モメンタム投資徹底解説:値動きの勢いを味方につけるシンプル戦略ガイド

投資戦略
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モメンタム投資とは何か

モメンタム投資とは、「最近よく上がっている銘柄は、しばらくの間その流れが続きやすい」という性質を利用する投資手法です。株式でもFXでも暗号資産でも、チャートを眺めていると、上昇が上昇を呼び、下落が下落を呼ぶような「勢い」のようなものを感じる場面があります。この値動きの勢いを定量的に捉え、ルール化して売買するのがモメンタム投資です。

なぜこうした現象が起きるかについて、学術研究ではいくつかの理由が指摘されています。投資家が情報に対して過小反応・過大反応しがちなこと、トレンドフォロー型の資金が流入・流出すること、機関投資家の運用ルールや評価期間による売買の偏りなど、人間の行動と制度の歪みが積み重なり、価格の「勢い」が生まれると考えられています。

モメンタムが発生しやすい局面

モメンタムはいつも同じように現れるわけではありません。特に値動きの勢いが強く出やすい局面には、次のようなパターンがあります。

好決算やポジティブ材料が続く成長ストーリー局面

たとえば、ある企業が市場予想を上回る決算を発表し、同時に新製品や海外展開などの成長ストーリーを示したとします。最初の決算発表で株価は大きく上げますが、すべての投資家が同じタイミングで気づくわけではありません。ニュースを見ていない投資家、決算を詳しく分析するのに時間がかかる機関投資家、社内稟議が必要なファンドなど、資金の流入は時間差を伴って起こります。その結果、好材料が市場に浸透する数週間〜数ヶ月の間に、株価がじわじわとトレンドを描きながら上昇していくことがあります。

テーマ性のある相場

生成AI、脱炭素、半導体、インバウンドなど、市場全体が注目しているテーマがあると、そのテーマに関連した銘柄群は一斉に買われやすくなります。資金流入が銘柄間で波及しやすく、ニュースやSNSを通じて個人投資家の関心も高まり、出来高を伴ったモメンタムが発生しやすくなります。ただし、テーマ相場は勢いが強い分、反転も急になりやすいため、出口戦略が重要です。

トレンドがはっきりした為替・暗号資産相場

FXや暗号資産では、グローバルな資金が24時間動いているため、強いトレンドが出たときにモメンタムが加速しやすい傾向があります。特に、重要な経済指標発表や金融政策決定をきっかけに、一方向への動きが続くことがあります。これを追いかけ過ぎると高値掴みになりますが、冷静にルールを決めて追随すれば、トレンドに素直に乗るシンプルな戦略として機能します。

モメンタム投資の基本ルール設計

モメンタム投資は、難しい数式を使わなくても、個人投資家が再現可能な形に落とし込むことができます。ここでは、株式を例に、シンプルなルール設計の考え方を解説します。

1. 対象市場と銘柄ユニバースを決める

まず、どの市場のどの銘柄を対象とするかを決めます。

  • 例1:東証プライム市場のうち、時価総額が一定以上で、売買代金が十分にある銘柄
  • 例2:主要インデックス(TOPIX500やS&P500等)の採用銘柄のみ
  • 例3:自分が理解しやすいセクター(IT、ヘルスケア、インフラなど)に絞る

ユニバースを絞ることで、極端に流動性の低い銘柄や、情報が少なすぎる銘柄を自然と排除できます。モメンタム戦略では出来高が重要なので、「売りたいときに売れる銘柄」を対象にすることが基本です。

2. モメンタムの測り方を決める

最もシンプルな測り方は、「過去○ヶ月間の騰落率」です。たとえば、過去6ヶ月リターン(6Mリターン)をモメンタム指標とし、高い銘柄を順に並べる方法があります。

ただし、そのまま使うと次のような問題があります。

  • 直近数日の急騰だけでランキング上位に来てしまう
  • 極端なボラティリティのある銘柄に偏る

このため、実務では、次のような調整がよく行われます。

  • 直近1ヶ月は除外して過去2〜7ヶ月のリターンを使う(いわゆる「12−1ヶ月モメンタム」に似た発想)
  • ボラティリティで割った「リスク調整後リターン」を使う
  • 移動平均線との乖離率やトレンドの滑らかさを併用する

