国策テーマ株の見抜き方:リターンを削らずに破綻確率を落とす実装ガイド

資産運用

今回は「国策テーマ株の見抜き方」を、初心者でも手順として再現できる形まで落とし込みます。結論から言うと、ボラティリティは“当てにいく”ものではなく、“扱い方を設計する”ものです。値動きが荒い局面で利益を狙うよりも、まず破綻確率(致命傷を負う確率)を下げ、次に「伸びる局面で取りこぼさない」構造を作る。この順番が最短です。

多くの個人投資家は、損益の源泉を「銘柄選び」や「相場予測」に置きます。しかし現実には、長期で差を生むのはリスク量(どれだけ危険を取るか)の設計です。特にボラティリティは、同じリターンでも“体感難易度”と“継続可否”を左右します。ここを制御できると、投資が急に「運用」になります。

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ボラティリティとは何か:初心者が最初に誤解するポイント

ボラティリティは、ざっくり言えば「価格のブレ幅」です。上がる・下がるの方向ではなく、どれくらい揺れるか。にもかかわらず、初心者ほど「ボラが高い=危険」だけで終わらせます。危険なのは事実ですが、危険というより取扱説明書が必要な性質と思ってください。

たとえば、同じ年率リターン10%を目指すとして、途中で−30%が来る運用と、−10%で済む運用では、メンタルの消耗も、撤退率も、再投資のタイミングも変わります。ボラティリティは、その“途中経過の痛み”を決める変数です。

誤解しがちな点は3つあります。

①ボラが高い=儲かるではありません。ボラが高いほど上下の振れが大きいだけで、期待リターンが上がるとは限りません。むしろ多くの個人は上下に振り回され、売買回数が増え、手数料や税金、スプレッドで削られます。

②ボラが低い=安全でもありません。ボラが低い資産でも、流動性が枯れる瞬間や、信用イベント(破綻・規制・上場廃止)では一撃で崩れます。「普段静か」なだけで、尾っぽ(テール)を持つことがあります。

③ボラは“相場の性格”であって“あなたの損益”ではない。損益は、ボラ×ポジション量で決まります。つまり、相場が荒れてもポジションを小さくすれば、損益のブレは制御できます。逆に相場が穏やかでも、レバレッジをかければ破綻します。

実現ボラと予想ボラ:同じ“ボラ”でも別物

ボラティリティには大きく2種類あります。実現ボラ(ヒストリカル/リアライズド)と、予想ボラ(インプライド)です。

実現ボラは「過去の値動きから計算したブレ幅」。あなたが運用設計をするときの基本材料です。たとえば過去1ヶ月、3ヶ月、1年でどれくらい揺れたかを見ることで、保有中に想定すべきドローダウンを見積もれます。

予想ボラは「市場参加者がこれからのブレをどう見ているか」。代表例がオプション価格から逆算されるインプライド・ボラティリティです。ニュースやイベント(決算、政策、選挙、ハードフォーク、裁判など)があると、予想ボラは跳ねやすい。これは“恐怖指数”のように扱われがちですが、実態は保険料の水準です。

個人投資家の実務上の使い分けはシンプルです。

・実現ボラ:ポジションサイズ(何株/何口/何枚)を決めるために使う。

・予想ボラ:オプションやヘッジのコスト感、イベント前後のリスクを評価するために使う。

初心者がやりがちな失敗は、予想ボラの上昇を見て「怖いから全部売る」か、「怖いから逆張りする」の二択になることです。正解は、ボラ上昇=ポジションを縮小し、必要なら保険を買うという“設計”です。

なぜボラを味方につけると「破綻確率」が下がるのか

投資で本当に避けたいのは「一撃退場」です。退場にはいくつか形があります。証拠金維持率の崩壊、生活資金の毀損、メンタル崩壊による投げ、あるいは「もう二度と相場を見たくない」という状態。これらは、リターンの大小ではなく、ボラ×ポジション量×継続期間で決まります。

ボラを味方につけるというのは、次の2つを同時にやることです。

①ボラが高いときに、自然とリスクが落ちる仕組み(自動ブレーキ)

②ボラが低いときに、過剰なレバレッジに走らない仕組み(自動リミッター)

ここができると、相場環境に応じて運用が“勝手に”マイルドになります。すると、急落に耐えやすくなり、結果として「市場に居続ける」確率が上がります。市場に居続けられる人が、最終的に勝ちます。

実装の主役は「ポジションサイジング」:最初にここを決める

ボラを味方につける最短ルートは、銘柄選びではなくポジションサイジングです。考え方は簡単で、1回の想定損失(または日次/週次の想定ブレ)を一定にします。

ここで重要なのは「何%下がったら損切り」ではありません。損切り幅を先に決めると、相場が荒いほど簡単に狩られます。先に決めるのは、口座全体に対する最大痛みです。

目安として、初心者がまず設定すべきは次の2つです。

・月間最大ドローダウン許容:口座の−5%〜−10%の範囲(生活資金と分離している前提)。

・単一テーマの最大寄与:口座の−1%〜−2%(1回の事故でやられない設計)。

これを土台に、資産ごとのボラに合わせて数量を決めます。たとえば同じ100万円でも、全世界株インデックスと個別グロース株、暗号資産では、持てる数量が変わって当然です。変えないのがバグです。

