- 結論:VWAPは「当日の平均取得単価」で、5分足では“勝っている側”が最も露骨に表れます
- VWAPを5分足で使う理由:ノイズと即応性のバランスがちょうどいい
- 最初に押さえる前提:VWAPの意味は「状況」で変わります
- ①寄り付き直後(9:00〜9:30)のVWAP:形成途中なので“反応”重視
- ②前場中盤〜後場(10:00〜14:30)のVWAP:当日需給の“中心線”として機能しやすい
- ③引け前(14:30〜15:00)のVWAP:投信/裁定/リバランスの影響を警戒
- 5分足VWAP攻防の“読み方”は4つの部品で作れます
- パターン1:VWAPリテスト買い(最も再現性が高い型)
- パターン2:VWAP割れ戻り売り(“買い方の損切り”が燃料になる型)
- パターン3:VWAPブレイク追随(勢いに乗るが、最も“刈られやすい”型)
- 出来高の見方:VWAPは“出来高とセット”で初めて武器になります
- 板・歩み値と組み合わせる:VWAP付近の“吸収”を見抜く
- 具体シナリオ(日本株デイトレ想定):寄り天回避と押し目の取り方
- リスク管理:VWAP戦略は“損切りの置き方”で勝率が決まります
- よくある失敗と修正:VWAPで負ける人の典型パターン
- “使わない日”を決める:VWAP戦略が機能しにくい相場
- 実戦チェックリスト:5分足VWAP攻防で“優勢側”に乗るための手順
- まとめ:VWAPは「平均コスト線」ではなく「当日の心理戦の最前線」です
結論:VWAPは「当日の平均取得単価」で、5分足では“勝っている側”が最も露骨に表れます
VWAP(Volume Weighted Average Price)は、その日の取引を「出来高で重み付けした平均価格」です。超シンプルに言うと、当日にその銘柄を売買した参加者の平均的な取得単価(平均コスト)を表します。デイトレの世界では、VWAPを境に「含み益側が多い=強気が優勢」「含み損側が多い=弱気が優勢」という構図が生まれやすい。だから5分足のVWAP周りでは、買い方と売り方の“攻防”が発生し、勝った側が次の値幅を取りやすいのです。
ただし、VWAPは“魔法の線”ではありません。重要なのは、VWAPに触れた瞬間ではなく、触れた後にどう反応したか(出来高、ローソク足の形、戻りの弱さ/強さ、板の吸収)です。本記事は、5分足でその反応を読み、デイトレで再現性を高めるための具体手順に落とします。
VWAPを5分足で使う理由:ノイズと即応性のバランスがちょうどいい
1分足はノイズが多く、VWAP付近でダマシが増えます。15分足以上は反応が遅れ、初動の優位性が薄れます。5分足は、当日の需給の変化が可視化されつつ、エントリー・損切り幅を実務的に設計しやすい時間軸です。
「5分足VWAP攻防」を使う狙いは、①当日参加者の損益分岐の中心を把握し、②攻防の勝者(優勢サイド)に乗って、③“次の置いていかれ”を取りに行くことです。ここでいう優勢サイドとは、VWAPを守る/奪うのに成功し、その後の押し(戻り)で崩れない側です。
最初に押さえる前提:VWAPの意味は「状況」で変わります
同じVWAPでも、置かれた状況で役割が変わります。以下の3つに分類すると、読み違いが激減します。
①寄り付き直後(9:00〜9:30)のVWAP:形成途中なので“反応”重視
寄り付き直後はVWAPがまだ安定していません。ここで「VWAPを割った/超えた」だけで決め打ちすると危険です。寄り後15〜30分は、VWAPそのものよりも、VWAPを跨いだ後の出来高の増え方と、次の5分足での戻り(押し)の浅さを見るのが合理的です。
具体例:寄り後に強い買いが入り、価格がVWAPの上で推移している。そこから一度VWAPまで押したとき、出来高が減ってスッと止まるなら「利確売りが一巡して、買い方が守った」可能性が高い。逆に、VWAP到達の5分足で出来高が急増し、下ヒゲではなく実体で割り込むなら「買い方の防衛線が破られた」可能性が高い。
②前場中盤〜後場(10:00〜14:30)のVWAP:当日需給の“中心線”として機能しやすい
時間が進むほどVWAPは安定し、当日参加者の平均コストとして意味を持ちます。この時間帯のVWAPは、押し目買いの基準にも、戻り売りの基準にもなります。つまり「どちらがVWAPを支配しているか」がそのまま短期トレンドの優劣になります。
