通貨ペアを選ぶ
  • 過剰な取引回数にならないよう、エントリー条件をある程度厳しめにする
  • 必ずバックテストや検証を行い、自分のトレードスタイルと合うかを確認する

といった点を意識する必要があります。

中期〜長期足(日足〜週足)でのスクイーズ

日足や週足レベルでスクイーズが発生する場合、その後のトレンドも大きくなりやすい傾向があります。その分、含み益・含み損の振れ幅も大きくなり、ポジション保有期間も長くなるため、資金管理と精神面のコントロールが重要になります。

中長期足のスクイーズ戦略では、

  • 1回のトレードあたりのリスクを資金全体の数%に抑える
  • 値幅が大きくなりやすい分、あらかじめシナリオを複数用意しておく(利確の分割、トレーリングストップなど)
  • ニュースやファンダメンタルズの変化にも注意を払い、想定外の相場環境変化があれば柔軟にシナリオを見直す

といった工夫が求められます。

自分のルールとして落とし込むためのステップ

ボリンジャーバンドスクイーズは、考え方自体はシンプルですが、そのまま真似るだけではなく、「自分用のルール」に落とし込むことで、初めて一貫性のあるトレードにつながります。以下のようなステップで、少しずつ自分の型を作っていくと良いでしょう。

ステップ1:過去チャートでスクイーズとブレイクを観察する

まずは、気になる銘柄や通貨ペアの過去チャートを開き、ボリンジャーバンドを表示して、「バンドが極端に細くなっているポイント」と「その後の値動き」をひたすら観察してみてください。

  • どのような場面で大きなトレンドにつながりやすかったか
  • どのようなパターンではダマシが多かったか
  • 出来高やニュースと組み合わせると、どう見え方が変わるか

といった視点でメモを取りながら眺めていくと、スクイーズの「質」の違いが少しずつ見えてきます。

ステップ2:自分なりのエントリー条件・損切りルールを言語化する

次に、過去チャートの観察を通じて、「こういうときは比較的うまくいきやすい」と感じたパターンを抽出し、自分なりのルールとして文章化します。例えば、

  • 20SMAが上向きで、RSIが50より上にあるときのスクイーズ上抜けだけを狙う
  • エントリーはブレイク足の高値更新を待つ
  • 損切りは、直近安値割れか、20SMA割れのどちらか早い方で行う

といった形です。言語化することで、自分のトレードを客観的に振り返りやすくなります。

ステップ3:小さいロットやデモ口座で試しながら微調整する

いきなり本番資金のフルサイズで試すのではなく、小さなロットやデモ口座で、一定期間(例えば数十トレード)試してみることをおすすめします。その上で、

  • エントリーが早すぎる/遅すぎる傾向はないか
  • 損切りがタイトすぎて「ヒゲ」で刈られていないか
  • 利確のタイミングが早すぎて、伸びるトレンドを取り逃していないか

といった点をチェックしながら、少しずつルールを微調整していきます。

まとめ:スクイーズは「準備運動が整った相場」を探すレーダー

ボリンジャーバンドスクイーズは、派手な必勝パターンではなく、「そろそろ大きな動きが出るかもしれない相場」を見つけるためのレーダーのような存在です。スクイーズそのものはあくまで「きっかけ」であり、

  • ブレイクの方向性をどう判断するか
  • どこでエントリーし、どこで損切り・利確するか
  • 自分の資金量に対してどれくらいのリスクを取るか

といった部分は、トレーダー一人ひとりが自分のスタイルに合わせて設計していく必要があります。

まずは、身近な銘柄や通貨ペアのチャートにボリンジャーバンドを表示し、「どこでスクイーズが起き、その後どう動いたのか」を振り返るところから始めてみてください。地道な観察と検証を積み重ねることで、スクイーズは「たまたま見つけた面白いパターン」から、「自分の武器の一つ」へと変わっていきます。

最終的には、ボリンジャーバンドスクイーズをきっかけに、自分なりのエッジ(優位性)を持ったトレードルールを構築し、長期的な視点でコツコツと利益を積み重ねていくことが目標となります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました