Asterの全貌:MEVフリー×最大1001倍レバのPerpDEXを使い倒す実践ガイド

暗号資産

本稿では、分散型の無期限先物取引所(PerpDEX)であるAsterの特徴と、個人投資家が実際に収益機会を捉えるための手順・設計・検証観点を、初学者にも再現できるレベルで体系化します。口座開設やKYCを必要としない自己カストディ環境で、注文・清算・資金管理がどのように接続されているかを理解できれば、過剰なリスクを負わずに戦略を運用できます。

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要点サマリ

  • 基本構造:Asterは無期限先物(パーペチュアル)に特化した分散型取引所(PerpDEX)。ワンクリック約定とMEVフリーを標榜し、Simple/Proの2モードを提供。最大1001倍までのレバレッジに対応(高レバは清算リスクが極端に高いため、本稿では低〜中レバ運用を前提)。
  • 執行とリスク管理:証拠金方式(クロス/アイソレーテッド)、清算価格の算定、資金調達料(ファンディング)の理解が最優先。ポジションサイズは「口座残高×許容損失率×距離」で決める。
  • 再現性の高い3戦略:(1) ブレイクアウト+段階利確、(2) レンジ逆張り+損失限定、(3) ファンディング捕捉のデルタ・ニュートラル(CEX/スポットとのヘッジ)。
  • 検証の勘所:手数料・スリッページ・ファンディング・価格乖離(オラクル)を控えめに見積もり、最悪ケースで生き残る設計にする。

Asterの概要と特徴

Asterは「誰でも使える分散型パーペチュアル取引所」を掲げ、シンプルモードのワンクリック約定と、プロ向けの高度な板・注文管理を両立します。MEV(Miner/Maximal Extractable Value)対策を打ち出し、意図しないサンドイッチやフロントランを抑制する設計を目指しています。さらにプロダクト説明では最大1001倍レバレッジに対応する旨が言及されています。これらの特徴は、オンチェーンでの高速執行やUXを重視するトレーダーにとって重要な差別化要素です。

どのようなトレーダーに向くか

  • 現物やCEXの先物を使ってきたが、自己カストディで同等の裁量/システム取引をしたい人
  • 短期の値動き(数分〜数時間)に機動的に乗りたい人
  • ファンディングと価格乖離を管理しつつ、低〜中レバで継続的に回したい人

口座不要の自己カストディと準備

  1. 対応ウォレットを用意(例:EVM互換など)。秘密鍵は絶対に他者共有しない。
  2. ガス代と証拠金通貨(USDT/USDC等)を準備。ブリッジは信頼できる公式経路のみ。
  3. Asterのアプリに接続し、取引モード(Simple/Pro)を選択。初期はSimpleでOK。

ネットワーク混雑時は約定までの遅延や手数料上振れが起きます。高頻度で連打するより、価格帯を定義した指値必ず同時に逆指値(SL)を設置するのが基本です。

証拠金・レバレッジ・清算価格

無期限先物では、口座残高(エクイティ)とポジション証拠金、未実現PL、手数料・ファンディングが相互作用します。アイソレーテッド(ポジション単位)とクロス(口座全体)を使い分けます。

清算価格の概略

ロングの場合の概念式(簡略化):

清算価格 ≒ 建玉平均価格 × [1 - (初期証拠金率 - 維持証拠金率 - 手数料/滑り/資金調達調整)]

実際は取引所のリスクパラメータ(維持証拠金テーブル、段階証拠金、資産相関など)で決まります。高レバほど維持率に触れやすく、1本の急変で即時清算が起こり得ます。必ず清算より手前に逆指値(SL)を置き、損失を限定してください。

ポジションサイズ設計

再現性のある設計は次式で決めます:

数量 = 口座残高 × 許容損失率(例2%) ÷ (エントリー〜ストップの価格距離)

例:口座1,000USDT、BTCUSDTを「300USDT」逆行で損切るなら、許容損失2%=20USDT。数量=20/300=0.0666…ロット相当。レバレッジは「必要証拠金を下げるための道具」であって、損切り幅と許容損失額が先です。

手数料とファンディングの実務

  • 取引手数料:テイカー中心で見積もり(例:0.05%など仮置き)。実測して上振れを常に想定。
  • スリッページ:板厚が薄い時間帯は広がる。指値+部分約定許容で統制。
  • ファンディング:指数価格とパーペチュアル価格の乖離に応じて支払/受取が発生。支払方向の保有は長居しないのが基本。

バックテストでは、これらコストを悲観的に入れて勝ち越せるかを確認。さらに資金調達が不利方向に偏り続ける局面でも破綻しないかを検証します。

実践ステップ(Simpleモード想定)

  1. 銘柄を選ぶ(BTC/ETH等の厚い板から)。チャートは4Hで大局→15mでエントリー。
  2. 直近レンジの上限/下限を引き、ブレイク方向のみを狙う(フェイク対策は後述)。
  3. 指値をレンジ上抜け+αに配置。同時にSL/TPを設置(OCO)。
  4. 約定後は、原資回収の分割利確トレーリングで伸ばす。