具体例:同じ100万円でも“持っていい量”が違う

具体例でイメージを固めます。仮に、あなたが「月間−8%まで」を許容し、1つのテーマでの損失寄与を「月間−2%まで」にします。口座100万円なら、テーマ単位の許容損失は2万円です。

ここで、A:値動きが比較的穏やかなインデックス、B:ボラが高い個別株、C:さらに荒い暗号資産を想定します。ざっくり、月間の価格ブレ幅(実現ボラ)がAは±5%、Bは±15%、Cは±30%だとします。

テーマ単位の許容損失2万円を、ブレ幅で割り戻します。

・A(±5%):2万円 ÷ 5% = 40万円まで

・B(±15%):2万円 ÷ 15% = 約13.3万円まで

・C(±30%):2万円 ÷ 30% = 約6.7万円まで

この計算は超ラフですが、方向性として十分です。「暗号資産が荒いのに、インデックスと同じ金額を突っ込む」のがいかに危険かが分かります。逆に言えば、暗号資産でも“量”を適切にすれば、ポートフォリオに組み込めます。

ボラティリティ・ターゲティング:個人でも再現できる運用ルール

機関投資家でよく使われる考え方に、ボラティリティ・ターゲティングがあります。要するに「目標ボラ(リスク)を一定にする」運用です。相場が荒れればポジションを落とし、落ち着けば戻す。これだけです。

個人が難しく感じるのは、計算だと思います。でも実務では、精密である必要はありません。次のような簡易ルールで再現できます。

ルール例(週1回見直し)

・対象:株式インデックス(例:全世界株、S&P500など)

・指標:過去20日(約1ヶ月)の騰落率の標準偏差をざっくり把握(証券会社のチャートや情報サイトのボラ指標でも代用可)

・目標:年率ボラ10%相当(初心者にはやや控えめ)

・調整:実現ボラが目標の2倍になったら保有額を半分に、3倍なら1/3にする

このルールの本質は「荒れているときに無理しない」です。相場が荒れているときほど、SNSやニュースが騒がしく、過剰行動を誘います。機械的な縮小ルールがあるだけで、余計な売買を減らせます。

ボラを“収益源”に変える2つの方向性:保険屋になるか、保険を買うか

ボラが上がる局面は、保険(ヘッジ)の需要が増える局面です。つまりオプションの保険料が高くなりやすい。ここで、ボラを収益源に変える方法は2つに分かれます。

①保険を買う側:暴落に備えてコストを払う(守り)

②保険を売る側:保険料を受け取り、代わりに尾っぽリスクを引き受ける(攻め)

初心者がいきなり②に行くと事故りやすいので、まずは①の考え方から押さえます。

守りの実装:暴落で死なないための「薄い保険」の作り方

暴落対策というと「全部現金」になりがちですが、それは“逃げ”であって“設計”ではありません。現金比率を上げるのは有効ですが、機会損失も増えます。現実的には、次の3点セットが効きます。

(1)ポジション量を落とす:ボラ上昇で自然に縮小する仕組みにする。

(2)分散先を増やす:ただし分散のしすぎではなく、相関が違うものへ。

(3)薄い保険を継続する:大勝ちは狙わず、致命傷を避ける。

「薄い保険」とは、毎月少額を保険料として支払う代わりに、致命的下落のときに助かる構造です。具体的には、インデックスに対する小さなプット(下落保険)を継続的に持つイメージですが、実務上はオプションに馴染みがない人も多いでしょう。そこで、より簡単な代替策があります。

代替策:“暴落時に強い性格の資産”を少量組み込み、リバランスで保険効果を出す。

例として、短期債やキャッシュ相当、金などを少量入れ、株が崩れたらそこから株へ戻す。これも保険です。重要なのは「暴落時に買える火薬」を残すことです。

攻めの実装:保険料を取りに行く場合の最低限の考え方

保険を売る側=オプション売りは、収益機会として魅力的に見えます。理由は、インプライド・ボラが実現ボラを上回りやすい(保険料が上乗せされがち)からです。ただし、この上乗せ分は“平時の小銭”であり、尾っぽの事故と引き換えです。

初心者がここで踏む地雷は、「勝率の高さ」に酔うことです。小さく勝って大きく負ける構造は、統計的に続ければ続けるほど事故確率が上がります。攻めで使うなら、次の制約を守ってください。

