Hyperliquid徹底解説:オンチェーン板取引のPerp DEXで稼ぐための実践ガイド

暗号資産

本稿では、オンチェーンの中央板(CLOB)で高速約定を実現するPerp DEX「Hyperliquid」を取り上げ、仕組みからリスク管理、実装しやすいエントリー・エグジット設計、資金調達率(Funding)や清算、手数料の構造までを徹底的に解説します。読むだけで口座開設から初回トレード、戦略の型作りまで到達できるように構成しています。

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Hyperliquidとは――オンチェーンCLOBの全体像

Hyperliquidは自前の高性能L1上で稼働する分散型取引所です。AMM型ではなく、完全オンチェーンの板(オーダーブック)で指値・成行・ポストオンリー等の注文が利用でき、ガス代なしでの取引が可能です。USDC建てのパーペチュアル(期日なし先物)とスポットを提供し、証拠金方式はクロスマージンを基本としつつアイソレーテッドも選択できます。

アーキテクチャの要点:なぜ「速い」のか

  • 専用L1:マッチング等の取引ロジックをL1で処理し、オンチェーンで約定・清算・Funding を確定。
  • オーダー型:AMMの価格関数ではなく板中心。価格発見がCEXに近く、板厚のある主要ペアでスリッページを抑制。
  • ガスレス約定:一度「Enable Trading」を署名後、以降の発注・取消はガス不要。スキャルや分割約定と相性が良い。

対応資産とレバレッジ

主要ペア(BTC/USDC, ETH/USDC など)を中心に、アルトも多数上場しています。レバレッジは最大50倍(銘柄により上限変動)。初心者は2〜5倍を上限とし、まずは「勝てるサイズ」を守る運用から始めましょう。

ブリッジと入出金:USDC基軸で考える

取引はUSDC建てが基本です。手順の概略は以下です。

  1. ウォレット接続(MetaMask など)。「Enable Trading」を署名。
  2. ブリッジでUSDCをHyperliquid L1へ移す(Arbitrum経由など)。最低入金額や承認方式に注意。
  3. 残高反映後、取引画面で証拠金に充当。
  4. 出金はL1→ブリッジ→EVMへ。混雑時は時間がかかるため資金繰りに余裕を。

注意点:最低入金額(例:5 USDC未満は無効)、入金時は正しいチェーン・トークンか必ず確認し、少額テストを推奨します。

注文タイプと約定コントロール

  • 成行 / 指値:通常のエントリー・クローズに使用。
  • GTC:キャンセルまで有効。価格帯での待ち伏せに。
  • IOC:即時約定しない数量は取消。素早い取り消し前提の板取りに。
  • Post Only(ALO):メイカー限定。乖離埋めやリベート狙いと相性が良い。
  • Reduce Only:ポジション削減専用。誤って逆張り建玉を増やす事故を防止。
  • TP/SL:利確・損切りの自動化。同時発注で「ブランケット保険」化するのが基本。

手数料とコスト設計

手数料は出来高ティアで変動し、一般的な水準はメイカー約0.015%・テイカー約0.045%程度から始まります。ガスレスであることを踏まえ、短期売買のコスト感はCEXと同等かそれ以下になりやすいです。メイカー運用(Post Only)を織り交ぜると平均コストを下げやすく、分割決済+リベート取りの組み合わせが効きます。

資金調達率(Funding)の理解と活用

パーペチュアルは現物価格に連動させるため、ロングとショート間でFundingが定期精算されます。ロング優勢ならロングが支払い、ショート優勢ならショートが支払います。基本の考え方は「偏った側が払う」。

初学者向けの使い方:トレンド方向に乗りつつ、自分が受け取り側になるタイミングだけ厚めに保有する、あるいは偏りが強い時間帯を避けるなどで、コストの逆風を小さくします。Fundingはゼロに収束しやすい性質があるため、過度な「Funding狩り」単体は避け、トレンド・ボラ戦略と組み合わせます。

清算とADL:壊滅を防ぐ設計

証拠金維持率を割るとポジションは部分的または全量清算されます。保険基金で相殺しきれない損失が出た場合、最後の防波堤としてADL(自動デレバレッジ)が発動し、反対側の利益ポジションが強制縮小されることがあります。清算価格は「入れた証拠金」「レバレッジ」「未実現損益」「Funding累積」等で変動します。クロスは口座全体の余力で耐え、アイソレーテッドは銘柄ごとにリスクを閉じ込めます。

リスク管理の実践テンプレ

  1. サイズ規律:1回の損失を口座残高の-1%以内(初心者目安)。
  2. SLの事前設定:必ず同時に置く(TP/SLの同時化)。
  3. 分割入出:板状況に応じて3〜5分割で建玉・手仕舞い。
  4. 相関・イベント:FOMCやCPI、主要上場の発表時はレバを抑制。
  5. 流動性考慮:アルトは板が薄い時間帯を避け、主要ペアで習熟。