この時間帯は、VWAP付近での攻防が「2回以上」出やすい。1回目で勝った側が、2回目でさらに強さを証明する、という形です。よって、1回目の攻防で“仮説”を立て、2回目の攻防で“確信度を上げてサイズを調整する”のが運用として安定します。
③引け前(14:30〜15:00)のVWAP:投信/裁定/リバランスの影響を警戒
引け前は、インデックス要因やリバランスが混じりやすく、VWAPタッチが“需給の意志”ではなく“執行都合”で起きることがあります。特に大型株や指数寄与度が高い銘柄では、VWAP周りの反応が鈍ったり、逆に一瞬だけ過剰に動いたりします。
引け前にVWAP戦略を使うなら、利確の優先と、損切りの機械化(逆指値を必ず置く)が実務的です。「最後に戻るだろう」は危険で、引け成りフローで一方向に押し切られることがあります。
5分足VWAP攻防の“読み方”は4つの部品で作れます
攻防の判断は、結局のところ以下の4部品の組み合わせです。ここが曖昧だと、VWAPがただの線になります。
部品A:VWAP到達の仕方(速度と角度)
上からVWAPへ急落して到達したのか、じり下げで到達したのか。急落到達は「投げ/損切り」が混じりやすく、反発が出やすい一方、続落も速い。じり下げ到達は「買い方の体力が削られている」可能性があり、割れた後に戻りが弱くなりやすい。
部品B:到達足の出来高(平均比)
5分足で、その時間帯の平均出来高の何倍かを見る。VWAP付近で出来高が増えたなら“戦っている”。増えないなら“誰も守っていない/攻めていない”。出来高がないVWAPタッチは、信号として弱い。
部品C:ローソク足の形(ヒゲと実体)
VWAPで下ヒゲが出て終値が上なら、買い方が吸収して跳ね返した可能性が高い。逆に、VWAPで上ヒゲが出て終値が下なら、売り方が吸収して押し返した可能性が高い。重要なのは「ヒゲ」そのものより、次の足でフォローが出るかです。
部品D:次の押し(戻り)の浅さ
VWAPで反発したなら、その後の押しがVWAPを割らずに止まるか。VWAPを割ったなら、その後の戻りがVWAPを超えられずに落ちるか。攻防の勝者は、次の“再テスト”で強さが出ます。
パターン1:VWAPリテスト買い(最も再現性が高い型)
デイトレの王道は「上で強い→VWAPまで押す→守られる→再上昇」です。これを5分足で定義し、機械的に運用します。
前提条件(フィルター)
・寄り後30分以降(VWAPがある程度安定してから)
・直近で高値更新、または高値圏での保ち合い(上方向の意志)
・VWAPの上で推移している時間が長い(当日買い方が含み益になっている時間が長い)
エントリーの具体手順(5分足)
1) 押しでVWAPに接近する局面で、出来高が減る(売りが枯れる)
2) VWAP付近で下ヒゲ、または小さな実体で止まる足が出る(吸収の兆候)
3) 次の足で高値を更新、またはVWAPから明確に離れる(フォロー)
この「3)」でエントリーするのが安全です。VWAPタッチ瞬間に飛びつくと、まだ吸収が完了していない場合に刈られます。
損切り位置(現実的な置き方)
・VWAPの下に“少し”置くのではなく、VWAPで止まった足の安値の少し下に置きます。VWAPは触れやすいので、線の直下だとノイズで刈られます。
・リスク(損切り幅)を先に固定し、ロットを調整します。ロットの調整ができないなら、そのトレードは見送るべきです。
利確の考え方
・直近高値(押し前の高値)で半分利確し、残りは5分足の押し安値割れで手仕舞う。
・「VWAPからの距離」が急に伸びたら、短期の過熱として利確を優先します。伸びた後の押しは深くなりやすいからです。
パターン2:VWAP割れ戻り売り(“買い方の損切り”が燃料になる型)
当日上で推移していた銘柄が、VWAPを実体で割り、戻りでVWAPを超えられないときは、買い方が含み損化します。ここで戻りが弱いと、損切り・回転売りが重なり、下方向の値幅が出ます。
前提条件(フィルター)
・VWAP上での滞在が長かった後に、初めて“明確に”割れる(心理的な変化)
・割れた足の出来高が増える(投げ/決済が出ている)