・裸売りをしない:最大損失が有限になる形にする(スプレッドなど)。

・口座全体の許容損失を先に固定する:保険料が欲しいからと数量を増やさない。

・イベント前は縮小する:決算、政策、裁判、規制など。

もしオプションが難しいなら、無理に攻めのボラ戦略を採用する必要はありません。ボラを味方につける中心はあくまで「リスク量の設計」です。

ボラとリバランス:最も地味で、最も再現性が高い収益源

個人投資家にとって、ボラを味方につける最大の武器はリバランスです。相場が揺れるほど、リバランスは“高く売って安く買う”を半自動化します。

ここで重要なのは、リバランスを「気分」でやらないことです。ルール化します。

ルール例:

・資産配分:株70%/安全資産30%

・見直し:月1回

・乖離許容:±5%ポイント(株が75%を超えたら売り、65%を下回ったら買い)

ボラが上がって株が急落すると、株比率が下がります。そのとき安全資産から株へ戻す。これが“暴落時に買える”仕組みです。逆に上昇相場で株が膨らむと、自然に利確が入ります。これが“天井で全部は売れないが、過熱は冷ます”仕組みです。

ボラ・フィルター:売買を増やさずにリスクを落とすテクニック

「相場を予測しない」と言っても、リスク管理のために“環境認識”はできます。その代表がボラ・フィルターです。考え方は単純で、ボラが異常に高いときは、トレンドが崩れやすく、滑りやすいので、リスクを落とす。売買回数を増やす必要はありません。

たとえば、次のような運用が現実的です。

・通常:株比率70%

・ボラが一定水準を超えたら:株比率50%

・さらに悪化したら:株比率35%

これは「当てる」ためではなく、「荒波で船を軽くする」ためです。ボラが落ち着けば、また戻せばいい。

初心者がやりがちな“ボラ負け”の典型:高値でサイズを上げる

ボラに負ける人の共通点は、上がっているときにサイズを上げ、下がっているときに投げることです。これが自然に起きる理由は、口座の含み益が増えると「増やしても大丈夫」と錯覚し、含み損が増えると「これ以上耐えられない」と感じるからです。

ボラを味方につけるには、この逆を“ルール”で実現します。上がっているときはリバランスで少し落とし、下がっているときは許容範囲で少し戻す。心理に逆らう行動を、機械的にやるのがコツです。

「損失の形」を変える:ドローダウンを小さくすると、複利が働く

投資は複利と言われますが、複利を殺すのは大きなドローダウンです。−50%の損失は、元に戻るのに+100%が必要です。つまり、一度深く沈むと回復が難しい。

ボラ設計の目的は、リターンを最大化することではなく、回復不能な損失を避けることです。これができると、結果的に複利が働きやすくなり、長期の最終到達点が上がります。

運用手順:今日から作れる“ボラを味方にする”チェックリスト

最後に、手順としてまとめます。初心者が実行できるレベルまで具体化します。

手順1:口座を「生活資金」と完全分離

運用資金に生活費が混ざると、ボラが上がった瞬間に撤退します。撤退の理由が相場ではなく生活になるからです。

手順2:許容ドローダウンを決める(例:月−8%)

先に痛みの上限を決めます。ここがないと、相場の都合で判断が揺れます。

手順3:テーマ単位の最大損失寄与を決める(例:月−2%)

集中事故を防ぐためです。大勝ちの夢より、事故回避が優先です。

手順4:資産ごとの“荒さ”を把握し、保有額を逆算

インデックス、個別株、暗号資産で、同じ金額にしない。荒いほど薄くする。

手順5:リバランスのルールを決める(頻度と乖離幅)

月1回、±5%ポイントなど、続けられる単純さにします。

手順6:ボラが異常に高いときの“非常時モード”を用意

例:株比率を一段落とす。現金・短期債を増やす。これで暴落時の意思決定が速くなります。

よくある質問:ボラを味方につけると「リターンが下がる」のでは?

短期では、上昇相場でリターンが少し鈍ることがあります。ですが、ここで見るべきは「年単位の継続」と「撤退しない確率」です。ボラ設計は、上振れを少し捨てる代わりに、下振れの致命傷を避けます。結果として、長期の最終到達点は上がりやすい。

もう一つ重要なのは、ボラ設計が進むほど、あなたは“勝負所で勝負できる”ようになります。普段から全力で突っ込んでいる人は、暴落時に買えません。ボラを味方にする人は、暴落時に買えます。これが差です。

まとめ:ボラは「恐怖」ではなく「設計変数」

ボラティリティは、相場のノイズではありません。あなたの運用の成否を左右する、最重要の設計変数です。ボラが上がったら縮小し、落ち着いたら戻す。リバランスで高く売って安く買う。許容損失から逆算して量を決める。これだけで、投資は一気に再現性が増します。

最後に一言だけ。相場を当てるより、相場に“負けない形”を作る方が、はるかに簡単で、はるかに強いです。ボラを味方につけるとは、その形を作ることです。

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