ドル円(USD/JPY)の「150円」「155円」のようなラウンドナンバー(キリの良い価格)は、裁量でもアルゴでも“注文が集まる前提”で見られています。結果として、一瞬のヒゲで反転も、一気の貫通ブレイクも起きやすい。ここでは「反転した瞬間だけを短期で獲る」ために、条件を絞り込み、負け方(損切り)を先に固定し、勝ち筋だけを残す設計を提示します。
結論から言うと、ラウンドナンバーは“当てに行く”場所ではなく、流動性が濃くなる地点です。勝率を上げるには、価格そのものではなく、その価格で起きた注文の痕跡(ヒゲ、戻りの速さ、連続約定、時間帯)を条件化します。
- 1. ラウンドナンバー反転が起きる「市場構造」を先に理解する
- 2. 反転狙いは「3種類」に分解できる(どれを狙うか決める)
- 3. 使う足と見る順番:1分→5分→15分の「役割分担」
- 4. ルール設計:タイプA(ストップ狩り反転)を条件化する
- 5. 損切り設計:キリ番反転は「損切りが全て」
- 6. 利確設計:勝率と利幅の“トレードオフ”を制御する
- 7. フィルター:避けるべき日・時間帯(これだけで成績が上がる)
- 8. 具体例:150.00上抜け→ストップ狩り反転(売り)のシナリオ
- 9. タイプB/Cの補助:到達反転・ブレイク失敗戻りの実戦ルール
- 10. “勝てない原因”の多くは検証不足ではなく、観測項目がズレている
- 11. 記録テンプレ:勝率を上げるためのログ項目(これだけ書けば十分)
- 12. まとめ:ラウンドナンバーは“価格”ではなく“行動”で獲る
1. ラウンドナンバー反転が起きる「市場構造」を先に理解する
150.00 のようなキリ番は、次の注文が重なりやすい地点です。
(1)オプションのストライク:満期が近いと、ディーラーのヘッジ調整(ガンマ/デルタ)が価格を吸い寄せたり跳ね返したりします。
(2)大口の心理的節目:機関の裁量注文、輸出入の実需、リバランスなどが「整数」で出やすい。
(3)ストップの集積:ブレイク狙いの逆指値が節目の外側に溜まり、抜けると一気に走る。
反転狙いは(3)の「ストップ狩り」に巻き込まれると即死です。だからこそ、“抜けたのに戻ってきた”という痕跡を待つか、抜ける前の失速サインを条件にします。
2. 反転狙いは「3種類」に分解できる(どれを狙うか決める)
キリ番反転は大雑把に3タイプあります。全部を狙うとルールが膨らみ、再現性が落ちます。
タイプA:ストップ狩り反転(いったん抜けて、即座に戻る)
150.00 を上に抜けて 150.15 まで走ったのに、1〜3分で 150.00 を割り込む。これは「外側のストップを刈って流動性を得たあと、利確/反対サイドが勝つ」典型です。最も期待値が出やすい反面、タイミングが短い。
タイプB:到達反転(節目に触れて、抜けずに跳ね返る)
149.90→149.99→149.97 のように、節目で上値(下値)が抑えられて反転。伸びは小さく、ブレイク日に踏まれやすいので、フィルターが重要。
タイプC:ブレイク失敗の戻り売り/買い(抜けた後の“戻り”で反転)
150.00 を上抜けて定着しそうに見えたが、150.00 近辺への押しで買いが続かず失速。一番安全に入りやすいが、利幅は中程度です。
この記事では、短期の再現性が高く、損切り幅を小さくできる タイプA(ストップ狩り反転)を主戦場にします。タイプB/Cは補助として紹介します。
3. 使う足と見る順番:1分→5分→15分の「役割分担」
ラウンドナンバー反転は“瞬間芸”なので、見る足を混ぜると判断がブレます。役割を固定してください。
1分足:エントリーのトリガー(戻りの速さ、ヒゲ、連続約定の勢い)
5分足:その場が「揉み合い」か「トレンドの押し目/戻り」かを判定
15分足:その日の地合い(米指標前後、NY序盤、東京仲値)で“無理ゲー”を避ける
4. ルール設計:タイプA(ストップ狩り反転)を条件化する
ここから具体的な条件です。主観が入らないように数字で縛ります。なお、スプレッドや約定力は業者差があるため、pipsは自分の環境で微調整してください(考え方が重要)。
