寄り付き前に「特売り(売り気配が続いて値が付かない状態)」になった銘柄は、ニュースや需給悪化で投げ売りが集中している一方で、どこかの価格帯で“まとめて吸収したい買い手”が待っていることがあります。ここで起きる典型が、特売り→一致(寄り付き)→売り注文の吸収→短時間の自律反発です。
この動きは、うまく噛み合うと数分〜数十分で利幅が出ますが、見誤ると「寄った瞬間にさらに崩れる」「反発が一瞬で終わる」「リバウンドを狙った買いが追随せず二段安」という形で損失が膨らみやすいのも事実です。本記事では、板・歩み値・出来高の観察から、エントリーの型、損切りの置き方、そして“やってはいけない”条件まで、実戦レベルで整理します。
- 特売りとは何か:まずは仕組みを押さえる
- 「一致後の反発」が起きるメカニズム
- 最初に確認すべき「3つの前提条件」
- 前提①:特売りの原因が「追加悪材料で伸び続けるタイプ」ではない
- 前提②:寄り付き前の気配が「下げ止まりのサイン」を出している
- 前提③:寄り付き後に「出来高が出る余地」がある
- 観察ポイント①:寄り付き直後の板で「吸収」を見分ける
- 観察ポイント②:歩み値で「本物の買い」を確認する
- エントリーの型:3つの王道パターン
- 型①:寄り付き直後の“同値吸収”からの初動
- 型②:最初の戻り高値を超えた“追随”
- 型③:VWAP回復で“需給の逆転”を確認して入る
- 利確の設計:「どこまで戻るか」を事前に決める
- 損切りの置き方:ここが雑だと全部負ける
- 具体例:寄り付きから10分で完結する想定シナリオ
- よくある失敗①:「寄った=底」と決め打ちする
- よくある失敗②:板の厚い買いに釣られる
- よくある失敗③:利確が遅く、反発の終わりに捕まる
- スクリーニングの現実解:朝の監視リスト作成
- リスク管理:1トレードで破綻しない設計
- 検証のやり方:初心者でもできる簡易バックテスト
- まとめ:勝ち筋は“吸収の証拠”と“短期で取り切る設計”
特売りとは何か:まずは仕組みを押さえる
特売りは、寄り付きや場中で売り注文が買い注文を大きく上回り、通常の気配更新だけでは売買が成立しない状態です。価格が連続的に切り下がっていくように見えますが、実態は「成行・指値の売りが溜まり、買いが追いつかず、気配値が調整され続けている」状態です。
重要なのは、特売りそのものが“悪”ではない点です。特売りは価格発見の遅れであり、どこかで売りと買いが一致すれば寄り付きます。寄り付く価格は、売りの投げと、買いの待ち構えがぶつかった“最初の均衡点”です。
「一致後の反発」が起きるメカニズム
一致直後に反発が起きる典型シナリオは次の通りです。
(1)寄り付きまでに投げ売りが大量に溜まる → (2)寄り付き価格で大口がまとめて受ける(吸収) → (3)直後に「売りたい人」が一巡し、板が軽くなる → (4)短期資金が“リバウンド狙い”で入る → (5)売り板が薄いところまでスッと戻る。
ポイントは、反発の燃料が「需給の一巡」と「板の軽さ」であることです。材料が良くなったから上がるのではなく、売る人が一旦いなくなり、買いが少し入るだけで戻る、という性質が強いです。だからこそ、反発は長続きしないことも多く、“短期で取り切る設計”が必要になります。
最初に確認すべき「3つの前提条件」
一致リバウンドは、どんな特売りでも通用しません。まずは次の3点を満たすかを機械的に確認してください。
前提①:特売りの原因が「追加悪材料で伸び続けるタイプ」ではない
例として、業績下方修正・不祥事・上場廃止リスク・大型の希薄化・金融機関の格下げのように、売り手が「売らないといけない」状況だと、寄った後も売りが止まりにくいです。こういうときは“吸収”に見えても、実はまだ序盤の可能性があります。
逆に、需給要因(指数のリバランス、短期資金の逃げ、地合い急変での投げ)や、誤解が含まれやすい材料(見出しだけが先行、詳細未確認)などは、寄り付きで投げが一巡しやすく、リバウンドが出やすい傾向があります。
前提②:寄り付き前の気配が「下げ止まりのサイン」を出している
