ビットコイン・ドミナンスで読む資金循環:アルトコイン相場の“季節”を定量化する

暗号資産

暗号資産の世界には「今日はアルトが強い」「今はBTCだけ触っておけばいい」といった“空気”があります。しかし、空気は当てになりません。投資判断に落とすなら、資金がどこに集中し、どこから抜けているかを定量で捉える必要があります。

そのとき、最もシンプルで使い回しが効くのがビットコイン・ドミナンス(BTC Dominance)です。ドミナンスは「市場全体の時価総額に占めるBTCの比率」。これが上がる局面と下がる局面で、アルトコインの“勝ちやすさ”はかなり変わります。

この記事では、ドミナンスの定義から、よくある誤解、相場局面の分類、アルトシーズンを機械的に判定するためのルール、そして初心者でも破綻しにくい資金配分とリスク管理の実装方法まで、実戦目線で徹底解説します。

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ビットコイン・ドミナンスとは何か:定義を間違えると全てが崩れる

BTCドミナンスは通常、次の式で表されます。

BTCドミナンス(%)= BTC時価総額 ÷ 暗号資産市場全体の時価総額 × 100

ここで最初の落とし穴があります。「市場全体」の定義はデータ提供元によってブレるのです。例えば、ステーブルコインを“市場全体”に含めるかどうかでドミナンスの見え方は変わります。さらに、新規トークンの上場や、時価総額算定ロジックの変更(流通供給量の扱いなど)でも数値が揺れます。

だから、ドミナンスは「絶対値」を崇拝する指標ではありません。基本は“トレンド(上がっているか/下がっているか)”と“転換点”を見る指標です。絶対値は補助に留め、同じ提供元・同じ算定方法を継続して使うのが実務的です。

ドミナンスが教えるのは「リスク選好の強弱」ではなく「勝者の集中度」

株式市場で例えると、ドミナンスは「TOPIXの中でメガバンク比率が上がっている」みたいな話です。市場全体が上がっていても、資金が特定の大型銘柄(この場合はBTC)に集まっていれば、その他(アルト)は置いていかれることがある。逆に、指数がヨコヨコでも、資金が大型から中小へ回る局面では、アルトが相対的に動きやすくなります。

ここで重要なのは、ドミナンスが“リスクオン/リスクオフ”そのものを測っているわけではない点です。例えば市場全体が急落している局面では、BTCもアルトも下げます。ただし、下げ方の差が出やすく、結果としてドミナンスが上がる(アルトの下落がより大きい)ことがあります。つまりドミナンスは「市場の温度計」ではなく、市場の中での“資金の居場所”を示す指標と捉えるのが正確です。

3つの市場状態:ドミナンスで資金循環を分類する

ドミナンスの読み方は複雑に見えますが、勝ち筋のある運用に落とすなら、状態を3つに分けるのが実務的です。

状態A:BTC主導(ドミナンス上昇)
BTCが市場の“受け皿”になっている状態です。上昇相場でも下落相場でも起こりますが、共通するのは「アルトが相対的に弱い」こと。初心者が無理にアルトで勝負すると、上昇を取り逃がすか、下落を食らうかのどちらかになりやすい。

状態B:拡散フェーズ(ドミナンス下落)
資金がBTCからアルトへ回り始める状態です。いわゆる“アルトの季節”が来やすい。ここで重要なのは、何でも上がるわけではないこと。上がりやすいのは、流動性のある上位銘柄、テーマが明確な銘柄、取引所で扱いが厚い銘柄です。

状態C:混沌(ドミナンス横ばい+価格不安定)
市場参加者がどこに資金を置くべきか迷っている状態です。ニュースやマクロの材料で一方向に振れやすく、短期のダマシも多い。ドミナンスだけで配分を決めると事故りやすいので、価格トレンドやボラティリティ指標と組み合わせる必要があります。

「アルトが強い」は2種類ある:ETH主導と“草コイン”主導

アルト相場と一括りにすると失敗します。アルトが強い局面は大きく2種類あります。

1) ETHが先導する“健全な拡散”
BTCが上がった後、ETHが追随し、さらに大型アルト(L1、インフラ系、主要DeFiなど)へ広がる形です。資金循環が段階的なので、途中参加でもルール運用しやすい。

