- コモディティETFの逆張りローテーションとは何か
- なぜコモディティは“振れ過ぎ”やすいのか(株よりも戻りが出る理由)
- 対象にするETF(「まずはこの4群」で十分)
- 逆張りの“失敗パターン”を先に潰す:ただのナンピンをやらない
- 判断軸①:価格の行き過ぎ(定量化の基本セット)
- 判断軸②:先物曲線(ロール要因)を軽視しない
- 判断軸③:ドルと実質金利(特に金)
- 判断軸④:在庫・需給(原油と産業金属で効く)
- ローテーションの具体的な作り方:スコアリングで“候補”を絞る
- エントリーの現実的な型:3段階(観察→試し玉→本玉)
- 利確と損切り:逆張りは“戻ったら降りる”が勝ち筋
- 具体例1:原油が急落した局面での逆張りローテーション(考え方)
- 具体例2:金が売られ過ぎた局面(実質金利とドルを味方にする)
- 具体例3:産業金属が叩き売られた局面(景気期待の変化で巻き戻す)
- ポートフォリオ設計:ローテーションは“少数ポジション”で回す
- 運用のチェックリスト(毎週1回で回る)
- よくある質問:逆張りローテーションで気を付けるべき落とし穴
- まとめ:勝ち筋は「候補を絞り、戻ったら降りる」
- リスク管理を“数式化”する:1回の失敗で退場しない設計
- 実務上の注意:円建て投資家が見落としやすい為替要因
- ローテーションの高度化:景気局面で「勝ちやすい群」を先に決める
- 出口戦略の具体化:分割利確で“取りこぼし”と“戻り売り”を両立
- 運用ログを残す:再現性は“検証”でしか増えない
- 最初の1か月は“紙トレード”で十分:ルールが守れるかを確認する
- 商品選びの基準:流動性と指数設計を優先する
コモディティETFの逆張りローテーションとは何か
コモディティ(商品)は、株や債券と違って「企業利益」や「金利クーポン」を生みません。価格を動かす主因は、需給(在庫・生産・消費)、政策(金利・補助金・関税)、通貨(特に米ドル)、そして地政学・天候といったショックです。結果として、短期で過熱(買われ過ぎ)→反落、過度な悲観(売られ過ぎ)→反発が起きやすい資産クラスです。
逆張りローテーション戦略は、この「振れ過ぎ」を狙います。ただし、単純に下がったら買うのではなく、どのコモディティが“相対的に”行き過ぎているかを比較し、エントリー後は「戻りが出たら淡々と降りる」までをルール化します。ここが、単発の逆張りより再現性を上げやすいポイントです。
なぜコモディティは“振れ過ぎ”やすいのか(株よりも戻りが出る理由)
第一に、供給が硬い(増産に時間がかかる)か、需要が硬い(生活必需)か、どちらかに偏りがちで、ショックが起きると価格が瞬間的にバランス調整します。原油ならOPEC+の政策・地政学、金属なら鉱山の事故や輸出規制、農産物なら天候や病害です。
第二に、先物市場の構造です。多くのコモディティETFは先物をロールしながら保有するため、先物曲線がコンタンゴ(期近より期先が高い)だと長期保有でロールコストが積み上がり、逆にバックワーデーション(期近が高い)だとロールで追い風になります。価格が下がっても曲線が改善すれば反発しやすく、逆に価格が上がっても曲線が悪化すれば失速しやすい。ここが「戻りが出る局面」を見分けるヒントになります。
第三に、投機資金の偏りです。インフレ局面ではコモディティが一斉に買われ、景気後退懸念では一斉に売られます。ところが、実体経済の需給はコモディティごとに違うため、売られ過ぎたセクターから順番に“巻き戻し”が起こります。逆張りローテーションは、この巻き戻しを取りにいきます。
対象にするETF(「まずはこの4群」で十分)
個別銘柄の選定より、まずは“商品セクター”で分ける方が失敗しにくいです。扱いやすい分類は次の4群です。
①エネルギー(例:原油系ETF):地政学・OPEC政策で急変。ボラが高いので損失管理が最重要です。
②貴金属(例:金ETF):実質金利とドル、リスク回避で動きやすい。急落後の戻りも早いことが多いです。
③産業金属(例:銅など):景気循環・中国需要・在庫で動く。景気後退局面で叩き売られやすい反面、改善期待でのリバウンドが出やすいです。