特売りは気配が落ち続けますが、ある価格帯で「これ以上売りが増えない」「買いが厚くなる」兆しが出ることがあります。具体的には、気配の切り下げペースが鈍る、買い気配に厚みが出る、同じ価格帯での気配更新が続く、といった現象です。
初心者がやりがちなのは、気配が大きく下がった“事実”だけを見て「もう下げすぎだ」と判断することです。下げすぎかどうかは感覚ではなく、“売りの増え方が弱まったか”で判断します。
前提③:寄り付き後に「出来高が出る余地」がある
一致直後の反発は、短期資金の参加があって初めて形になります。出来高が薄い銘柄は、板が薄すぎてスリッページが大きくなり、期待値が下がります。目安として、普段から出来高がある程度ある銘柄、もしくはその日に注目されている(ランキング上位・材料株)など、流動性が確保される状況が望ましいです。
観察ポイント①:寄り付き直後の板で「吸収」を見分ける
一致した瞬間は情報量が多く、焦るとミスります。見る場所は固定しましょう。私は次の順で見ます。
(A)寄り付きの約定量(最初の出来高):寄った瞬間にドンと出来高が出るほど、投げ売りが整理されやすいです。逆に、寄ったのに出来高が少ないと、売りが整理されていない可能性があります。
(B)最良売気配の厚み:寄った直後に上の売り板が薄いなら、少しの買いで上がりやすい。一方、上に分厚い売り板が何段もあるなら、反発してもそこで止まりやすいです。
(C)最良買気配の踏ん張り:下に厚い買い板が出るか、下げたときに買いが補充されるか。ここが弱いと、反発狙いの買いが入っても崩れやすいです。
観察ポイント②:歩み値で「本物の買い」を確認する
板は見せかけが混じります。歩み値(約定の列)で“実際に取引されたか”を確認します。ポイントは「下で売りが連続しても、価格があまり下がらない」「同値で約定が増える」状態です。これは、下で買いが受けている(吸収している)可能性が高いシグナルです。
逆に危険なのは「売りが出るたびに一段ずつ下がる」「買いが付いてこない」「約定が細い」パターンです。これだと、寄り付きは単なる通過点で、次の下値探りが続きやすいです。
エントリーの型:3つの王道パターン
型①:寄り付き直後の“同値吸収”からの初動
寄り付き後、いったん売りがぶつかって同じ価格帯で約定が増える局面があります。ここで価格が割れずに踏ん張るなら、吸収の可能性が高い。エントリーは「同値の反復→上の売りを食い始める」タイミングを狙います。
利点は、反発の最初を取れること。欠点は、見極めが早く、失敗すると即死しやすいことです。初心者はサイズを落とし、損切り幅を小さくして練習するのが現実的です。
型②:最初の戻り高値を超えた“追随”
寄り付き後に一度だけ反発し、その後押しが入ります。その押しが浅く、再び戻り高値を抜くなら、短期勢の参加が確認できます。このときは、上抜けで入っても、直前の押し安値まで損切りを置けるため、型①よりリスク管理がしやすいです。
型③:VWAP回復で“需給の逆転”を確認して入る
寄り付き直後はVWAPが急速に形成されます。価格がVWAPの下にいる限り、「買った人が含み損」になりやすく上値が重い。逆にVWAPを回復して維持できると、短期買いの平均コストが有利になり、押し目買いが入りやすい。VWAP回復は、初心者でもルール化しやすい条件です。
利確の設計:「どこまで戻るか」を事前に決める
一致リバウンドは、青天井ではありません。利確は“戻りの節”に置くのが基本です。具体的には、次の3つを優先します。
(1)寄り付き前に厚かった売り板の価格帯(戻り売りが出やすい)
(2)直近の5分足の戻り高値(短期勢の利確が集中しやすい)
(3)VWAP乖離が一気に縮まったところ(反発のエネルギーが一巡しやすい)
「まだ上がるかも」で引っ張るより、想定通りの反発を取ったら撤退のほうが、長期的に成績が安定します。
損切りの置き方:ここが雑だと全部負ける
この戦略は、損切りが生命線です。理由は単純で、寄り付き後に崩れると下落スピードが速いからです。損切り候補は次のいずれかでルール化します。