4-1. 前提条件(トレードする場面を絞る)
以下のどれかに該当する時だけ狙います。
条件①:節目到達が“急角度”
直近10分で 20pips 以上の一方向の伸び(例:149.80→150.00)。
理由:ストップ狩りは「走った先」で起きやすい。ダラダラ接近は揉み合いになり反転のキレが落ちます。
条件②:節目の外側を“最低一回”触る
150.00 なら、150.03以上(買い側ストップ刈り想定)または149.97以下(売り側)を一度は付ける。
理由:外側の流動性を取りに行っていないなら、ただの押し目で終わる可能性が高い。
条件③:戻りが速い(時間制限)
外側タッチ後、1〜3分以内に 150.00 を「明確に」跨いで戻る(1分足の実体で節目を越える/割る)。
理由:反転が本物なら、流動性が濃い節目まで一気に戻ります。ダラダラはトレンド継続の可能性が上がる。
4-2. エントリートリガー(“反転した瞬間”を定義)
以下のいずれかで入ります。おすすめは②です。
トリガー①:1分足で節目を実体抜けしてクローズ
上抜け→反転売りなら「150.00を下回って1分足が確定」。
トリガー②:節目リテストの失敗(最優先)
150.00 を割り込んだ後、150.00 付近まで戻っても「再び上に乗れない」ことを確認して売り。
具体例:149.98→150.00→149.99 と戻したが、次の1分で 149.97 を割る、など。
理由:ダマシの反転(すぐ戻される)を減らせます。
トリガー③:戻りの初動を成行(超短期)
外側タッチ→一気に戻ってくる最初の波に乗る。利は伸びやすいが、滑り/踏みが増えます。慣れてから。
5. 損切り設計:キリ番反転は「損切りが全て」
ラウンドナンバーは抜けたら走る日が必ず来ます。だから損切りは“観測”ではなく“仕様”で固定します。
5-1. ストップ位置は2択(近い/遠い)
近いストップ(推奨):外側タッチのヒゲ先端+2〜5pips。
例:150.18が高値なら、150.20 付近にストップ(売りの場合)。
メリット:損失が小さく、試行回数を増やせる。
デメリット:ノイズで刈られやすい。
遠いストップ:直近5分足の戻り高値(戻り売りなら)/戻り安値(買いなら)。
メリット:ノイズ耐性。
デメリット:損失が大きく、期待値が下がりやすい。
初心者はまず近いストップで「負けを軽く」してください。勝ちが伸びないなら利確設計を変える。ストップを広げて誤魔化すと、最終的に大負けします。
5-2. ロットは“ストップ幅”から逆算(口座が守れない人はここで詰む)
1回の損失上限を口座の 0.25%〜0.5% に固定します(短期は回数が増えるため小さく)。
例:口座100万円、許容損失0.3%=3,000円。ストップ幅が 20pips、1pips=100円の設定ならロットは 3,000/(20×100)=1.5ロット相当…という具合に逆算します。
「値頃感ロット」は禁止です。
6. 利確設計:勝率と利幅の“トレードオフ”を制御する
反転は利を伸ばせる日と、すぐ戻る日が混在します。初心者は“分割”で平均点を上げます。
6-1. 2段階利確(現実的で強い)
利確①:+10〜15pipsで半分落とす(手数料と心理を回収)。
利確②:残りはVWAPではなく「直近の1分足の戻り高値/安値更新が止まるまで」引っ張る。
FXには株のVWAPはありません。代わりに短期の構造(戻り高値/安値)を使います。
6-2. “やってはいけない利確”
キリ番で反転したのに、すぐ元のキリ番で全決済する。これは「取れたはずの伸び」を捨てます。キリ番は戻りやすいので、第二利確は次の節目(例:150→149.50)や直近の需給帯を目標にします。
7. フィルター:避けるべき日・時間帯(これだけで成績が上がる)
反転狙いが崩壊しやすいのは、“材料でレンジが壊れる日”です。以下は原則回避。
(1)米重要指標の直前〜直後(雇用統計、CPI、FOMCなど)
直後はスプレッド拡大と滑りで、ルール通りに損切りできないケースがあります。
(2)NYオープン直後(日本時間22:30前後、夏冬で差)