実装しやすい戦略サンプル(初級〜中級)

① メイカー・リベート×ミニ・レンジ反転

直近レンジ幅(例:5分足のATR×1.5)を超えない局面で、Post Only 指値を内外に並べ、片側約定で逆側をキャンセル→小幅利確を繰り返します。Fundingが自分に有利な側だけ厚くし、不利な側は極小ロットに抑えるとコスト最適化が進みます。

② ブレイクアウト×IOCスナイプ

主要指標(例:前日高安、ロンドン/NYの始値帯)を上抜け/下抜ける瞬間に、IOCで薄い板を突き、即時不成立分は取消。スリッページ管理を優先し、失敗時はすぐ撤退します。トレーリングSLで利を伸ばす型が有効です。

③ Funding反転追随

Fundingが極端(例:年率+/- 100%超相当)から縮小に向かう局面で、価格トレンドも同調するなら薄くエントリー。Funding優位が消えるまでの「短い区間」を刈り取る発想です。過信せず、必ず価格アクションの裏付けを条件に。

初心者のつまずきポイントと回避策

  • ブリッジの誤送信:少額テスト→トランザクションID保存→残高反映を確認してから増額。
  • SL未設定:必ず同時発注。Reduce Only と併用。
  • 想定外のFundingコスト:建玉方向とバランスを確認。極端時はロット縮小。
  • 過度なレバレッジ:2〜5倍で十分。勝率より損小の設計が重要。
  • イベント突入:経済指標前は清算価格に余裕を持たせる。

ケーススタディ:ETH/USDC での分割型エントリー

想定口座1,000 USDC、リスク許容-1%/回、最大レバ5倍。

  1. 1回の許容損失=10 USDC。SLまでの距離が0.5%なら必要証拠金=10/0.5%=2,000 USDC相当→レバ5倍で名目1万USDC。
  2. Post Only で3分割指値を配置(例:-0.1%、-0.2%、-0.3%)。部分約定で残りはキャンセル。
  3. 利確も3分割(+0.2%、+0.4%、トレーリング)。IOCでの機動撤退を許容。
  4. Fundingが受取側に偏る時間帯のみ保有ウェイトを増す。

ポイントは「損失額から逆算してサイズを決める」「手数料とFundingを設計段階で織り込む」ことです。

モニタリング:何を常時チェックするか

  • OI(建玉)、出来高、板厚(特に最良気配の深さ)。
  • Fundingの推移と極端値(受け/払い)。
  • 清算密集帯(清算価格のヒートマップなど外部ツール)。
  • 主要セッションの高安・始値、経済指標カレンダー。

Q&A(よくある質問)

Q. ガスは本当に不要?
A. 初回の有効化署名後の発注・取消はガスレスです。入出金やブリッジ側でガスが必要な場合はあります。

Q. クロスとアイソレの選び方は?
A. 初学者はクロスで「耐える」より、アイソレで損失を銘柄ごとに閉じ込める方が事故が小さくなります。慣れたらクロス併用へ。

Q. 何倍まで使う?
A. 相場や戦略次第ですが、まずは2〜5倍の範囲で検証を重ねるのが無難です。

まとめ:Hyperliquidを「速さ」と「透明性」で使い倒す

Hyperliquidはオンチェーンで板・約定・清算が完結し、スピードと透明性を両立させた稀有なPerp DEXです。ブリッジと基本の注文運用に慣れれば、メイカー指値・IOC・TP/SLの組み合わせで、コストとリスクをコントロールしながら戦う土台が整います。まずは小さく、ルールを固定し、記録と改善を回すことが継続的なパフォーマンスへの最短距離です。

実務チェックリスト(保存版)

  • (資金管理)1トレードの許容損失率、デイリー最大ドローダウンを事前定義。
  • (執行)エントリーは板厚・出来高を見てGTC/IOCを選択、誤発注防止にReduce Only活用。
  • (出口)SL/TPの同時化。指標前はサイズを半減、もしくは一時撤退。
  • (コスト)手数料ティアとFundingの実測をスプレッドシートで集計し、戦略別P&Lに反映。
  • (記録)根拠→執行→結果→改善案を1行テンプレで日次振り返り。

バックテストの考え方(手動→半自動)

最初は手動記録で十分です。時間足・指標・OI・Funding・板状況のスクリーンショットを残し、条件分岐を徐々にコード化します。ルールは「単純・再現可能・検証容易」を優先し、過剰最適化を避けましょう。

コンプライアンス面での一般的注意

各地域のルールに応じたご利用が必要です。本人確認・地域制限・税務申告の要否は必ず各自で確認してください。本稿は教育目的の技術解説であり、特定の投資行為を推奨するものではありません。

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