- この記事で扱う戦略の前提:狙うのは「規制ニュースで投げが先に出た局面」の短期リバ
- 最初に結論:この戦略は「ニュースの質」ではなく「寄り付き後の需給サイン」で勝負する
- 戦略の対象銘柄:どの半導体株でも良いわけではない
- ニュースの“分類”だけは押さえる:リバを狙って良い規制ニュース/避けるべきニュース
- 寄り付き前の準備:監視リストと「寄り直後に見る項目」を決めておく
- エントリーの核:寄り付き後5分〜30分で「下げ止まり」を判定する手順
- ステップ1:最初の5分足で“安値更新が止まるか”を見る
- ステップ2:出来高の推移で“投げの一巡”を確認する
- ステップ3:板と歩み値で「売り板の圧」と「成行の向き」を読む
- ステップ4:VWAPとの位置関係で「戻りの限界」を想定する
- 具体的な売買ルール:初心者向けに“型”を固定する
- エントリー条件(推奨)
- 損切り(絶対)
- 利確(現実的)
- よくある“失敗パターン”と回避策
- 失敗1:寄り付き直後の底当てをしようとして刺さる
- 失敗2:ニュースが追加で出て二段下げ
- 失敗3:指数が崩れているのに個別だけ拾う
- 実戦でのチェックリスト:寄り付き〜30分でこれだけ確認すれば十分
- 最後に:この戦略は「小さく負けて、大きく取りに行かない」方が向いている
この記事で扱う戦略の前提:狙うのは「規制ニュースで投げが先に出た局面」の短期リバ
半導体関連はニュース感応度が高く、規制・輸出管理・対中制裁・サプライチェーンの分断などの見出し一発で、寄り付きから大きくギャップダウン(GD)しやすいセクターです。ここで大事なのは、ニュース自体が悪いことよりも、寄り付きの最初に“売りたい人が一気に売る”ことで需給が歪む点です。歪みが大きいほど、売りが一巡した後に短期の買い戻し(ショートカバー・押し目買い・指数連動の買い戻し)が入り、数十分〜数時間で反発が起きます。
本稿は、その反発を「運任せの逆張り」ではなく、寄り付き後の情報(足型、出来高、板、指数連動、VWAPなど)で“下げ止まり”を判定してから拾う手順を、初心者でも実行できる形に落とし込みます。狙う時間軸はデイトレ〜最大で翌日までの短期です。
最初に結論:この戦略は「ニュースの質」ではなく「寄り付き後の需給サイン」で勝負する
規制ニュースは、内容が複雑で市場参加者の解釈が割れやすい反面、寄り付きの瞬間は「見出しだけで投げる」「アルゴがキーワード反応で売る」など、粗い売りが集中します。ここで重要なのは、ニュースが本当に企業業績を毀損するかどうかを完璧に判断することではありません。短期で勝ちやすいのは、寄り付き直後に“投げ”が出て、売りの追加が続かない銘柄です。
あなたが見るべきは次の2つです。
(1)寄り付き後5〜15分で安値更新が止まるか
(2)止まった後に、出来高が減りながらも価格が崩れないか
この2つが揃えば、少なくとも「一旦の投げ売りは出尽くした」可能性が高まり、短期の反発を取りやすくなります。逆に、出来高を伴って安値を更新し続ける場合は、ニュースが想定以上に重いか、機関・大口が本気で逃げている可能性が高く、触らない方がいい局面です。
戦略の対象銘柄:どの半導体株でも良いわけではない
半導体と一口に言っても、値動きの性質が違います。規制ニュースでGDした後に反発しやすいのは、以下の特徴を持つ銘柄です。
1)市場参加者が多い(流動性が高い)
出来高が薄い銘柄は、寄り付きの投げが終わっても板がスカスカで、反発が“形だけ”になりやすいです。短期の反発は「買い戻しの燃料」が必要なので、売買代金が大きい方が有利です。
2)指数・先物・SOXに連動しやすい
半導体は海外指数の影響が強く、日中でも先物や米株先物の動きで買い戻されます。連動性が高い銘柄ほど、寄り付きの投げが終われば戻りが出やすい。
3)GD幅が大きすぎない(目安:-3%〜-8%程度)
-10%超のGDは、単なる見出し反応ではなく「需給の破壊」や「個別の悪材料」が混ざっていることが多いです。もちろん反発する日もありますが、難易度が跳ねます。まずは中程度のGDを対象にしてください。
4)前日までに“過熱しすぎていない”
直近で急騰していた銘柄は、GDがきっかけで利益確定が連鎖し、戻りが弱いケースが増えます。短期反発を狙うなら、上昇トレンドの途中というより「押し目が許容される位置」にある方が扱いやすいです。
ニュースの“分類”だけは押さえる:リバを狙って良い規制ニュース/避けるべきニュース
内容を細かく読む前に、「このニュースは市場の恐怖を煽るタイプか、それとも解釈が割れやすいタイプか」を分類してください。分類は完璧でなくていいですが、事故を減らします。
リバ狙いに向きやすい(解釈が割れやすい)
・具体的な対象が限定的(特定の先端品目のみ、特定の企業・国向けのみ)
・施行が“今すぐ”ではなく猶予がある