④農産物(例:穀物バスケット):天候と供給制約。トレンドが出ると長いが、急変もあるためエントリー条件が重要です。
これらを「どれが過熱/冷え込みか」を相対評価して入れ替えるのがローテーションです。最初から銘柄を増やし過ぎると管理不能になります。まずは4群に絞るのが実務的です。
逆張りの“失敗パターン”を先に潰す:ただのナンピンをやらない
逆張りでやりがちな失敗は、理由のない平均取得単価下げです。コモディティはショック時に「想定より深く」「想定より長く」下げ続けることがあります。したがって、買い下がりは原則しません。どうしても分割するなら、「条件が改善した」ことを根拠に追加します。例えば、急落後にボラティリティが低下し、価格が下値を割らなくなり、先物曲線がコンタンゴからフラット寄りに改善した、などです。
もう一つの失敗は、逆張りなのに出口が曖昧なことです。ローテーションでは「戻りを取りにいく」ので、利益確定の基準を先に決めます。後述しますが、“過熱度が中立に戻ったら降りる”のが基本で、天井取りを狙わない方が勝率が上がります。
判断軸①:価格の行き過ぎ(定量化の基本セット)
最初の軸は価格の行き過ぎです。個人でも扱いやすい指標は、移動平均からの乖離、ボリンジャーバンド、RSI、ATR(平均真の値幅)です。ここで大事なのは、どれか1つを盲信しないことです。コモディティはトレンドが強い局面があるので、RSIが売られ過ぎでも下げ続けることがあります。したがって「複数条件を満たしたら“検討対象”」とし、最終判断は他の軸と合わせます。
実装例として、日足で次のように考えます。
・過熱(売り候補):価格が20日移動平均から大きく上方乖離し、バンド上限を連続で上抜け、かつATRが直近3か月平均より明確に拡大
・冷え込み(買い候補):価格が20日移動平均から大きく下方乖離し、バンド下限を連続で下抜け、かつATRがピークアウトし始める
ポイントは、冷え込み側でATRが「拡大中」ではなく「拡大が止まり始める」ことを確認する点です。暴落の最中に捕まる確率が下がります。
判断軸②:先物曲線(ロール要因)を軽視しない
先物ベースのETFは、価格変動だけでなくロールが効きます。逆張りで重要なのは、「下がったがロール環境が改善している」局面です。例えば原油で在庫が急増→価格下落→しかし供給調整の観測が出て期近の下げが止まり、期先とのスプレッドが縮小(コンタンゴ縮小)する。こうなると、価格が少し戻るだけでもETFの持ちやすさが上がります。
個人が完全に先物曲線を追うのが難しい場合でも、ETFの公式情報や指数説明に「先物ロール」「期限の分散」「最適ロール」などの特徴が書かれていることがあります。同じ“原油ETF”でもロール設計が違えば成績が変わるため、ここは最低限確認しておく価値があります。
判断軸③:ドルと実質金利(特に金)
コモディティ全般はドル建てで取引されやすいため、ドルが急騰すると価格が押されやすく、ドルが軟化すると上がりやすい傾向があります。また、金は実質金利(名目金利-期待インフレ)の影響を受けやすいと言われます。実質金利が上がる局面では金は逆風になりやすく、実質金利が低下に転じると反発しやすい。
逆張りローテーションでは「金が売られ過ぎだが、ドル高・実質金利高が継続なら待つ」「ドル高が止まり、金利指標がピークアウトし始めたら金を先に拾う」といった、“最初に反発しやすいセクターを選ぶ”判断に使えます。
判断軸④:在庫・需給(原油と産業金属で効く)
需給指標は難しく感じますが、見るべきは「方向」と「市場の織り込み」です。例えば原油なら在庫統計の増減が材料になりますが、重要なのは“予想との差”と、その後の価格反応です。在庫が増えたのに下げないなら、悪材料は織り込まれ始めています。産業金属なら、在庫や輸出入の変化、主要消費国の景況感が材料になります。
逆張りは「悪材料で下げた直後」を狙いがちですが、より安全なのは「悪材料が続いても下げなくなった」局面です。需給の本格改善を待つ必要はありません。価格が“悪いニュースに鈍くなる”だけで、戻りが出やすくなります。
