暗号資産と株式の相関が変わる理由と、個人投資家が取るべき戦略

市場解説

「ビットコインは株と連動するのか?」は、投資家が何度もぶつかるテーマです。結論から言うと、暗号資産と株式の相関は固定ではなく、局面(レジーム)によって大きく変動します。相関が高い時期に「分散になる」と思って同時に買うと、下落局面で同時に崩れます。逆に、相関が低い(または逆相関に近い)時期に「株が下がるから暗号も危ない」と決めつけると、機会損失になります。

本記事では、相関が動く構造要因を分解し、初心者でも実務的に使えるように、相関レジームの見分け方資産配分の組み方失敗パターンと回避策まで体系化します。数字は「厳密な未来予測」ではなく、意思決定の質を上げるためのフレームワークとして使ってください。

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  1. 相関とは何か:まず「同じ方向に動く度合い」を誤解しない
  2. なぜ相関が変わるのか:5つの構造要因
    1. 1. 流動性レジーム:中央銀行と金融環境が「同時売り」を生む
    2. 2. 投資家構成の変化:個人主導から機関投資家主導へ
    3. 3. デリバティブ市場の成熟:先物・オプションが相関を“作る”
    4. 4. 物語(ナラティブ)レジーム:同じ資産でも「扱われ方」が変わる
    5. 5. 通貨(為替)要因:円建て投資家は「株×ドル×暗号」の三体問題
  3. 相関レジームを見分ける:初心者でもできる3段階チェック
    1. ステップ1:30日相関より「90日相関+相関の方向転換」を見る
    2. ステップ2:リスクオフの温度計として「株のボラティリティ上昇」を監視
    3. ステップ3:暗号資産側の「強制清算が出やすい構造」を点検
  4. 投資戦略の本体:相関が高い時と低い時で、資産配分を変える
    1. 基本原則:暗号資産は「コア」ではなく「サテライト」で管理する
    2. 相関が高い局面:分散ではなく「同時下落」に備える設計
      1. 1) リスク資産同士の同時下落を想定し、現金・短期債を厚くする
      2. 2) 暗号資産は「現物中心」、レバレッジは原則封印
      3. 3) リバランスは「回数」ではなく「ルール」で行う
    3. 相関が低い局面:分散効果を取りに行くが、過信しない
  5. 具体例で理解する:3つの典型シナリオ
    1. シナリオA:金融環境が引き締まり、相関が上がる(リスクオフ)
    2. シナリオB:株が停滞し、暗号資産が独自要因で動く(相関低下)
    3. シナリオC:株が上がり、暗号資産も上がる(相関上昇だが“良い相関”)
  6. 相関を“投資判断”に変換する:初心者向けシンプル運用ルール
    1. ルール1:暗号資産の上限比率を固定する
    2. ルール2:相関が上がっている時は「新規の買い増し」を遅らせる
    3. ルール3:利益の一部を定期的にコアへ移す(利益移転)
  7. よくある失敗パターン:相関を読み違えて資産が壊れる
    1. 失敗1:「分散になる」と思って株と暗号を同時に最大化
    2. 失敗2:暗号資産の下落を“短期の誤差”と見てレバレッジで追撃
    3. 失敗3:円建てで見ているのに、ドル建ての相関を前提に判断する
  8. 発展編:相関だけでなく「テールリスク」を管理する視点
  9. まとめ:相関は“答え”ではなく“警報装置”として使う
  10. 相関の測り方:難しい統計より「同じ手順を繰り返す」ことが大事
  11. BTCとアルトコインは別物:相関の“階層”を理解する
  12. ポートフォリオ設計の例:小さく始めて、壊れない形にする
  13. チェックリスト:週1回、5分でできる“相関レジーム”点検

相関とは何か:まず「同じ方向に動く度合い」を誤解しない

相関(コリレーション)は、2つの資産が同じ方向に動く傾向を示す指標です。よく使われるのは-1〜+1の範囲で、+1に近いほど同じ方向、-1に近いほど逆方向、0に近いほど無関係に近い、という解釈です。

ただし、投資で重要なのは「相関の数値」そのものより、相関が変わる条件です。なぜなら相関は次の理由で簡単に壊れます。

  • 計測期間(30日、90日、1年)で値が全く変わる
  • 上昇局面と下落局面で相関が非対称(危機時に相関が上がる)
  • ボラティリティ(値動き)が急変すると、見かけの相関も変わる
  • 基準通貨(円建て/ドル建て)で相関が変わる(為替が混ざる)