エントリーの具体手順(5分足)
1) VWAPを実体で割る(終値がVWAP下)
2) 次の足でVWAPまで戻すが、VWAPを超えられない(上ヒゲ、または終値がVWAP下)
3) その戻りの局面で出来高が増えない(買いが弱い)
この「2)〜3)」を満たす戻りが入ったところで売りを検討します。割れた直後は値が跳ねやすいので、戻り待ちが合理的です。
損切り位置
・戻りの上ヒゲの上、または戻り高値の少し上に置きます。VWAPの上に置くのは曖昧になりやすい。価格構造(戻り高値)で切る方が一貫します。
利確の考え方
・前場安値や直近サポートで一部利確。残りは5分足の戻り高値更新で撤退。
・VWAPから下への乖離が急に広がったら、短期でのリバウンド(ショートカバー)を警戒し、利確を優先します。
パターン3:VWAPブレイク追随(勢いに乗るが、最も“刈られやすい”型)
VWAPを跨ぐ瞬間に勢いよく抜ける局面は魅力的ですが、実はダマシも多いです。ブレイク追随で勝つには、条件を厳しくして“ブレイクの質”を担保します。
ブレイクの質チェック
・VWAP抜けの足で出来高が平均の1.5〜2倍以上(本気のフロー)
・抜けた方向に5分足の実体が伸びる(ヒゲだけではない)
・抜けた直後にVWAPへ戻っても、すぐに跳ね返す(再テスト成功)
具体的には、「抜けた瞬間に買う/売る」ではなく、抜けた後の最初の押し(戻り)で、VWAPがサポート/レジスタンスとして機能するのを確認してから乗ります。遅く見えても、ダマシでの損失を避ける方がトータルで勝ちやすい。
出来高の見方:VWAPは“出来高とセット”で初めて武器になります
VWAPは出来高加重の平均です。だから「出来高がどう増減したか」が読みの中核です。5分足で実用的なルールに落とします。
ルール1:VWAPタッチで出来高が増える=争点化
争点化したVWAPは、その後もしばらく“磁石”になります。つまり、再度VWAPに引き寄せられ、もう一度攻防が起きやすい。1回目の攻防で無理に当てに行くより、2回目のテストで優位性が高まります。
ルール2:VWAPタッチで出来高が減る=ラインとして弱い
守りも攻めも薄い。こういう場面は、VWAPよりも直近高値/安値、または板の厚い価格帯の方が効きます。VWAP戦略を使う局面ではありません。
ルール3:VWAP割れ(抜け)で出来高が急増=ストップ巻き込み
このときは一方向に伸びやすい一方、反動も出やすい。エントリー後は、含み益が乗ったら素早くリスクを落とし(建値付近にストップを移す等)、“逆流”を許さない設計が重要です。
板・歩み値と組み合わせる:VWAP付近の“吸収”を見抜く
チャートだけだと、VWAP付近で何が起きたかがぼやけます。板と歩み値(約定の流れ)を併用すると、吸収(大口がぶつけられた玉を受け止める)が見えやすいです。
吸収の典型サイン(買い側の例)
・VWAP近辺で売りが連続して出るのに、価格が下がらない(下がらせない買いがいる)
・歩み値に大口の売りが出ても、次の価格がすぐ戻る(食われても戻す)
・板の買いが“同じ価格帯で増減を繰り返す”(補充して守っている)
逆に、売り側の吸収ならこれが上下反転します。重要なのは「大口がいるか」ではなく、「大口が価格を守っている(または抑えている)か」です。VWAPはその戦場になりやすい。
具体シナリオ(日本株デイトレ想定):寄り天回避と押し目の取り方
ここでは、ありがちな値動きで、VWAPの使い方をシナリオ化します。銘柄は仮定、数字も説明用です。
シナリオA:寄り後に上昇→VWAPまで押す→再上昇
9:05〜9:20に上昇して高値を付ける。9:25から利確で押し、9:35にVWAPへ接近。押しの5分足で出来高が減り、VWAP付近で下ヒゲ。次の9:40足で高値更新。ここでエントリーし、損切りはVWAPタッチ足の安値下。利確は押し前の高値で半分、残りは押し安値割れで撤退。
この型は、寄り天(寄り後に上がって下がる)と似ていますが、違いは「VWAPで守られるか」と「フォローの足が出るか」です。寄り天はVWAPで止まらない/戻りがVWAPで叩かれやすい。
シナリオB:寄り後に上昇→VWAP割れ→戻りで叩かれる