・既に市場が織り込みやすい内容(過去に似た規制があった)
・詳細が不明で、見出し先行で動いている(会見待ち、文書待ち)
避けたい(持ち越しで事故りやすい)
・対象が広すぎる(サプライチェーン全体、汎用品まで)
・企業の受注・出荷停止が確定的(顧客が止まる、代替が効かない)
・当局の強制力が強い(即時停止・罰則・ライセンス剥奪など)
・翌日以降も追加報道が出やすい(政治日程、同盟国協調など)
この分類は“参加条件”です。避けたいニュースでも日中リバは起きますが、初心者が「次の見出しでさらに下がる」タイプに突っ込むと、メンタルと資金が削られます。まずは解釈が割れやすいタイプで練習してください。
寄り付き前の準備:監視リストと「寄り直後に見る項目」を決めておく
寄り付きの数分間は情報量が多く、迷うと操作ミスが増えます。寄り前に、やることを固定してください。
1)監視リストは最大5銘柄
規制ニュースの日は該当セクターが一斉にGDしやすいので、候補は多くなります。しかし、板・歩み値・5分足・指数の同時監視は負荷が高い。あなたが観察できる数に絞ってください。
2)基準価格を3つ決める
・前日終値(ギャップの上限)
・寄り付き想定レンジ(気配から推定)
・直近の支持線(前日安値、25日線、前回の押し目など)
この3つを頭に入れておくと、寄り付き後の“止まり方”を解釈しやすくなります。
3)今日の市場環境を一言でまとめる
例:「米国で規制報道→SOX弱いが、米株先物は下げ止まり」「ドル円は横ばい」「日経先物は-150円」など。
大事なのは、あなたが後で売買を振り返れる形で“前提”を置くことです。反発が弱い日の共通点が見えるようになります。
エントリーの核:寄り付き後5分〜30分で「下げ止まり」を判定する手順
この戦略の勝ち筋は、寄り付き直後の最安値を当てることではありません。最安値を付けた“後”に、下げが続かないのを確認して入ることです。以下の手順を順番に実行してください。
ステップ1:最初の5分足で“安値更新が止まるか”を見る
寄り付き直後の最初の5分足は、投げ売りの凝縮です。ここで見るのは形だけではなく、「安値を更新し続ける勢いがあるか」です。
良い形(拾い候補)
・寄り直後に下へ突っ込むが、5分足の後半で下げが鈍る
・下ヒゲが出る(ただしヒゲの長さより、後半の戻りが重要)
・安値更新が1回で止まり、以降は同値付近で揉む
悪い形(見送り)
・5分足の中で何度も安値更新する
・戻りが弱く、終値が安値付近で引ける
・指数(先物)が戻っているのに、該当銘柄だけ戻らない
初心者がやりがちなミスは、「最初の下ヒゲだけ見て買う」ことです。下ヒゲは“買いが入った”よりも、“売りが止まった”シグナルとして見る方が安全です。買いの強さは次のステップで確認します。
ステップ2:出来高の推移で“投げの一巡”を確認する
次に、5分足ベースで出来高を見ます。規制ニュースの日は寄り付き出来高が跳ねますが、重要なのはその後です。
拾い候補の出来高パターン
・寄り付き5分が最大出来高になりやすい(投げが集中)
・2本目、3本目で出来高が減るのに、価格が崩れない
・売りの勢いが鈍ったのに対し、買いが“薄くても”支える
見送りの出来高パターン
・2本目以降も出来高が高止まりし、安値更新が続く
・大口の投げが断続的に出て、戻り局面でも売りが被さる
具体例で考えます。A社(半導体製造装置)が規制ニュースで-5%のGD。寄り付き5分の出来高が普段の10倍に跳ねた後、2本目は半分、3本目はさらに半分。それでも安値を割らず横ばい〜小反発。この場合は「投げが一巡し、売りたい人が減った」可能性が高いです。ここで初めて“買い”の土俵に上がれます。
ステップ3:板と歩み値で「売り板の圧」と「成行の向き」を読む
板読みは難しそうに見えますが、この戦略で見るのは2点だけです。
(1)戻りの局面で、売り板が厚くなり続けるか
戻りが出ても、上に厚い売り板が何段も積まれているなら、戻りは限定的になりやすいです。一方で、戻りの途中で売り板が薄くなる(食われる/引っ込む)なら、短期反発の余地があります。
(2)歩み値で“同サイズの成行”がどちらに連続するか
寄り付き直後は売り成行が連続しやすいですが、下げ止まった後に買い成行がまとまって出る瞬間があるかを見ます。ここで重要なのは、単発の大口よりも、数回連続で同じ方向に成行が出ることです。アルゴや買い戻しが走り始めたサインになりやすいからです。
ステップ4:VWAPとの位置関係で「戻りの限界」を想定する
短期トレードの出口を設計する上で、VWAPは便利です。GDした日は、寄り付き直後にVWAPが急速に形成され、価格がVWAPの下にいる時間が長くなりがちです。
狙い方の基本
・エントリーは「安値更新が止まった後」
・利確目標は「VWAPタッチ」または「VWAP手前」
・VWAPを回復できない日は、戻り売りが出やすいので伸ばしすぎない
