DeFi利回りの正体:高利回りの裏側と崩れる瞬間を見抜く方法

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  1. DeFiの「利回り」はどこから来るのか:まずは3つに分解する
  2. APRとAPYの違い:複利が魔法ではない理由
  3. 利回りの源泉1:レンディング(金利)— もっとも「金融」に近いが安心ではない
  4. 具体例:ステーブルコイン金利が急に高い時に疑うべきこと
  5. 利回りの源泉2:DEX/AMM(取引手数料)— 実需が見えるが「損が隠れやすい」
  6. 具体例:ETH/USDCのLPで起きること(数字で理解する)
  7. 利回りの源泉3:インセンティブ配布— もっとも危うい「利回り」
  8. 「高利回りが崩れる瞬間」を先に知る:5つの警戒シグナル
  9. 「安全そうに見える」ステーブル運用の落とし穴
  10. DeFiのリスクを「分類」して管理する:チェックリストの作り方
  11. 「利回りの品質」を見極める3つの数字
  12. 初心者が陥りやすい「利回りトラップ」7選
  13. 「現実的な」DeFi運用フレーム:小さく始めて、大きくしない
  14. 利回りは「保険料」であり「給料」ではない
  15. まとめ:見るべきはAPYではなく「源泉」と「出口」
  16. 「リアルイールド」と「補助金イールド」:同じ利回りでも価値が違う
  17. 実質利回りの計算:報酬トークンが下がるとどうなるか
  18. 利回りファームの寿命:始まり・最盛期・崩壊の典型シナリオ
  19. 「ステーブルのデペッグ」は利回りより強い:過去の教訓を一般化する
  20. ウォレット運用の基本:利回り以前に「抜かれない」設計にする
  21. 税務・記録の現実:小さな利回りほど「手間」が勝つ
  22. 初心者向けの実践テンプレ:利回り案件を5分で一次判定する

DeFiの「利回り」はどこから来るのか:まずは3つに分解する

DeFiで表示されるAPR/APY(年率換算の利回り)は、しばしば銀行預金や国債利回りと比較されます。しかし、同じ「年率」でも中身は別物です。DeFiの利回りは、基本的に次の3要素の合成です。

①実需ベースの手数料収入(取引手数料、借入金利、決済・清算手数料など)、②インセンティブ配布(ガバナンストークンやポイントの配布)、③リスクプレミアム(信用・流動性・スマートコントラクト等の危険を引き受ける対価)です。

この3つを分けて考えないと、「利回りが高い=儲かる」と誤認します。むしろ利回りが高いほど、②と③の比率が高くなりがちで、ある日突然「利回りの源泉」そのものが消えることがあります。

APRとAPYの違い:複利が魔法ではない理由

APRは単利、APYは複利を前提にした表示です。例えばAPR20%で毎日複利なら、APYはおおむね22%前後になります(頻度により変動)。ここで重要なのは、複利が成立するには「利回りとして受け取ったものを同じ条件で再投資できる」必要がある点です。

ところがDeFiでは、利回りの一部が配布トークンで支払われます。配布トークンは価格変動が大きく、売却しようとするとスリッページ(価格の滑り)や流動性不足にぶつかります。見かけのAPYが高くても、実現可能な複利ではないケースが多いのです。

利回りの源泉1:レンディング(金利)— もっとも「金融」に近いが安心ではない

レンディングは、預け手が利息を受け取り、借り手が利息を払う仕組みです。ここだけ見ると伝統金融の貸借に似ています。しかし、DeFiのレンディングは多くの場合、過剰担保です。借り手は担保を多めに差し入れ、清算ラインを割ると自動清算されます。

つまり、借り手の需要は「生活資金」ではなく、レバレッジや裁定取引、ポジション調整のための資金需要であることが多いです。市場が静かになると借入需要が減り、利回りも低下します。逆に急変時は清算が連鎖し、プロトコルやオラクルが詰まると事故が起きます。

具体例:ステーブルコイン金利が急に高い時に疑うべきこと

USDC/USDTなどのステーブルコインで、突然年率15%や20%が出る場面があります。そのとき考えるべきは「誰がその金利を払っているか」です。典型パターンは3つです。

パターンA:借り手がレバレッジをかけている。例えば、ETHを担保にステーブルを借り、ETHを買い増してさらに担保に入れる循環です。この場合、相場が下がると清算が増えて金利は一時的に上がりますが、同時に事故リスクも上がります。