上昇後、VWAPに向けてじり下げ。VWAP到達の足で出来高が急増し、実体で割れる。次の足でVWAPまで戻すが上ヒゲで失速、出来高も戻り局面で増えない。ここで戻り売りを検討。損切りは戻り高値上。利確は前場安値や出来高が溜まった価格帯。
この型は「買い方の撤退」が本格化するタイミングを拾います。VWAP割れを“事件”として扱い、戻りの弱さで確度を上げます。
リスク管理:VWAP戦略は“損切りの置き方”で勝率が決まります
VWAPは多くの人が見ます。だから、VWAP直下/直上には逆指値が集まりやすい。ここを狙った“刈り”も起きます。実務的な対策は次の通りです。
1) 損切りは線ではなく構造(直近安値/高値)で置く
VWAPそのものではなく、「VWAPで止まった足の安値」「戻り高値」など、価格構造を根拠にします。これでノイズに耐性が出ます。
2) ロットは損切り幅から逆算する
“何株買うか”ではなく“いくらまで負けるか”から逆算します。損切り幅が広い局面でサイズを張ると、1回の失敗で当日の損益が壊れます。
3) 逆行したら祈らず、前提が崩れた時点で撤退する
VWAPリテスト買いなら「VWAPで守られる」が前提です。守られないなら撤退。戻り売りなら「VWAPを超えられない」が前提です。超えたら撤退。前提が崩れたら即撤退、ここが徹底できるほど成績が安定します。
よくある失敗と修正:VWAPで負ける人の典型パターン
失敗1:VWAPタッチで反射的に飛びつく
修正:タッチではなく、タッチ後のフォロー足を待つ。最初の反発は“戻り”で終わることが多い。
失敗2:出来高を見ずにラインだけで判断する
修正:出来高が平均より明確に増えたかを必ず確認。増えていないVWAPタッチはノイズになりやすい。
失敗3:VWAP近辺での損切りが浅すぎて刈られる
修正:線の直下/直上ではなく、直近足の安値/高値基準へ。
失敗4:VWAPから離れたところで追いかける
修正:VWAPからの乖離が広いほど、逆流のリスクが上がる。追いかけるなら、押し(戻り)を待つか、利確を短くする。
“使わない日”を決める:VWAP戦略が機能しにくい相場
VWAPが効きにくい日があります。無理に当てにいくと、ストレスと損失が積み上がります。
・材料の強弱が極端(ストップ高/ストップ安級のニュース)
需給が一方向に偏り、VWAPを無視して走ることがあります。VWAPよりも“気配”と“寄り後の板”が優先されます。
・低流動性(出来高が薄い)
VWAP自体が不安定になり、少ない売買で位置が動く。線の信頼性が落ちます。
・指数主導で振り回される局面
大型株は先物フローでVWAPが跨がれやすい。銘柄個別の需給が薄いときは、VWAP戦略の精度が落ちます。
実戦チェックリスト:5分足VWAP攻防で“優勢側”に乗るための手順
最後に、実戦で迷わないように手順をチェックリスト化します。口で覚えるのではなく、毎回同じ順番で確認してください。
チェック1:時間帯は?(寄り直後/中盤/引け前)
寄り直後は形成途中、引け前は執行都合が混じる。中盤が最も素直。
チェック2:価格はVWAPの上か下か、どちらに滞在が長いか
滞在が長い側が“基本優勢”。ただし事件(明確な割れ/抜け)が起きたら見立てを更新。
チェック3:VWAP到達足の出来高は平均比で増えたか
増えた=戦い。増えない=ただの通過点。
チェック4:タッチ後のフォロー足は出たか
反発/反落の“証拠”が出るまで入らない。
チェック5:損切りは構造で置けるか、ロット調整できるか
置けない/調整できないなら見送る。これが長期的に最も儲かります。
まとめ:VWAPは「平均コスト線」ではなく「当日の心理戦の最前線」です
5分足VWAPの攻防は、当日参加者の損益と心理が最も凝縮される地点です。だからこそ再現性が出ます。ポイントは、VWAPの上か下かを当てることではなく、VWAP周りで“勝った側”を出来高と値動きで確認してから乗ることです。
今日からの改善はシンプルです。VWAPタッチで飛びつくのをやめ、フォロー足と出来高を待つ。損切りは構造で置き、ロットは損失許容から逆算する。この3点を徹底すれば、VWAPは「負けを減らし、勝ちを伸ばすための軸」になります。


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