つまり「過去90日で相関が低いから今後も分散になる」という短絡は危険です。相関は、株式と暗号資産の“性格”ではなく、市場の状態の関数だと捉えるのが実務的です。

なぜ相関が変わるのか:5つの構造要因

1. 流動性レジーム:中央銀行と金融環境が「同時売り」を生む

相関が上がりやすい典型は、金融環境が引き締まり、投資家がレバレッジを落とす局面です。株も暗号資産も、リスク資産として同じバスケットに入れられやすく、資金回収(デレバレッジ)が起こると同時に売られます。

初心者向けに言い換えると、「お金が余っている時は色々買われるが、お金が締まると全部売られる」という単純な構図です。暗号資産が“デジタルゴールド”的に語られていても、短中期ではリスク資産の売買フローに飲み込まれます。

2. 投資家構成の変化:個人主導から機関投資家主導へ

暗号資産市場は、参加者が変わると値動きが変わります。機関投資家が参入すると、リスク管理の枠組み(VaR、リスクパリティ、ポートフォリオのリバランス)が暗号資産にも適用され、株式のリスクオフと同じタイミングで調整が入ります。

具体例として、株式のボラティリティが上がると「ポジションを落とす」ルールを持つ運用が増え、暗号資産も一緒に縮小される、という流れが起こります。結果、相関は上がります。

3. デリバティブ市場の成熟:先物・オプションが相関を“作る”

先物やオプションの出来高が増えると、裁定取引(アービトラージ)やヘッジが増えます。これ自体は市場を効率化しますが、同時に「リスクを同じものとして扱う」取引も増えます。例えば、株の急落でヘッジ需要が増えた時、同時に暗号資産の先物でリスクを落とす、という行動が連鎖することがあります。

また、暗号資産特有の要因として、強制清算(レバレッジの清算)が連鎖すると、短時間で暴落し、株式の“ゆっくりした下げ”と同時にリスクオフが強化され、相関が跳ね上がることがあります。

4. 物語(ナラティブ)レジーム:同じ資産でも「扱われ方」が変わる

暗号資産はファンダメンタルが株ほど統一されていないため、投資家が何を根拠に買うか(ナラティブ)が変わると相関も変わります。

  • 「テック成長の象徴」として買われる時:株(特にグロース)と相関が上がりやすい
  • 「通貨価値のヘッジ」として買われる時:インフレ・通貨不安と関係が強くなり、株との相関が下がることがある
  • 「規制・法制度のニュース」で動く時:株とは別軸で動きやすい

重要なのは、ナラティブはメディアやSNSで急に変わるため、相関も急変し得るという点です。

5. 通貨(為替)要因:円建て投資家は「株×ドル×暗号」の三体問題

日本の個人投資家にとっては、円建てで見た時の相関が特にブレます。米国株がドル建てで横ばいでも、円安で円建てでは上がる、というように、為替が第三の変数になります。暗号資産も多くはドル建てで取引されるため、円建ての損益には為替が強く影響します。

つまり「株と暗号の相関」を語るなら、ドル建てで見るのか、円建てで見るのかを決めないと、意思決定がブレます。

相関レジームを見分ける:初心者でもできる3段階チェック

ステップ1:30日相関より「90日相関+相関の方向転換」を見る

短期(30日)はノイズが多いので、まずは90日程度の相関を基準にします。ここで重要なのは絶対値よりも、相関が上昇トレンドなのか、低下トレンドなのかです。上昇しているなら“同時売りリスク”が高まっているサインです。

ステップ2:リスクオフの温度計として「株のボラティリティ上昇」を監視

株式側のストレスが強い時、暗号資産の分散効果は落ちやすいです。実務では以下のような観点で十分です。

  • S&P500が急落している(数日で大きく下げる)
  • グロース株がバリュー株より弱い(リスク回避が進む)
  • 信用スプレッドが拡大している(企業信用不安が増える)

この局面では、暗号資産も“リスク資産の一員”として売られやすく、相関が上がる前提で守りの設計をします。

ステップ3:暗号資産側の「強制清算が出やすい構造」を点検

暗号資産は、現物よりも先物の建玉、資金調達率(ファンディング)、過熱感が価格を歪めます。初心者は難しく感じるかもしれませんが、最低限は次のイメージを持つだけで差が出ます。

  • 上げが急すぎる=レバレッジが溜まっている可能性が高い
  • 急落が一気に進む=清算連鎖が起きている可能性が高い

清算連鎖は株式より速いので、相関が上がるというより「暗号資産だけが先に崩れて、後で株も崩れる」という順番になることがあります。この順番を意識すると、下落への備え方が変わります。

投資戦略の本体:相関が高い時と低い時で、資産配分を変える

基本原則:暗号資産は「コア」ではなく「サテライト」で管理する

相関が読みにくい資産は、コア(生活防衛や長期の土台)に置くと破綻しやすいです。初心者ほど、暗号資産はサテライト(上振れを狙う枠)に分離し、最大損失を先に決めるのが現実的です。具体的には、ポートフォリオ全体の数%〜といった上限設定を設け、値動きが荒い局面で増やし過ぎないルールを作ります。