ローテーションの具体的な作り方:スコアリングで“候補”を絞る
ローテーションを仕組みにするには、各セクターに点数を付けます。ここでは複雑な数学は不要です。個人運用に向くのは、0〜3点の簡易スコアです。
冷え込みスコア例(買い候補):
(1)20日移動平均からの下方乖離が一定以上
(2)バンド下限を割った後、終値で下限の外に出る日が減る(落ち着き)
(3)ドル高がピークアウト、または関連マクロが逆風から緩和へ
この3条件のうち2つ以上を満たすセクターを「候補」にします。反対に過熱スコアも同様に作り、過熱スコアが高いものは“新規で追わない”、もしくは既存ポジションの縮小対象にします。
ここでの狙いは、完璧な天底当てではなく、候補の数を意図的に減らし、判断を安定させることです。
エントリーの現実的な型:3段階(観察→試し玉→本玉)
コモディティはノイズが大きいので、いきなりフルサイズで入るとメンタルが壊れます。エントリーは3段階が現実的です。
①観察:冷え込みスコアが2/3になったら候補登録。まだ買わない。
②試し玉:日足で反転の兆候(下値を割らない、出来高が落ち着く、翌日高値更新など)が出たら小さく買う。
③本玉:20日移動平均に対して終値が戻る、または短期の下落トレンドラインを上抜けるなど、“戻りが現実に出た”段階で追加する。
この型にすると、最悪でも試し玉の損失で済む確率が上がります。逆張りは「当てる」より「外しても軽傷」に寄せた方が長期で残りやすいです。
利確と損切り:逆張りは“戻ったら降りる”が勝ち筋
利確は、過熱度が中立に戻ったら行います。例えば、20日移動平均への回帰、ボリンジャーバンドの中央線回復、RSIが50近辺に戻る、などです。ここで「もっと伸びるかも」と欲張ると、再度の急落に巻き込まれます。ローテーション戦略は、次の冷え込み銘柄に乗り換えることでトータルの期待値を稼ぐ設計です。
損切りは、エントリー根拠が崩れたら機械的に行います。典型は「下値更新が止まる」という前提が崩れたケースです。具体的には、直近安値を明確に更新し、かつATRが再拡大しているなら、いったん撤退するのが合理的です。逆張りは、損切りが遅れると一気にリカバリー不能になります。
具体例1:原油が急落した局面での逆張りローテーション(考え方)
原油は、供給政策と地政学で急落・急騰します。例えば、需要減速懸念が強まり、在庫増が重なって急落する局面を想定します。このとき「価格が下がった」だけでは買いません。次の順に確認します。
まず、日足での過度な下方乖離が出ているか(冷え込みの候補)。次に、在庫増などの悪材料が出ても下げ幅が縮小するか(悪材料耐性)。そして、先物曲線のコンタンゴが縮小し始めるか(ロール環境の改善)。これらが揃ってくると、短期のショートカバーや需給再調整で“戻り”が出やすくなります。
エントリーは試し玉→本玉の順にし、利確は20日線回帰で一部、さらに上で残り、という形にすると、トレンド転換まで狙い過ぎずに済みます。原油はボラが高いので、ポジションサイズは他セクターより小さめが妥当です。
具体例2:金が売られ過ぎた局面(実質金利とドルを味方にする)
金は、ドル高と実質金利上昇で売られやすい一方、リスク回避では買われやすいという二面性があります。逆張りローテーションで金を拾うなら、価格指標だけでなく、ドル高が一服しているか、そして金利関連の指標がピークアウトし始めているかを見ます。
例えば、金が短期的に急落しても、ドルの上昇が止まり、債券利回りの上昇が鈍化してくると、金は“最初に戻る側”になりやすいです。反対に、ドル高・金利高が続くのに金だけを逆張りすると、戻りが弱く、時間だけが過ぎます。ローテーションでは、金を「待つ」判断も戦略の一部です。
具体例3:産業金属が叩き売られた局面(景気期待の変化で巻き戻す)
産業金属(代表的には銅)は、景気減速懸念で売られやすい反面、政策期待や景気指標の改善“期待”で戻りやすい傾向があります。ここで重要なのは、景気の実体が完全に良くなるのを待たないことです。市場は先回りするので、「最悪が織り込まれた」だけで反発します。
