結論:半減期は「上がる魔法」ではなく、需給ショックの“起点”になりやすい
ビットコイン(BTC)の半減期は、新規発行(マイニング報酬)が約4年ごとに半減するイベントです。半減期の直後に必ず急騰するわけではありません。むしろ現実は、「需給がじわじわ締まる→時間差で相場が反応する」ことが多く、上げ下げの波はマクロ環境・流動性・レバレッジの入り方で大きく変形します。
本記事では、過去の半減期後に繰り返されやすい“型”を、初心者でも検証できる指標と、無理のない運用ルールに落とし込みます。狙いは単純です。「イベントを信仰しない」「相場の構造で判断する」。これだけで、半減期相場の事故率は目に見えて下がります。
半減期の基礎:何が半減し、何が半減しないのか
半減期で半減するのは、マイナーがブロックを生成したときに得る報酬(新規発行分)です。市場がよく誤解するポイントは次の2つです。
1) 半減期で「供給が止まる」わけではない
新規発行は続きます。単にペースが落ちます。需給の締まり方は“徐々に”で、価格反応も遅れがちです。
2) 価格は「供給だけ」では決まらない
需要(新規資金流入)と、流動性(ドル金利、リスクオン/オフ、信用収縮)が同じくらい重要です。半減期は供給サイドの要因で、需要サイドや流動性が逆風なら、上げは鈍ります。
過去3回の半減期後に起きやすかった“共通点”
過去の半減期(2012年、2016年、2020年)後の相場は、それぞれ固有の事情がありつつも、いくつかの共通パターンが見えます。ここでは「断定」ではなく「傾向」として整理します。
共通点A:半減期直後より、数カ月〜1年程度の“時間差”でピークが出やすい
供給ペースが落ちても、流通在庫(取引所にあるBTC、長期保有者の売り意欲など)がすぐに枯れるわけではありません。新規需要が増え、売り圧が弱い局面が重なると、上げが加速します。
共通点B:途中で大きめの調整(急落)を挟みやすい
上昇局面ほどレバレッジが積み上がり、清算(ロスカット)連鎖が起きます。半減期後の相場を“積み上げ型”ではなく“波形”として捉えるのが重要です。
共通点C:オンチェーン指標に「分配→加熱→崩れ」の痕跡が出やすい
長期保有者(LTH)が徐々に利益確定し、短期勢(STH)が高値で掴み、過熱すると崩れる。これは株式で言う「強い手から弱い手へ」の移転です。
半減期後の“上昇の燃料”はどこから来るのか
半減期の本質は、「新規供給の伸び率が落ちる」ことです。価格の燃料は主に3つです。
燃料1:新規資金(現物の純流入)
取引所やETF経由の買いが継続すると、供給が締まった局面で価格が上がりやすくなります。逆に、新規資金が止まると、半減期でも上がりません。
燃料2:売り圧の低下(取引所残高の減少、長期保有化)
取引所残高が減り、手堅い保有に移るほど、急落は起きても“戻り”が早い傾向が出ます。
燃料3:レバレッジ(ただし危険な燃料)
先物・オプションが膨らむと上げは速くなりますが、同時に下げも速くなります。初心者はレバレッジを燃料として使わず、「過熱を検知するセンサー」として使う方が安全です。
初心者でも使える「半減期後の相場温度計」:見る指標は5つで足りる
指標を増やすほど、後付け解釈が増えます。半減期後の判断に使うなら、次の5つで十分です。
1) 価格のトレンド(週足)
日足はノイズが多いので、まず週足で「高値・安値の切り上げ」が続いているかだけ見ます。トレンドが崩れたのに半減期だからと買うのが一番危険です。
2) 実質金利・ドル流動性(マクロ)
BTCはリスク資産として振る舞う局面が多く、ドル金利が高い・流動性が絞られる局面は逆風になりやすいです。半減期の“追い風”と、マクロの“向かい風”がぶつかると、波形が荒れます。
3) ファンディングレート(先物の過熱)
ファンディングが高止まりする局面は「ロングが混み合っている」サインです。上げが続いても、急落の種が溜まっていると考え、買い増しを抑えます。
4) 取引所残高(売り圧の源泉)
取引所にBTCが増えると、売りの準備が増える可能性があります。逆に減っていくなら、上げ相場の持続にプラス材料です。
5) 長期保有者の利確サイン(分配の検知)
「長期保有者が売り始める」兆候が出ると、上昇の後半戦に入りやすいです。難しく見えるかもしれませんが、要点は“利益確定が増えているか”です。
「半減期後の典型的な局面」を4フェーズに分けて対処する
半減期後の相場は、ざっくり4フェーズで見ると整理しやすいです。重要なのは、どのフェーズでも同じ行動をしないことです。
フェーズ1:イベント直後(期待が先行、方向感は出にくい)
