FOMC直後の「初押し」を獲る:ボラティリティ相場で生き残る短期売買プロトコル

市場解説

FOMC(米連邦公開市場委員会)の日は、普段は機能するはずのテクニカルが一時的に崩れ、約定も滑り、スプレッドも広がります。にもかかわらず、短期トレーダーにとっては「最も分かりやすい“当日限定の非効率”」が出やすい日でもあります。

本記事では、FOMC発表直後に生まれやすい“初動→初押し→再開”の流れのうち、最も再現性が高い「初押し(first pullback)」だけを狙い撃ちするための実務プロトコルを、初心者でも運用できるレベルまで分解して解説します。対象は指数(S&P500/NASDAQ/日経先物)、FX(ドル円)を主に想定しますが、銘柄のボラが大きい米国個別株・日本の指数寄与度上位銘柄にも応用できます。

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  1. なぜ「FOMC直後の初押し」が狙い目なのか
  2. 相場の“型”を固定する:FOMC当日の時間構造
  3. 準備:トレード前に決める「3つの基準」
    1. 基準1:方向は“価格”で決める(解釈で決めない)
    2. 基準2:初動の強度を“距離”で測る
    3. 基準3:取引コストが許容範囲か(スプレッド・滑り)
  4. エントリーの“設計図”:初押しの定義を明文化する
    1. パターン1:ブレイク→リテスト型(最も安全)
    2. パターン2:VWAP回復(または割れ)確認型(板が荒い日に有効)
  5. 損切りと利確:FOMCの日は“通常運用”を捨てる
    1. 損切り:ラインの“外側”に置く(ヒゲ狩り対策)
    2. 利確:2段階(部分利確→伸ばす)
  6. 具体例:ドル円で「初押し」を取るシナリオ
  7. 具体例:S&P500先物で「初押し」を取るシナリオ
  8. 勝率を上げる「やらないこと」リスト
  9. リスク管理:ポジションサイズは“半分以下”が基本
  10. 上級者の罠を回避する:よくある失敗パターン
  11. 翌日まで含めた運用:FOMC翌日の“逆方向”に注意
  12. まとめ:FOMCの勝ち筋は「初動ではなく初押し」 実装のコツ:チャート設定と監視項目を最小化する
  13. 初押しの深さを数値化する:フィボナッチではなく“時間”で測る
  14. エントリー後の“管理”が勝敗を分ける:建値移動の位置
  15. 日本時間の実務:寝不足を避けるための割り切り
  16. 検証のやり方:過去FOMCを“10回だけ”でよいので見返す
  17. トレード日誌テンプレ:1トレードを5行で記録する

なぜ「FOMC直後の初押し」が狙い目なのか

FOMCは「情報の塊」が一度に市場に投げ込まれるイベントです。発表直後の数分は、アルゴ・ヘッジ・裁定が同時に走るため、価格は“方向”よりも“ポジション調整”で振れます。ここで初動に飛びつくと、次のような罠に刺さりやすいです。

第一に、最初の方向が「誤読(headline read)」である可能性。声明文のヘッドラインだけで反応した後、パウエル議長会見やQ&A、あるいはドットチャートの含意で逆回転が起きます。第二に、流動性の低下。スプレッド拡大と板薄で、逆行時の損切りが想定以上に不利になります。第三に、ニュース配信の時間差。機関向け端末と一般配信にラグがあると、最初の波は最速勢が刈り取ります。

一方で「初押し」は、初動で一方向に走った後に発生する“利確・ヘッジの戻し”で、構造上、一定の価格帯に注文が集まりやすい局面です。具体的には、(1)初動に乗った勢の利確、(2)逆行側の損切りが一巡して反発が鈍る、(3)追随の新規が戻しで入り直す、という3つが重なるため、短時間でも“反転ではなく再開”が起きやすい。これが「初押しだけを取る」最大の合理性です。

相場の“型”を固定する:FOMC当日の時間構造

まず、FOMC当日は「いつも通りの1日」ではありません。型を固定し、トレード対象時間を限定します。ここが最重要です。おすすめは次の3ブロックのみを監視対象にします。

(A)発表直後0〜3分:観察のみ(原則ノートレ)。
(B)発表直後3〜15分:初動の方向・強度・足の形を評価。
(C)発表直後15〜60分:初押し(first pullback)狙いの実行区間。

なぜ0〜3分を捨てるのか。初動は「勝てる人が勝つ」領域であり、負ける人が負けます。滑り・約定拒否・ストップ狩りが一気に起きるため、期待値が安定しません。初心者が勝ち筋を作るなら、“確率が上がるところだけ”に参加すべきです。

