コモディティETFの逆張りローテーション戦略:インフレ相場で崩れないポートフォリオ運用

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  1. なぜ今「コモディティETFの逆張りローテーション」なのか
  2. 前提:コモディティETFは「現物」ではなく、仕組みを理解して使う
  3. コモディティを“ひとまとめ”にしない:セクター別の性格を知る
    1. エネルギー(原油・ガソリン・天然ガス)
    2. 貴金属(金・銀)
    3. 産業金属(銅・アルミ・ニッケル等)
    4. 農産物(小麦・とうもろこし・大豆・砂糖等)
  4. 戦略の骨格:逆張り×ローテーションの「資金循環」モデル
  5. 具体的な運用設計:初心者でも回せる“3つのレイヤー”
    1. レイヤーA:コア(低頻度)— コモディティ全体への分散枠
    2. レイヤーB:サテライト(中頻度)— セクター別ローテーション
    3. レイヤーC:戦術(高頻度)— 事件・急変動への分割対応
  6. 逆張りローテーションのルールテンプレ(そのまま使える形)
    1. テンプレ1:12週リターンの“ワースト2”を買う(月1回)
    2. テンプレ1のフィルター:200日移動平均より上のときだけ買う
    3. テンプレ2:Zスコア逆張り(週1回)— 行き過ぎを数値化する
  7. 具体例:原油急落で“分割逆張り→ローテで回収”する流れ
  8. コモディティETFで負ける典型パターンと回避策
    1. パターン1:原油や天然ガスを「永遠に戻る」と信じてナンピン
    2. パターン2:先物型ETFの“ロールコスト”を無視して長期塩漬け
    3. パターン3:相場がトレンドの時に逆張りを連発する
    4. パターン4:ニュースで感情的に売買する
  9. 資金管理:コモディティは「サイズ」で勝つ(損失を限定する)
    1. ルールA:1セクターあたりの最大比率を決める
    2. ルールB:損切りは「価格」ではなく「ルール逸脱」で行う
    3. ルールC:現金比率を“戦略の一部”として扱う
  10. 銘柄選びの実務:日本の個人投資家が迷わないためのチェックリスト
    1. チェック1:連動対象(現物型か先物型か)
    2. チェック2:経費率とスプレッド
    3. チェック3:通貨建てと為替の影響
  11. 検証の考え方:初心者でも“自分のルール”を磨ける
    1. (1)最大ドローダウン
    2. (2)勝率よりも“平均損益比”
    3. (3)保有期間と回転率
  12. 実践テンプレ:最小構成のモデルポートフォリオ(例)
    1. ステップ1:全体配分を決める
    2. ステップ2:コモディティ枠を「コア+サテライト」に分ける
    3. ステップ3:月末にローテ判定して入れ替える
    4. ステップ4:急変動が来たときだけ戦術枠で分割
  13. まとめ:コモディティは「当てる」より「回す」ほうが勝てる
  14. 補足:よくあるQ&A(運用を止めないための現場対応)
    1. Q1. コモディティは値動きが怖い。精神的に耐えられない気がする
    2. Q2. 逆張りが不安。トレンドフォローの方が正しいのでは?
    3. Q3. ローテの入れ替えで税金やコストが気になる
    4. Q4. “広範コモディティ指数ETF”だけ持てばいいのでは?
    5. Q5. ルールを守れず、裁量でいじってしまう
  15. 運用の最終チェック:この戦略が向く人/向かない人
  16. 次にやること(最短で実践に落とす手順)

なぜ今「コモディティETFの逆張りローテーション」なのか

株や暗号資産だけを握っていると、インフレ再燃・地政学リスク・サプライチェーン混乱など「実物の不足」によるショックで資産が一気に毀損する局面があります。コモディティ(商品)は、そうした局面で株式と逆相関になりやすい場面があるため、分散先として機能しやすい資産クラスです。

一方で、コモディティは「ボラが高い」「急落が深い」「長期で持っても儲からない」と言われがちです。ここが誤解ポイントで、コモディティは“常時ホールド”よりも、資金を循環させる運用設計が向いています。そこで有効なのが、価格の行き過ぎを利用する逆張りと、資金配分を定期的に入れ替えるローテーション(リバランス)の組み合わせです。