3. エントリーとエグジットのルール

モメンタム戦略を継続するには、「いつ買うか」「いつ売るか」を機械的に決めておくことが重要です。

  • エントリー例:毎月月末に、ユニバースの中から過去6ヶ月リターン上位20銘柄を選び、均等に買う。
  • エグジット例:翌月の月末に再度ランキングを計算し、トップ20から外れた銘柄は売却し、新たにトップ20に入った銘柄を購入する。

このように、一定のリバランス日(たとえば毎月、3ヶ月ごとなど)を決めて、そこでまとめて入れ替えを行うと、売買回数を抑えつつルールを守りやすくなります。

具体例:シンプルな日本株モメンタム戦略

ここからは、あくまで学習用のイメージとして、シンプルな日本株モメンタム戦略の流れを示します。実際の運用では、手数料や税金、スプレッド、注文の滑りなどを十分に考慮する必要があります。

ステップ1:ユニバースの設定

東証プライム市場のうち、次の条件を満たす銘柄だけを対象にするとします。

  • 時価総額が○○億円以上
  • 1日の平均売買代金が○億円以上

これにより、流動性が低すぎる小型株を避け、売買コストや約定リスクをある程度コントロールできます。

ステップ2:過去リターンの計測

毎月月末の終値ベースで、各銘柄の「過去6ヶ月リターン」を計算します。たとえば、現在が12月末であれば、6月末から12月末までの価格変化率を使います。このとき、直近1ヶ月のリターンを除外し、5ヶ月分だけで計算する方法もあります。これは、短期的な急騰・急落のノイズを減らすためです。

ステップ3:上位銘柄の選定

過去リターンの高い順に並べ、上位20銘柄を選びます。1銘柄あたりの投資比率は均等(各5%ずつ)とします。これにより、特定の銘柄に偏りすぎず、モメンタムの分散効果を得やすくなります。

ステップ4:保有期間と入れ替え

選定した20銘柄を1ヶ月間保有し、翌月の月末に再びランキングを計算します。トップ20から外れた銘柄はすべて売却し、新たにトップ20に入った銘柄を購入します。これを毎月繰り返すことで、市場の中で「今、勢いのある銘柄」を常に保有し続けるイメージになります。

モメンタム投資におけるリスク管理

モメンタム戦略は、「トレンドが続く局面」では強力ですが、「相場が急に反転する局面」では大きな含み損を抱えやすいという弱点があります。そこで、リスク管理をルールとして組み込むことが不可欠です。

ポジションサイズのコントロール

まず決めるべきは、1銘柄あたりにどれだけ資金を配分するかです。たとえば、運用資金100万円で20銘柄を均等保有する場合、1銘柄あたり5万円になります。これを「資金の◯%」という形で決めておくと、資金が増減してもリスクの取り方を一定に保つことができます。

ロスカットとトレーリングストップ

モメンタム戦略では、「勢いが崩れたら素早く撤退する」ことが重要です。具体的な例として、次のようなルールが考えられます。

  • エントリー後、終値ベースで−10〜−15%下落したらロスカット
  • 高値から一定割合(たとえば−10%)下落したらトレーリングストップで利確

ロスカットが続くと心理的にきつく感じますが、長期的に見れば、大きなドローダウンを避けるための「保険」として機能します。

分散と相関の意識

モメンタム銘柄は同じセクターに偏りやすい傾向があります。たとえば、半導体関連だけがずらっと並ぶこともあります。その場合、1つのニュースで多くの銘柄が同時に大きく動いてしまうリスクがあります。可能であれば、セクターやテーマが偏りすぎていないかをチェックし、極端な集中があれば銘柄数を調整するのも一つの方法です。