流動性が急変し、ストップ狩りが“狩りで終わらず”そのまま走りやすい。
(3)東京仲値(9:55)前後
実需フローで一方向に動くことがあり、反転が機能しにくい日があります。
逆に狙いやすいのは、流動性はあるが材料が薄い時間帯です。例えばロンドン序盤の落ち着いた局面、NY中盤のレンジなど。自分が監視できる時間帯で検証してください。
8. 具体例:150.00上抜け→ストップ狩り反転(売り)のシナリオ
想定シナリオを文章で再現します(チャートがなくても追えるように)。
前提:149.70→149.95→150.00 と10分で急伸。市場は「150抜け」を意識。
動き:150.02→150.10→150.18 と外側まで伸びる(ストップが走る)。
観測:150.18を付けた直後、1分足で上ヒゲを残し、次の1分で150.00を割って149.96で確定。
エントリー:いったん149.99まで戻すが150.00に乗れず、149.97を割った瞬間に売り(トリガー②)。
損切り:150.18+数pips(例:150.21)。
利確:+12pips(149.85)で半分。残りは戻り高値が切り下がる間ホールドし、149.60付近(次の心理節目/需給)で決済。
ポイントは「150を割ったから売る」ではなく、150に戻したのに乗れない=買いが弱いことを確認してから売ることです。これでダマシ(すぐ150に戻って踏まれる)が激減します。
9. タイプB/Cの補助:到達反転・ブレイク失敗戻りの実戦ルール
タイプAがない日もあります。無理に作るのではなく、補助ルールで対応します。
9-1. タイプB(到達反転)の条件
・15分足がレンジ(直近高値/安値が更新されていない)
・節目到達が“鈍い”(直近10分の値幅が小さい)
・節目付近でヒゲが複数回出て、実体で抜けない
この時だけ、節目の内側で逆張りします。利幅は小さく、早利確が前提です。
9-2. タイプC(ブレイク失敗の戻り)の条件
・150.00を上抜けた後、5分足で上髭が出る/出来高(ティック)が落ちる
・押し目(150.00付近)で買い戻しが弱い(上に乗らない)
・1分足で高値切り下げが出る
この場合は、タイプAほど急がず、戻りを待って入れます。初心者の適性は高いです。
10. “勝てない原因”の多くは検証不足ではなく、観測項目がズレている
反転狙いで負ける人は、次のどれかに該当します。
① キリ番に触れたら反転すると思い込む:触れた瞬間はむしろブレイクの燃料になります。
② 損切りが遅い:抜けたら走る。遅れた時点で期待値は崩壊。
③ 指標・イベントを無視:レンジ戦略をトレンド日に当てると事故る。
④ 利確が雑:小さく勝って大きく負ける設計になっている。
改善策はシンプルで、(a)タイプAだけを100回記録して、条件①〜③とトリガー②のどれが崩れた時に負けたかを数えます。負けパターンが見えたら、ルールを“削る”。足すのではなく削るのが正解です。
11. 記録テンプレ:勝率を上げるためのログ項目(これだけ書けば十分)
ノートは長文不要です。次の項目だけで再現性が上がります。
・日付/時間帯(東京/ロンドン/NY、仲値前後、指標の有無)
・狙った節目(150.00/149.50など)
・タイプ(A/B/C)
・外側タッチの有無と最大到達pips
・外側→節目回帰までの分数(1〜3分か)
・エントリー根拠(トリガー②が成立したか)
・ストップ幅(pips)とロット(損失額が固定できたか)
・利確の位置(分割できたか)
12. まとめ:ラウンドナンバーは“価格”ではなく“行動”で獲る
ドル円のキリ番は、反転の宝庫でもあり、踏み上げ地獄でもあります。勝つためのコツは一貫していて、(1)抜けた痕跡を待つ、(2)戻りの失敗で入る、(3)損切りを固定して試行回数を確保、この3点です。
まずは150円だけに絞り、タイプAを100回分ログ化してください。数字が揃った時点で、155円や148円など他の節目に水平展開できます。


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