本記事では、初心者でも運用に落とせるように、コモディティETFの選び方、売買ルールの作り方、具体例、そして失敗を防ぐ管理方法まで、現実的な手順として整理します。

前提:コモディティETFは「現物」ではなく、仕組みを理解して使う

まず誤解を潰します。多くのコモディティETFは、金の現物を保管しているタイプ(例:金の現物連動)もありますが、先物(フューチャーズ)を使って価格を追うタイプも多いです。先物型ETFは、満期が来る前に次の限月へ乗り換える「ロール」を行います。

このロールで重要なのが、コンタンゴ(先の限月ほど高い)とバックワーデーション(先の限月ほど安い)です。コンタンゴが続くと、ロールのたびに不利になり、指数に対してじわじわ不利が蓄積します。逆にバックワーデーションが続くと、ロールで有利になることがあります。

つまり、コモディティETFは「価格の上げ下げ」だけでなく、期近と期先の歪み(曲線)が収益に影響します。だからこそ、単に長期で持つよりも、ルールで資金を回すほうが勝ち筋が立ちやすいのです。

コモディティを“ひとまとめ”にしない:セクター別の性格を知る

「コモディティ」と一括りにすると戦略が崩れます。商品はセクターごとにドライバーが違い、値動きの癖も違います。ここでは代表的な4分類で捉えます。

エネルギー(原油・ガソリン・天然ガス)

供給ショック(地政学、OPEC方針、設備トラブル)と需要(景気・移動量)で激しく振れます。逆張りは効くことがありますが、トレンドが出ると長く走るので、逆張りは「タイミング」と「分割」が必須です。天然ガスは季節性が強く、原油よりさらに荒い値動きになりがちです。

貴金属(金・銀)

金は「実質金利」「ドル」「リスクオフ」で動きやすく、株と完全に逆ではありませんが、危機時に踏ん張りやすい局面があります。銀は金より工業用途が強く、ボラティリティが高い“レバレッジ版の金”のような動きをすることがあります。

産業金属(銅・アルミ・ニッケル等)

景気・中国需要・インフラ投資・在庫サイクルが主因です。景気後退で急落し、回復局面で強い反発をしやすい傾向があります。逆張りローテに向くことが多い一方、世界景気が崩れると戻りが遅いこともあります。

農産物(小麦・とうもろこし・大豆・砂糖等)

天候・作付け・輸出規制・物流が価格を動かします。突発上昇後の反落も多いですが、供給制約が続くと高値が長期化します。ニュースフローに振り回されやすいので、裁量判断よりルールの機械運用が向きます。

戦略の骨格:逆張り×ローテーションの「資金循環」モデル

本記事のコアは、次の考え方です。

(1)商品セクターを複数に分けて監視し、行き過ぎて弱っているものを買い、過熱しているものを売る。
(2)一括で当てに行かず、時間分散・銘柄分散・ルール分散で“外しても死なない”設計にする。
(3)上昇トレンドに逆らいすぎないよう、例外ルール(フィルター)を設ける。

ここで重要なのは、「逆張り=底当て」ではありません。底を当てるのではなく、期待値が上向く水準で資金を投下し、平均回帰で回収する発想です。

具体的な運用設計:初心者でも回せる“3つのレイヤー”

いきなり複雑にすると破綻します。運用を次の3レイヤーに分けると、管理が楽になります。

レイヤーA:コア(低頻度)— コモディティ全体への分散枠

まずは「コモディティ全体」のETF(広く分散された指数連動)を小さく持ち、ポートフォリオの耐性を上げます。ここは頻繁に売買しません。目的は“保険”と“分散”です。コアがあると、個別セクターの売買でミスっても、全体としてのバランスが崩れにくくなります。

レイヤーB:サテライト(中頻度)— セクター別ローテーション

金・原油・産業金属・農産物など、セクター別ETFを監視し、月1回〜週1回の頻度で入れ替えます。ここが“稼ぐ枠”です。逆張りローテの基本ルールは後ほどテンプレとして提示します。

レイヤーC:戦術(高頻度)— 事件・急変動への分割対応

急騰急落時だけ使う枠です。例えば原油が短期間で急落した、農産物が天候ニュースで急騰した、などの局面で、分割で仕掛けて分割で抜けます。ここは裁量が混ざりやすいので、“やらない日”を決めるのが重要です(例:重要指標直前、流動性が薄い時間帯など)。