ブレイクアウト設計の具体例

前日高値が65,000、レンジ幅が800のBTC想定。上抜け65,050で成行/指値を分割、初動+200で半分利確→残りは直近安値下にSLをタイト化。勝ちパターン:初動で原資回収、残りは「伸びたら伸びるだけ」取る。

レンジ逆張りの型

平均回帰が強い時間帯(アジア午前など)に、ボリンジャーバンドやATRで伸び切りを判定。逆張りは小さく・短く・即逃げが鉄則。SLは外側、TPは中心線に置く。連続ロスが2回出たら時間帯を切り替える。

デルタ・ニュートラルで「ファンディング捕捉」

パーペチュアル(Aster)と現物/CEX先物を組み合わせ、価格方向のリスクを抑えつつファンディングを受け取る構成です。

  1. Asterで資金調達受取方向の建玉(例:ショート優勢ならロング)
  2. CEX現物や先物で同量をヘッジ(デルタ中立)
  3. 定期的に乖離とコストを点検し、受取が薄まったら畳む

注意:ブリッジや出庫に時間・手数料・スマコンリスクが伴います。小口で試し、キャッシュフローをネット受取で維持できるロットに限定してください。

リスク管理の実装ディテール

1) 逆指値(SL)の置き方

  • テクニカル根拠(直近安値/高値の外)に置く。中途半端な幅はノイズ負けを招く。
  • イベント時(CPI/FOMC)は通常の2〜3倍広げるか、ポジションを持たない。

2) 分割利確と建値ストップ

  • +1R(リスクリワードの1倍)で半分利確→建値にSLを移動。
  • 残りは直近高安に沿ってトレーリング。伸ばす癖を付けると少数勝ちでも勝ち越しやすい。

3) 同時ポジション数の上限

同相関の銘柄に多重エントリーしない。基本は同時2本まで。ボラ急拡大で同時に踏まれることを避ける。

オラクル・MEV・スリッページの考え方

オンチェーン取引では、オラクル価格(指数)と取引価格の同期、ブロック提案時の順序最適化(MEV)、そして板の厚みが実コストを決めます。Asterは「MEVフリー」指向を掲げますが、ガス混雑やフロントラン完全排除は現実的に難しい局面もあるため、許容滑り幅価格乖離トリガーを必ず設定してください。

検証と運用ルール(テンプレ)

  1. 対象:BTC/ETH+流動性が十分なアルト(上位のみ)。
  2. 時間帯:ロンドン〜NYの重複(ボラと板厚が両立)。
  3. 発注:指値主体、フェイルセーフで小ロット成行を併用。
  4. 損切:1トレード2%(口座)を上限。日次DDが-6%で一時停止。
  5. 週次レビュー:勝率・平均RR・最大連敗・手数料比率を点検。

ケーススタディ:数字で見る損益推定

例として、BTCUSDTロングを想定(すべて仮定値)。

  • サイズ:0.1BTC、建値:65,000、テイカー手数料0.05%
  • TP:65,800(+800)で50%利確、残りは66,600で全利確
  • SL:64,400(-600)

概算損益:
・前半利確:+0.05BTC×800=+40,000USD相当のP/L(レバに関係なく損益は数量×価格変化
・残り利確:+0.05BTC×1,600=+80,000USD相当
・総手数料(入出2回)≒ 名目×0.1%
・ファンディング:保有時間×レート(長居しない)

いずれも厳しめに見積もり、ネットの勝ちを積み上げられる設計かを確認します。

よくあるつまづき

  • 建玉の増し玉で平均価格を悪化させる(ナンピンは原則禁止)。
  • イベントに跨って保有し、スリッページと清算を同時被弾。
  • ファンディング支払方向でポジションを引っ張る。

運用チェックリスト

  • 今日の最大許容損失(口座×6%)と1トレード上限(2%)を紙に書く。
  • 指値・SL・TPを同時に送る。SLなしエントリー禁止
  • 建玉ごとに「根拠・無効化条件・手仕舞い条件」をメモ。

まとめ

Asterは、オンチェーンでの執行UX(MEV対策、ワンクリック、モード切替)を強く意識したPerpDEXです。取引そのものは普遍の原則で管理します。すなわち、ポジションサイズは許容損失から逆算し、SLを必ず先に置く。そして手数料・滑り・ファンディングを悲観的に織り込んで勝ち残る運用を徹底してください。小さく始め、数字で検証し、再現可能な型を積み上げれば、無理なく収益曲線を右肩上がりにできます。


参考:Asterのプロダクト説明(MEVフリー、Simple/Proモード、最大1001倍レバレッジ等)は公開情報に基づく要約です。戦略例は教育目的の一般情報であり、特定の投資行為を推奨するものではありません。

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