よくある失敗パターンと対策

直近の急騰だけを追いかけてしまう

モメンタムと聞くと、「今日ストップ高になった銘柄を明日買う」といったイメージを持ちがちですが、これはかなりリスクの高い行動です。出来高やニュースを冷静に確認せずに飛びつくと、短期的な噴き上げの最後に掴んでしまう可能性が高まります。モメンタム戦略は、本来「一定期間のトレンド」を対象とするものであり、1〜2日の急騰を追いかけるものではないという点を意識することが大切です。

レバレッジのかけ過ぎ

FXや信用取引、暗号資産のレバレッジ取引では、少ない元手で大きなポジションを持つことができます。トレンド相場では短期間で大きな利益が出ることもありますが、逆方向に動いたときのダメージも同じくらい大きくなります。モメンタム戦略は元々、相場の勢いを利用するためボラティリティの高い局面で使われがちです。そのため、レバレッジを高くし過ぎると、数回の逆行で資金を大きく減らすリスクがあります。

ルールを守れず感情で売買してしまう

モメンタム戦略の利点は、「ルール化しやすい」点にありますが、実際の運用では感情が邪魔をしがちです。「もう少し上がりそうだからロスカットを先送りする」「含み益が出たからすぐに利確してしまう」など、ルールから外れた判断を続けると、本来の戦略とは別物になってしまいます。売買ルールを紙に書き出し、エントリーとエグジットの理由を記録することで、感情に流されにくくなります。

モメンタムと他の指標を組み合わせる考え方

モメンタム投資は、それ単独でも一つの戦略になりますが、他の指標と組み合わせることで、よりバランスの取れたアプローチにすることもできます。

ファンダメンタルズ×モメンタム

たとえば、次のような条件を組み合わせる方法があります。

  • ROEが一定以上で、営業利益が成長している企業に絞る
  • その中から、過去6ヶ月リターンが上位の銘柄を選ぶ

このように、「質の高い企業」の中から「今、勢いのある銘柄」を選ぶことで、極端なテーマ株や一時的な仕手株を避ける狙いがあります。

リスク管理指標×モメンタム

ボラティリティ(価格変動の大きさ)やドローダウン(ピークからの下落率)といったリスク指標を併用するのも有効です。たとえば、同じモメンタムの強さであれば、ボラティリティが低めの銘柄を優先する、といったルールを設けることで、ポートフォリオ全体の値動きをやや穏やかにすることができます。

初心者が今日からできるモメンタム投資の準備

いきなり本格的なモメンタム戦略を組み上げる必要はありません。まずは、「勢いを数値で見る習慣」を身につけるところから始めると取り組みやすくなります。

  • 自分が関心のある銘柄やETFを10〜20個リストアップする
  • 過去3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月の騰落率を定期的にメモする
  • チャート上で、上昇トレンドにある銘柄とそうでない銘柄を見比べる

こうした観察を続けることで、「勢いのある銘柄はどんなニュースや決算をきっかけに動き始めるのか」「トレンドが終わるときはどんなサインが出やすいのか」といった感覚が少しずつ掴めてきます。その上で、小さな金額からルールベースのモメンタム投資を試し、自分なりに検証を重ねていくことが大切です。

モメンタム投資は、相場の「勢い」というシンプルなアイデアに基づいた戦略ですが、ルールとリスク管理を丁寧に設計すれば、個人投資家でも取り組みやすい手法の一つになります。自分の資金規模やリスク許容度に合わせて、無理のない範囲で少しずつ試していくことが重要です。

p-nuts

お金稼ぎの現場で役立つ「投資の地図」を描くブログを運営しているサラリーマン兼業個人投資家の”p-nuts”と申します。株式・FX・暗号資産からデリバティブやオルタナティブ投資まで、複雑な理論をわかりやすく噛み砕き、再現性のある戦略と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ実践できること、そして迷った投資家が次の一歩を踏み出せることを大切にしています。

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