2) 小型へ一気に飛ぶ“投機的拡散”
センチメントが過熱し、出来高の薄い銘柄が急騰しやすい局面です。ドミナンスは下がりやすいですが、値動きは荒く、利確が遅れると一瞬で戻されます。初心者がこの局面に全力で突っ込むのは、勝っても再現性が残りにくいです。

同じ「ドミナンス低下」でも、どちらの拡散かで戦い方が変わります。これを見分けるために、次で“相対強弱”と“市場の燃料”を合わせてチェックします。

実務で使える観測セット:ドミナンス単体を卒業する

ドミナンスだけで資金循環を完璧に読むのは無理です。最低限、次の3点をセットで見てください。

(1) BTC価格トレンド(上昇・下降・レンジ)
アルトの上昇は、多くの場合BTCが“崩れていない”ことが前提です。BTCが急落しているのにドミナンスが下がる局面は、単にアルトが先に買われているのではなく、指標の歪みや一時的な資金移動の可能性があります。

(2) ETH/BTC(相対強弱)
資金がBTCからアルトへ回るとき、最初に起こりやすいのがETHの相対強さです。ETH/BTCが上向いているなら、アルト拡散の“入口”にいる確率が上がります。

(3) ステーブルコイン比率(待機資金の厚み)
市場の燃料は法定通貨の新規流入だけではありません。暗号資産内部の“待機資金”が動くことも多い。ステーブルコインの時価総額が増えている・高止まりしている局面は、上昇を支えるクッションになりやすい。

初心者向けに落とす:ドミナンスを「配分ルール」に変換する

ここからが本題です。指標は見るだけでは利益に変わりません。行動(売買・配分)に変換できるルールが必要です。初心者が破綻しにくいのは、銘柄当てではなく、配分の切り替えです。

以下は、過度に複雑にせず、かつ再現性が残りやすい“3バケット運用”です。

3バケット運用:BTC/大型アルト/現金(ステーブル)

バケット1:BTC(市場の基礎体力)
バケット2:大型アルト(ETH中心+流動性のある上位銘柄)
バケット3:待機資金(ステーブルや現金相当)

ポイントは「草コイン枠」を最初から作らないことです。草コインはタイミングと利確が難しく、資金管理が崩れやすい。まずは大型アルトまでに限定し、運用の骨格を固める方が長期的に強いです。

切り替えルール(シンプル版):移動平均で“季節”を判定する

ドミナンスの“季節”判定には移動平均が効きます。例えば次のような設計です。

判定1:BTCドミナンスが50日移動平均より上で、かつ上向き → BTC主導
判定2:BTCドミナンスが50日移動平均より下で、かつ下向き → 拡散フェーズ
判定3:それ以外 → 混沌(配分は中間)

ここでの狙いは、完璧に当てることではありません。大外しを避けつつ、優位な局面でリスクを取ることです。

配分例:初心者が守りながら攻める比率

具体的に比率に落とします。元本の安全性を最優先にするなら、次のイメージが現実的です。

BTC主導(判定1)
BTC 60〜80%/大型アルト 0〜20%/待機資金 20%
アルト枠は「ETHのみ」でも良い。重要なのは、アルトに張り付き過ぎないことです。

拡散フェーズ(判定2)
BTC 30〜50%/大型アルト 30〜60%/待機資金 10〜20%
アルトは分散し過ぎると管理不能になります。最初はETH+2〜4銘柄程度に絞る。例えば「L1(例:高流動性)」「インフラ」「取引所系」など、異なるテーマで2〜3本にするのが実務的です。

混沌(判定3)
BTC 40〜60%/大型アルト 10〜30%/待機資金 20〜40%
方向感がないときは、焦って取らない。待機資金を厚くして“次の一撃”のための余力を確保する方が期待値が高いです。

もう一段だけ精度を上げる:ETH/BTCをフィルターにする

ドミナンスが下がっていても、ETHが弱いままだとアルト全体が続かないことがあります。そこで、拡散フェーズに入れる条件として次を足します。

フィルター:ETH/BTCが200日移動平均より上、または直近で上抜け

このフィルターを入れると、「ドミナンス低下=何でもアルト」の誤爆が減ります。初心者ほど、フィルターは少し厳しめの方が良いです。

利確の設計:アルト相場は“取り切る”より“取り逃がさない”