相関が高い局面:分散ではなく「同時下落」に備える設計

相関が高い局面でやるべきは「暗号資産の比率を下げる」だけではありません。実務的には次の3点が効きます。

1) リスク資産同士の同時下落を想定し、現金・短期債を厚くする

株と暗号が一緒に下がる局面では、リバランスの原資が必要です。現金や短期債(価格変動が小さい資産)を厚くすると、下落局面で機械的に買い増しができます。ここで重要なのは「下落後に買える体力」です。

2) 暗号資産は「現物中心」、レバレッジは原則封印

相関が高い局面では、値動きが荒い資産にレバレッジを載せると、下落の初動で退場します。暗号資産でよくある失敗は、「株が下がったから暗号で取り返そう」とレバレッジを掛けて、清算で資金を失うパターンです。相関が高い局面は、逆にレバレッジを落とす局面です。

3) リバランスは「回数」ではなく「ルール」で行う

恐怖の局面では裁量がブレます。おすすめは、例えば「暗号資産比率が上限を超えたら削る」「下落で比率が下限を割ったら少し戻す」といった、比率ベースのルールです。これなら相関が高くても、リスクを制御できます。

相関が低い局面:分散効果を取りに行くが、過信しない

相関が低い局面では、暗号資産はポートフォリオの分散として機能し得ます。ただし、ここでの落とし穴は「相関が低い=安全」ではないことです。暗号資産は単体のボラティリティが大きいので、相関が低くても損失は大きくなり得ます。

この局面の実務的なアプローチは以下です。

  • 株式が横ばいの間に暗号資産が強いなら、サテライト枠で段階的に積む
  • 急騰時は「利益の一部をコアへ移す」ルール(利益移転)を入れる
  • 分散の目的は“当てる”ことではなく、ポートフォリオの形を良くすることだと割り切る

具体例で理解する:3つの典型シナリオ

シナリオA:金融環境が引き締まり、相関が上がる(リスクオフ)

株が下がり、暗号資産も同時に下がる局面です。この局面の戦略は「防御→リバランス→回復の順」です。

実践例:暗号資産比率の上限を事前に5%に設定し、上昇局面で10%まで膨らんでいたら、上限まで機械的に利益確定して現金へ移します。リスクオフが来たら、現金を使って株や暗号を“少しずつ”戻し、平均取得を改善します。重要なのは、底を当てるのではなく、資金を残して継続することです。

シナリオB:株が停滞し、暗号資産が独自要因で動く(相関低下)

暗号資産が独自の材料(プロトコルの普及、技術テーマ、需給)で動く局面です。ここでは「追いかけ買い」を避け、分割で入ります。

実践例:毎週同額を買う(積立)ではなく、「価格が一定以上上がった週は買いを半分にする」「急落した週は買いを増やす」といった簡易ルールを作ると、感情が入りにくくなります。

シナリオC:株が上がり、暗号資産も上がる(相関上昇だが“良い相関”)

相関が上がること自体は悪ではありません。問題は下落局面で相関が上がることです。上昇局面では、リスク資産が同時に伸びるので、資産が増えやすい一方で、比率が膨らみ過ぎるリスクがあります。

実践例:暗号資産が急騰して比率が上限を超えたら、超えた分だけ自動的に売却し、コア資産(現金・短期債・インデックスなど)に移します。これが「上昇局面でのリスク管理」です。勝っている時にルールを守れるかが、長期の成績を分けます。

相関を“投資判断”に変換する:初心者向けシンプル運用ルール

高度な統計は不要です。以下の3点だけ決めれば、実務として機能します。

ルール1:暗号資産の上限比率を固定する

例:全資産の5%(または10%)まで。上限超過分は売却してコアへ。上限を決めないと、上昇局面で“いつの間にか暗号資産が主役”になり、下落で資産が壊れます。

ルール2:相関が上がっている時は「新規の買い増し」を遅らせる

相関上昇=同時下落リスク増大のサインです。買い増しを止めるのではなく、分割回数を増やして時間を味方にします。例えば、同額の追加を「4回に分割して2週間かけて入れる」だけでも、清算連鎖に巻き込まれる確率が下がります。

ルール3:利益の一部を定期的にコアへ移す(利益移転)

暗号資産は上振れが大きい反面、戻しも大きいです。「勝った分をコアに戻す」仕組みがないと、勝ちが幻になります。例えば「含み益が一定を超えたら10%だけ利確して短期債へ」というルールは、初心者でも運用できます。

よくある失敗パターン:相関を読み違えて資産が壊れる

失敗1:「分散になる」と思って株と暗号を同時に最大化

相関が低い時期だけ見て、株も暗号もフルポジにすると、ショック局面で同時に下がり、現金がなくなります。分散とは「同じ日に下がらない」ことではなく、「下がった時に次の一手が打てる」設計です。