この時期にやりがちなのが「半減期だから全力」です。実務的には、ここは“建玉(ポジション)を作るより、ルールを決める期間”です。買うなら小さく、分割で。
フェーズ2:じわ上げ(需給が効き始める)
週足のトレンドが上向きで、取引所残高が減り、過熱が弱いなら、淡々と分割買いが機能しやすい局面です。焦って一括で入らず、「同じ金額を同じ間隔で」に寄せます。
フェーズ3:加速(レバレッジと熱狂が入る)
この局面は利益が出ますが、事故も増えます。ファンディングが高止まりし、SNSが強気一色になったら、買い増しは停止し、利確ルールを先に置くのが合理的です。
フェーズ4:天井圏(分配と急落が混在)
「上がるのに急落する」「戻るのに伸びない」という変な値動きが増えます。ここで“ガチホ信仰”をすると、利益が蒸発しやすい。現物でも、段階的に利益を確定する設計が重要です。
具体例:初心者向けの「半減期後ルール」3パターン
ここからは、再現性のある“型”に落とします。どれも「予測」ではなく「条件に応じた行動」です。
ルールA:分割積立(DCA)+週足フィルター
・毎週、一定額でBTCを買う(例:毎週1万円)
・ただし、週足で前回安値を割り、下落トレンドに入ったら「買い停止」し現金比率を上げる
このやり方は、上げ局面の取りこぼしはありますが、下げ相場での損失拡大を抑えられます。
ルールB:押し目のみ追加(“上昇トレンド中だけ”強気)
・週足が上昇トレンドの間だけ、日足の急落(例:短期で10%下落)で追加購入
・ファンディングが過熱しているときは追加しない(混雑回避)
押し目が来ないと買えない欠点はありますが、熱狂の高値掴みを避けやすいです。
ルールC:利確を“先に”決める(出口主導)
・含み益が+50%で保有量の10%を利確、+100%でさらに10%…のように階段を作る
・逆に、含み益が+20%を割ったら一部を現金化、のように利益の防衛ラインも作る
半減期相場で最も多い失敗は「利確しないで往復ビンタ」です。出口設計は最優先です。
半減期後に“やってはいけない”典型パターン
1) 1回で当てにいく(フルレバ・一括)
相場は外れます。外れたときの回復が難しい手法を使うと、退場が近づきます。
2) 指標を都合よく解釈する
「半減期だから上がる」と決めてしまうと、下落トレンドでも買い続けてしまいます。指標は“自分の意見を補強する道具”ではなく“行動を変えるスイッチ”です。
3) 取引所に置きっぱなしで保全を軽視する
相場で勝っても、保全で負けるとゼロです。長期保有分と短期売買分は分け、長期分は保管方法を整えるのが基本です。
リスク管理:半減期相場で生き残るためのチェックリスト
半減期後は値動きが荒くなりやすいので、次のチェックをルーティン化してください。
・損失許容額(最大ドローダウン)を先に決めたか
「最悪いくら負けると撤退するか」を数字で決めます。感情で決めると遅れます。
・買い増しの条件と停止条件があるか
買い増しだけがあって停止がない戦略は、相場が逆行したときに破綻します。
・一つの価格帯に偏っていないか
高値圏で買いすぎると、次の調整で身動きが取れません。分割の意味は“精神安定”ではなく、取得単価の偏りを減らすことです。
・レバレッジを「使わない」か「小さく」しているか
初心者が伸び相場でやりがちなのが、利益が出た瞬間にレバレッジを上げることです。半減期後の急落はその瞬間に来ます。
半減期後の相場を“検証”して自分の型にする方法
半減期相場で勝ちやすい人は、信仰ではなく検証で動きます。初心者でもできる簡単な検証を紹介します。
ステップ1:週足で「上昇/下落/レンジ」を色分けする
過去1〜2年のチャートで、上昇トレンドの期間だけを抽出します。
ステップ2:その期間のファンディングのピークをメモする
過熱の直後に調整が起きているかを見ます。完璧に当たらなくてよい。関係が見えればOKです。
ステップ3:分割買い+買い停止のルールを当てはめる
もし同じルールで「大損が避けられる」なら、そのルールは価値があります。勝率ではなく、生存性が優先です。
まとめ:半減期後に勝ちやすいのは「当てにいく人」ではなく「崩れない人」
半減期は、相場のストーリーとして強力です。しかし、ストーリーに賭けると危険です。見るべきは、週足のトレンド、マクロ流動性、先物過熱、売り圧、分配サイン。この5点を軸に、分割・停止・利確のルールで運用すれば、半減期相場の“取りやすい部分”を拾えます。
半減期後の相場は、上げも下げも大きい。だからこそ、最初にやるべきは予測ではなく設計です。あなたの資金量と性格に合う「小さく勝ち、大崩れしない」型を作り、淡々と繰り返してください。


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