アルトで一番多い失敗は、含み益が膨らんだのに利確できず、結局プラスが消えることです。理由は単純で、アルトはボラティリティが高く、上昇の形が“急で短い”ことが多いからです。

そこで、初心者向けの利確は「一撃で当てる」ではなく段階利確が強いです。

例:3段階利確
価格がエントリーから+20%:保有の25%を利確し、元本回収に近づける。
+40%:さらに25%を利確し、残りは“伸ばす枠”。
+60%:残りの一部を利確し、最後はトレーリング(後述)で任せる。

この設計は、天井を当てなくても勝ちやすい。心理的にも“利益を守る”動きになり、次のチャンスに資金を残せます。

損切りの設計:アルトの損切りは「価格」より「構造」で決める

損切りは価格だけで決めると、ノイズで振り落とされます。とはいえ無限に耐えると破綻します。そこで、初心者が扱いやすいのは「構造」をルール化することです。

例:日足の前回安値割れで半分撤退、残りは週足で判断
日足で前回安値を割ったら、まず半分だけ切る。残りは週足のトレンドが崩れたら撤退。こうすると、“一発で間違い”のリスクが減ります。

もう一つの実務的な方法は、アルト枠の最大損失を先に決めることです。例えば、ポートフォリオ全体で「アルト枠の損失は最大-5%まで」と決め、そこに近づいたら自動的に待機資金へ移す。銘柄ごとの細かい損切りに悩む時間が減ります。

“アルトシーズン判定”の具体例:週次で回すダッシュボード

運用は日々のニュースに振り回されると失敗します。ドミナンスは週次運用と相性が良いです。例えば毎週末に以下を確認します。

チェック1:BTCドミナンスは50日MAの上か下か
チェック2:BTC価格は200日MAの上か下か
チェック3:ETH/BTCは上向きか
チェック4:市場全体のボラティリティが急上昇していないか

そして、配分を“少しだけ”調整します。いきなり全力で切り替えると、ダマシで往復ビンタになります。例えば「BTC→アルトへ10%だけ移す」「待機資金を10%増やす」といった粒度で十分です。

よくある誤解と事故パターン:ドミナンスの“罠”を事前に潰す

罠1:ドミナンスが下がった=アルト買い、で即イン
ドミナンスは遅行することがあります。価格が先に動き、後から比率が変わるためです。だから“下がった瞬間”に飛びつくより、移動平均やETH/BTCのフィルターで、傾きが出た後に乗る方が事故が減ります。

罠2:アルトを増やし過ぎて管理不能
10銘柄以上に分散すると、結局「全体がBTCのβ」になり、管理は増えるのに優位性は出ません。初心者は銘柄数を絞り、配分の精度で勝つ方が簡単です。

罠3:出来高の薄い銘柄で大勝負
スプレッドが広く、急落時に逃げられません。ドミナンスが下がる局面ほど小型が目立ちますが、そこに最大資金を入れるのは危険です。まずは大型で“土台の利益”を取り、余力の一部だけで小型を触る。順序を逆にしない。

罠4:レバレッジとアルトの相性を甘く見る
アルトはボラが高いので、レバレッジをかけると損切りが頻発します。勝ち筋がある局面でも、ポジションが耐えられずに退場します。初心者は現物中心、もしくはレバレッジを極小にして、まず“継続できる形”を作る方が合理的です。

最後に:ドミナンスは「銘柄当て」をやめさせてくれる

ドミナンスは魔法の指標ではありません。ただ、「今はどのゾーンでリスクを取るべきか」を判断するには強力です。初心者が勝ちやすいのは、天才的な銘柄選定ではなく、資金配分のミスを減らすことです。

今日からできる最小セットはこれです。
BTCドミナンスのトレンド(50日MA)+ETH/BTCの相対強弱+BTC価格の長期トレンド(200日MA)。
これを週次で確認し、3バケットで配分を少しずつ動かす。これだけで、アルト相場の“季節”に対して、無駄な逆張りと粘りを大幅に減らせます。

相場は毎回違いますが、資金循環の“構造”は驚くほど似ています。ドミナンスを使って、構造側に立ってください。

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