逆張りローテーションのルールテンプレ(そのまま使える形)

ここからが実戦パートです。まず、初心者でも実装しやすい、シンプルで破綻しにくいテンプレを示します。あなたの環境(証券口座・取引時間・税制)に合わせて微調整してください。

テンプレ1:12週リターンの“ワースト2”を買う(月1回)

監視対象:金ETF、原油ETF、産業金属ETF、農産物ETF(計4〜6本程度)
評価指標:過去12週(約3か月)の騰落率
ルール:月末に成績が悪い下位2本を同額で買い、上位2本は持たない(あるいは売る)。翌月末に同じ作業を繰り返す。

これは「負けているものは割安になりやすい」という平均回帰の仮説を利用します。ポイントは“月1回”に抑えることです。毎日いじると、ノイズに負けます。コモディティはトレンドが強い局面もあるので、次のフィルターを入れます。

テンプレ1のフィルター:200日移動平均より上のときだけ買う

セクターETFが200日移動平均を下回っている場合は、景気後退や需給悪化の長期化が疑われます。その場合、テンプレ1の「ワースト」を買うと落ちるナイフを掴みやすい。そこで、価格が200日移動平均より上のものだけを“買い候補”にするというフィルターを入れます。

ワースト2が両方とも条件を満たさない場合は、買い本数を減らす(現金比率を上げる)判断もOKです。“何が何でもフル投資”が一番危険です。

テンプレ2:Zスコア逆張り(週1回)— 行き過ぎを数値化する

もう一段踏み込むなら、価格の行き過ぎをZスコアで測ります。
Zスコア=(価格−移動平均)÷標準偏差です。

ルール:週末に各ETFのZスコアを計算し、Zが−1.5以下のものを買い、Zが+1.5以上のものは縮小または利確する。
利確の目安:Zが0付近へ戻ったら半分利確、+1.0を超えたら残りを利確、など段階化。

Zスコアは「価格が平均からどれだけ逸脱したか」を統一尺度で見られるので、原油のようなボラ資産と金のような比較的落ち着いた資産を同じ土俵で扱いやすくなります。

具体例:原油急落で“分割逆張り→ローテで回収”する流れ

ここでは、よくある局面として「原油が短期間で急落した」ケースを例にします。なお、数字は説明のための仮定です。

あなたは、月1回のテンプレ1を基本運用しつつ、急落時だけレイヤーC(戦術枠)を使うとします。ある週に原油ETFが2週間で−15%下落し、ニュースは悲観一色。ここで大事なのは、全額を一発で入れないことです。

分割ルール例:
(1)2週間で−10%を超えたら1回目(全予定額の30%)
(2)さらに−5%進んだら2回目(30%)
(3)安値更新後に“陽線で反発”したら3回目(40%)

この分割は、底当てを狙わず、「悲観のピークで平均購入単価を下げる」ためです。買った後は、Zスコアや短期移動平均で戻りを確認し、反発が弱いなら早めに撤退します。逆張りは“正しさ”ではなく“撤退速度”で成績が決まります。

コモディティETFで負ける典型パターンと回避策

この戦略は、やり方を間違えると普通に負けます。典型パターンを事前に潰します。

パターン1:原油や天然ガスを「永遠に戻る」と信じてナンピン

エネルギーは需給構造が変わると、価格帯そのものがシフトします。下落の理由が「一時的な需給」なのか「構造変化」なのかを、最低限チェックしてください。チェックが難しいなら、ナンピン回数の上限(例:最大3回まで)を固定し、それ以上はルールで禁止します。

パターン2:先物型ETFの“ロールコスト”を無視して長期塩漬け

コンタンゴが強い局面で先物型ETFを長期で握ると、価格が横ばいでも資産が減ることがあります。対策は、(1)保有期間を短めにする、(2)分散指数(複数限月)タイプを検討する、(3)ローテで滞留しない、です。