パターンB:プロトコルがインセンティブで金利を「補助」している。預け手に追加トークンを配ることで、実需以上の利回りを見せています。配布が止まると利回りは急落します。

パターンC:何らかの歪み(ブリッジ障害、特定チェーンの流動性枯渇、規制・上場停止の噂)があり、資金が偏っている。ここは「高金利=危険信号」のことが多いです。

利回りの源泉2:DEX/AMM(取引手数料)— 実需が見えるが「損が隠れやすい」

AMM(自動マーケットメーカー)に流動性を提供すると、スワップ手数料の一部を受け取れます。これは実需ベースに見えますが、LP(流動性提供)にはインパーマネントロス(IL)という構造的コストがあります。

ILは「価格変動による保有数量の入れ替わり」で生じます。平たく言えば、値上がりした資産を勝手に売らされ、値下がりした資産を勝手に買わされる構造です。手数料収入がILを上回らないと、トータルで損します。

具体例:ETH/USDCのLPで起きること(数字で理解する)

ETH価格が1000→2000に上がったとします。単純にETHを持っていれば2倍です。しかしETH/USDC LPでは、上昇局面でETHが減りUSDCが増える方向にリバランスされます。結果、現物ホールドよりリターンが下がる可能性が高いです。

ここに手数料収入が乗りますが、上昇が急でトレードが少ない(出来高が薄い)場合、手数料はそれほど積み上がりません。逆にレンジ相場で出来高が多い時は手数料が稼げ、ILも限定されやすい。つまりLPは「上がる相場」より「揺れる相場」で機能しやすい、と理解すると事故が減ります。

利回りの源泉3:インセンティブ配布— もっとも危うい「利回り」

プロトコルはTVL(預かり資産)を増やすために、ガバナンストークンを配ります。この配布を利回りに換算すると、とんでもない数字になります。しかし、その利回りは「新規発行による希薄化」と表裏一体です。

配布トークンは初期に高値がつきやすい反面、ロック解除(アンロック)が進むほど売り圧が増えます。インセンティブは初期の「集客費」であり、永続収益ではありません。ここを見誤ると、利回りを取っているつもりで、値下がりするトークンを抱え込む構図になります。

「高利回りが崩れる瞬間」を先に知る:5つの警戒シグナル

DeFiの利回りが崩れる前には、ある程度パターンがあります。次の5つは初心者でも観測できる警戒シグナルです。

1)利回りが「急に」上がった:実需が急増したのか、危険が増えたのか、インセンティブが増えただけなのかを疑う。特にステーブルで急上昇は要注意です。

2)TVLが急増しているのに出来高が伴わない:配布目当ての資金が流入しているだけで、実需が薄い。配布が止まると資金が抜けて崩れます。

3)利回りの支払いが「自前トークン」中心:売却圧で価格が下がりやすい。利回りの実質価値が目減りします。

4)ブリッジ経由の資金移動が必須:ブリッジは歴史的に事故が多い領域です。利回りがブリッジリスクの補償になっていることがあります。

5)オラクル/清算が混雑しやすい設計:急変時に清算が詰まると、担保不足や不良債権が発生し、プロトコル損失が預け手に転嫁されます。

「安全そうに見える」ステーブル運用の落とし穴

初心者が最初に触りやすいのがステーブル運用です。価格が1ドル付近で安定するなら、ボラティリティが低く、安心に見えます。しかし、ステーブルには複数の破綻モードがあります。

まず、発行体リスク(準備資産、規制、銀行口座凍結、監査の質)。次に、デペッグリスク(一時的でも1ドルを割る)。さらに、DeFi側のカウンターパーティリスク(レンディング・Vault・ブリッジ・アグリゲータ)です。

ステーブル運用で怖いのは、普段は何も起きないのに、1回のイベントで数年分の利回りが吹き飛ぶ点です。年率10%を3年積み上げても、1回の-30%で意味がなくなります。利回りを見るより、破綻モードを先に洗い出す方が合理的です。