具体的には、悪い景気ニュースが出ても下げない、関連株(鉱山・素材)や関連指数が底固い、在庫の積み上がりが鈍化する、といった変化が出たときが狙い目です。利確はやはり中立回帰で十分で、トレンドを取りにいくより、“過度な悲観の巻き戻し”を取りにいくのが基本です。
ポートフォリオ設計:ローテーションは“少数ポジション”で回す
分散し過ぎると管理できず、結果としてルールが崩れます。最初は、4群のうち「冷え込みスコアが高い上位1〜2群」だけを持つ形が現実的です。相場が荒れている時期は、現金比率を高め、エントリー回数を減らした方がパフォーマンスが安定します。
また、コモディティは株と同時に下がる局面もあります(流動性危機など)。したがって「株が崩れたらコモディティが必ず上がる」とは考えない方が安全です。ローテーションは、相対的な行き過ぎを拾う短中期の運用として位置付けるのが適切です。
運用のチェックリスト(毎週1回で回る)
日々の監視が難しい場合は、週1回で十分回る形に落とし込みます。やることは次の順です。
(1)4群の価格乖離とボラ(ATR)を確認し、冷え込み・過熱の候補を出す
(2)候補について、ドル・金利・需給ニュースの“方向”だけを見る(深追いしない)
(3)試し玉の有無、本玉への移行条件、撤退条件をメモする
(4)中立回帰したら利確し、次の候補へ回す
このルーチンを守るだけで、「その場の感情でポジションをいじる」回数が減り、戦略としての再現性が上がります。
よくある質問:逆張りローテーションで気を付けるべき落とし穴
Q1. 下がったら買えばいいのでは?
A. コモディティは下げが深く、時間も長くなる局面があります。買うのは「下げが止まりそうな兆候」と「逆風が緩和する兆候」が見えたときです。値ごろ感だけで入ると、戻りが来るまで耐えられないことが多いです。
Q2. どの指標が一番効きますか?
A. 一つに絞ると崩れます。価格の行き過ぎ(乖離・ボラ)で候補を出し、マクロ(ドル・金利)や構造(ロール要因)で“戻りやすさ”を判定する、という分業が現実的です。
Q3. 長期保有でも有効ですか?
A. 先物ロールの影響が大きいETFは、長期保有で不利になる局面があります。ローテーションは、数週間〜数か月の“戻り”を繰り返し取りにいく設計の方が相性が良いです。
まとめ:勝ち筋は「候補を絞り、戻ったら降りる」
コモディティETFの逆張りローテーションは、相場の過熱と冷え込みを数値で捉え、最も行き過ぎたセクターを小さく拾って、中立に戻ったら淡々と降りる戦略です。コモディティは振れが大きい分、逆張りの旨味もありますが、同時に“捕まる”リスクもあります。したがって、スコアリングで候補を絞り、試し玉→本玉の段階を踏み、撤退ルールを先に決める。この3点を徹底するだけで、無謀な逆張りから一段上の運用に近づけます。
リスク管理を“数式化”する:1回の失敗で退場しない設計
逆張りの最大の敵は、1回の大きな下落で資金が削られて次のチャンスに参加できなくなることです。そこで、まず「1回のトレードで許容する損失」を先に決めます。考え方はシンプルで、総資産に対して0.3%〜1.0%程度の範囲に収めるのが一般的です(値幅の大きい原油はさらに小さくします)。
次に、その損失許容額を“値幅”で割ってポジション量を決めます。値幅の目安はATRが使えます。例えば、エントリーから撤退までの距離を「2×ATR」と置き、損失許容額をその距離で割れば、最大ポジションの概算が出ます。重要なのは、相場が荒れてATRが拡大したときに、自然にポジションが小さくなる点です。これにより、ボラが高い局面ほど“守り”が効きます。
また、同じコモディティETFを複数持つより、相関が低い群を組み合わせる方が管理が楽です。例えば、原油と産業金属は景気循環で同方向に動きやすい一方、金は局面によって逆方向に振れることがあります。ローテーションは「上位1〜2群に集中」しつつも、同一要因で同時に吹き飛ぶ組み合わせを避けるだけで、損失の形が丸くなります。