準備:トレード前に決める「3つの基準」

FOMCは刺激が強く、現場判断が増えるほど事故ります。だから事前に「基準」を3つだけ決め、当日はそれ以外の判断をしないようにします。

基準1:方向は“価格”で決める(解釈で決めない)

FOMCの内容を読んで「タカ派だからドル買い」などの解釈を入れると、会見で反転した瞬間に破綻します。方向は、発表直後に形成された最初の明確なトレンドで決めます。例えば指数先物なら、1分足で連続して高値切り上げ・安値切り上げが3本以上続き、かつ直前のレンジ上限を明確に抜けていれば“上方向が主役”と見なします。

基準2:初動の強度を“距離”で測る

初押し狙いは、初動が弱いと成立しません。目安として、指数先物なら「発表後5分で直前30分レンジの幅の0.8倍以上」を一方向に動いたら“強い初動”。FX(ドル円)なら「発表後5分で直前1時間の平均レンジの0.6倍以上」を一方向に動いたら対象にします。数値は銘柄のボラに応じて調整しますが、“十分に走った日だけやる”が原則です。

基準3:取引コストが許容範囲か(スプレッド・滑り)

この基準を満たさない日は、どれだけチャートが綺麗でもやりません。具体的には、平常時スプレッドの2倍を超えた状態が続く、板がスカスカで成行が飛ぶ、約定が不安定、のいずれかが見えたら撤退です。FOMCは「機会損失より事故回避」が正解になりやすい日です。

エントリーの“設計図”:初押しの定義を明文化する

「初押し」と言っても曖昧だと、ただの逆張りになります。ここでは初心者でも判定できるよう、シンプルな定義に落とします。おすすめは次の2パターンです。

パターン1:ブレイク→リテスト型(最も安全)

初動で上にブレイクした“境界線”まで戻ってきたところを買う(下方向なら売る)やり方です。境界線とは、発表前に明確だった直近レンジ上限、または発表直後に一度止まって揉んだ「短期の押し目台(1〜3分の小レンジ)」です。

実務の手順はこうです。まず発表後3〜10分で、1分足で明確なブレイク点(複数回弾かれた価格)を1つだけ引きます。次に、価格がそのラインに近づいた時に、戻しの“勢い”が弱まったサインを待ちます。例えば、下方向に戻している最中の出来高が減る、ヒゲが増える、1分足の実体が短くなる、などです。そして、ライン付近で“戻しが止まった”のを確認してから入ります。

パターン2:VWAP回復(または割れ)確認型(板が荒い日に有効)

指数先物や流動性の高いETF(例:SPY/QQQ)では、VWAPが「群衆の平均コスト」として機能しやすい局面があります。初動でVWAPから大きく乖離した後、初押しでVWAP近辺まで戻る。そこで再びVWAPを上回って終える(買い)/下回って終える(売り)という“終値確認”を条件にします。

これは「ヒゲで触って騙される」事故を減らすためです。FOMCは瞬間的にVWAPを跨ぐノイズが多いので、5分足の終値、あるいは1分足3本連続の終値で判定すると安定します。

損切りと利確:FOMCの日は“通常運用”を捨てる

FOMCの日にいつもの損切り幅・利確幅を当てると、ほぼ確実に破綻します。理由は単純で、ボラが違うからです。ここでは、初心者が破綻しにくい「固定ルール」を提示します。

損切り:ラインの“外側”に置く(ヒゲ狩り対策)

ブレイク→リテスト型なら、損切りはリテストラインの外側、かつ直近の押し安値(買いの場合)を少し割った位置に置きます。重要なのは「ヒゲ1本で刈られる」位置に置かないことです。目安は、指数先物なら直近1分足ATRの1.2〜1.8倍、FXなら直近1分足ATRの1.0〜1.5倍をバッファとして入れます。

利確:2段階(部分利確→伸ばす)

FOMCは急伸も急反転もあります。全部を伸ばそうとすると“往復ビンタ”になりやすい。そこで、利確を2段階にします。第一利確は「初動高値(または安値)への再トライ」で半分を落とす。残り半分は「トレーリング(直近押し安値割れで撤退)」で伸ばします。これで、勝ちを確保しつつ、トレンドが伸びた日の取り逃しも減ります。