DeFiのリスクを「分類」して管理する:チェックリストの作り方

リスクを感覚で語ると永遠に結論が出ません。運用前に、次の分類でチェックリストを作ると、判断がブレにくくなります。

スマートコントラクトリスク:監査有無、監査の質、アップグレード権限(管理者鍵)、バグバウンティ、稼働年数、過去の事故。

金融設計リスク:清算ロジック、担保の質、担保集中度、金利モデル(急変しやすさ)、不良債権処理。

流動性リスク:TVLだけでなく出来高、板の厚さ、退出時のスリッページ、ロック期間、ペナルティ。

オラクル/MEVリスク:価格参照の方式、更新頻度、フラッシュローン耐性、MEV耐性。

チェーン/ブリッジリスク:L1/L2の停止・巻き戻り、ブリッジ方式(マルチシグ/ライトクライアント等)、過去事故。

規模・運用リスク:開発チームの実体、ガバナンスの透明性、緊急停止(pause)権限の扱い。

「利回りの品質」を見極める3つの数字

利回り比較で最も危険なのは、APR/APYだけで順位付けすることです。代わりに、次の3つをセットで見ると判断が改善します。

①手数料由来比率:利回りのうち、実需(手数料・金利)で説明できる割合。高いほど持続しやすい。

②インセンティブ依存度:配布が止まると何%に落ちるか。依存度が高いほど「利回りの寿命」が短い。

③退出コスト:解約手数料、ロック、スリッページ、ブリッジコスト。退出が難しいほど、危機時に逃げ遅れます。

初心者が陥りやすい「利回りトラップ」7選

1)表示APYをそのまま年収益と誤解:複利前提・価格変動・売却難易度を無視してしまう。

2)TVLが大きいから安全だと思う:TVLはマーケティングで増える。設計が悪ければ大きいほど崩壊時の被害も大きい。

3)ステーブルだから損しないと思う:デペッグ、発行体、プロトコル事故を軽視する。

4)アグリゲータ任せで中身を見ない:経路のどこかにブリッジや危険Vaultが混ざることがある。

5)複雑さを「高度」と勘違いする:複雑=故障点が増える。利回りは複雑さの補償として高くなる。

6)利回りが落ちたら乗り換えを繰り返す:手数料・スリッページ・税務(申告)コストで実質が削れる。

7)一番危険な時にポジションが最大になる:高利回りに惹かれて資金を増やし、崩壊局面で被弾する。

「現実的な」DeFi運用フレーム:小さく始めて、大きくしない

DeFiは一発の失敗で全損があり得る世界です。したがって、設計上の基本は「当たれば増える」ではなく「外れても致命傷にならない」です。運用フレームとしては、次が現実的です。

ステップ1:学習用の最小額で、送金・スワップ・承認(approve)・解除まで一連を経験する。ここでミスが起きると、額が大きいほど致命傷になります。

ステップ2:単一のプロトコルで完結する低複雑度から始める。ブリッジや多段Vaultを避ける。

ステップ3:利回りを「上限」で見ない。平常時の平均、急変時の最低(あるいは損失)を想定する。

ステップ4:撤退条件を先に決める。デペッグ幅、TVL急減、監査問題、運営鍵の変更、チェーン停止など。

利回りは「保険料」であり「給料」ではない

DeFiの利回りは、誰かの損失やリスク負担の裏返しになっていることが多いです。手数料由来の部分は比較的持続しやすい一方、インセンティブ由来の部分は寿命が短く、リスクプレミアム由来の部分は事故が起きた瞬間に回収不能になります。

最終的に重要なのは、年率の高さではなく、破綻モードを理解した上で、許容できる損失範囲に収めることです。DeFiは「高利回りの貯金箱」ではなく、「高リスク高可変の市場参加」です。利回りの正体を分解できるようになると、見かけの数字に振り回されなくなります。

まとめ:見るべきはAPYではなく「源泉」と「出口」

・利回りは①手数料②インセンティブ③リスクプレミアムの合成。まず分解する。
・ステーブル高金利は「誰が払っているか」を疑う。
・LPは手数料の裏でILが発生する。相場局面で有利不利が変わる。
・崩壊前のシグナル(急な利回り上昇、出来高不在、インセンティブ偏重、ブリッジ必須、清算混雑)を監視する。
・運用は小さく、複雑さを避け、撤退条件を先に決める。

「リアルイールド」と「補助金イールド」:同じ利回りでも価値が違う

近年よく使われる言い回しに「リアルイールド(Real Yield)」があります。これは、トークン新規発行の配布ではなく、取引手数料や借入金利などのキャッシュフロー(あるいはそれに準ずる価値)から支払われる利回りを指します。もちろんリアルイールドでも事故はありますが、少なくとも「配布が止まった瞬間にゼロになる」タイプよりは、持続性の見通しが立ちやすいです。

逆に「補助金イールド」は、配布トークンを原資に見かけの利回りを作っている状態です。補助金が効いている間は魅力的に見えますが、配布ペースが落ちたり、報酬トークン価格が下がったりすると、一気に逆回転します。