例えば、GD後に下げ止まって反発しても、VWAP付近で上値が重くなり、再び押し戻されるのはよくあるパターンです。初心者は「戻るはず」と粘りやすいですが、VWAPは機関の平均コストの目安になりやすく、売り買いの分岐点になりがちです。ここを“利確優先”の基準にすると、トレードが安定します。
具体的な売買ルール:初心者向けに“型”を固定する
ここまでの観察を、実行できるルールに落とします。最初は裁量を減らし、型を守ってください。
エントリー条件(推奨)
次の条件をすべて満たしたら、1回目のエントリーを検討します。
・寄り付き後の最初の5分足で安値更新が止まった(少なくとも2本目で安値を割らない)
・2本目〜3本目で出来高が減少しているのに、価格が崩れていない
・指数(先物)が下げ止まり〜小反発している(逆行下落なら見送り)
エントリー価格は、強い反発を追いかけるより、下げ止まりレンジの上抜けを待つ方が事故が減ります。具体的には「寄り付き後に揉んだレンジの高値を、板を食いながら抜ける瞬間」に小さく入るイメージです。
損切り(絶対)
損切りは“最初に決める”ものです。目安はシンプルにします。
損切りライン:寄り付き後に付けた最安値を明確に割ったら撤退
「明確に」は、板の一瞬ではなく、5分足の実体で割る、または割った後に戻せない、など自分のルールで固定してください。初心者は“ヒゲ割れ”で振り回されやすいので、5分足確定を使うのが無難です。
損切り幅が大きくなりそうなら、ロットを小さくするか、そもそもエントリーを見送ってください。規制ニュースは二段下げがあり得ます。損切りを曖昧にすると、取り返しがつかなくなります。
利確(現実的)
利確は複数案を持つと安定します。
・第1利確:VWAP到達(またはVWAP手前で失速)
・第2利確:前日終値の手前(ギャップを埋める動きが出るなら)
・時間利確:後場に入っても伸びないなら手仕舞い(資金効率の重視)
GDの日は、前日終値まで戻らないことが普通です。欲張って戻り売りに捕まるより、VWAPを軸に「取れるところだけ取る」方が収益が安定します。
よくある“失敗パターン”と回避策
同じ戦略でも、負け方には型があります。先に知っておくと回避できます。
失敗1:寄り付き直後の底当てをしようとして刺さる
寄り付き直後は情報が足りません。最初の5分で底を当てられるのは、経験と板の癖を知っている人だけです。初心者は「安値更新が止まった後に入る」だけで成績が改善します。底を逃してもいい、という割り切りが必要です。
失敗2:ニュースが追加で出て二段下げ
規制ニュースは追加情報が出やすいのが最大のリスクです。回避策は3つあります。
・持ち越しを基本しない(デイトレに寄せる)
・利確を早める(VWAP到達で一旦逃げる)
・“ニュースの時間帯”を意識する(会見・声明・海外時間など)
特に、東京時間の引け後に海外で追加材料が出ると、翌朝さらにGDすることがあります。初心者は持ち越しより、日中完結を優先した方が安全です。
失敗3:指数が崩れているのに個別だけ拾う
半導体は指数影響が強く、指数が崩れている日は戻りが弱いです。規制ニュースの日は「セクター全体が売られる」ことも多いので、指数の下げが止まっていないなら、個別の下げ止まりが“見せかけ”になりがちです。最低限、先物が下げ止まってから検討してください。
実戦でのチェックリスト:寄り付き〜30分でこれだけ確認すれば十分
最後に、行動に落ちる形にまとめます。ここは暗記レベルで固定してOKです。
寄り前
・規制ニュースの種類(限定的か、広範囲か)
・GD幅(-3%〜-8%が扱いやすい)
・流動性(売買代金があるか)
・指数・先物の方向
寄り後0〜5分
・最初の5分足で安値更新が止まる兆しがあるか
・売り成行の連続が一巡しているか
寄り後5〜15分
・2本目以降で安値を割らないか
・出来高が減っても価格が崩れないか
寄り後15〜30分
・レンジ上抜けで買いが走るか(歩み値の成行連続)
・VWAPまでの戻り余地があるか(出口の見積もり)
このチェックを機械的に回すだけで、“やってはいけない逆張り”をかなり排除できます。
最後に:この戦略は「小さく負けて、大きく取りに行かない」方が向いている
規制ニュース起因のGDは、反発が出る一方で、追加材料で二段下げもあり得る、いわば地雷原です。だからこそ、この戦略の設計思想は「小さく入って、ダメならすぐ逃げる」「取れたらVWAPまでで十分」となります。勝率と期待値を両立させるには、底当てではなく“下げ止まり判定”に徹するのが最短ルートです。
最初のうちは、同じ銘柄群(半導体の主力)だけを繰り返し観察し、GDした日の“止まり方の癖”を記録してください。あなたの中にデータが溜まるほど、この戦略は再現性が上がります。


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