具体例:ドル円で「初押し」を取るシナリオ

仮に、発表前のドル円が150.20〜150.60の40pipsレンジで推移していたとします。FOMC発表後、150.60を上抜けして151.10まで5分で上昇(+50pips)。これは「直前レンジ幅(40pips)の1.25倍」を動いているので、初動は強いと判断します。

ここでやらないのは、151.10での高値追い。代わりに、150.60(ブレイクライン)と、発表直後に一度止まった150.85近辺(小レンジ)を観察します。価格が151.10から150.85へ押したとき、戻し足の実体が小さくなり、150.85付近で下ヒゲが出て反発。さらに1分足の終値が150.90で確定したとします。この「戻し止まり+終値回復」を条件に、150.90でロング。

損切りは150.78(150.85の押し安値150.82を少し割る+バッファ)。第一利確は151.10近辺で半分。残りは、直近の押し安値を割ったら撤退、という形にします。もし会見でさらにタカ派材料が乗って151.50、152.00と伸びる日なら、後半が大きな利益になります。逆に、151.10で跳ね返されて失速する日でも、第一利確で“勝ち逃げ”になりやすい。

具体例:S&P500先物で「初押し」を取るシナリオ

指数の場合は、レンジと出来高の“節”が明確に出やすいのが利点です。発表前にS&P500先物が5000〜5020のレンジ。発表後に5020を上抜けして5050まで急伸。ここで重要なのは「どこが押し目として意識されるか」を1つに絞ることです。

初動で最初に揉んだ価格帯(例えば5032〜5038)を押し目候補にします。価格が5050から5036まで押してきたとき、1分足で下落の勢いが鈍り、下ヒゲが増える。さらに、5038を回復して終えた1分足が出た。ここでロング。

損切りは5030割れ(押し目帯の外側)。第一利確は5050再トライで半分。残りは5分足で押し安値割れまで保有。指数は“再加速”が起きると、想像以上に伸びます。逆に伸びない日は、再トライで止まって急反落もあるので、半分利確が効きます。

勝率を上げる「やらないこと」リスト

FOMCは「余計なことをしない」ほど成績が安定します。ここでは、実務上やらないことを明確にします。

まず、発表直後の逆張りは原則禁止です。見た目が行き過ぎに見えても、イベント日は“行き過ぎがさらに行き過ぎる”が普通に起きます。次に、ニュースの文言解釈で方向を変えない。価格が示す方向と自分の解釈がズレたら、解釈を捨てます。さらに、複数銘柄を同時に触らない。指数とドル円と金利と、全部見始めると事故ります。最初は「1市場だけ」を選び、その市場の型だけを実行します。

リスク管理:ポジションサイズは“半分以下”が基本

FOMCの日は、同じ損切り幅でも実質リスクが増えます。滑り、スプレッド、瞬間逆行があるからです。したがって、平常時の半分〜3分の1のサイズを上限にします。これは弱気ではなく、ボラが高い日ほどレバレッジを落とすのは合理的です。

また、エントリーは最大2回までに制限します。FOMCは「取り返しトレード」が最悪の結果を生みます。2回負けたら、その日は撤退。これだけで年間成績が大きく変わります。

上級者の罠を回避する:よくある失敗パターン

失敗パターン1は「初動に置いて行かれた焦りで、戻り途中を追いかけてしまう」。初押し狙いは、戻りが来るまで待つゲームです。来ないなら、そもそもその日は“取らない日”です。

失敗パターン2は「初押しと見せかけた反転」を掴むこと。これを減らすには、戻しの深さを制限します。例えば、初動の半値(50%)を超えて戻る押しは“初押しではなく、ただの反転候補”として扱い、見送る。深い押しは、会見やドットで方向が変わった可能性が高いからです。

失敗パターン3は「利確を欲張って勝ちを負けに変える」。FOMCは伸びる日もありますが、伸びない日も多い。二段階利確で“勝ちを確定”させるのが、初心者の最優先課題です。

翌日まで含めた運用:FOMC翌日の“逆方向”に注意

FOMC当日はトレンドが出ても、翌日に逆方向に動くことがあります。理由は、当日中に織り込めなかった解釈や、債券・株式・FXのリバランスが翌日に遅れて出るからです。したがって、当日勝てたからといって、同じ方向を翌日に機械的に追うのは危険です。

実務では、翌日は「前日高値・安値」と「前日VWAP(指数ETFの場合)」を重要水準として見ます。前日トレンド方向に再開するなら、前日高値(上方向)を明確に抜ける必要があります。抜けないなら“調整相場”として、当日のような初押し型は無理にやりません。