実務上の注意:円建て投資家が見落としやすい為替要因
米国上場のコモディティETFを買う場合、コモディティ価格だけでなく為替(USD/JPY)も損益に乗ります。例えば、商品価格が反発しても円高が同時に進むと、円換算の利益が削られます。逆に、商品が横ばいでも円安で利益が出ることもあります。これはメリットにもデメリットにもなりますが、逆張りローテーションの出口が曖昧だと、為替の揺れで“利確できない”状態になりやすいです。
対策は難しくありません。エントリー時に「このトレードの主役は商品か、為替か」を決め、主役が商品なら、利確・損切りは商品側のルールを優先します。為替が逆風になっても、商品側が中立回帰したら一度降りる。こう割り切ると、戦略のブレが減ります。為替ヘッジ付き商品を使う手もありますが、コストと商品の選択肢が制約になるため、まずはルール優先の運用が現実的です。
ローテーションの高度化:景気局面で「勝ちやすい群」を先に決める
さらに精度を上げるなら、景気局面ごとに「戻りが出やすい順番」を想定しておきます。例えば、景気後退懸念が強い局面では、産業金属とエネルギーは売られやすく、反発も短期的になりがちです。一方で、リスク回避が強まる局面では金が先に買い戻されることがあります。反対に、景気期待が戻り始める局面では、銅など産業金属が“期待で先に動く”ことがあります。
この「順番」の仮説を持った上で、価格の冷え込みスコアを重ねると、候補が絞れます。たとえば、同じ冷え込みスコア2/3でも、局面に合う群を優先する。これだけで、無駄なエントリーが減り、リカバリーの回数が増えます。
出口戦略の具体化:分割利確で“取りこぼし”と“戻り売り”を両立
逆張りは、利確が早すぎると利益が伸びず、遅すぎると取り消します。そこで現実的なのが分割利確です。例えば、(1)20日移動平均に到達で半分利確、(2)ボリンジャー中央線回復で追加利確、(3)直近高値更新で残りをトレーリング、という形にします。これにより、平均的には中立回帰の利益を確保しつつ、たまに大きく伸びる局面を拾えます。
ただし、ローテーションの本質は“入れ替え”です。利確が進んだら、次の冷え込み候補へ移す準備をします。含み益のまま放置すると、次の機会に乗れず、戦略が「たまたまの保有」になってしまいます。
運用ログを残す:再現性は“検証”でしか増えない
最後に、ローテーションは検証が効く戦略です。毎回、(1)なぜその群を選んだか(スコア)、(2)エントリーの段階(試し玉か本玉か)、(3)撤退・利確の理由(中立回帰か、根拠崩れか)を短くメモします。数十回分が溜まると、「自分が負ける局面」「待つべき局面」「利確が遅い癖」などが可視化され、戦略が改善します。
コモディティはニュースが多く、情報を追い過ぎると意思決定がブレます。スコア→段階→出口、という型に落としてログを取り、改善点だけを少しずつ直す。これが、個人がコモディティを扱う上で最も堅い上達ルートです。
最初の1か月は“紙トレード”で十分:ルールが守れるかを確認する
コモディティETFは値動きが速く、いきなり実弾で始めるとルールが崩れがちです。最初の1か月は、実際に売買せずに「もしこの日に試し玉→本玉→利確をしたらどうなったか」を記録するだけでも、効果があります。特に、ATRが拡大した局面でポジションが大き過ぎないか、利確が遅れて取り消していないか、撤退条件が曖昧でズルズルしていないかを確認できます。ここを通すと、本番でも淡々と運用しやすくなります。
商品選びの基準:流動性と指数設計を優先する
ETFは「その商品が何を持っているか」を必ず確認します。現物連動なのか先物連動なのか、先物ならロールのルールは何か、単一商品かバスケットか、そして売買のしやすさ(出来高・スプレッド)は十分か。逆張りはエントリーと出口の回数が増えるため、スプレッドが広い商品は不利になりやすいです。銘柄名よりも、指数設計と売買コストを優先すると、長期的な成績が安定します。


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