パターン3:相場がトレンドの時に逆張りを連発する

逆張りが効きにくいのは「強トレンド」です。だから移動平均フィルターや、ボラティリティ上昇時の取引縮小ルールが必要です。“やらない”をルール化できる人が勝ちます。

パターン4:ニュースで感情的に売買する

コモディティはニュースが多く、煽りも強い。だからこそ、ニュースは「背景理解」に使い、売買は「定量ルール」に寄せます。判断材料を増やすほど迷い、逆に負けやすくなります。

資金管理:コモディティは「サイズ」で勝つ(損失を限定する)

コモディティ運用で一番重要なのは、エントリーよりもポジションサイズです。理由は単純で、価格が荒いからです。初心者は次のルールから始めるのが無難です。

ルールA:1セクターあたりの最大比率を決める

例として、コモディティ枠を総資産の20%に設定し、その中で原油は最大5%、金は最大7%、産業金属は最大5%、農産物は最大3%など、上限を決めます。これだけで、天然ガスのような地雷を踏んでも致命傷になりにくい。

ルールB:損切りは「価格」ではなく「ルール逸脱」で行う

逆張りで価格損切りを厳格にすると、往復ビンタになりやすい一方、無限に耐えるのも危険です。そこでおすすめは、“ルールが崩れたら撤退”です。例えば、(1)Zスコアが戻らず、−2.5をさらに深掘り、(2)200日線を明確に割り、(3)月次のローテ判定でも最下位が継続、のように複数条件が揃ったら撤退する、といった設計です。

ルールC:現金比率を“戦略の一部”として扱う

ローテの結果、買い候補が少ない月は現金が増えます。これを「機会損失」と捉えず、リスクを落とした状態だと理解してください。コモディティはチャンスが周期的に来るので、現金は次の仕掛けの弾薬です。

銘柄選びの実務:日本の個人投資家が迷わないためのチェックリスト

ETFの具体的な銘柄名は、あなたの口座(国内・米国)、手数料、税制で最適が変わるので、ここでは“選び方”を固定化します。

チェック1:連動対象(現物型か先物型か)

金は現物型が多い一方、原油・天然ガス・農産物は先物型が中心です。先物型なら、ロール方式(単一限月か、複数限月か、最適ロールか)を確認してください。

チェック2:経費率とスプレッド

コモディティETFは経費率が高めになりがちです。さらに、流動性が低いとスプレッドでコストが増えます。初心者は、まず流動性の高い商品から始めるのが安全です。

チェック3:通貨建てと為替の影響

多くのコモディティはドル建てです。円で生活している場合、実質的に「商品価格+ドル円」の複合リスクを取ります。為替リスクを取りたくないなら、為替ヘッジ商品も選択肢ですが、ヘッジコストが発生します。どちらが良いかは目的次第です。

検証の考え方:初心者でも“自分のルール”を磨ける

「バックテスト」と聞くと難しく感じますが、最初はエクセルでも十分です。検証で見るべきは、利益率よりも次の3点です。

(1)最大ドローダウン

逆張りは当たると大きいが、外すと深い。耐えられる下落幅かを先に確認します。耐えられないなら、ポジションサイズが大きすぎます。

(2)勝率よりも“平均損益比”

逆張りは勝率が低くても、平均利益が大きければ成り立ちます。逆に、勝率が高くても小さく利確し、大きく負けると破綻します。

(3)保有期間と回転率

ローテ戦略は、税・手数料・スプレッドの影響が出ます。回転が早すぎるとコスト負けします。月1回や週1回の“低頻度”から始めるのが合理的です。

実践テンプレ:最小構成のモデルポートフォリオ(例)

最後に、最小構成で回せる例を提示します。これは“完成形”ではなく、初心者が破綻せずに始めるための土台です。

ステップ1:全体配分を決める

例:総資産のうち、株式70%、債券10%、コモディティ20%。ここでコモディティ20%は多いと感じるなら10%でも構いません。重要なのは、最初に上限を固定することです。