失敗2:暗号資産の下落を“短期の誤差”と見てレバレッジで追撃

株の下落は「戻るまで耐える」が通用することがありますが、暗号資産は清算構造があり、レバレッジ追撃は致命傷になります。相関が高い局面ほど、この失敗が増えます。

失敗3:円建てで見ているのに、ドル建ての相関を前提に判断する

円安・円高で損益が大きく変わるのに、株と暗号の相関だけ見て「分散できている」と思い込むケースです。円建て投資家は、為替が“第三のリスク要因”であることを前提に、コア資産の通貨構成も含めて考える必要があります。

発展編:相関だけでなく「テールリスク」を管理する視点

実務では、相関よりも「同時に大きく下がる確率(テールリスク)」が重要です。暗号資産はテールが太い(極端な動きが出る)ため、相関が低くても危険です。そこで初心者でも使える発想が、最大損失を先に決めるという方法です。

例えば「暗号資産が半分になっても、総資産が致命傷にならない比率」にしておけば、相関がどう動いても退場しません。これは予測ではなく設計です。

まとめ:相関は“答え”ではなく“警報装置”として使う

暗号資産と株式の相関は固定ではなく、金融環境、参加者、デリバティブ、ナラティブ、為替で変化します。したがって、相関を当てにいくのではなく、相関をレジーム変化の警報装置として使い、ルールで資産配分を調整するのが合理的です。

最後に、すぐ実行できる要点を3つに絞ります。

  • 暗号資産はサテライト枠に固定し、上限比率を必ず設定する
  • 相関が上がり始めたら、買い増しを分割し、現金・短期債の厚みを確保する
  • 急騰時は利益の一部をコアへ移し、勝ちを残す

この3点だけでも、「相関の変化に振り回される投資」から、「相関の変化を利用する投資」に変わります。

相関の測り方:難しい統計より「同じ手順を繰り返す」ことが大事

相関分析でありがちな失敗は、毎回手順が変わってしまい、判断が恣意的になることです。初心者は、精緻さよりも再現性を優先してください。おすすめの最小手順は次の通りです。

  • 対象は「株:S&P500(または全世界株)」「暗号:BTC(代表として)」の2つに絞る
  • 通貨は原則ドル建てで統一し、円建ては別途“為替込み”として見直す
  • 期間は90日(短中期の体感に近い)と365日(構造を見る)の2本立てにする
  • 毎週同じ曜日に更新して、変化の方向(上昇/低下)だけをチェックする

この手順を固定すると、「気分で相関を都合よく解釈する」癖が減ります。相関は当て物ではなく、運用ルールを発動させるための入力データです。

BTCとアルトコインは別物:相関の“階層”を理解する

暗号資産と一括りにしがちですが、BTCとアルトコインでは株式との相関の出方が変わります。一般的に、アルトコインはリスク資産の中でもさらにボラティリティが大きく、リスクオフ局面ではBTC以上に下げやすい傾向があります。つまり、同じ「暗号資産枠」でも、BTC中心か、アルト中心かでテールリスクが別物になります。

実務では、初心者はまずBTC中心で相関とリスク管理を学び、アルトは“上限のさらに内側”で扱うのが安全です。例えば暗号資産枠が5%なら、BTC 4%、アルト1%のように、最初から上限を二重に掛けます。

ポートフォリオ設計の例:小さく始めて、壊れない形にする

ここでは概念を掴むために、シンプルな例を示します(推奨ではなく、考え方の例です)。

例:コア90%(株式インデックス+短期債・現金)、サテライト10%(うち暗号資産は最大5%)。相関が低い局面では暗号資産を3〜5%まで段階的に持ち、相関が上がる局面では2%まで落とす。差分は現金へ退避して“次の買い”の弾にする。

この設計のポイントは、暗号資産の比率を上げるほど期待リターンが増えるのではなく、下落時の継続性が落ちるというトレードオフを正面から扱うことです。初心者が最初に作るべきなのは「当てるポートフォリオ」ではなく、「耐えるポートフォリオ」です。

チェックリスト:週1回、5分でできる“相関レジーム”点検

  • 株が急落していないか(リスクオフの初動を見逃さない)
  • 暗号資産が急騰していないか(レバレッジが溜まりやすい局面を警戒)
  • 90日相関が上向きか下向きか(方向だけ見る)
  • 暗号資産比率が上限を超えていないか(超えたら削る)
  • 現金・短期債の厚みがあるか(下落時の買い原資を確保)

この点検を習慣化すると、「ニュースで感情的に売買する」頻度が落ち、相関の変化に対しても一貫した行動が取りやすくなります。

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