実質利回りの計算:報酬トークンが下がるとどうなるか

例えば、100万円相当のステーブルを預け、年率20%(200,000円相当)の報酬が「自前トークン」で支払われるとします。受け取った瞬間の評価額が20万円でも、売却するまでにトークン価格が半分になれば10万円です。さらに売却時のスリッページが5%なら、手取りは9.5万円。実質利回りは9.5%に落ちます。

もっと厳しいのは、利回りが高いほど参加者が増え、報酬トークンの売却圧が増え、価格が下がりやすい点です。つまり「利回りが高いほど、利回りの原資が薄まる」矛盾を内包します。この矛盾を前提に、保守的な想定(報酬トークン価格が30〜70%下がる)で計算しておくと、期待値の錯覚が減ります。

利回りファームの寿命:始まり・最盛期・崩壊の典型シナリオ

多くの利回りファームは、次の流れを踏みます。

フェーズ1(立ち上げ):高インセンティブでTVLを集める。利回りは異常に高い。ここで「早い者勝ち」の雰囲気が生まれる。

フェーズ2(最盛期):参加者が増え、利回りは低下するが依然高い。メディア露出やランキング上位でさらに資金が来る。

フェーズ3(飽和):TVLだけが増え、実需(出来高・借入需要)が追いつかない。報酬トークンはじりじり下がる。

フェーズ4(逆回転):何かのきっかけ(相場急落、デペッグ、監査問題、運営鍵の不信、ブリッジ事故)で資金が抜け始める。TVL減少→流動性低下→スリッページ悪化→さらに資金流出、という連鎖が起きる。

このシナリオの厄介さは、フェーズ2までは誰もが「成功している」ように見える点です。だからこそ、フェーズ3の兆候(出来高不在、補助金依存、退出コスト増)を拾うことが実務的な防御になります。

「ステーブルのデペッグ」は利回りより強い:過去の教訓を一般化する

ステーブルコインは「安定している」という前提が崩れると、利回り設計が一気に破綻します。一般論として、ステーブルには大きく2系統あります。準備資産型(現金・短期国債などの裏付け)と、アルゴリズム型/担保変動型(別トークンの価値や市場メカニズムに依存)です。

後者は、平常時は機能していても、ストレス時に「売り圧→担保価値低下→信認低下→さらに売り」という負の循環に入りやすい。利回りが高いほど資金が集まり、崩れる時の速度も上がります。結局、利回りを見て選ぶのではなく、ステーブルの設計と破綻モードを理解した上で「自分が引き受けているリスクは何か」を言語化できるかが分かれ目です。

ウォレット運用の基本:利回り以前に「抜かれない」設計にする

DeFiの失敗は、相場だけではありません。承認(approve)を広く与えすぎたり、偽サイトに接続したり、署名を誤ったりして資産を失う事故が頻発します。利回り運用をするなら、最低限次の運用を徹底した方がいいです。

・日常用と保管用でウォレットを分ける(資金を一括で触らない)
・承認額を無制限にしない(必要最小)
・定期的に不要な承認を解除する(Revoke)
・公式リンク以外から接続しない(検索広告やSNSの偽リンクを踏まない)
・署名内容を理解できない取引は通さない(特にPermit系)

これは利回りの話ではなく「守り」です。守りが弱いまま利回りを追うのは、穴の空いたバケツで水を運ぶのと同じです。

税務・記録の現実:小さな利回りほど「手間」が勝つ

DeFiは取引回数が増えやすく、報酬の受領・スワップ・再投資が細かく積み上がります。利益が小さい場合、後から履歴整理に時間がかかり、実質的なコストになります。だからこそ、最初から「記録できる範囲で運用する」「複雑な多段戦略は避ける」という選択が合理的になります。

初心者向けの実践テンプレ:利回り案件を5分で一次判定する

最後に、案件を見た瞬間に判断がブレないよう、一次判定のテンプレを置きます。以下に答えられないなら、手を出さない方が安全です。

(1)利回りの内訳は? 手数料:インセンティブ:リスクプレミアムの比率は?
(2)利回りがインセンティブ無しでも成立するか?
(3)退出に何が必要か? ロック、ペナルティ、スリッページ、ブリッジは?
(4)最悪シナリオは? デペッグ、清算詰まり、オラクル障害、鍵の悪用など。
(5)自分の資金のうち、ゼロになっても生活に影響しない範囲か?

このテンプレだけでも、ランキング上位やSNSの熱量に引っ張られる回数が減ります。

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