ステップ2:コモディティ枠を「コア+サテライト」に分ける

例:コア10%(広範コモディティ指数ETF)、サテライト10%(金・原油・産業金属・農産物のローテ)。

ステップ3:月末にローテ判定して入れ替える

テンプレ1(12週ワースト2)を採用し、200日線フィルターをかけます。条件を満たすものが少ない月は現金を残し、次月へ持ち越します。

ステップ4:急変動が来たときだけ戦術枠で分割

原油などが短期間に大きく動いたときだけ、レイヤーCを使います。使わない月があって当たり前です。むしろ“使わない月を増やす”ことで成績が安定します。

まとめ:コモディティは「当てる」より「回す」ほうが勝てる

コモディティETFの逆張りローテーションは、派手な一撃よりも、資金を循環させて期待値を積み上げる運用です。ポイントは、(1)セクターを分ける、(2)低頻度で回す、(3)フィルターで強トレンドに逆らいすぎない、(4)サイズで生き残る、の4点です。

最初はテンプレ1の月次運用だけで十分です。慣れてきたら、Zスコアなどで“行き過ぎ”を定量化し、戦術枠を小さく追加してください。やることを増やすより、ルールを守ることのほうが難易度が高く、そして収益に直結します。

投資は損失が発生する可能性があります。自分のリスク許容度の範囲で、検証と運用を繰り返しながらルールを磨いてください。

補足:よくあるQ&A(運用を止めないための現場対応)

Q1. コモディティは値動きが怖い。精神的に耐えられない気がする

その感覚は正しいです。だから「コモディティ枠を小さくする」のが最優先です。多くの初心者は、戦略ではなくサイズで負けます。コモディティ枠を総資産の5〜10%から始め、慣れても20%を上限にするなど、先に上限を固定してください。月次ローテのような低頻度運用にすると、日々の値動きに反応しにくくなり、メンタル負荷が大幅に下がります。

Q2. 逆張りが不安。トレンドフォローの方が正しいのでは?

トレンドフォローも有効ですが、コモディティは「急騰→急落」「急落→急反発」が多く、トレンドフォローはダマシも増えます。逆張りローテは、相場の“行き過ぎ”を拾う設計なので、当てに行くのではなく「回帰が起きやすい場所で淡々と仕込む」運用です。トレンドに逆らう不安は、移動平均フィルター分割でかなり軽減できます。

Q3. ローテの入れ替えで税金やコストが気になる

だからこそ、頻度を上げすぎないことが重要です。月1回から始め、週1回は慣れてから。さらに、売買のたびに全額入れ替えず、半分だけ入れ替えるなど「リバランス量」を抑える工夫も効きます。コストはゼロにできないので、ルールの優位性(期待値)がコストを上回る設計を目指してください。

Q4. “広範コモディティ指数ETF”だけ持てばいいのでは?

分散目的ならそれでも成立します。ただし、広範指数は「原油比率が高い」など偏りがあることが多く、局面によっては株式に近い値動きになることもあります。サテライトで金や農産物を持てる設計にすると、分散が実感しやすくなります。結論としては、コアで広く持ち、サテライトで癖を整えるのが運用として安定します。

Q5. ルールを守れず、裁量でいじってしまう

これはほぼ全員が通る壁です。対策は「判断回数を減らす」こと。月末だけ見る、週末だけ見る、という運用にしてください。さらに、売買は“予約注文”や“翌営業日の寄りで実行”など、衝動が入りにくい形にすると継続しやすいです。ルールを守れないなら、戦略を変える前に頻度を落とすべきです。

運用の最終チェック:この戦略が向く人/向かない人

向く人:(1)分散を目的にしたい、(2)低頻度で淡々と回したい、(3)ニュースに振り回されずルールを優先できる、(4)“当てる”より“死なない”を重視する。

向かない人:(1)短期で大きく増やしたい、(2)含み損に耐えられない、(3)相場を毎日見て売買したい、(4)損切りや縮小ができない。向かない側に当てはまるなら、コモディティ枠はさらに小さくするか、コア保有のみで十分です。

次にやること(最短で実践に落とす手順)

(1)コモディティ枠を総資産の5〜10%で設定する。
(2)コア(広範指数)とサテライト(セクター別)に半分ずつ割る。
(3)テンプレ1(12週ワースト2+200日線フィルター)を採用し、月末だけ入れ替える。
(4)3か月運用して、最大ドローダウンとメンタル負荷が許容範囲か確認する。
(5)許容できるなら、Zスコア逆張りなどを“戦術枠の一部”として小さく追加する。

この順番で進めれば、難しい理論より先に「継続できる運用」を作れます。投資は、最適解を一発で当てるゲームではなく、改善を積み上げるゲームです。

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