(A)寄り付き直後の安値割れ:最もシンプル。吸収が本物なら、寄り直後の安値を割りにくい。
(B)吸収が見えた同値帯の割れ:同値で支えていた価格帯を割ったらシナリオ崩壊。
(C)VWAP再割れ+出来高減少:VWAPを回復したのに維持できず、反発が失速したサイン。
初心者は、まず(A)か(B)で十分です。損切りを曖昧にすると、リバウンド狙いが“塩漬け”に変わります。
具体例:寄り付きから10分で完結する想定シナリオ
ここでは数値は仮置きで、読み方を示します。
9:00前、前日終値1000円の銘柄が材料で特売り。気配は950→920→900と切り下がったが、890円付近で更新が鈍化。買い板が厚くなり、寄り付きは890円で成立。寄った瞬間の出来高が通常の数倍。
寄り後、885〜890円で同値の約定が続くが、885円を何度叩いても割れない。歩み値は売りが出ても価格が粘る。上の売り板は900円付近まで薄い。ここで「同値吸収→上の板を食い始めた」タイミングでエントリー。
その後、900円を回復しVWAPも上抜け。短期資金が追随して905円まで。事前に“戻り売りが出るのは905〜910円”と見ていたので、905円台で分割利確し、残りはVWAP割れで撤退。損切りは寄り直後安値884円割れに設定していたため、失敗しても損失は限定できる。
よくある失敗①:「寄った=底」と決め打ちする
寄り付きは底ではありません。寄り付きは“最初の均衡点”で、そこから下に行くことも普通にあります。底を当てに行くのではなく、吸収の証拠(同値の反復、下で売りが出ても価格が崩れない、出来高を伴った踏ん張り)を確認してから入るべきです。
よくある失敗②:板の厚い買いに釣られる
厚い買い板が見えても、実際に約定しなければ意味がありません。見せ板的な動きが混ざると、買い板が消えて一気に崩れます。板より歩み値、これが基本です。
よくある失敗③:利確が遅く、反発の終わりに捕まる
一致リバウンドは“戻り”です。戻りの局面は、上値に売りが待っています。反発の終盤で入ると、勝ちにくいだけでなく、損切りも遠くなりがちです。エントリーが遅れたなら見送る判断も重要です。
スクリーニングの現実解:朝の監視リスト作成
朝に全部の特売り銘柄を見るのは無理です。現実的には次の条件で絞り込みます。
・当日の材料が明確で、注目度が高い(ランキング上位になりやすい)
・普段から出来高がある(板がまともに機能する)
・値幅が取れる(寄りからの戻り余地がある)
・寄り前の気配に“鈍化”が見える
この絞り込みをしてから、板・歩み値で最終判断します。
リスク管理:1トレードで破綻しない設計
スキャルは試行回数が多くなるため、一撃で崩れないルールが必要です。目安として、1回の損失上限(許容損失)を先に決め、そこから逆算してロットを決めます。損切り幅が広い日はロットを落とし、損切りが浅く置けるときだけ強く張る。これが長期的な生存戦略です。
検証のやり方:初心者でもできる簡易バックテスト
難しい統計は不要です。まずは「特売り→寄り→10分以内の高値/安値」「寄り直後の出来高」「VWAP回復の有無」を、10〜30サンプルで記録してください。勝ちパターンと負けパターンに共通点が見えてきます。自分が監視できる銘柄群(値がさ、大型、中小型)で分けると、さらに実戦に近づきます。
まとめ:勝ち筋は“吸収の証拠”と“短期で取り切る設計”
特売りからの一致リバウンドは、怖い動きに見えますが、構造を理解すると「どこで失敗するか」も見えます。底当てではなく、売りが一巡し、買いが受けた証拠を確認し、利確と損切りを先に決めて淡々と実行する。これが再現性を上げる最短ルートです。
※本記事は情報提供を目的とした一般的な解説であり、特定の銘柄・売買を推奨するものではありません。取引には損失が生じる可能性があります。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。


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