まとめ:FOMCの勝ち筋は「初動ではなく初押し」 実装のコツ:チャート設定と監視項目を最小化する

FOMC当日に画面を増やすほど判断がぶれます。最初は「1市場+補助1つ」までに絞ってください。おすすめの最小セットは次の通りです。

指数をやる場合:メイン=S&P500先物(またはNASDAQ先物)、補助=米10年金利(利回り)のチャート。
FXをやる場合:メイン=ドル円、補助=米2年金利(またはDXY)です。

補助の目的は“解釈”ではなく“同方向の確認”です。例えば指数が上に走っているのに、金利も同時に急騰しているなら、グロース中心のNASDAQは途中で失速しやすい、といった「商品の相性」を見ます。逆に、指数上昇+金利低下なら、リスクオンが続きやすい。こういう「相関の形」だけを見て、ニュースの文言は追いません。

初押しの深さを数値化する:フィボナッチではなく“時間”で測る

一般的には押しの深さをフィボ(38.2%、50%など)で測る人が多いですが、FOMC当日はノイズが大きく、価格比率だけでは判定が揺れます。そこで、初心者には“時間”で測る方法が扱いやすいです。

具体的には、初動が走った時間(例:発表後0〜6分)に対して、押しが続く時間が「初動時間の1.5倍を超えたら警戒」。つまり、6分走ったのに押しが10分以上続くなら、それは初押しではなく、反転や再解釈が入り始めている可能性が高い、という判断です。

時間で測る利点は、銘柄やボラが変わっても適用できることです。価格幅の閾値を毎回調整できない人ほど、このルールが効きます。

エントリー後の“管理”が勝敗を分ける:建値移動の位置

FOMC当日は、建値(ブレークイーブン)移動を早くし過ぎると、伸びる波に乗れません。逆に遅すぎると往復で利益が消えます。おすすめは「第一利確が成立したら、残りのストップを建値ではなく押し目帯の中央へ上げる」方法です。

例えば押し目帯が5032〜5038なら、ストップを5035付近へ。これならノイズで刈られにくく、かつ急反転したときは利益を守れます。“建値に置く”よりも実務的です。

日本時間の実務:寝不足を避けるための割り切り

日本在住だとFOMCは深夜帯になりがちで、集中力が落ちます。ここで無理をすると、戦略以前にヒューマンエラーが増えます。現実的な運用は2つです。

一つ目は「FOMC当日のトレードはしないが、翌日の東京時間の歪みを取る」方法。FOMC後は、日経先物や半導体株などが米国指数の影響でギャップを作りやすい。翌朝の寄り付きに限定し、前日米国で生まれた“方向”を、東京時間の最初の押しで取る発想です。

二つ目は「会見開始後の初押しだけを狙う」方法。発表直後の乱高下より、会見が始まってから方向が固まるケースがあります。自分の生活リズムと合うなら、どの区間を取るかを固定してしまうのが正解です。

検証のやり方:過去FOMCを“10回だけ”でよいので見返す

この手法は、全期間のバックテストよりも「イベント日のリプレイ検証」が効きます。まず直近のFOMCを10回分(可能なら20回)だけ用意し、発表後0〜60分のチャートを同じ時間軸(1分+5分)で並べます。

見るポイントは3つだけです。(1)初動が強かった日/弱かった日、(2)初押しが浅い日/深い日、(3)初押し後に再開した日/反転した日。ここを分類すると、自分が狙うべき“型”が見えてきます。検証の目的は勝率の数字ではなく、「見送るべき日を見分ける」ことです。

トレード日誌テンプレ:1トレードを5行で記録する

FOMCは記憶が上書きされやすいので、記録が重要です。ただし長文は続かない。そこで、5行テンプレに落とします。

1)対象:指数/ドル円、時間帯(発表後何分)
2)初動の強度:レンジ比(例:1.2倍)と方向
3)初押しの型:リテスト/VWAP回復、押しの深さ(半値未満など)
4)執行:エントリー根拠、損切り位置、第一利確位置
5)反省:ルール違反の有無(待てたか、サイズは適正か)

この5行を積み上げると、次回FOMCで迷いが減り、最終的に収益曲線が安定します。

FOMCの日に勝つための本質は、情報を読むことではなく、ボラティリティが生む市場構造を利用することです。初動は捨てる。方向は価格で決める。強い初動の日だけやる。初押しの定義を明文化し、ラインと終値確認で事故を減らす。損切りは外側、利確は二段階。サイズは半分以下、エントリーは2回まで。これを徹底するだけで、FOMCが「怖い日」から「狙える日」に変わります。

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